小さな日記

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想定内 想定外

2011年03月20日 | Weblog
20年近く前に政府広報のビデオ作成に出演するアルバイトをした話。製薬会社勤務の夫を持つ友人から代役でバイトに行って欲しいと頼まれた。夫の会社から来たバイトだそう。なんの用意もいらなくて、主婦として参加すればいいと。それで、ノコノコ都心のスタジオに出かけた。

30人ほど年齢様々な主婦が集まりひな壇のように並んだパイプ椅子に座った。司会は仲代達也さんの妹さん(宮崎?さん?)
司会者がこう言った。「わたくしたち女性は、原子力とか放射能というと、すぐにこわいと思ってしまって、拒否反応が出てしまいますね。きょうは、本当にこわいのかどうか、まずは知ることから始めましょう。専門家のお話を聞いて、知りもせずにいやだいやだと思っている放射能や原子力のことをみんながわかるようにしたいという企画でございます」

そして、50代後半だろうか、スーツを着てもいかにも主婦という感じのヘアメイクをした何処かの大学教授の「原子力発電の安全性」という講義を聞いた。にこやかに語る「先生」は、原子力発電所には4重の安全装置が作動しており、台所のコンロより安全だと言った。使用済み核燃料は深く地中に丈夫なドラム缶のようなものに入れて保管されており、その間に時間をかけて毒性が減っていくのだと言った。リスクは必ずあって、マネジメントさえ怠らなければ、リスクはおかしていいのだと言っていたと思う。

次に質問コーナーがあり、鋭い質問もあったが、「先生」は上手にいかに慎重に原発を作っているかを説明することで交わしていった。ひとつ覚えているのは、使用済み核燃料はずっと埋めていても消滅はしないのだから、いつか容器がこわれたりして放射能が土壌に出てくるかもしれないのに、将来も見極めて安全と言うのか?という質問。それに「先生」は大きく笑ってこう答えた。「みなさん、そのころには、科学はもっと進歩していて、対処策がちゃんとできますよ。科学の力を信じてください!科学は日々ものすごい勢いで進歩しているのですよ!!!」

そして最後に司会者が主婦の間を廻り、「どうですか?みなさん、今まで見たくない、知りたくない、の原子力や放射能が、生活に役立つ安全な電気になること、ご理解いただきましたでしょうか?」と聞いていった。
バイトの使命というように「ええ、科学者のみなさんの努力でちゃんと安全に操作されていることがわかって、今まで怖れていたのがバカみたいだと思いました。近所のひとにも教えてあげます」と答えるひともいた。わたしは、難しい顔をして「ちっとも納得がいきません」と答えたのだが、広報ビデオに採用されたかどうか。

たった1時間ほどの録画で、わたしは確か3万円もらって帰った。あのビデオは作られたのかどうかは知らないが、作るのに200万円くらいはかけていたのは間違いない。「想定内」ではあったが、政府広報(内閣府だったかも?)の主婦に対する上から目線に呆れた。

それにしても、科学者と名のつくひとが、科学の進展を信じて「想定内」の事故に耐える装置を作れば、問題ないと言っていたのは明らかだ。「想定外」が起きるころには、科学がもっと進歩していると本当に思っていたのだろうか。いや、どうしても作りたいから、そんなこと言っていたのだろうと思う。

あの講義が20年前なのだから、今回の原発事故は、全く「想定内」だ。人災だ。

ヘアードライヤーが壊れたらなんとか分解して直したり出来そうだけれど、コンピューターが壊れたらわたしには全く無理。薪ストーブが炎上するのと原発が炎上するのの違いみたいだ。原発は今の人類には見切り発車だと思う。言うなれば、ローンで安全を買うようなもの。キャッシュ払いできるようになってから買うべきものだ。リスクが数世代にも及ぶものに手出ししてはいけないのだ。

今回、みんな、真剣に節電している。ずっとこのまま続けよう。そして、電気量需要を減らせば、原発を止めることができる。自動ドア、自動販売機、ネオン、ライトアップ、ビル内の照明、、わたしは多すぎると思うなぁ。それに、部屋の大きさに比してテレビ大きすぎるってない?4つ口の電化コンロって必要?
全国の電力の30%を原発が担っているそうだ。需要を10%減らして、20%を再生可能エネルギーに変えていく。子どもが減って人口が減っていくのだからきっとできる。

そして、わたしたちは、全く想定外の素敵な世界を作ろう! 広島は原爆を落とされた時、7年間は草木も芽吹かないだろうと言われたね。広島の今の美しい姿は世界中の「想定外」なんだ。
被災地よ、わたしは想像するよ、あのがれきの山が消えうせ、チューリップが咲き誇り、子どもたちの笑い声と足音に振り向けば、おじいさんとおばあさんがニコニコお茶を飲んでいるのが。でも、わたしの想像以上だよ、「想定外」なんだから。原発に頼らない、快適で心を感じる街が出来て、みんながびっくりするんだ。
被災地のみなさんの助け合いと譲り合いとつつましさの心が作る街。どれだけ素晴らしいことだろう!わたしたち外部のものは、そっとそっと、邪魔しないように支えていきたい。

一日一日、数珠球を繋ぐように。


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