2023.03.23発表
『・・・宇宙の質量の大半を担う暗黒物質、その候補と考えられている未知の素粒子WIMP(相互作用の弱い重い素粒子)の直接検出を目指すXENONコラボレーションは、プロジェクトの最新段階であるXENONnT実験における最初のWIMP暗黒物質の探索結果を公表しました。
4.4トンの液体キセノンを97.1日間観測した(1トンの液体キセノンを1年間観測したことに相当する統計量をわずかに上回る)初期データについて、ブラインド解析(*注3)を行った結果、データは背景事象のみを含むと考えて矛盾しないことが示されました。
この結果、WIMPと通常の物質との相互作用の大きさについて新たな制限を得ました。今回の初期データは、前身のXENON1T実験が取得したデータと同程度の統計量ながら、背景事象を5分の1に減らしたことによって、結果を大幅に改善することができました。・・・』
↑↑↑WIMP対象とした解析結果の報告です。
結果は「WIMPは検出されず、ノイズのみ」というもの。
しかしながら「WIMPと通常の物質との相互作用の大きさについて新たな制限を得た」ということです。
そうして、近頃の物理屋さんたちの研究はこうした「新たな制限を得た」というものが多いように思うのは当方だけの感想でしょうか?
まあそれはさておき、結論詳細はarXiv:2303.14729でご報告です。
First Dark Matter Search with Nuclear Recoils from the XENONnT Experiment
『XENONnT実験による核反跳からの暗黒物質の初めての探索』
『本稿では、質量が5.9トンの感度のある液体キセノンを用いた二相性時空投影チャンバーに基づくXENONnT実験を用いて、弱く相互作用する巨大粒子(WIMP)としての暗黒物質からの核反跳を初めて探索した結果を報告します。
この探索に使用された約1.1トン年の露出中、液体標的内部の85Krおよび222Rn濃度を前例のない低レベルまで減少させ、関心領域における電子反跳バックグラウンド率は(15.8±1.3)イベント/(t・y・keV)となりました。
3.3 keVから60.5 keVのエネルギー範囲での核反跳イベントの盲検解析では、有意な過剰を検出できませんでした。
これにより、WIMPの質量が28 GeV/c2の場合、スピン非依存WIMP-核反応断面積の90%信頼区間での下限値は2.58×10−47 cm2となります。
スピン依存相互作用に対する制限も提供されます。
ここで解析されたWIMP質量の全範囲に対して、制限値と感度はXENON1T実験での同じ露出量に比べて改善されています。』ちなみに和訳担当はチャットGPTでした。
このプロジェクト、最終的には20トン/年までのデータを集める模様です。
さて「皆さんの奮戦力投」を期待しておりますよ。