僕には普通の家族がいる。
鬱病患者の父とヒステリックな母と人間関係に少々うんざりしている弟、それに左半身不随の母方の祖母である。
鬱病のくせに視線恐怖をあまり感じないのか市内を散歩できる父がうらやましい。家では常に怒るか馬鹿笑いしているけれど外ヅラはよいらしい母がうらやましい。嫌いなやつに好かれるとか愚痴を言いながらも前向きにきちんと生きている弟がうらやましい。七十年以上も一生懸命に生きてき . . . 本文を読む
元母に呼ばれて図書館に行った。
なんか怪しい書類にサインさせられた。保険金詐欺でもするつもりか、ぼくは職業を偽って書くように強制された。
あれはなんだったのだろう……?
怖いので考えないことにする。
そんな元母から解放されて隣りの図書室に行ってみて驚いた。
クラスの男子が低学年女子を複数したがえて本を読んでいた。
これがいわゆるハーレムというやつなのか……? と驚愕した。
一度図書 . . . 本文を読む
嘘日記を再開したのはいいが、ぜんぜん嘘を書いていない。だからこれから嘘を書こうと思う。勉強してないけど書く。
ぼくは好青年だった。どこからどう見ても好青年然としており、非の打ちどころがないようだった。
そんなぼくは、当たり前だが、女子にほっとかれない人間だった。どこにいてもどこからか誰からかの視線を感じる。視線の先には、決まって女の子の目があり、見つめ返すと相手はかならず、頬を朱に染めた。 . . . 本文を読む