
2025年3月26日、執筆構成・資料提供でお手伝いした昭文社『福岡市のトリセツ』が発売されました!この本は編集部発行なので、私を含む執筆者は巻末奥付に小さく名前が出ているのみですが、実はそれぞれ福岡で大活躍の執筆陣だったりします。
発売日に新天町の福岡金文堂に立ち寄ると、店頭で大きくコーナー作っていただいてました♪
今回、編集プロダクションからのご相談を受けて、短い期間で40本超の原稿を用意することになり、私から「フクリパ」等でビジネス系の記事を中心に書いている近藤益弘さんにご協力いただきました。
掲載するテーマは当然ながら、過去に出版された同種書籍に掲載されていないものが良い、しかも地図に表現できるネタが最優先。編集部が希望するテーマに加えて、こちらが提示した候補からもたくさん選んでいただき、執筆担当を近藤さんと分けました。(正確に言えば、近藤さんが書けるネタは近藤さんにお願いし、私は残ったネタをしっかり書くという展開。)
また、音楽ネタを入れてほしくて提示し、執筆は福岡音楽都市協会所属の冨田息吹くんにお願いしました。DJ・タレントの椎葉ゆうさんの紹介で、彼の卒業論文を資料・情報提供でサポートしたことがご縁となり、今回執筆をお願いしました。
今回の書籍は、説明されなければ、どの記事を誰が執筆したのかは本を読んだだけでは分かりません。
私は一応、近現代史が専門でブラタモリ案内人や、マツコさんに絵地図プレゼンした専門家?な立場ですので(笑)それなりに記事にはプライドもあります。どの記事を担当したのかこそっと以下に記しますが、記載していないテーマの原稿には関わっていません。本ブログを読んでいただいている方であれば判る、お馴染みの地図ネタも続々と登場します。
ちなみに、西鉄さん関係の記事はほとんど近藤さんが書いて、西鉄OBでブラタモリ案内人も務められた吉富実さんが監修役です。ですので、校正チェックもお任せして写真提供など以外はタッチしていません。以下は吉富さんと私が案内人出演した「ブラタモリ」#18福岡と鉄道編で使われた(KADOKAWAの単行本掲載)1910年の地図絵葉書です。
益田が執筆を担当した記事
第1章 地図で読み解く福岡市の大地
・博多湾か、福岡湾か?定義や表記が異なる不思議
・志賀島から宝島、鵜来島まで、福岡市の島々を徹底解剖
・水害から都心を守る御笠川の巨大暗渠
・福岡市発展の最大ポイントは南公園一帯の丘陵地?!
・地形図から確認できる!3つの神社の配置の秘密
・大濠公園の島と橋はいつできた?中国の西湖がモデル?
・福岡県唯一の基準水準点がある山王公園と日本最初の都市遺構
第2章 福岡市を駆ける充実の鉄道網
・博多駅エリアは湿地帯だった? 博多口と筑紫口の名前の由来
・埋立てと博覧会で発展した重要港湾博多港の歴史
・かつて海の上を走っていたJR鹿児島本線と埋立ての歴史
・アスファルトの下にレール? 西鉄福岡市内線の痕跡
・天神明治通りは「摩天楼」?日本初の高層ビル街誕生の経緯
・光の道が現れる筥崎宮の参道を蒸気機関車が横切っていた?
第3章 福岡市で動いた歴史の瞬間
・立花山城と名島城からみる戦国時代の福岡と名将たち
・速度の出る巨大な廻船を所有する筑前五ヶ浦廻船はなぜ衰退した?
・『解体新書』より古い解剖書も!日本最古のメディカルタウン
・討幕を目指した勤皇の志士平野國臣はどんな人物?
・戦時中に商業会議所がぶち上げた大福岡市構想がスゴい!
・かつて基地のまちだった? 市内に点在する米軍の痕跡
第4章 福岡市で生まれた産業や文化
・天神地区を見い出した電力の鬼・松永安左エ門
・回転展望レストランが大人気!?5年で消えた博多パラダイス
・城南区にある日本一企業「カクマル」の測量用材とは?
・1950年代最強の野武士軍団西鉄ライオンズの栄光
+コラム
「博多から全国へ、鎮魂と希望の光」博多灯明ウオッチング
「博多めんたいロックの系譜」1983年の音楽マップ
博多港の歴史では、福岡市港湾空港局さんにサポートいただきました。昨秋の「博多ポートタワー60周年」イベントをお手伝いしたご縁です。
余談ですが、TBS「マツコの知らない世界」では6000点の絵地図収集家とだけ紹介されました。実際はその多くが学生時代・築上印刷時代・ゼンリン子会社時代に必要に駆られて集めたものです。即ち、デザインの勉強のための収集、仕事で観光パンフや観光マップ・ガイドブック等の構成・アートディレクションを担当することが多かったための、仕事の資料として集めてプランニングに生かしていたもの。今回の記事でも、それら資料が活躍しています。
勤皇の志士・平野國臣については、崇敬会や平野神社氏子の方々と交流があり、FBSめんたいワイド「ひと駅ノスタルジー」で2023年春に取り上げたこともあっての記事。平野神社の日々の清掃も行なっている崇敬会の安松さんや、平野神社を護る鳥飼八幡宮の宮司さんにも記事をチェックしていただきました。
また、地図に絡めて日本一の測量用材企業「カクマル」さんと本社一階にあるサーベイミュージアムも記事で紹介されていただきました。これも2023年夏に「ひと駅ノスタルジー」で取材して、ほとんど無名ということで今回記事に書きました。実は、福岡市には「日本初の立体地図(立体地理模型)」を作った偉人や、国内に3社しかないという「立体地図」製造会社もあるんですが、これは私個人的には「ブラタモリ」が2025年春に復活して、もし福岡編が再びあるなら取っておきたかったので、今回は提示していません。
『福岡市のトリセツ』は紙面が限られている(見開き2ページで1項目)ため、当然ながら記事も情報・図版も全てを盛り込んでいるわけではありません。むしろダイジェスト的な紹介になっているものが大半です。しかし、原稿執筆にあたっては上のように約30年間で蓄積・制作してきた地図解説もたくさん活用しました。
上の図は筥崎宮の参道沿いに、かつて存在したレジャー施設と変遷です。これは2017年のNHK福岡「はっけんTV」福岡再発見コーナーを担当していた時に、説明用に制作したものです。
コラムでは、福岡発祥のトリビアということで、もっと知ってほしい一番手である「博多灯明ウオッチング」の歴史と紙袋灯明システムの開発と全国展開について「博多から全国へ、鎮魂と希望の光」と題して書かせていただきました。本文で紹介できるのであれば、日本地図に「灯明システム」を活用した全国のイベント実績を記してみたかったのですが、そこはそれ。
私は2007年から2019年まで、博多総鎮守・櫛田神社の「博多カレンダー委員」として、博多の年中行事の記録写真撮影をボランティアで担ってきたので、やはり博多のことは一つでも紹介したくなります。
福岡市の歴史や文化にご興味ある方は、ぜひ『福岡市のトリセツ』をご覧ください。
機会があれば、執筆トリビアのトークショーなどもやってみたいなと思っています。