マグロチャンピオンの料理道場

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薄力粉のうどんと中力粉のうどん

2011年07月26日 | 手打ちうどん
ここ4日程、上海4号店へ「手打ちうどん」の指導に行っていたのでブログを更新できなかったが、うどん作りの他に「うどん料理」も作り写真を撮ってきたので、今回、何品か紹介したいと思う。

上海で4号店目となる「古北小町 和さ美」だが、繁華街から少し離れた場所にあり、決して良い立地ではない。

OPENしてから半年以上が経つが、売上も伸び悩んでいる状況だ。

ただし、飲食店は下記の3つのこときちっと守れば必ず繁盛店になると思う。

<飲食店の繁盛の法則>

①美味しい料理
②気遣いのある、心のこもったサービス
③この店でしか食べられない特色のある料理と、居心地の良い空間


この「古北小町」では「活鰻から作る鰻料理」「手打ちうどん」そして「毎朝作る自家製豆腐」といった、他店では面倒くさくてやらないような、この店でしか食べられない料理を積極的に取り入れて行く予定だ。

そして、今回の「手打ちうどん」だが、うどんを打つ場所は、以前、有機野菜サラダや前菜等を作っていたところで、お客様からも目に付きやすい場所だ。


実は、この店で「手打ちうどん」を始めるにあたって、「うどん粉」(中力粉)をどこから入手するのかが分からず、上海に駐在している日本の商社マンや、同業者(飲食店経営)の友人や、日本人のパン職人などから情報を集めた。

蕎麦粉に付いては、中国の「内モンゴル」から品質の良いそば粉が日本に輸出されていることは以前から知っていたので、商社マンからの蕎麦粉の情報は得られたが、「うどん粉」に付いては知らないとのことだった。

同業者からは、上海で手打ちうどんを出している店の経営者を知っているので、聞いみてくれるとのことだった。

また、以前からの知り合いのパン職人に「中力粉」の良い物があれば紹介して欲しいと依頼した。

パンというのは「強力粉」で作ると思っている人が多いと思うが、実は「フランスパン」等は、あのパリパリ感としっとり感を出す為に「中力粉」で作る場合も多く、パン職人なら質の良い「中力粉」が入手できるかも知れないと思ったからだ。

そうして、幾つかの粉のサンプルが店に届いた。

何種類かの「中力粉」があり、それは食べ比べをしてみれば良いが、その時届いた小麦粉になんと「薄力粉」もあった。

その「薄力粉」は日本の製粉会社の作ったもので、お菓子や、天ぷら粉として上海でも食材問屋に頼めば入手できる物だった。

そして、上海で手打ちうどんを出している店でも、この「薄力粉」を使用しているという。

自分も以前、ヨーロッパの日本料理店で働いている頃に「薄力粉」で手打ちうどんを作っていたが、生地を寝かせる時間が必要ない(生地を寝かせるとコシが無くなってしまう)ので、簡単にできるのと、中力粉と同じ位、コシのある麺になる。

「手打ちうどん」は難しいと思っている人が多いと思うが実は意外と簡単にできる。

家庭でも簡単にできるので、作り方を紹介しよう。

まずは、うどん作りに必要な道具を揃えよう。

<うどん作りに必要な道具>

①ボール      粉をこねられるものなら、プラスチックの洗面器でも何でも良い。
②秤        料理用で1㎏用が良い(水、塩、粉を計る)
③計量カップ    1000㏄用
④ふるい      ケーキ用のふるい
⑤麺棒       直径3㎝位で長さは50㎝~60㎝位(ホームセンターで売っているような丸い棒で十分)
⑥足踏み用ビニール なるべく厚手のビニール、又はビニール製のテーブルクロス(透明)でも良い
⑦麺打ち台     60㎝以上の正方形の板(平らで固い台ならテーブルでも何でも良い)
⑧包丁       うどん専用の包丁もあるが、家庭で作るならば牛刀でも代用しても良い

<食材の分量>

小麦粉(中力粉)1㎏ なるべく中力粉を使用しよう。なければ「薄力粉」で代用
塩       40g
水      460CC

片栗粉    適量 うどんを打つ時の「打ち粉」として使用

さて、道具と材料が揃ったところで、今度は食材の下準備だ。

<下準備>

①粉をうらごしして、水と粉がすばやく混ざるようにする。
②計量カップの水460㏄の中に塩40gを入れかき混ぜる。

写真はうちの店の調理スタッフだが、計量を慎重にやっている。

<作り方>(水回し)

1)ボールに裏ごした粉を入れ、塩水を残り100㏄位は残すようにして、回すように数回に分けて入れる。
  
2)ダンゴにならないように菜箸を使って十分に混ぜ合わせる。

  
3)粉の状態を確認して、混ざり具合を確認する。
  塩水は室温や湿度によって粉の乾燥の状況も違ってくるので全部を使う必要が無い。
  
4)生地をいったん休ませる。1次熟成(ボールにラップをして乾燥しないようにして、10分~20分)

5)塩水を入れる量は夏と冬では違うが、生地を休ませた後に生地を手に取って握って、固ければ塩水を加えて固さを調整する。
  手打ちうどんのポイントはこの生地の固さを見極めることで、生地はこの段階ではなめらかになっている必要はなく、生地がまとまっていれば良い。生地を柔らかくすると伸ばしの時に生地がくっつき扱いにくい。

6)生地をダンゴ状にゆっくりとまとめていく。
  腕に体重を掛けながら、ボールのフチに付いている粉も一緒にまとめていく。


<踏みの工程>

7)生地を厚手のビニール袋に入れて、足で踏んで生地を鍛える。

生地を横の方向に伸ばすように中央から左右の方向に踏んでいく。
時計のように自分が廻りながら踏む人もいるが、その必要はない。目が廻り気持ちが悪くなってしまう。

8)生地がうすくなったら、反物を巻くように折りたたむ。


9)生地を90度回して、同じように左右に踏んで、この作業を10回ほど繰り返す。

10)生地を丸めて寝かせる。生地の外側の角の部分を内側に入れるように、じょじょに内側に生地を折り込んでいき、生地を一つのダンゴ状にまとめる。生地に空気が触れないようにラップで巻いて熟成させる。(二次熟成)
熟成時間は夏で1時間~2時間。冬は2時間~4時間が目安。冷蔵庫の中で一晩寝かせてもよい。

11)生地を伸ばす

打ち粉(片栗粉)を全体にふり、生地の厚さが3㎜位になるように伸ばす。

12)生地を「びょうぶたたみ」にして、幅が3㎜程度で、同じ幅になるように切っていく。
  出来上がった麺に片栗粉をまぶして、麺どうしがくっつかないようにする。

13)出来上がった麺を休ませる
  麺は打ちたてを食べるより1晩寝かせた方が透明感も増し、味もよくなる。

14)たっぷりの湯を沸かし、10分~15分程茹でる。(太さによって茹で時間が変わる)

15)茹で上がった麺は流水でゴシゴシ洗う。ヌメリをよく取った方がうまい。
  もう一度麺を温めて食べる場合には、麺を少し固めに茹でると良い。

さて、「うどん」作りは以外に簡単なので、自分で作って食べてみるといいだろう。家族皆で作ったらたのしだろう。

実は、今回、「薄力粉」と「中力粉」の2種類の麺をつくることにした。


そして、その2種類を試食した。


写真奥が「薄力粉」、写真手前が「中力粉」だ。

味の違いはあきらかで、中力粉に軍配が上がった。

美味しい「手打ちうどん」を作るには、質の良い「中力粉」を使用しよう。

今日はこれから店を廻るので、うどんの料理の話は明日にしよう。

  



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