宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・12・マイナス質量のBHについて

2019-03-17 03:26:42 | 日記
相対論は座標変換の話、EMANの物理ではそういっています。
そうして、やっぱり頭が混乱します。
この状況は量子論の意味を考えると頭が混乱する事に似ています。
(量子論の意味=物理的実在というしろもの)

さて「ホーキングさんが考えたこと・6」で「そうして我々の宇宙は別にマイナス質量のBHの存在を禁止している様には思えないのです。」と書きました。
まあ言いっぱなし、というのも何ですから、それなりにこのBHの事を考えてみるとしましょう。

さて、我々がBHを作ろう、と言う時には通常は「ホライズンの内側に物質を閉じ込めればよい」のでした。
重力頼りでそれを行うには、太陽の3倍程の質量の星を用意して、重力崩壊させる。
それでBHの一丁上がり、という訳です。

もう一つは宇宙の始まりの時に、空間の揺らぎ、物質存在の揺らぎ、この関係で質量密度が一定値を超えるとBHになる、これを原始BHというのでした。
その場合は特にBHのトータル質量には制限はなく、軽いBHも誕生可能という事です。


それでここにマイナス質量の物質があったとしましょう。
その物質はお互い同士反発しあいますから、それをひとまとめにしておくには力が必要です。
そうして、その力を次第に強めていくことでマイナス質量物質の密度を高め、ホライズンの中に押し込めばマイナス質量BHの一丁上がり・・・となるかどうか、調べてみなくてはいけません。

さてそれでここは「シュワルツシルト解のお世話」になるとしましょう。<--リンク
ちなみにこの解を求める時に「質量MはM>0でなくてはならない」などと言う条件はどこにも書いてありません。
従いまして、M<0であってもこの解は有効である、と判断できそうです。
ご参考までに「この解の求め方がEMAN物理」にありますので、参照願います。<--リンク


まあこの解の結果としてホライズン半径RsがRs=2*G*M/C^2となるのでした。
さて、そうであればまずはここにマイナス質量物質を1kg、用意しましたのでそのホライズン半径を求めてみましょう。
Rs=-1.49*10^-27(m)

大きさの絶対値はプランク長よりだいぶ大きいので、「それなりの力持ちの方」であれば握りつぶせば何とかなりそう、ではあります。
しかしながら問題はそこではなく、Rsにマイナスが付いている事でありましょう。
この事はつまり「握りつぶし法」では「マイナス質量のBHには達成不可能である」という事を示している様です。
マイナス質量物質を「体積ゼロ、質量密度無限大」にまで握りつぶしてもその大きさは「ゼロ」でしかなく 0>-1.49*10^-27(m)でありますから。
別のやり方を探すのが賢明というものです。


そこで登場するのが「ホーキングさんが考えたこと・6」で示した「トンネル・ホーキング放射法」であります。
まずはBHの外形をプラス質量で確保しておく。
そのあとでBHの中心にある特異点の質量をプラスからマイナスへ一気にジャンプさせる、というものです。(注1)
この方法であれば、マイナス質量の物質を集めてきて握りつぶす、という方法を取らずにマイナス質量のBHが完成しそうです。

そしてもしこのBHにホライズンがあるとすれば、それは我々の暮らすこの3次元世界ではなく、どうやら別の世界にある、という事になりそうです。
それはつまり「このBHは我々の世界ではホライズンを持たない」という事でもあります。

PS
以下、マイナス質量のBHがホライズンを持たない、という事の別の表現になります。

通常はミンコフスキー空間はシグネチャー(-1、+1、+1、+1)を持つとされている様です。<--リンク
そうして、我々が暮らす空間はこのミンコフスキー空間であって、それゆえに空間軸と時間軸が区別できる様です。

そして通常はこの空間でのシュワルツシルト解の形はEMAN物理にある様にdw(=dt)の前の係数符号がマイナスでありdrのそれはプラスになっています。
しかしホライズンを超えてBHの中に入るとこの符号が逆転します。
それはつまり、BHの中はミンコフスキー空間ではない、ということであって、ホライズンはこの2つの空間を分ける役割をしている様です。

さて、マイナス質量をもつとされるBHの場合はこの関係はどうなるのでしょうか?
係数符号の動きを+∞から中心にある特異点まで、距離rを変えながら調べますとdw(=dt)の前は常にマイナス、drの係数は常にプラスである事がわかります。
それはつまり、「特異点に至るまでミンコフスキー空間が続いている」という事であり、したがって「そこにはホライズンは存在しない」という事になりそうです。

そして「トンネル・ホーキング放射」で特異点の質量がプラスからマイナスにジャンプすると同時にホライズンが消滅し、BH内の空間もまたミンコフスキー空間に切り替わるのであります。
そうして、ホライズンを持つことをBHと呼ぶ条件であるとするならば、このBHはもはやBHとは呼ぶ事は出来ず「マイナス質量をもつ裸の特異点」と呼ばれる事になりそうです。

(注1)
特異点質量のプラスからマイナスへのジャンプについて
我々の感覚からすると「質量がプラスからマイナスへジャンプする」などという事はなかなか受け入れる事が難しいのです。
「どうしてそんな事が出来るのだ」という疑問が先立ちます。
しかしながら、それでいてホーキング放射でBHの質量が順次減っていく事にはあまり疑問を持ちません。
「エネルギーが出て行ったのだから、その分質量が減るのは当然だ」ととらえています。

しかしながらよおく考えますれば、放射の前後で両方ともに質量がプラス領域にある、とはいえホーキング放射によって中心にある特異点の質量がMからM-αにジャンプするメカニズムは実の所、何もわかってはいないのであります。
ただそのような現象が起きている、という様に認めているにすぎません。
そうして、その時でさえ質量はMからM-αにジャンプしているのですから、そのようなジャンプはホーキング放射の結果としては当然起こるものであるとBHは思っている事でしょう。
そうして当該のBHにとっては、BH人生での最後のジャンプがたまたまプラス領域からゼロをまたいでマイナス領域へのジャンプであった、という事にすぎないのであります。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

http://archive.fo/JciAt
http://archive.fo/g1qn0
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