評価
下巻は3度目の破門(1239年)から1250年のフリードリッヒの死を経て、孫のスペインアラゴン王妃コスタンツァによるシチリア島奪還まで。いやはや、皇帝とローマ法王の諍いが半世紀に渡って延々と続くさまは常軌を逸しているようにしか思えないが、これが中世のいうものなのだろう。お互い凄いエネルギーだ!
まあ~ フリードリッヒも公会議に向かう高位聖職者たちをとらえたり(1241年メロリア海戦)と信じられない行動はしたが、法王側もリヨン公会議(1245年)に名を借りた異端裁判を開催したり、フリードリッヒと息子のエンツォ殺害の陰謀をめぐらしたりとかなり陰険でしつこい。
結局は1291年、パレスチナの地にある海港都市アッコンの陥落による十字軍国家の崩壊で皇帝派vs法王派で明け暮れた13世紀後半も終わりを告げ、ヨーロッパはルネッサンス時代へと向かうのであった。
再読でかなり十字軍の後半時代と神聖ローマ帝国、ローマ法王庁に詳しくなったし、当時ヴェネツィアがけっこう重要な役割を果たしていたので「海の都の物語」を読んでいたことがとても役に立った。ほんとに、塩野七生さんの本は面白い!