雨季も明け、バンコクはここのところ朝晩の気温も下がってきて過ごしやすくなってきた。
今回はタイの「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を作るが、うちの店でも「自家製さつま揚げ」という商品をメニューに載せている。
以前はタイで水揚げされる「鯛」や「スズキ」を使って、すり身にするところから手造りしていたのだが、刺身で食べられるような鮮度の魚を使ってはどうしてもコストが合わないので、今はタイで生産され日本向けに輸出されている「イトヨリ」という魚のすり身(無リンすり身)を仕入れて、それを原料に具材(ごぼうやニンジン)を加えて手造りしている。
今回、タイの「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を作ってみることにしたのは、あのプリプリ感をどうやって出すのか知りたかったからだ。
日本のスーパー等で安売りされている「さつま揚げ」のほとんどは「重合リン酸塩」という体に危険な添加物を加えて、あの食感(プリプリ感)を出していて、また、大量のグルソー(化学調味料)で味付けされている。
自分の古くからの友人で「塩釜」でさつま揚げを作っている会社の常務のブログに「さつま揚げ」についていろいろ書いてあるので参照してもらいたいが、彼の工場では今でも「リン酸塩」も「グルソー」も使用しない本物のさつま揚げを作っている。
http://ameblo.jp/marubun-s/theme-10036340006.html
ではなぜ、「リン酸塩」という食感(プリプリ感)を向上させる添加物が良くないのかだが、この添加物の危険性はだいぶ前から知られていて、体内のカルシウムを溶かして体の外に出してしまうのだ。
その結果、「骨粗しょう症」になり、骨がスカスカになってしまうという恐ろしい添加物だ。
そんな添加物は使わなきゃいいと思う人が多いと思うのですり身の歴史について少し話をしたい思う。
まず、「すり身」というのは「塩」を加えることによって、魚肉に含まれるタンパク質が網目状に変化し、その網目状の構造の中に水を封じ込めた状態になり、それを加熱することによって、あの独特のプリプリした食感が生まれる。
もし「塩」を加えないで加熱した場合は中から水が出てしまうので、あの食感は生じない。
昔(昭和35年頃まで)は、どこでも前浜で獲れる小魚等を使い「すり身」にしてから塩を加えて、「さつま揚げ」や「蒲鉾」や「竹輪」などを作っていた。
また、作られる産地や場所で使われる魚も違い、特色のある物が多かった。
たとえば、大阪では(ハモ)、静岡では(イワシ)、小田原では(グチ)のすり身を使った商品が作られていた。
しかし、「生のすり身」というのは日持ちがとても悪く、2日程で傷んでしまう。
そんな時に突如現れたのが「冷凍すり身」という商品だ。
当時、北海道では「スケトウタラ」の水揚げがとても多かったものの、魚卵(たら子)を取ってしまった後の身の処分に困っていて、二束三文で売られたいた。
その「スケトウタラ」の有効利用として生まれたのが「冷凍すり身」で、すり身に塩と砂糖を加えることで、冷凍できるすり身が誕生した。(加塩すり身)
これは画期的な商品で、主に「魚肉ソーセージ」等の原料に使用され大ヒット商品になった。
しかし、塩と砂糖を加えたすり身はプリプリ感が少なく、「魚肉ソーセージ」には向いているものの、さつま揚げや蒲鉾等には弾力が不足していた。
そこで登場したのが塩の代わりに「リン酸塩」を加えた(無塩すり身)で、色が変色してしまう砂糖の代わりには、ソルビトール(果実などから作られる糖類)が使われ、また、トレハロース(多糖類)を加えたものもある。
「リン酸塩」には保存料としての効果は期待できないが、あのプリプリした食感を出すにはもってこいの添加物で保水作用は絶大だ。そして、僅か0.2%~0.5%加えるだけでいいのでコストを安く抑えることもできる。
よく、スーパー等でパックに入れられている海老で、最初からプリプリした食感の物があるが、あの海老も「リン酸塩」が使われ水をたくさん含まされている。
さて、また話が長くなってしまったが、今回はタイの「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を作るが、「リン酸塩」など使わなくても、誰にでも簡単に作れて、こんなにプリプリした食感で美味しい料理がタイにあるので、ぜひ、皆さんにも作ってみてもらいと思う。
◆「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)の作り方。
<海老の下処理>
①海老(殻付き)1㎏を用意しボウルに入れる。

②海老の殻を剥く。

③片栗粉大さじ3を加える。

④水を1カップ(200ml)程加えて、揉み込むようにして海老の汚れを取り除く。

⑤たっぷりの水を加えて汚れを洗い流す。

⑥ザルに上げる。

⑦よく水気を取る。(汚れが取れてない場合には②~⑤の作業を繰り返す)

⑧乾いたタオルを用意し、水気を切った海老を並べていく。

⑨海老を横一列になるように並べる。

⑧タオルを端から丸めていき、海老を巻き込む。

⑩更にに渦巻きのように丸めていく。

⑪きっちり巻いたら、海老の水分を十分にタオルに染み込ませる。

⑫タオルを開いて海老の水分が十分に取れているか確認する。

⑬ボウルに移す。(汚れが完全に取れ、水分もタオルで十分に拭き取られている)

⑭フードプロセッサーを用意して海老を入れる。

⑮約30秒程フードプロセッサーに掛ける。

⑯少しづつフードプロセッサーを回し、何度か確認しながら少し粒が残る程度にする。

⑰海老をフードプロセッサーからボウルに移し、1時間程度冷蔵庫に入れておく。
<豚の背脂の下処理>
①1㎏の海老から400gの海老すりみが出来たので150gの背脂を用意する。
(豚の背脂は海老に対して30~35%程を加える)

②豚の背脂を5㎜位の厚さにスライスする。

③まずは縦に細く切る。

④次に横にして粗みじんに切る。

⑤更に包丁でたたいてペースト状にする。

<調味料を用意する>
下がすり身に加える調味料の写真。

写真手前から「塩」小さじ1。写真中央の左から、「砂糖」小さじ1、「味の素」小さじ1、「卵黄」1個分。写真後ろの左から「片栗粉」大さじ2、「白コショー」小さじ1、ごま油小さじ1弱。
<本調理>
①ボウルに「海老すりみ」と「豚の背脂のペースト」を入れる。

②砂糖、味の素、塩を各小さじ1ずつ加える。
(どれも白く、同じような写真になるので写真は一枚とした。)

③白コショーを小さじ1加える。

④片栗粉を大さじ2加える。

⑤ゴマ油を小さじ1弱加える。

⑥卵黄1個分を加える。

⑦よく混ぜ合わせる。
この時に全体を手で丸め、ボウルに叩きつけるようにして粘りを出す。(5~6回)

⑧出来上がったすり身をピンポン位の大きさにして、パン粉の上に並べる。

⑨パン粉を全体にまぶすように付ける。

⑩真ん中にくぼみを開けドーナッツ状にする(真ん中の部分にもまんべんなくパン粉を付ける。)

⑪170℃に熱した油でゆっくり揚げる。(少し低めの温度の方がプリプリとした食感になる。)

⑫皿に盛って出来上がり。

さて、この「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)だが、スイートチリソースを添えても美味しいが、この料理には「ブアイドンワン」という梅のソースの方が合うと思う。

「ブアイ」とはタイ語で「梅」という意味で、梅と聞くと酸っぱいような感じを受けるが、とっても甘いソースで、日本の「梅酒」をイメージすると分かりやすいと思う。
さて、この「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を美味しく作るポイントはよく練って粘りを出し、プリプリとした食感にすることだ。
タイ語でトート・マン・クンは、トート(揚げる)、マン(練る)、クン(海老)という意味だが、練りが足りないとボソボソとした食感になってしまう。
もし、まだ粘りが足りないかな?と思ったら、揚げる前に少量を電子レンジで加熱して食べてみるといいだろう。
また、今回は「味の素」を少量使ったが、味の素を入れなくても十分に美味しく食べられる。
「リン酸塩」等を使わなくても、プリプリ感のある「美味しいすり身の料理」が作れるのだと改めて感じる一品だと思う。
さて、次回はもっと簡単に手軽に作れるタイ料理を紹介しよう。。。
今回はタイの「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を作るが、うちの店でも「自家製さつま揚げ」という商品をメニューに載せている。
以前はタイで水揚げされる「鯛」や「スズキ」を使って、すり身にするところから手造りしていたのだが、刺身で食べられるような鮮度の魚を使ってはどうしてもコストが合わないので、今はタイで生産され日本向けに輸出されている「イトヨリ」という魚のすり身(無リンすり身)を仕入れて、それを原料に具材(ごぼうやニンジン)を加えて手造りしている。
今回、タイの「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を作ってみることにしたのは、あのプリプリ感をどうやって出すのか知りたかったからだ。
日本のスーパー等で安売りされている「さつま揚げ」のほとんどは「重合リン酸塩」という体に危険な添加物を加えて、あの食感(プリプリ感)を出していて、また、大量のグルソー(化学調味料)で味付けされている。
自分の古くからの友人で「塩釜」でさつま揚げを作っている会社の常務のブログに「さつま揚げ」についていろいろ書いてあるので参照してもらいたいが、彼の工場では今でも「リン酸塩」も「グルソー」も使用しない本物のさつま揚げを作っている。
http://ameblo.jp/marubun-s/theme-10036340006.html
ではなぜ、「リン酸塩」という食感(プリプリ感)を向上させる添加物が良くないのかだが、この添加物の危険性はだいぶ前から知られていて、体内のカルシウムを溶かして体の外に出してしまうのだ。
その結果、「骨粗しょう症」になり、骨がスカスカになってしまうという恐ろしい添加物だ。
そんな添加物は使わなきゃいいと思う人が多いと思うのですり身の歴史について少し話をしたい思う。
まず、「すり身」というのは「塩」を加えることによって、魚肉に含まれるタンパク質が網目状に変化し、その網目状の構造の中に水を封じ込めた状態になり、それを加熱することによって、あの独特のプリプリした食感が生まれる。
もし「塩」を加えないで加熱した場合は中から水が出てしまうので、あの食感は生じない。
昔(昭和35年頃まで)は、どこでも前浜で獲れる小魚等を使い「すり身」にしてから塩を加えて、「さつま揚げ」や「蒲鉾」や「竹輪」などを作っていた。
また、作られる産地や場所で使われる魚も違い、特色のある物が多かった。
たとえば、大阪では(ハモ)、静岡では(イワシ)、小田原では(グチ)のすり身を使った商品が作られていた。
しかし、「生のすり身」というのは日持ちがとても悪く、2日程で傷んでしまう。
そんな時に突如現れたのが「冷凍すり身」という商品だ。
当時、北海道では「スケトウタラ」の水揚げがとても多かったものの、魚卵(たら子)を取ってしまった後の身の処分に困っていて、二束三文で売られたいた。
その「スケトウタラ」の有効利用として生まれたのが「冷凍すり身」で、すり身に塩と砂糖を加えることで、冷凍できるすり身が誕生した。(加塩すり身)
これは画期的な商品で、主に「魚肉ソーセージ」等の原料に使用され大ヒット商品になった。
しかし、塩と砂糖を加えたすり身はプリプリ感が少なく、「魚肉ソーセージ」には向いているものの、さつま揚げや蒲鉾等には弾力が不足していた。
そこで登場したのが塩の代わりに「リン酸塩」を加えた(無塩すり身)で、色が変色してしまう砂糖の代わりには、ソルビトール(果実などから作られる糖類)が使われ、また、トレハロース(多糖類)を加えたものもある。
「リン酸塩」には保存料としての効果は期待できないが、あのプリプリした食感を出すにはもってこいの添加物で保水作用は絶大だ。そして、僅か0.2%~0.5%加えるだけでいいのでコストを安く抑えることもできる。
よく、スーパー等でパックに入れられている海老で、最初からプリプリした食感の物があるが、あの海老も「リン酸塩」が使われ水をたくさん含まされている。
さて、また話が長くなってしまったが、今回はタイの「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を作るが、「リン酸塩」など使わなくても、誰にでも簡単に作れて、こんなにプリプリした食感で美味しい料理がタイにあるので、ぜひ、皆さんにも作ってみてもらいと思う。
◆「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)の作り方。
<海老の下処理>
①海老(殻付き)1㎏を用意しボウルに入れる。

②海老の殻を剥く。

③片栗粉大さじ3を加える。

④水を1カップ(200ml)程加えて、揉み込むようにして海老の汚れを取り除く。

⑤たっぷりの水を加えて汚れを洗い流す。

⑥ザルに上げる。

⑦よく水気を取る。(汚れが取れてない場合には②~⑤の作業を繰り返す)

⑧乾いたタオルを用意し、水気を切った海老を並べていく。

⑨海老を横一列になるように並べる。

⑧タオルを端から丸めていき、海老を巻き込む。

⑩更にに渦巻きのように丸めていく。

⑪きっちり巻いたら、海老の水分を十分にタオルに染み込ませる。

⑫タオルを開いて海老の水分が十分に取れているか確認する。

⑬ボウルに移す。(汚れが完全に取れ、水分もタオルで十分に拭き取られている)

⑭フードプロセッサーを用意して海老を入れる。

⑮約30秒程フードプロセッサーに掛ける。

⑯少しづつフードプロセッサーを回し、何度か確認しながら少し粒が残る程度にする。

⑰海老をフードプロセッサーからボウルに移し、1時間程度冷蔵庫に入れておく。
<豚の背脂の下処理>
①1㎏の海老から400gの海老すりみが出来たので150gの背脂を用意する。
(豚の背脂は海老に対して30~35%程を加える)

②豚の背脂を5㎜位の厚さにスライスする。

③まずは縦に細く切る。

④次に横にして粗みじんに切る。

⑤更に包丁でたたいてペースト状にする。

<調味料を用意する>
下がすり身に加える調味料の写真。

写真手前から「塩」小さじ1。写真中央の左から、「砂糖」小さじ1、「味の素」小さじ1、「卵黄」1個分。写真後ろの左から「片栗粉」大さじ2、「白コショー」小さじ1、ごま油小さじ1弱。
<本調理>
①ボウルに「海老すりみ」と「豚の背脂のペースト」を入れる。

②砂糖、味の素、塩を各小さじ1ずつ加える。
(どれも白く、同じような写真になるので写真は一枚とした。)

③白コショーを小さじ1加える。

④片栗粉を大さじ2加える。

⑤ゴマ油を小さじ1弱加える。

⑥卵黄1個分を加える。

⑦よく混ぜ合わせる。
この時に全体を手で丸め、ボウルに叩きつけるようにして粘りを出す。(5~6回)

⑧出来上がったすり身をピンポン位の大きさにして、パン粉の上に並べる。

⑨パン粉を全体にまぶすように付ける。

⑩真ん中にくぼみを開けドーナッツ状にする(真ん中の部分にもまんべんなくパン粉を付ける。)

⑪170℃に熱した油でゆっくり揚げる。(少し低めの温度の方がプリプリとした食感になる。)

⑫皿に盛って出来上がり。

さて、この「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)だが、スイートチリソースを添えても美味しいが、この料理には「ブアイドンワン」という梅のソースの方が合うと思う。

「ブアイ」とはタイ語で「梅」という意味で、梅と聞くと酸っぱいような感じを受けるが、とっても甘いソースで、日本の「梅酒」をイメージすると分かりやすいと思う。
さて、この「海老のさつま揚げ」(トート・マン・クン)を美味しく作るポイントはよく練って粘りを出し、プリプリとした食感にすることだ。
タイ語でトート・マン・クンは、トート(揚げる)、マン(練る)、クン(海老)という意味だが、練りが足りないとボソボソとした食感になってしまう。
もし、まだ粘りが足りないかな?と思ったら、揚げる前に少量を電子レンジで加熱して食べてみるといいだろう。
また、今回は「味の素」を少量使ったが、味の素を入れなくても十分に美味しく食べられる。
「リン酸塩」等を使わなくても、プリプリ感のある「美味しいすり身の料理」が作れるのだと改めて感じる一品だと思う。
さて、次回はもっと簡単に手軽に作れるタイ料理を紹介しよう。。。
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