マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

バンサレー沖での船釣り(1) 「一つテンヤ」という仕掛けを自作して使ってみた。

2014年01月29日 | シラチャー ジャスミンホテル
タイのお正月については以前も書いたと思うが、タイにはお正月が3回もある。

まずは、日本や欧米諸国と同じで1月の正月、それとタイ歴のお正月(4月のソンクラーン)はさすがに1週間程のお休みになるが、中華系移民の多いタイでは中国のお正月(旧正月)も盛大に行われる。

今年は中国のお正月(旧正月)が1月31日とのことだが、テレビのニュースを見ると、バンコクの「ヤワラート」(中華街)ではお正月用品が店頭に山積にされ、真っ赤なチャイニーズドレスや玄関に貼るお正月の飾りなど、中国で縁起が良いとされる色、「赤」、「赤」、「赤」、のオンパレードになっている。

また、食材の価格も急騰していて、ミカンなど果物の価格は既にいつもの2倍以上になっているが、「こたつにミカン」の習慣がなくなってきている日本とは違い、やはりお正月にはミカンが付きものなのだろう。

1月も明日の「中国の旧正月」で最終日となったが、先日、1月26日に「バンサレー」に船釣りに行ってきたので、今回はその時の話をしよう。

タイでの観光ハイシーズンは11月~2月とされているが、それは11月~2月は気温が低くなり過ごしやすいのと、この時期は雨がほとんど降らないということがある。

タイに観光に来る欧米人の多くがビーチでのんびりと過ごしたり、またはゴルフ好きには涼しくて雨がほとんど降らないこの時期は最高だと言えるだろう。

また、釣りに行くのも同じでこの時期がベストシーズンだと思う。

昨年の11月から何度か「ジンダ筏」と「シーチャン島での磯釣り」に行って来たが、やはりもっと大きな魚を釣ってみたいのと、大型の鯛を釣ってその料理の写真をこのブログにアップしたいと思い、「船釣り」にもチャレンジしたいと思っていた。

たまたま、昨年の11月に「アーチプラス」という情報誌からの依頼で「ブイヤベース」を作ったが、それが掲載されている12月号が届いたので目を通していると「mokoley」というバンコクで釣り具を販売しているお店が開催している「海釣り定期ツアー」の記事があり、早速、メールで問い合わせをしてみることにした。

直ぐに返事があり「mokoley」の担当は草間さんという女性の方で、次回は1月26日(日)に「バンサレー沖」での船釣りを予定しているとのことだった。

直ぐにでも予約を入れたいところだが、問題は土曜、日曜日に休みが取れるかどうかが心配だった。

うちの店の土曜、日曜のランチタイムは「ファミリーのお客様」がとても多く、万全の態勢にしておかなくてはならない。

いったんは諦めかけたのだが、年末年始も休まず営業をしたので、店のスタッフにその分の代休を与える為に自分は休みをほとんど取らなかったこともあり、1月26日(日)のランチタイムは調理スタッフ全員が店に出てくれることになり、また、バンサレーなら近くなので夕方までには店に戻れることもあり「mokoley」の「海釣り定期ツアー」に予約を入れることにした。

予約を入れた後、持っていく「仕掛け」についていろいろと考えてみたが、どんな魚が釣れるのかまったく見当もつかない。

そこで、草間さんにメールを送りどんな魚が釣れるのか尋ねてみたところ「小ぶりのタイ、イトヨリダイ、フエダイ、コロダイ、ベラ、アイゴ、アジ、キスなどなど」が釣れるらしく、仕掛けはジンダ筏と同じく「サビキ仕掛け」で餌の「イカ」は船の方で用意してくれるとのことだった。

しかし、今回の釣りでどうしても試してみたい仕掛けがあった。

それは、「鯛釣り」の仕掛けで、最近では日本中で流行っているという「一つテンヤ」という仕掛けだ。(どうしても大きな鯛を釣りたいという思いがあった。)

このテンヤ仕掛けでの釣りは外房の大原が発祥とされ、今では日本全国に広がっているが、簡単に言えば「小さなオモリと針が一体化した漁具」の事だ。

重いオモリを使って針を海底まで沈めるのではなく、ゆらゆらとゆっくりと餌の海老が付いた針が海底に向かって沈んで行く。それを見ながら一緒に海底に連いてきた鯛を釣るという方法で、これなら当たりがダイレクトに伝わるだろう。

今ではその仕掛けは日本ではどこの「釣り具店」でも置いてあるようだが、ここシラチャーでその仕掛けがあるかどうか早速、いつも行ってるシラチャー市内の2軒の店に行きメモ帳にテンヤ仕掛けのイラストの絵を書いて見せたところ「マイミー」(ありません)とのことだった。

しかし、2軒の店でそれぞれ、テンヤ仕掛けに使えそうな物を見つけることができた。

丸型の赤と白の物がロビンソンの近くで、また、もっと軽い物はいつもの楽器店で見つけたものだ。

これに、孫針を取り付ければ「テンヤ仕掛け」に近いものができるはずだ。

ここからは写真を交えながら話をしよう。

下の写真がロビンソンの近くの店(薬局と併設)で買った物。


孫針を付ける為に、金ノコで上下左右、切り込みを入れる。


孫針を取り付ける。


下の写真が楽器店(奥に釣り具コーナー)で買った物。


金ノコは使用せずに、外れないようにしっかりと結び付ける。


そして餌(海老)の付け方だが下記のように大き目の海老を用意する。


海老の尻尾を切り取る。(下の写真は指でちぎったが、ちゃんとハサミで切った方がよい)


尻尾の方から親針を刺し、海老の腹の中心付近で針先を出し、海老を水平にする。


孫針を頭に刺す。


どうして「孫針」が必要なのかよく分からないと思うが、後から実際の釣りの写真を見ていただければ納得すると思う。

果たして、この「一つテンヤ」仕掛けで待望の「大鯛」は釣れるのだろうか。。。

(1月25日)釣りの前日
「mokoley」の「海釣り定期ツアー」の集合場所は、バンコクのフジスーパー2号店の前のセブンイレブンの前に朝の6時に集合とのことだった。

しかし、パタヤの少し先のバンサレーに行くのに、わざわざバンコクに行くこともないと思い、直接、バンサレーに行くことを草間さんに了解してもらった。

そして、朝の8時に船に乗り込むとのことで、現地の「Khram Marine」ホテルの前で待ち合わせることにした。

こちらは、シラチャーからバンサレーなら車で30分~40分程なので、朝の7時にシラチャーを出れば十分に間に合うはずだった。

そこで、シラチャーからタクシーで行こうと思ったところ、シラチャーには「トゥクトゥク」と「モトサイ」しか無く、タクシーはつかまらないということが分かった。
(また、仮にタクシーを予約できてもバンサレーまで行ってくれるか分からないようだ。)

バンサレーまでの足が無いならば、もう、前日からバンサレーに入るしかなく、また、現地の「Khram Marine」ホテルの前で待ち合わせなので、そのホテルに泊まってしまうのが手っ取り早いのでホテルの電話番号をジャスミンのスタッフに調べてもらい予約の電話を掛けることにした。

インターネットのホテルのホームページに載っていた電話番号は2つあって、1つは固定電話の番号で、一つは携帯番号だった。

まずは固定電話に掛けてみたがつながらず、しかたがなく携帯番号に掛けてみるとタイ人の男が出た。

1月25日の夜の10時過ぎから1泊したいと告げたところ1泊800バーツとのことで、そのまま予約をお願いしたが、話を聞いていると彼は船の船長とのことだった。

1月26日に日本人の釣り客のブッキングがあるか?と聞いてみると「ある」という。

つまり、1月26日に乗船する船は、「Khram Marine」ホテルの所有で、電話に出たのがその船の船長(キャプテン)だったのだ。

これで、ホテルの予約も済み、また、夜遅くならジャスミンホテルの車が空いているので、バンサレーの「Khram Marine」ホテルまで送ってくれるということになった。

1月25日のディナータイムも多くのお客様がお店に来てくれて料理も一通りお出ししたあと、夜の9時40分にジャスミンホテルの車でバンサレーに向けて出発。

ジャスミンホテルの運転手もバンサレーは初めてとのことだったが、バンサレーまでは迷うこともなく、すんなりと行くことができた。しかし、問題はその後だった。

バンサレーに入ったのは既に10時半に近かったこともあり、街灯も少なく辺りは真っ暗で、たまに「セブンイレブン」の明かりが見えるだけだ。(不思議なのはセブンイレブンの正面にもう一つセブンイレブンがあり、すこし場所を変えればいいのにと思ってしまう。)

30分以上もバンサレーを車で走り回っても目的のホテルにはたどり着けず、何度かコンドミニアムの警備員などに道を尋ねながら、やっと目的のホテルにたどり着くことができた。

前日からバンサレーに入ったのは正解だったと思う。(これが当日の朝にシラチャーから車で来て道に迷ってしまったら、とても待ち合わせ時間には間に合わなかっただろう。)

ホテルに着いたのは既に11時を過ぎていたので店から持参した「おにぎり」を食べて、洗面を済ませて早めに寝ることにした。

(1月26日)釣りの当日
前の晩は早く寝たので、夜明け前には目が覚めてしまったが久しぶりに熟睡できたようだ。
(睡眠を十分にとることが船酔いの予防には何よりだと思う。)


シャワーを浴びて、前日、ロビンソンの1階の日系のパン屋で買った「クロワッサン」と「缶コーヒー」で簡単な朝食をとっていると部屋の窓から見える桟橋に船が横着けされた。


集合時間まではまだ1時間程あるので、荷物をまとめホテルをチェックアウトして船を見に行ってみることにした。

船の写真
(1)船の舳先の写真

(2)船の船首の写真

(3)船の中央部分の写真

(4)船の船尾の写真


桟橋の方からホテルを見た写真(赤丸の303号室に泊まっていた。)


いよいよ、集合時間の10分前になりホテルの正面玄関の方に移動する。


道路に面したところにホテルの案内看板があるが夜はほとんど目立たず、これではなかなかホテルを見つけられないし、ホテルの正面玄関にはホテルの名前を書いた看板など何も無い。


8時10分にバンコクからのお客さんのバスが到着して、早速、船に乗り込み出港。


船はどんどん沖へと向かう。(漁場に着くまでに竿とリールをセットし、サビキ仕掛けを用意する。タイ人のアシスタントは餌のイカを小さく短冊に切って釣り客に配る。)


1時間程で最初の漁場に着き、サビキ仕掛けに餌を付け海面へと下す。

最初の漁場の水深は40メートルとのことだが、どの辺りに魚がいるのか分からないので、海の底にオモリが着いたら1メートル程巻き上げて当たりを待つと、ちょっと型のいい「オコゼ」や「イトヨリ」それにいつもの「ジンダ筏」の小魚くん達のお兄さんサイズの魚が次々と釣れる。

どのお客さんにも当たりが来て、次々と魚が引き揚げられるがなかなか大物は上がってこないようだ。

そんな時、船の後ろの方(たも)の方から歓声があがってきた。

タイ人の船のスタッフの竿に何か大物が掛かっているらしい。他の釣り客も自分の竿を置いて見物にきている。

いったい何が上がるのかを皆固唾を飲んで見守っていると海面に浮き出てきたのは1メートルはあろうかという立派なクイーンフィッシュだった。


やはり沖釣りではちゃんとこんな魚が釣れるのだ。


どんな仕掛けを使っているのか、その後のタイ人の一投の時に仕掛けを見たが、大きな針2本のうちの1本を活きたイカ(体調15㎝位)の耳の先の部分に刺し、もう1本の針を胴の下のスカートの部分に刺して、オモリは250g以上の四角形の鉄の塊を使っていた。

やはり、大物の魚を釣る為には活きたイカや大きな針で泳がせながら釣るのだと、とても勉強になった。

その後は誰にも大物の当たりはなく、いつもの小魚くん達のお兄さん連中の顔を見るのも飽きてきたかなと思っていた頃に、船長から漁場を移動するとのアナウンスが流れた。

既に時間は午後1時近くになっていたが、この漁場を移動する間が食事タイムになっていて、タイ人スタッフが船上でこしらえたピラフ(炒飯)と、小魚の唐揚げの簡単な食事だが、船の上で海を眺めながら食べる食事は格別に旨かった。

自分で好きなだけ食べられる。


約30分で次の漁場に着き、ここの水深は17メートルとのことだったが、潮の流れが速く仕掛けが流どんどん流されていく。
お客さん同士の仕掛けも絡み合い(お祭り)が多くなり、15分程で次の漁場に移動した。


その漁場で仕掛けを海に下して暫くすると、船の中央辺りのお客さんに大きな魚がヒットしたらしい。

竿もリールも、またリールに巻いてある道糸も大きな魚用ではないので、いつ糸が切れるか分からない。

途中からタイ人スタッフが入れ替わり慎重に糸を巻いて行くが、相手の魚は暴れ回っていて結局、船尾で魚を取り上げたのだが、70㎝~80㎝はある「バラクーダ」だった。

サビキの小さな針でこんな大きな魚が釣れるということを知って、釣りというのは奥が深いと思った。

もしかしたら、小さな魚がサビキ仕掛けに掛かって、その魚をもっと大きなバラクーダなどの魚が襲うこともあるのかも知れないし、上げてみるまでは何が釣れるか分からないのが釣りの醍醐味だと思う。

さて大きな魚を見たこともあって、自分の仕掛けを「サビキ仕掛け」から「テンヤ仕掛け」に変えてみることにした。(今晩のおかずになる魚はサビキ仕掛けでもう十分に釣ってある。)

用意してきた「白海老」をクーラーボックスから取り出して、テンヤ仕掛けに付けて、孫針を海老の頭に刺してゆっくりと海に落としていく。

テンヤが海に沈んで、どんどんとリールから糸がでて行く。

でもちょっとおかしいぞ?

水深は約20メートルのはずだ。

もう、底に着いてもいい頃なのにまだまだリールから糸が出て行って止まらない。

そこで、今度はリールを巻き始めてみることにした。

そうすると何かグンと重い手応えがあった。その時は一瞬『やっちまった。根掛かりか』と思ったのだがリールの糸は巻くことができる。でも、とても重い。

近くでは船のタイ人スタッフが魚を船に取り上げる為の「フック」を持って既に待ち受けている。

一生懸命にリールを巻いていると何か魚のような物が海面近くに見えてきた。

そして、釣り上げたのが下の写真の「サメ」だった。(日本人はサメはあまり食べない魚なのでリリースしようと思ったが、船のタイ人スタッフが食べると言って持ち帰った。)


このサメの口のところを見ていただきたいが、「テンヤ仕掛け」の親針がしっかり口に食い込んでいる。


「テンヤ仕掛け」に最初に掛かった魚は何と「鯛」ではなく「サメ」という結果だった。

その後「テンヤ仕掛け」には「ハタ」のような根魚がたくさん掛かり、2時半の納竿の時間となった。

下の写真だが、テンヤ仕掛けの孫針が口に食い込んでいる。(やはり孫針は必要のようだ。)


今回、タイで初めての船釣りだったが下の写真のようにたくさんの魚が釣れて、また、「一つテンヤ」で初めて釣った魚が「サメ」だったことはいい思い出になると思う。


大きな鯛は釣れなかったが、活イカでの「泳がせ釣り」ではクイーンフィッシュなどの大物が掛かることが分かったし、また小さなサビキ仕掛けでも大きなバラクーダが釣れることに驚いた。

もう少し釣りを続けたいというなごり惜しさの気持ちを抑えつつ、帰り支度に取り掛かる。

帰港の途中ではいろいろな船とすれ違う。





日本に一時帰国してタイに戻っていつも思うのは、何でタイという国が心をなごませてくれて楽しい気分にさせてくれるのだろう。

それは、タイの気候やタイ人の優しさや、たくさんの微笑ということもあるが、とにかくタイはいろいろな色であふれていると思う。

タクシーの塗装の色も、黄色やピンクにグリーン、紫など、さまざまな色があるし、お寺に行ってもカラフルな色が使われている。

船も同じで、それぞれの船がこれ見よがしにアピールしているように感じる。

そんな船を眺めているうちに、バンサレーの港が見えてきた。


今朝の出向の時はホテルの桟橋のところからだったがどうやら帰りはバンサレーの港に接岸するようだ。


船の2階部分から下船。


帰港した船で賑わうバンサレー港。


港らしい生活感を感じる風景。


船を降りて、シラチャーから参加していた松本さんの車に便乗させてもらい、ジャスミンホテルに向かう(松本さん、たいへんお世話になりありがとうございました。)

それでは、持ち帰った魚を調理してみよう。


◆「アイナメのような魚」を煮つけにする。
魚を煮る調味料は、すべてお玉で(酒3、醤油1/2、みりん1/2、砂糖1/4)を合わせて使う。


完成写真。


◆「イサキのような魚(フエダイ?)」を塩焼きにする。


完成写真


◆「イトヨリ」を刺身にする。


完成写真。


◆「ハタ」を刺身にする。


完成写真。


◆小さなハタが一匹残っていたのでうちのタイ人スタッフがタイ料理にする。
 「プラー・カゥ、ヌン、マナオ」という名前の料理らしいが、プラー・カゥ(ハタ)、ヌン(蒸す)、マナオ(ライム)で蒸した魚にライムを絞って掛けて食べるが、タイ料理なので唐辛子も入っているので辛い。


◆今回作った料理の集合写真。


サメは船のタイ人スタッフが食べるとのことで持ち帰ったが、うちの店のスタッフからタイ料理にすると美味しいのに何故持ち帰らなかったのかと言われてしまった。

もし、今度サメが釣れたら(あんまり釣れて欲しくないが)持ち帰って、サメで作ったタイ料理を紹介することにしよう。

次回の「船釣り」はまだまだ先になると思うが、もし、次回も船に活きたイカを積んでいたら、活イカの泳がせ釣りにも挑戦してみたいと思う。

そして、「一つテンヤ」で次回こそは大きな鯛を釣ってみたいものだ。

尚、「海釣り定期ツアー」に興味のある人は下記(Mokoley Co., Ltd.)に連絡してみるといいだろう。

Mokoley Co., Ltd.
21-24 (RCA Block B) Soi Soonvijai-Rama 9
Rama 9 Rd. Bangkapi Huay Kwang Bangkok 10310 Thailand
Tel : (662) 203-1831-1833
Fax : (662) 203-1834
Email : kusama@mokoley.com
Web site : www.mokoley.com

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