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シティ・マラソンズー三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵

2019年12月10日 | 読書

評価3

3人の作家による3都市のシティマラソンをめぐる物語。
ニューヨークシティマラソン(純白のライン・三浦しをん)、東京マラソン(フィニッシュゲートから・あさのあつこ)、パリマラソン(金色の風・近藤史恵)。

①純白のライン
「娘が彼氏と接触するのを阻止するように!」との社長の命を受けてニューヨークに飛んだ安部広和。ニューヨークシティマラソンの自由奔放な明るさに溶け込み、挫折した陸上競技生活とサラリーマン生活をオーバーラップさせる。社長の命令は実は娘の策略だった。

②フィニッシュゲートから
ランニングシューズ開発会社に勤める南野悠斗に高校時代の友人から「東京マラソンに出る」と連絡が来た。高校時代エリートランナーだった悠斗は自分の限界を知り挫折するが、控え選手だった友人のレース後の明るい笑顔に心を揺さぶられる。そして、今、友人に「自分の作ったシューズで走って欲しい」と申し出る。

③金色の風
バレエの道を断念した夕は単独パリに語学留学。街を颯爽と駆け抜ける金髪の女性(アンナ)とその愛犬(ベガ)に触発されて早朝のランニングを始めて帰国前にパリマラソンに挑戦。アンナとベガに思いを馳せる。

レースとともに描かれるニューヨークとパリの風景がうつくしい。挫折した3人それぞれの心象と風景があいまってなんとも言えない温かな短編集。