１．『馬淵睦夫が読み解く２０２４年世界の真実』 馬淵睦夫
元ウクライナ大使の馬淵氏の本。馬淵氏のUチューブ動画は以前からよく見ていて、本も何冊か読んだ。現代の世界情勢を的確に偏りなく見ることのできる日本では数少ない言論人。深い知識と知性に裏打ちされたその言動は信頼できる。この本はわかりやすい言葉で語りかけるように書かれており、新書版なのでさほど長くもなく読みやすく。これ一冊で世界と日本の現状の概略がつかめる。
◎◎◎◎◎
２．『ローマ人の物語１７ 悪名高き皇帝たち（一）』 塩野七生
アウグストゥスに続いた皇帝ティベリウス。皇帝といってもローマの場合は今で言うと大統領に近い存在のようだ。
悪名高き皇帝たちの一人と言われたティベリウスを再評価している。
カエサルが青写真を引きアウグストゥスが構築したローマ帝国は、このティベリウスの統治を経て盤石にという著者。国境や内政問題を解決し、ローマ帝国を確かなものにした。
カエサルのようなユーモアもなく、アウグストゥスのような偽善もなく、生真面目に責務を全うするが不人気。暴君という意味での悪名高いわけではないようだ。
元老院で「属州への任地に総督の妻の同伴を禁ずる」という議題が出され、それについていろいろ出された意見が面白いというか、興味深く読んだが、一方こんなことが議題に上がる元老院にティベリウスは失望、疲労感を感じていた。
◎◎◎〇
３．『ローマ人の物語１８ 悪名高き皇帝たち（二）』 塩野七生
ティベリウスにより盤石となったローマを引き継いだのはカリグラ。すべての人に歓迎された若き皇帝は、神になることまで望んで愚政の限りを尽くす。一神教のユダヤ人との衝突などもあり、最後は近衛軍団の大隊長３人によって暗殺された。３人は抵抗もせず死に服した。カリグラの死に対する市民の反応は冷淡そのもので皇帝廟にも埋葬されず、埋葬の場はどこであるかわかっていない。各地に建てられていたカリグラの像は悪夢でもあったかのように破壊された。『悪名高き皇帝』の名にふさわしいといえる。
◎◎◎〇
４．『ローマ人の物語１９ 悪名高き皇帝たち（三）』 塩野七生
カリゲラの死により、体に障害を持つが歴史の研究に没頭していたクラウディウスが皇帝に。カリグラによって崩壊した財政と外交を着実に解決していったが、最大の弱点はアグリッピーナという悪妻を持ったこと。男に器量がないとその悪妻ぶりはますます増幅。自分の息子ネロを皇帝にするため、最後は毒キノコを食べさせて夫を毒殺したといわれている。民衆からの人気はなかったが、自分の職責は責任をもって黙々と遂行したクラウディウスに対し、塩野氏には半ば同情の念が感じられ名誉挽回を試みている。特に人間的な部分が起こす様々なことが描かれていて、人間臭い刊となっている。
◎◎◎◎
５．『ローマ人の物語２０ 悪名高き皇帝たち（四）』 塩野七生
皇帝クラウディウスの死後１６歳の養子ネロが皇帝となり、ローマ史上最も悪名高い皇帝が誕生する。若く利発なネロを庶民や元老院は歓迎し、ローマ再建策は急速に進んだが、その後失政を重ね自滅の道を歩み、自死。暴君といえばネロとなるが、前半ではローマの再建に尽力し、いいことも多くやっていて、皇帝であるにも関わらず、人前で歌うことを好み、芸術が好きな皇帝であり、残虐というより、恐怖心にかられて次次人を殺していったという心の弱さが垣間見れる。
◎◎◎◎
６．『ローマ人の物語２１ 危機と克服（上）』 塩野七生
ネロが自死した後ガルバ、オト―、ヴィテリウスという３人の皇帝が表れたが、各人の性格に由来した統治力のなさから短期間で破滅。半年後ガルバが殺され、その３か月後オト―の自死と続く。軍団通しが争う内乱状態に入り、帝政始まって以来の危機的状況に陥る。
「予定どおりに進行する事態への対処ならば、特に優れた能力は必要としない。真の才能が問われるのは、予期しなかった事態への対処である」という歴史家タキトゥスの言葉が胸に刺さってくる。
◎◎◎◎
#モンテディオ山形
元ウクライナ大使の馬淵氏の本。馬淵氏のUチューブ動画は以前からよく見ていて、本も何冊か読んだ。現代の世界情勢を的確に偏りなく見ることのできる日本では数少ない言論人。深い知識と知性に裏打ちされたその言動は信頼できる。この本はわかりやすい言葉で語りかけるように書かれており、新書版なのでさほど長くもなく読みやすく。これ一冊で世界と日本の現状の概略がつかめる。
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２．『ローマ人の物語１７ 悪名高き皇帝たち（一）』 塩野七生
アウグストゥスに続いた皇帝ティベリウス。皇帝といってもローマの場合は今で言うと大統領に近い存在のようだ。
悪名高き皇帝たちの一人と言われたティベリウスを再評価している。
カエサルが青写真を引きアウグストゥスが構築したローマ帝国は、このティベリウスの統治を経て盤石にという著者。国境や内政問題を解決し、ローマ帝国を確かなものにした。
カエサルのようなユーモアもなく、アウグストゥスのような偽善もなく、生真面目に責務を全うするが不人気。暴君という意味での悪名高いわけではないようだ。
元老院で「属州への任地に総督の妻の同伴を禁ずる」という議題が出され、それについていろいろ出された意見が面白いというか、興味深く読んだが、一方こんなことが議題に上がる元老院にティベリウスは失望、疲労感を感じていた。
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３．『ローマ人の物語１８ 悪名高き皇帝たち（二）』 塩野七生
ティベリウスにより盤石となったローマを引き継いだのはカリグラ。すべての人に歓迎された若き皇帝は、神になることまで望んで愚政の限りを尽くす。一神教のユダヤ人との衝突などもあり、最後は近衛軍団の大隊長３人によって暗殺された。３人は抵抗もせず死に服した。カリグラの死に対する市民の反応は冷淡そのもので皇帝廟にも埋葬されず、埋葬の場はどこであるかわかっていない。各地に建てられていたカリグラの像は悪夢でもあったかのように破壊された。『悪名高き皇帝』の名にふさわしいといえる。
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４．『ローマ人の物語１９ 悪名高き皇帝たち（三）』 塩野七生
カリゲラの死により、体に障害を持つが歴史の研究に没頭していたクラウディウスが皇帝に。カリグラによって崩壊した財政と外交を着実に解決していったが、最大の弱点はアグリッピーナという悪妻を持ったこと。男に器量がないとその悪妻ぶりはますます増幅。自分の息子ネロを皇帝にするため、最後は毒キノコを食べさせて夫を毒殺したといわれている。民衆からの人気はなかったが、自分の職責は責任をもって黙々と遂行したクラウディウスに対し、塩野氏には半ば同情の念が感じられ名誉挽回を試みている。特に人間的な部分が起こす様々なことが描かれていて、人間臭い刊となっている。
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５．『ローマ人の物語２０ 悪名高き皇帝たち（四）』 塩野七生
皇帝クラウディウスの死後１６歳の養子ネロが皇帝となり、ローマ史上最も悪名高い皇帝が誕生する。若く利発なネロを庶民や元老院は歓迎し、ローマ再建策は急速に進んだが、その後失政を重ね自滅の道を歩み、自死。暴君といえばネロとなるが、前半ではローマの再建に尽力し、いいことも多くやっていて、皇帝であるにも関わらず、人前で歌うことを好み、芸術が好きな皇帝であり、残虐というより、恐怖心にかられて次次人を殺していったという心の弱さが垣間見れる。
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６．『ローマ人の物語２１ 危機と克服（上）』 塩野七生
ネロが自死した後ガルバ、オト―、ヴィテリウスという３人の皇帝が表れたが、各人の性格に由来した統治力のなさから短期間で破滅。半年後ガルバが殺され、その３か月後オト―の自死と続く。軍団通しが争う内乱状態に入り、帝政始まって以来の危機的状況に陥る。
「予定どおりに進行する事態への対処ならば、特に優れた能力は必要としない。真の才能が問われるのは、予期しなかった事態への対処である」という歴史家タキトゥスの言葉が胸に刺さってくる。
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