読書記録

とりあえず、読了本をあげていくつもりです。
…もしかしたら、映画とか、ゲームとかまで…たどりつくのかww

皆川博子

2006年07月28日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:花の旅夜の旅

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◆「花の旅夜の旅~昭和ミステリ秘宝」

 扶桑文庫で、「昭和ミステリ秘宝」と銘打ったシリーズを出しているものの1冊。いい作品なのに、絶版になってしまったものをなんとかしてくれるというありがたいシリーズ。
 お陰で、「聖女の島」読めました<感涙

 「花の旅夜の旅」と「聖女の島」との中編2本のミステリー。
 どちらも技巧的な目くらましがあって、さすが皆川博子だ、上手いもんだと思う。「死の泉」からはいった読者にとっても、多分ミステリー色が強いと感じるだろし、他の推理小説からはいった読者にとっても、ファンタジー色が強すぎると感じるだろう。
 と、かくと中途半端な印象を受けるかもしれないが、ミステリーとファンタジーのボーダーでしっかり立つというのは、皆川博子にしかできないことかもしれない。
 ともあれ、「聖女の島」だ。
 有栖川有栖川の「作家の犯行現場」で軍艦島を舞台にした小説と紹介され、絶版になっていると書かれていた時のショックときたら…。
 でも、こうやって復刊(?)され読めるのだから、復刊ドッドコムなどの地道な活動の成果なのかもしれない。って、よくわかんないけど。
 廃墟の島、軍艦島に女子矯正施設が作られ…という、この設定だけで薄ら寒い。
 最初、これの舞台を軍艦島にしたのは無理があったのではないかと感じた。それほどあの島の荒廃はすさまじい。あれは他をまったく寄せ付けない、なにもかも拒否する島だ。
 が、最後にはそのマイナスのエネルギーとも思える島の影を、包み込み昇華していくのだ。
 全く、すごい。

 軍艦島マニアなので、ちょろちょろ読んでますが、軍艦島舞台小説のベストは、
この「聖女の島」と恩田陸の「Puzzle」だと思う。

荒川弘

2006年07月23日 | コミック
オンライン書店ビーケーワン:鋼の錬金術師 14

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◆「鋼の錬金術師14」

 鋼の14巻。
 
 13巻の終わりで「えええええええ」と3分ぐらい絶叫してしまったが、こーいうことだったので、ほっww
 とはいえ、やっぱり「ええええっ」という展開で、しかもラストに「なに??」っていうのがあって、値段の割りに薄い気がするガンガンコミックなのだが、ジェットコースータみたいにぶんぶん振り回してくれます。

 続きものなので、これ以上語りませんが(<をい)まだ読んでない方は、数が少ない今のうちにぜひ。
 これが20巻とか30巻とかになると、しんどいよww

スティーブン・キング

2006年07月23日 | ホラー(翻訳)
オンライン書店ビーケーワン:ドランのキャデラック

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◆「ドランのキャデラック」

 キングの短編集。
 「ナイトメアズ&ドリームスケープス」を文庫化にあたり、4冊に分冊したうちの1冊目。
  ドランのキャデラック
  争いがおわるとき
  幼子よ、われに来たれ
  ナイトフライヤー
  ポプシー
  丘の上の屋敷
  チャタリー・ティース
 の7作が、収録されている。

 長い序や、キングによる作品解説がついてるので、別の意味でお得かも。いやあ、キング氏ってヘンな人っつか、子供だったんですね。
 ま、キングなのではずれはない。ただ「ナイトフライヤー」や「ポプシー」とかは、長編から派生した作品なのでそれを読んでるとなお楽しい。(「丘の上の屋敷」も「ローズレッド」から派生したのではないかと思うのだが)
 一番こわかったのは「チャタリー・ティース」
 ああいう玩具にこういう名前があったことにまず驚いた。でもって、しばらくああいうの置いてそうな場所には近寄りたくない。

 分冊された次の分は、8月に発売らしい。
 今から楽しみ。

加納朋子

2006年07月23日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:コッペリア

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◆「コッペリア」

 人形に恋をしてしまった男と、その人形にそっくりな女優、そしてその製作者と、バレエ「コッペリア」を連想させる登場人物たちが招くミステリー。
 加納朋子、初の長編。

 最初に、江戸川乱歩の「人形」からの引用がある。そして、ギリシャ神話「ピグマリオ」の話から物語は始まる。しかしタイトルは「コッペリア」なのだ。
 読めば、納得のタイトルなのだが、乱歩にピグマリオに、とひっぱってコッペリアにもっていかなければならないあたり、日本のバレエに対する認識不足が出てる気がする。
 と、いきなり余計な枝葉を書いたが、これはよくできたミステリーだ。
 物語は章ごとに個々の視点で描かれる。時間軸も違う。それらからくる混乱が上手いぐあい、というか、バランスがいい。
 そう。これはバランスのいい小説だといえるだろう。
 多少、ん、と思わないところもないでもないが(引用でマンガまでひっぱってくるのはどうかと。あの部分だけへんに時間が明確になった感じで、それまでの浮遊感が褪せた)それも危ういバランスで切り抜けていっている。
 
 最後が、よかった。
 読後がさわやかww

ジョナサン・キャロル

2006年07月19日 | ファンタジー
オンライン書店ビーケーワン:黒いカクテル

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◆「黒いカクテル」

 ジョナサン・キャロルの短編集。
 ダークファンタジーの本領発揮って感じです。

 「パニックの手」と本当は合わせて1冊なんだそうで。前後で分けてしまったのか、中身を選んで分けたのか、知りようがないけど、分けて成功してます。
 つまり、「黒いカクテル」の方が、ダークでファンタジー。(「パニックの手」は比較すれば、SF的で文学的だ)
 今回の解説は、桜庭一樹氏で「ほんとうにあぶない本は最初の一行でわかる、と思う」と述べてますが、も、その通りです。最初の一行の濃縮っぷりがすごい。読んだ瞬間に別次元に飛ばされる感じ。
 うん、キャロルはこの異空間にむりやり放り込まれる、この感覚がくせになるんだろう。

 ああ、おもしろかった。

篠田真由美

2006年07月17日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:聖女の塔

【BK1】     【amazon】

◆「聖女の塔」

 建築探偵12作目。
 なんでも、このシリーズ15作で終わるので、このあと過去とか謎とか解き明かしてくれるらしい。も、文庫オチまつかぁって思ってたけど、あと3作ぐらいならお付き合いしませう。篠田さん、応援してますww

 長崎の孤島で起こった集団自殺を追う桜井京介と、友人を新興宗教からの脱出させようとする蒼。
 今回は、深春も神谷教授も出てきません…しょぼん

 犯人(?)が荒っぽいことをするので、今回は推理がどうのとか、建築がどうのっていうのはあんまりないです。まぁ、なくてもいいんだけどさww
 ともあれ、最近の作品は散漫な感じがしてて(京介の過去が、過去が、とひっぱるからさぁ)???なところもあったけど、今回はすっきり筋が通ってました。
 一応、建築探偵におけるモリアティー教授ってことで。
 …ホームズも、なんか散漫だよなぁって作品の後に、モリアティーがでてきて引き締まった感じになったので、推理小説のシリーズっていうのはそういう引力が働くものなのかもしれない。
 と、京介の顔がきれいきれいと、出てくるんだが、さすがに食傷気味ww つか、前髪でほとんど顔かくしてて、メガネかけてて、でも彫りが深いんじゃないし、目も切れ長、って、どこできれいんだよww 唇がきれいって、確かにきれいかもしれないけど、人間のきれいっていうのは全体のバランスとかそういうのとか、オーラとかだからなぁ。でもって、今までなるべく顔が出ないように行動してたのに、「きれいな人がいたから思わず写真とった」って一般市民を目撃者にさせるのは無茶がある気がするんだが。
 ま、こういうことも含めて、15作目ですっきりさせていただけるもんと信じておりますm(__)m

DVD 花とアリス

2006年07月17日 | DVD
花とアリス 特別版
花とアリス 特別版
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アミューズソフトエンタテインメント (2004/10/08)売り上げランキング: 4,818


花とアリス 通常版
花とアリス 通常版
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★★★

 高校生、花は、頭をぶつけた憧れの先輩につい「私たち付き合ってるんです」と嘘をついてしまう。親友のアリスは、その嘘の片棒を担がされる…。

 岩井俊二監督です。
 良くも悪くも、岩井監督だなって映画。
 主演は、鈴木杏ちゃん。天真爛漫な少女を演じてる杏ちゃんより、「リターナー」のハードな杏ちゃんの方がすきなので、よかったっす。背中むけて、先輩に本当のことを告白するシーンは、圧巻。演技力あります。
 杏ちゃんファンは、買いだなww
 相手役は、蒼井優。最近注目されてる女優さんみたいだが…。すみませんm(__)m
 よかったのはダンスシーン。(杏ちゃんもバレエやってるシーンがありますが、これは、あかん) しかし、トウを用意しないと踊れないっていうのは、ヘンだ。でもって、ああいうもので代用っていうもは、もっとヘンだ。つか、危険すぎるだろう。普通にトウを持っていたって設定で充分だと思うよ。ヘンなところで凝るとリアルティをなくすって、典型だな。

 あと、色んなところで、色んな役者さんが、あれって感じで出てます。
 その辺りでも楽しめるかな。
 と、二人の友達の「けんかしちゃダメだよ」って言う子。この子がいい。時間のずれた感じが上手かった。

  リターナー ― デラックス・エディション

 

ミステリー傑作選

2006年07月15日 | ミステリー(邦人)
殺人の教室 ミステリー傑作選

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◆「殺人の教室」

 日本推理作家協会の編集によるミステリー短編集。

 宮部みゆき、奥田英明、伊坂幸太郎、北森鴻、法月倫太郎、乙一、松尾由美、加納朋子、笹本稜平、緑川聖司の10作品が収録。

 北森鴻を目当てに買ったら、読んだことあるやつだった…。ち。
 で、読む気をなくしていたんだが、結論、ものすごく面白かった。奥田氏や伊坂氏、笹本氏は始めて読んだ。予想をうらぎる面白さww 今度ちゃんと本を買おうと思っている。

 アンソロジーは、中の全部がよいっていうのは、実はあまりない。
 1つだけよくてあとは、おいおいっていうこともあるし、反対にすごくいいのに、1つか2つ、おいおいのがあるってことも多い。そういうのって、短編集のバランスとしての必要悪なのかと、半ば思っていた。
 が、そうではないのだと、今回ので認識しましたww

倉橋由美子

2006年07月15日 | 文学ww 邦人
老人のための残酷童話

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◆「老人のための残酷童話」

 「大人のための残酷童話」の老人版。
 大人のための、が外国の童話が多かったのに対して、こっちは和風ですな。でもって、オリジナルがおおかった。
 面白かったけど、大人のための、ほどではないような。
 風刺と諧謔満載だけど、もともとそういうのがすきじゃないし、歳とってもこーいう苦労(?)するのはかんべんって気になってしまった。

 ああ、そういう気にさせられたのだから、倉橋由美子の勝ち、ってもんですか。

DVD ケリーザギャング

2006年07月15日 | DVD
ケリー・ザ・ギャング
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2005/12/23)


★★★★

 19世紀オーストラリアを舞台に、国中に悪名を轟かせた伝説のアウトローの生き様を描いたドラマティック・アクション。出演はヒース・レジャー、オーランド・ブルームほか。

 よかったです。
 へんにヒーローとして描かいてなくてよい。自分たちの立場を哀れむような描き方をしてないのがよかった。
 あと、余計なものをすっぱり切り落としたような構成も。

 オーランドくんをはじめとした脇役もよかったです。
 オーランドくんは、いい役者になったよな。主役もはれるけど、脇役で、ちゃんと映画にあわせた存在感を作れるって、すごいよ。ま、そろそろヒゲつらじゃない映画やって欲しいですけどww
 あと、ナオミ・ワッツも出てます。
 やっぱりパーツは美人だけど、美人オーラが少ない女優だww
 

DVD なまいきシャルロット

2006年07月15日 | DVD
なまいきシャルロット ニューマスター版
竹書房 (2004/11/19)
売り上げランキング: 22,133


★★★

 13歳のシャルロットが主人公のひと夏の話。

 タイトルが「なまいき」だけに、ずっとぶすっとしてます、シャルロット。とにかく機嫌が悪い悪いww でも、自分の13歳のころ考えたらこれが普通か。
 同じ歳の華やかなピアニストにあこがれる気持ちや、いらだつ自分を押さえ切れなかったり、見てるとだんだん切なくなるのが不思議。
 不細工だと思ってたシャルロットがかわいく見えてくるから不思議ww
 主演はシャルロット・ゲンスブール。
 天才アーティスト、セルジュ・ゲンスブールと人気女優ジェーン・バーキンとの間に生まれた子で、「レ・ミゼラブル」や「ジェーンエア」にも出てます。すっかりフランスを代表する女優さんに育った模様。
 
 地味な地味な映画だけど、よかったっす。

DVD ブラザーズ・グリム

2006年07月15日 | DVD


ブラザーズ・グリム DTS スタンダード・エディション
ハピネット・ピクチャーズ (2006/03/17)


★★

 マット・デイモン(号泣)
 
 グリム兄弟の兄ちゃんやってます。マット・デイモンといえば、「ぐっとウィルハンティング」とか「ボーンスプレマシー」とか、かっこよかったはずなんだけどな。なんか、指輪のサムの役者さんかと思ったよ。
 私的には、そこが一番のびっくり<をい

 ストーリーは、フランスに占領されたドイツの村で少女の失踪事件がおき、それを解決する兄弟。
 フランス占領下のドイツ、しかも中世、っていうのは、なじみがなくていまひとつ乗り切れない。つか、様々にいろんな部分で、中途半端な感じでノリきれずに終わった。
 村にいる男勝りの若い女性で、事件のカギを握ってると、ステレオな設定はいいんだけど、だからって肝心のところの説明がほとんどないっていうのは、どーなんでしょ。
 映像はきれいでした。

秋月こお

2006年07月08日 | 文学ww 邦人
人騒がせなロメオ 富士見二丁目交響楽団シリーズ 第6部

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◆「人騒がせなロメオ」

 フジミシリーズの何冊目??

 フジミ専門の練習ホール建設へ動き始めたフジミの面々です。と、守村くんのお騒がせ生徒がまたやってくれます。タイトルのロメオは、その生徒のこと(しばらくわからんかったよww)

 なんつーか、パターンですか。
 最初のほうに日常生活の色々があって、Hがあってって。最近50PぐらいまでにHがあるように感じるんですが。うむ。売れるために出版社から「Hは最初のほうにいれください」とかって指示があるんだろうか?って思うぐらいです。
 まぁ、それはどーでもいいことなんだけどね。
 どーでもいいついでに、やっぱイラストは西さんがよかったなぁ。圭のビジュアルが、後藤さんだと目で殺すような鉄壁のクールさつーのがないんだもの。と、今回しみじみ思ったです。
 うむ、よーするに本文でクールとかって表現が多いと違和感がでてくるんだな。ついでに、生徒の由之小路(よしのこうじ)を「プチ桐ノ院」などと表現しているからには、圭にはさらにクールにいってもらわないとね、と。

藤本ひとみ

2006年07月08日 | 文学ww 邦人
鎌倉の秘めごと

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◆「鎌倉の秘めごと」

 翻訳家の主人公が、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌについての回想録の行方を追ううちに、ある男性と出逢い、異様な恋に落ちていく。

 最初のページがどきっとするので期待したら…。
 結局、ジョゼフィーヌの謎なのか、主人公の恋なのか、どちらにもピントを絞りきれてない感じばかりが残った。また、相手の男はサドの研究家だとかで、そっちのほうのこともでてくるから、さらにピンぼけ。舞台がフランスから鎌倉にいくあたりも、それは人間として異常だろうと思える主人公の夫のことも、深みを与えるどころか、邪魔でしかない。
 まぁ、それでも面白くないことはないんだけどねww

 一気にさくっと読めるので、旅行の時の移動に読むにはベストかもしれない。

ピーター・ロビンスン

2006年07月08日 | ミステリー(翻訳)
エミリーの不在(上)

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オンライン書店ビーケーワン:エミリーの不在 下

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◆「エミリーの不在」

 家出した上司の娘が、ポルノサイトにでていた。探しだすように以来された主人公。娘は無事に家にかえったが…。
 
 シリーズものの11作目。翻訳はどーなってるんでしょうかねぇ。誰か詳しい方、教えてくださいm(__)m
 だもんで、主人公は離婚調停中。妻とよりをもどそうと四苦八苦してるところは「わかってないわね」って感じで、こんな主人公でこの先大丈夫かと思ったら、大丈夫だったww
 わかんないところは気にしない、って方なら充分面白いです。(どーしても気になるって方は1作目から読んだほうがいいかとww)
 ストーリーとしては、さほど複雑でもなく、人物像もさほど深いわけではない。表現もおおって感じでもない。でも、読み終わって胸がしんとした。
 うーーーん、誠実な作品というべきか。
 作者の誠実さが、様々に現れていて、それが物語りに深みを与えてるのだと思う。