宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・27・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?(5)

2019-06-02 03:02:46 | 日記
「ホーキングさんが考えたこと・25・26」と考察してきましたが、このシナリオの方向性で検討を続ける事は可能です。
そうして、実際に「26」の終わりに「追伸」として以下の文章をアップしました。(但し、今は削除されています。)

『追伸
検討は継続していますが、問題は「今、目の前にあるマイクロBHはいったいどれほどの運動量を持っているのか?」という質問にどうやって答えるのか、と言う事の様です。

そうして、この問題はそれなりに手ごわいので、別テーマ「BH(ブラックホール)が持つ運動量」というページで下準備をする必要があります。
そう言う訳でいったん「BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」というテーマから離れる事になりますので、ご了承の程をお願い致します。』

このシナリオの行先を見とおしますと、BHは自分の質量をホーキング放射に変える為に辛抱強く、なかなか訪れないチャンスをじーっと待ちながら、ただ自分の質量をゼロに近づけていく、そういうお話になります。
それがどれほどの長い時間であっても、たとえばこの宇宙の年齢と同じくらいの長さであってもBHはそうやって、決して到達できないゼロ点を目指すのでした。

さて、このシナリオは面白くありません。
「面白くない」というのが「物理的な表現ではない」といわれるならば、「きれいではない」といいかえましょうか。(まだちがいますか?)
当方の自然観、宇宙観というものは「自然は匠である」というコトバによく表されております。
そうでありますから、「到達できないゼロ点に向かってあまり意味のない、ほとんどゼロエネルギーのホーキング放射を無限に繰り返す事」を「自然が選択する」とはとても思えないのであります。
それではいったい何の為に宇宙はPBH:原始BHを作り出したのでしょうか?
(とはいえ、まだPBHが観測された、という証拠は上がってきてはいません。
すばるが「とらえたかも」という例が1件ほどはありましたが、、、。)

さてそうなりますと前回の記事の注で書いた事、「今の物理を拡張してマイナスエネルギーを導入できる様にホーキング放射の条件を広げる」というストーリーが魅力的に見えてきます。
それができれば今から思えば本当に楽観的な読み、それはまるで「知らぬが仏」とでもいうような状況ですが、「ホーキングさんが考えたこと・9・ダークエネルギー優位に至るまでの宇宙展開の歴史」で述べている様に「ダークエネルギー問題を一挙に解決だ」などという「大それた思いつきのシナリオ」に突き進む事になります。<--リンク
そうしてそれが「どれほど大それた事であるのか」をいやと言うほどに思い知る事になるのでありました。


さてそう言う訳で、まずは現状の宇宙論、それはもうがちがちの精密宇宙論なのでありますが、それを前提として、「ダークマターはプランクスケールのBHである」という主張を確かなものにする事から始めるのがよさそうであります。
つまり「ダークエネルギーの件は当面棚上げ」というスタンスですね。
しかしながらこの件につきましては「けっしてあきらめたわけではない」と言う事を申し添えさせていただきます。

さてその「精密宇宙論」、古き良き天文学は一体どこへいったのだ、とため息が出そうなしろものであります。
天体望遠鏡をのぞいて、土星の輪っかを肉眼で確認して「ホントに輪っかがある」と言った、あの感動はどこにいってしまうのでしょうか?

まあそんな事は置いておいて、現状の宇宙論というしろものの入門にはちょうど良い資料がありましたので、一応ご紹介しておきます。
Gaccoシリーズ「観測的宇宙論入門」宇宙はどこまでわかったか。
東京大学名誉教授 岡村定矩。
Week1~4。
↓リンク
Week 1 現在の宇宙の姿
Week 2 ビッグバン宇宙論
Week 3 ダークマターとダークエネルギー
Week 4 太陽系外惑星と元素の起源

この中でWeek2と3がポイントになってきます。
Week1はその話のベースになるものですね。
Week4は、まあおまけ、ということで。
岡村先生には感謝したいと思います。

そう言う訳で、話はぐるっと一回りしてまたダークマターに戻ってきました。
しかしながらただ戻ってきた訳ではありません。
現在の宇宙論のなかに「ダークマターはプランクレベルのBHだ」ということを矛盾なく組み込む、という明確な目標をかかげて戻ってきたのであります。


・この章「BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」についての一応の結論

1、「ホーキングさんが考えたこと・23、24」での議論により「BHはホーキング放射では消滅出来ない」と言う事になります。

2、「ホーキングさんが考えたこと・25」での議論ではBH質量が0.5*Mpをきったあたりからホーキング放射できるエネルギーに制約がかかり始める、という事がわかりました。
その結果BHは次第に少ないエネルギーでの放射をするようになり、そうして放射の頻度もそれに従ってだんだん少なくなってきます。
そうやってBHは自分の質量をゼロにする為に無限に続く放射を行う、という結果になります。
無限の時間をかけて無限回の放射をした後は、そのBHの質量は「実質上ゼロになる」と思われます。
但しこのストーリーは「どんなにBHのホライズン径が小さくなっても、そこにニュートリノが飛び込める」と言う「ありそうもない事」が前提条件となります。

以上のような状況と言うものは「原始BHの存在理由と言うものが見当たらない」ということでもありますから、やはり「BHのホライズン径がLpを下回った所で通常のプロセスのホーキング放射は止まり、BHは準安定の状態になる。」という想定が必要になってきます。
その前提があればこそ、この原始BHはダークマターとしての働きを担う事ができるのであります。

3、「ホーキングさんが考えたこと・26」での議論は、「25」でのプロセスの途中でマイナスエネルギー側にBHはジャンプするはずだ、という予想の下にはじまりました。
しかしながら、エネルギー保存則に運動量保存則を新たに加えたおかげで、「できると思っていたマイナスエネルギーへのジャンプが禁止されている」という結論になってしまいました。
この結論を回避する為には従来の物理の考え方の拡張が必要になってきます。
そうして、それを自然が許しているのであれば、BHはマイナスエネルギー側にジャンプする事が可能になります。
しかしながらその議論につきましては、当面はペンディングと言う事にしたいと思います。

以上が「BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」の章の結論となります。

PS
上記内容のお話は「ダークマターと宇宙論」という事で、ページを改めて続く事になります。
そうしてまずは
・フリードマン方程式とそのグラフ
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=2664#post_id17208
から宇宙論の話が始まります。

さてそれで、ここまでの議論から想定されます事は、「ダークマターとしてのプランクスケールのブラックホールは宇宙の始まりに大量に作られたであろう」という事であります。

そうして、それらのブラックホールは誕生当初からすでにプランクスケールであって、一回~数回、ホーキング放射をしたか、あるいは誕生して今までホーキング放射を一度もしていない、その様な存在であろうと思われます。

その様なものがCDM(コールドダークマター)として宇宙の進化に貢献してきたのであろう、というのが当方の主張する所となります。

http://archive.fo/m1HUy

追記
その後の検討によりますと、
『プランクスケールの原始ブラックホールであって、誕生して今までホーキング放射を一度もしていないものが、CDM(コールドダークマター)の候補としてベストであろう』
という事になります。
http://archive.fo/wrGYM


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/rrFEW
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