宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

ダークマター・28・DMと宇宙論・フリードマン方程式とそのグラフ

2019-06-06 07:33:28 | 日記
「ダークマターはプランクスケールのBHだ」という主張を横目でにらみながら、ダークマター(CDM)と宇宙論の関係を見ていきます。

まずは宇宙膨張について。

宇宙論では「物質分布は完全流体であると仮定する。」様です。
Wikiによれば「完全流体とは流体力学において、粘性が存在しない流体のことである。」とのこと。
さてここでなぜ「理想気体」と言わないのか、については「アインシュタイン方程式はエネルギー・運動量テンソルで書かれている」が答えになりそうです。
ざっくり言うと「気体では応力を持てない」が「液体なら応力が持てる」、そうしてここで注目すべき応力とは「マイナスの圧力の事」でもあります。
そうして「マイナスの圧力」とはアインシュタイン方程式によれば「斥力になる」のであり、「これがダークエネルギーを表す」と言うのが一般的な考え方の様です。

話が始めからぶっとんでいますが、宇宙論と言うのはこんな感じでいろいろな事が結びついているのです。

さて宇宙論ではアインシュタイン方程式ーー>フリードマン方程式という流れが定番です。
そうしてフリードマン方程式から膨張する宇宙が出てくる、そう言う事になっています。
ここでa(t)という量が出てきます。
「a(t) は、宇宙のスケール因子(膨張因子)と呼ばれる量で、時刻 t での宇宙の大きさを相対的に示す量である。」とWikiのフリードマン方程式のページには書いてあります。
ざっくりいうと「現時点でのお気に入りの銀河までの距離Loを基準とし、その銀河の動きで宇宙の膨張を測る」ということですか。

ですから現時点ではr/Lo=Lo/Lo=a(to)=a(0)=1となります。
ここでrは「お気に入りの銀河までの距離」となります。
従って時間 tをさかのぼってr=0.5*Loに「お気に入りの銀河」があった時は
a(t)=r/Lo=(0.5*Lo)/Lo=0.5
となります。
ちなみにこのa(t)を「スケール因子」と呼びます。(重要な事なので繰り返しました。)

さてこのa(t)をつかって宇宙の膨張の様子を示したグラフがあります。

宇宙の未来について(5)スケール因子の時間発展<--リンク(or http://archive.fo/Rmrex)

a(t)を求める式の形は以下のページを参照願います。

宇宙の未来について(6)スケール因子の時間発展をオイラー近似で解く<--リンク
式の導出については個別に勉強していただく事とし、今は結果のグラフのみに注目します。(注2)

(5)では一番左にある④の線(黄色)が、(6)では左から2番目の赤色の線が「同一の状況」を示しており、現状認められている「再加速あり」の宇宙の膨張曲線となります。
そしていずれのグラフも縦軸がa(t)の「スケール因子」となっています。
そうして横軸がリニアスケールでの宇宙の展開時間tでt=0が現時点、そこでのa(t)は上記説明のように1となっています。

同じグラフですが「Week3」の35ページにも載っています。<--リンク
少々色が見分けにくいのですが、緑色の線が現在の宇宙の状況、そうして青色の線が「ダークエネルギーがない場合(宇宙が再加速しない場合)の状況」となります。

これらのグラフから現在の宇宙の大きさを1とした時に、今から時間をまき戻した時の宇宙のサイズ、あるいは時間を進めた時の宇宙のサイズが分かるのであります。
そうしてまさに138億年前には「宇宙のサイズはゼロであった」と言う事も又分かります。

「いや、それはおかしい。目印の銀河は地球の位置にくるが、それより遠い銀河はまだ地球には届かないのでは?」という疑問がわいてきます。
そこで登場するのがハッブルパラメータH(t)になります。<--リンク
H(t)の現在の値Hoをハッブル定数といい73.4km/sec/Mpcです。
これは3.26光年の100万倍の距離が離れる毎に、秒速で73.4km早くなる、と言う事になります。
式で表すと観測された銀河の後退速度をVとして、その銀河までの距離rで割ってHo=V/rとなります。
従って2倍の距離にある銀河は2倍の速度で遠ざかっている事になります。
というよりも、観測結果がそのようであって、Hoを決める事が出来た、と言う事になりますか。
それで、時間を反転させると、その銀河は2倍の速さで地球に近づくことになり、見事に地球に届いてしまう、と言う事になるのでした。

これはまた上記で導入したLoとa(t)を使っても同じ様に表せます。
目印の銀河の2倍の距離にある銀河までの距離rは
r=2*Lo*a(t)
であらわされ、t=0ではr=2*Loですが
t=-138億年ではa(-138億年)=0である事より
r=2*Lo*a(t)=2*Lo*a(-138億年)=0
となります。
以上が「フリードマン方程式がおしえる、我々の宇宙の大きさの歴史」と言う事になります。


さて、しかしながら今現在我々は138億光年離れた所から届いてくる「宇宙背景放射」なるものを観測しています。
と言う事は「138億年前には宇宙のサイズは少なくとも138億光年の半径を持っていた」と言う事になります。
(実は少し違いますが、その件については後述します。)
そうしてそのサイズよりもはるかに大きなサイズに宇宙が、そうですね10^-35mのサイズから10^-34secの間に膨張した、というのが「宇宙のインフレーション理論」と言われているものになります。
これについては「Week2」の45ページにイラストがありますので参照してみて下さい。<--リンク
(宇宙背景放射についてもWeek2に説明が載っています。)

「宇宙のインフレーション」についてはWikiにもきれいなグラフィックスが載っています。<--リンク

ダークマターの話がなかなか出てきません。
それで「第3講: 宇宙は何からできているか?」の3ページ目に「このあたりでダークマターが登場した」と取れるイラストが載っています。<--リンク
このイラストによれば「時間は10^-10sec、温度が10^15Kあたり、クォーク~グルーオンプラズマ時代にはダークマターも生まれていた」と、そのように主張している様です。

そうしてまた「原始ブラックホール」も生まれていた、とするならばそのあたりである、という事になります。
『原始ブラックホールは、いわゆる放射線が支配する時代に、非常に初期の宇宙(ビッグバンから1秒以内)で形成された可能性があります。』

Primordial black hole(原始ブラックホール)<--リンク


注1:フリードマン方程式
この方程式は「一様で等方な時空であるFLRW計量を仮定する」という前提があります。<--リンク
さて、銀河の分布ですが、実際の測定ではこうなっています。
銀河の分布<--リンク

このような「明らかに網の目状の構造を持つ宇宙」に対して「一様で等方な時空である」というような前提がどこまで有効であるのか、疑問が残ります。
そうしてその事が上記「天文学辞典のハッブル定数のページ」で問題になっている様な「ハッブル定数の不一致」というような状況と関係がある様にも思えます。<--リンク

あるいは以下の様な主張を生む事につながります。

・ダークエネルギーがなくても宇宙の加速膨張は説明可能<--リンク(or http://archive.fo/yPX3O)

(注2)
「オイラー近似で解かれる元の式」については「宇宙の未来について(1)」にてご確認願います。<--リンク
さらに「その式の導出は」と問われれば「宇宙定数」の8P、(2、3、8)式を参照してください、と言う事になります。<--リンク


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/WyXiQ
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