読書記録

とりあえず、読了本をあげていくつもりです。
…もしかしたら、映画とか、ゲームとかまで…たどりつくのかww

山尾悠子

2005年05月28日 | SF
オンライン書店ビーケーワン:ラピスラズリ
◆「ラピスラズリ」
 3枚の銅版画から導かれる<冬眠者>の話。
 短編集だが、連動している。連動してるが、明確な連結はない。<冬眠者>という糸では繋がっているが、では<冬眠者>とは何なのか、ということは明らかにされない。
 という訳で、とても読者に不親切な作品。が、昨今の明確すぎる、というかすぐに単純化、記号化していこうとする流れにいるとすごく新鮮に映る。つか、のめりこむ。久々に小説世界と現実とをワープするっていうか、そんな別次元に身体をもっていかれる感じを受けた。
 おそるべし、山尾悠子。
 
 と、この本はものごっつ美麗本です。
 箱入りはあれとしても、今時パラフィン紙で包んでいて、布張りの表紙だよ。完全に、マニアが買うのを見込んでますねww
 ともあれ、ここまで美しいと意味もなくいつまでもぱらぱらめくっていたいです。と、人には貸せません(苦笑)

ディーン・クーンツ

2005年05月28日 | ホラー(翻訳)
オンライン書店ビーケーワン:コンプリート・ディーン・クーンツ
◆「コンプリート・ディーン・クーンツ」
 1999年の秋に発売された風間賢二編集によるクーンツ大全。
 インタビューに、未発表作(小説&エッセイ)に作家論に作品紹介に、ととにかく盛りだくさん。HPの名前にしたぐらい(お忘れかもしれませんが「12月の扉」はクーンツの作品ですww)クーンツが好きなので、猫にマタタビぐらい嬉しい。
 クーンツマニアだと、やや自覚のある人向きかな。
 作品紹介は、御丁寧に当時出版されていた全作品のストーリーがネタばれも容赦なくされているので、これからクーンツを読んでみようかと思う人は、やめた方がいいです。しかし、なんであーいう作品紹介にしたのか謎なのだ。粗筋って、主観によって捕らえ方が違うから、読んでて「うーん、こういう話じゃなかった記憶があるんだけどなぁ」っていうのが多かった。だから、もっとざくっとしたのでいいと思うし、ネタバレっつーのは言語道断だと思うんだが。まぁ、こーいうの買うヤツはマニアだとすでに見越してたからなのかもしれないけどねww
 あと、映像化されたのも全部紹介されてたのは、よかったです。
 すぐにオンラインレンタルで探したので、もーすぐ見られるかな。
12月の扉〈上〉  12月の扉〈下〉

エリック・フォスネン・ハンセン

2005年05月28日 | 文学ww 翻訳
旅の終わりの音楽 (上)  旅の終わりの音楽 (下)
◆「旅の終わりの音楽」
 タイタニック号沈没の時、最後まで演奏し続けた楽団員の話。
 とはいっても、メンバーは作者の創造されたもので、タイタニックという状況を借りているだけだ。史実と虚実が、見事に一体化していてこの上もなく美しい模様を描いている。
 七人の楽団員のうちの5人のタイタニックにいたるまでの話がメインになっているのだが、私は最初のリーダーの話が胸に響いた。
 ともあれ、この小説にこれ以外のタイトルはないし、これ以上のタイトルもない。このタイトルが全てを集約しているし、これ以上語ることも必要ではない。
 そして、そういうタイトルを得ることのできた小説というのは、それだけで幸福なのだとも思う。

★★★☆☆☆☆

2005年05月23日 | DVD
ローズ・レッド 特別版(前編/後編)
◆「ローズ・レッド」
 S・キング原作の幽霊屋敷話。TVドラマのDVD化。
 銃器の会社社長の妻が死ぬまで家を増築していった、という話があるのだが(今もその家は残っている。とにかく奇妙な、そして怖い家だ)それがヒントになっているのは間違いないだろう。その幽霊屋敷、ローズレッドはやはり主の妻が死ぬまで増築をしていったという設定になっていて、内部も↑の屋敷と似たような所が随所にあった。家フェチには、ちょっとたまらんww
 TVドラマということで、エグイシーンはありません。そんなに怖がらせるところもありません。でも、怖かった。
 そして、子役(?/15歳という設定なのだが、随分子供っぽかった)の上手さ。このDVDの面白さは、家と子役でもっていってますね。
 キングは、これの主人公の大学教授が家を造った女主人の日記を発見し、それを編集して出版した、という設定の本をだしている。はっきり言って、これを読んでないとなんのこっちゃで終る可能性大。むしろ、↓の仕上げっていう意味で見た方がいいかもね。


ローズレッド―エレン・リンバウアーの日記

◆「ローズレッド-エレン・リンバウアーの日記」
内容(「BOOK」データベースより)
本書は、アメリカのテレビドラマ『スティーヴン・キングのローズレッド』の主役・ジョイス・リアドンが、1900年代はじめに記された「エレン・リンバウアーの日記」を発見し、それを編集・出版したという設定で書かれた小説である。―大実業家のジョンと結婚したわたしは、幸福な生活を夢見た。しかし夫の浮気と性的虐待により、その願いは無残に打ち砕かれる。やがてわたしの魂は荒廃し、それに呼応するように二人の住むローズレッド内で事件が発生。建築現場監督が射殺され、馬係が馬に踏み殺され、死者・失踪者が増えていく…絶望と恐怖の中、純真な娘エレンが異形の洋館の醜悪な蠢きを克明に描いた死の日記。「この日記の秘密を暴く者に災いあれ」。

ロバート・ゴダード

2005年05月23日 | ミステリー(翻訳)
悠久の窓(上)
悠久の窓(下)
◆「悠久の窓」
 老いた父が住む家を高額で買い取りたいという話が持ち上がる。それは、中世の頃に密かに隠されたステンドグラスを探すためだった。
 やっぱり、ゴダードなので面白いところは面白いです。こないだの日本を舞台にしたやつより、ずっとよかった。(多分、外国人が読んだら舞台の日本に違和感がないんだろうけど、日本人にはヘンすぎました/笑)
 が、なんだかイマイチ。で、読みながらつらつら考えてたんだが、これって訳のせいってパーセンテージが高くないだろうか? ゴダードの主人公って皆、うだつの上がらない中年男だ。物語の中で特に成長するわけでも、悟るわけでもない。翻弄されていくだけなんだが、その姿がいいのよ。その姿が「萌え」なんだと思うんだが、訳者はきっとそれに「萌え」ないんだろうな。
 ともあれ、なんか、行間から滲む訳者の愛っつーもんが感じられなかったです。で、それが一番の敗因。
 私が読んでる範囲で、一番作者や作品に愛を注いでいるのは、ローレンス・ブロックのスカダーシリーズを訳してる方だと思う。あそこまでっていうのは無理だとしても、もうちょっとなんとかしてもらいたいもんだ。

ミネット・ウォルターズ

2005年05月17日 | ミステリー(翻訳)
オンライン書店ビーケーワン:昏い部屋
◆「昏い部屋」
 気がついたら、記憶をなくしていたヒロイン。婚約者と親友が行方不明になり、事故の状況から自殺未遂と判断される。
 ウォルターズなので、このヒロインも一筋縄ではいかないです。
 でもって、やっぱり面白かった。
 ヒロインの父親の存在がすごく重いのだけど、この使い方は(ネタバレになりそうなので伏せます)ぜひ使ってみたい。でも、1回やったらもう使えないかな。あ、でも「ガラスの仮面」にこーいうのがあったなぁ…。
 ヒロインの行動基準は「自分は自殺なんてことはしない」ってとこに終結している。これをすべての基準にもってきて、なおかつ納得させるあたりは、職人技ですね。

 解説で、ウォルターズにしては…みたいななのがあったけど、確かに、他の作品に比べると小粒です(長いけど) でも、ウォルターズは、ウォルターズなのだと、すごく感じました。
 でも、これって1997年の作品なんだよね。新作はどーしたんですか? 創元社さま!!
 

★★★★☆☆☆

2005年05月07日 | DVD
カレンダー・ガールズ 特別版
◆「カレンダーガールズ」
 イギリスの田舎町の主婦たちが、自身がモデルとなりヌードカレンダーを作った、実話の映画化。
 TVでもやってましたなぁ。でもって、TV番組とどう違うのかといわれると答えに困るような感じ。決して悪くはないし、映像は綺麗だし、ストーリーの緩急もいいんだけど、これっていうインパクトがない。いっそ架空の人物、ノンフィクリョンライターとか、カメラマンとか、そういう第三者的な人物を放り込んで物語として造形するとよかったのではないかと。うん、TVはノンフィクションっていう宝刀をかざしてたからね。
 それにしても、イギリスの田舎、つか、ヨーロッパの街って綺麗だよなぁ。

ジョナサン・ケラーマン

2005年05月05日 | ミステリー(翻訳)
モンスター 臨床心理医アレックス
◆「モンスター」
 帰って来たアレックス!!! 
 新潮から出なくなって、こりゃ手を引いてしまったんだわ、へたすると某A社の超訳かぁと、恐れていたが、めでたく講談社から出た。が、これは1999年の作。ケラーマン、このあとも毎年地道にアレックスシリーズ書いてるんだから、地道に出して下さいね、講談社さま。ついでに、今までのやつも講談社で再版すればいいのになぁ。小児専門の臨床心理医なんて、とってもとっても今日的だと思うのだが。やっぱり、アレックスが完璧すぎて反感を買うのかしら?ww

 で、モンスター。
 うーーーん。精神病者の刑務所に勤める心理医が殺され、そこの服役者(昔、大量虐殺をして<モンスター>といわれた男)がそれを予言するようなことを言っていた。で、マイロとアレックスが調べるのだけど、今回はアレックスの患者でも何でもないので、無謀なことをするアレックスの行動動機「守秘義務」がない。で、アレックスは守るものがいるからこそ、かっこいい、つーのがよくわかった。
 これからアレックスシリーズにはいった人は、かなり気落ちしちゃうだろうなぁ。
 長いシリーズになるとこういう作品の一つや二つあっても仕方ないと、私は思うんだけど…。でも、このあとの出版が関係してくるから、微妙。
 ところで、アレックスも自分の過去をほとんど語らないし、わからない人だ。(学歴、職歴こそはわかっているけど) で、よく読むと、所々で過去を語っている。つか、その量が増えつつある。某建築探偵の主人公の過去が、とひっぱりまくってるのもあれだが、アレックスの過去もとっても気になるのであった。なので、これがいまいちだろうがなんだろうが、関係ない<きっぱり

恩田陸

2005年05月05日 | SF
劫尽童女
◆「劫尽童女」
 裏表紙のストーリー読んで、「ファイアースターター(S・キング)まんまじゃん」と思ったら、本文の最後に自身で挙げてました。ようするに、リスペクトってことですか。
 父によって超能力を与えられた少女が、組織と闘う、って話なんだけど、ファイアースターターのような身を引き千切られるような切なさはない。むしろ、「大人は子供を守ることが仕事」(from 鋼の錬金術師)的なものを感じる。うむ、その辺が恩田陸が恩田陸たるところなのか。つか、単に日米の違い?
 話の展開で、おおって思わせるところは結構あるんだけど、なんか深さがないのはなぜなんだろう。と、この終わり方は、ちょっとないよねって思うです。まだ続けるつもりならいざ知らず、でも、続きそうでもないんだよね。

 にしても、私はキングの一番は「ファイアースタータ」ーと「デッドエンド」だと思ってるんだが、映画化されて一番どーしようもなかったのが、「ファイアースターター」だった…(涙) 主演したバリモアちゃんも、隠したい過去になっているに違いない。
ファイアスターター (上)ファイアスターター (下)

★★★★★☆☆

2005年05月01日 | DVD
クリムゾン・タイド 特別版
◆「クリムゾン・タイド」
 ヴィゴが出てるので借りみた。
 いやあ、よかった。潜水艦の話っていうので、あのたまらん息苦しさを想像したのだが(軽い閉所恐怖症があるもんで/汗)そういうのがなくて助かった。
 ストーリーは、簡単に言ってしまうと、簡単に終ってしまうようなものだが、それをジーン・ハックマンを初めとする名優達で重厚な人間ドラマにしている。戦闘シーンもちょっとあるのだけど、ものすごくいいバランスではいっていると思う。
 そして、ヴィゴ!
 静かに苦悩する役やらせると、ヴィゴの右に出る人はいないねぇ。
 特に出番が多いってことはないし、セクシーな(<をい)シーンもないけど、ヴィゴファンは見るべし!!