読書記録

とりあえず、読了本をあげていくつもりです。
…もしかしたら、映画とか、ゲームとかまで…たどりつくのかww

森博嗣【四季 冬】

2007年01月06日 | ミステリー(邦人)
四季 冬
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◆「四季 冬」

 四季シリーズの完結編。

 「有限と微小のパン」の最後も、なんだかな、って思ってたけど、やっぱりこっちもなんだかな。
 …詩、ですか。

 ま、こんな風に書くと、てめえがアホだからわからんのだろう、と断定されるのがオチだが、天才の思考だから凡人にはわからん、という表現は「逃げ」だと私は思うんだがな。
 もっとも、このなんだかわからない感じが人気の所以なんだろう。
 でも、天才=非人間的、みたいになってるのだけは、いやだな。

森博嗣【四季 秋】

2007年01月04日 | ミステリー(邦人)
四季 秋
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◆「四季 秋」

 真賀田四季の話。「すべてがFになる」の直後あたりから。

 春、夏と、四季の主観できたのが、ここで萌絵の主観になる。
 うーーーー。
 ま、起承転結でいうと、転だから、主観が変わるというのは「手」ではあると思うんだが、やっぱり四季のシリーズだから、四季の主観を通して欲しかった。
 
 でもって、S&Mシリーズだけでなく、Vシリーズとも繋がっていることが、はっきりするんだが…。
 斉藤美奈子が「文壇アイドル論」で村上春樹を「RPG」と言っていたが、この一連のシリーズも似たようなものかもしれない。
 つまり、伏線をあーだこーだと考えて、つなげていく(攻略していく)、それが楽しみなのかもしれない。
 
 …私は、いいやww

高橋克彦【ドールズ 闇から覗く顔】

2007年01月03日 | ミステリー(邦人)
ドールズ 闇から覗く顔
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◆「ドールズ 闇から覗く顔」

 7歳の少女にとりついてしまった江戸時代の絵師。
 彼が解き明かす、謎の数々。

 折り紙や、影絵など、江戸時代の絵師という設定なので、美術工芸関係の話が主になってます。
 これが面白い。
 江戸時代の文化は、とてもレベルが高く豊かだったのだなぁと感じます。
 事件そのものは、事件が起きて、まきこまれて、最後に少女の中の絵師が現れて(多重人格っぽい感じになっている)さくっと解いてしまうので、ねちっこい推理が好きな人には物足りないかも。
 でも、現代に、その上少女の体に、生まれ変わってしまった絵師の心情や、少女の家族の戸惑いなど、色々読ませる部分が多彩なのだ。

 1作目「ドールズ」で、これは序章なんだと思ったが、その通りだった。
 「ドールズ」を買う時は、2作目、3作目も一緒に買いましょう。

森博嗣【四季 夏】

2007年01月02日 | ミステリー(邦人)
四季 夏
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◆「四季 夏」

 真賀田四季、13歳。「すべてがFになる」の根源となる事件がおこる。

 相変わらずの四季の天才っぷりに、振り回される読者なのである。
 うーーーん、いくら天才でも、こう非人間的に成長するもんなんだろうか。読んでて、とにかく悲しいのは、彼女が人間的な情愛に触れられないこと。天才っぷりで周りを拒絶してる部分があるとはいえ、「子供を守るのが大人の仕事」(from「鋼の錬金術師」)とひっぱたくような人はいなかったのか。
 ま、いたら、こういう話に展開しないんだけどさ。

 なんつーか、このシリーズ、裏テーマは「人間にとって必要なことは」ってことじゃないかと、ちょっと思えてきた。

樋口有介【初恋よ、さよならのキスをしよう】

2006年12月30日 | ミステリー(邦人)
初恋よ、さよならのキスをしよう
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◆「初恋よ、さよならのキスをしよう」

 柚木草平シリーズ2作目。
 スキー場で偶然、高校の同級生と再会した柚木。その後、彼女は殺され、彼女の姪から事件の捜査を以来される。

 飄々としてとぼけてる感じの柚木だが、結構ハードボイルドな生い立ちなのだ。それを語りながら、美しかった同級生への憧憬を語るあたりは、職人技ですな。
 そして人の心の闇というか、深淵というか、ウィスキーのような後味の苦さがある。が、それは不愉快ではない。
 苦さがあるから、甘いものが愛おしいのだし、闇を拒絶するだけでは光を得ることはできない。
 ハードボイルドなのだ。
 でも、とぼけてる。
 このバンランスの妙。

 4作目もあるそうなので、さくっと出してください。創元推理文庫様m(__)m

樋口有介【彼女はたぶん魔法を使う】

2006年12月26日 | ミステリー(邦人)
彼女はたぶん魔法を使う
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◆「彼女はたぶん魔法を使う」

 柚木草平シリーズの1作目

 ひき逃げ事件を探っているうちに、また事件に巻き込まれる。

 ちなみに2作目は「初恋よ、さよならのキスをしよう」です。でもって、このシリーズ最初別の出版社から出てて、そこで絶版になった模様。
 絶対、タイトルで損してると思います。
 だから3作目の「探偵は今夜も憂鬱」から買ったんじゃん。

 なんだかな、のタイトルはおいといて…。

 やっぱりハードボイルドなんだけど、とぼけてます。
 女に弱い、ところが所以なのか。娘にまで弱いからな。そういうところが微笑ましい。
 でもって、この出てくる女皆なんだか怪しい(ww)んだが、そういうところの描き方がまた上手い。
 雰囲気は、昔の映画なんだろうなぁ。
 映像化すると、案外受ける気がするんだけど…地味すぎるかな。

森博嗣【四季 春】

2006年12月25日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:四季 春
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◆「四季 春」

 「すべてがFになる」の真賀田四季の物語。
 
 ま、四季は天才なので、6歳とは思えない思考です。
 でもって、そういうのをへんにリアルティをもって描けるのが、森博嗣の力量なのか。
 でも、いくら天才でも6歳児は6歳児なりの偏狭さとか、依存心とかもってると思うんだがなぁ。

樋口有介【探偵は今夜も憂鬱】

2006年12月23日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:探偵は今夜も憂鬱
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◆「探偵は今夜も憂鬱」

 元刑事のフリーライター、柚木草平のもとにやってくる憂鬱にさせる事件たち。

 面白かった。
 なんといっても柚木のキャラがいい。
 ハードボイルドな感じなのだけど、どっかとぼけた雰囲気があって、なんとなく口元がゆるむ。
 柚木が美女に振り回せるのが、なんともヘタレでよろしい。
 オヤジでヘタレ…。ツボだったww

 推理そのものも、凝ってはいないが、しっかり骨格があって骨太という感触だ。
 はまりました。

乙一【GOTH 僕の章】

2006年12月05日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:GOTH 僕の章
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◆「GOTH 僕の章」

 人の残虐性を好む嗜好を自覚している「僕」
 そしてその性格を見抜いた、森野夜。
 二人のアンソロジー。

 学校の中で浮いている森野夜と、表面上は穏やかに暮らしている僕なのだが、お互いには友情を感じているとか、そういうのじゃないところが、斬新。というか、怖い。
 「僕」はこうして、どんな大人になっていくのだろう。
 上手く立ち回って、そこそこの人生を送るのだろう。因果応報なんていうものは、存在しない。
 「僕」の抱えている闇は、もしかしたらそういうことなのかもしれない。つまり、物事はただそこにあるだけで、それが何かに影響したり、転じて災いを呼ぶということにはならないということ。因果を応報する存在、たとえば神、はいないということではないだろうか。

 読後、考えさせられる作品である。

乙一【GOTH 夜の章】

2006年12月05日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:GOTH 夜の章
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◆「GITH 夜の章」

 森野夜(もりのよる)が拾った1冊の手帳が導く、連続殺人。
 人の残虐性を見たがり、見るために行動までする、夜と「僕」のアンロソジー。
 
 第3回本格ミステリー大賞受賞作。

 乙一は、天才である。
 こういう視点はちょっと思いつかない。
 そして、かなりエグいシーンがあるのだが、不思議とどの場面も静かだ。現実感がない、というわけではない。これは、主人公達が自分たちの周りをシールドしているという感触なのだろう。
 それを、行間で読ませるのだから、やっぱり乙一は天才である。

 「犬」にはやられました。
 別のアンソロジーで読んでたんだけど(つか、それでよかったので乙一を読んでみる気になった)やっぱりすごかった。
 完敗ですww

加納朋子【ささらさや】

2006年11月17日 | ミステリー(邦人)
ささらさや
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◆「ささらさや」

 事故で夫をなくし、赤ん坊をかかえて一人になったさや。彼女を助けるために夫は幽霊(?)になって彼女を助ける。

 とかくと、心霊ものっぽいですが、しっかりミステリーです。
 加納朋子お得意の身近な謎、ってやつですね。
 でもって、脇役がいい味をだしてます。「レインレイン・ボウ」でもそうだったけど、加納朋子はお年寄りをきっちり(ちょっとステレオかなと思う部分もあるけど)描いてるところがいいですね。
 ともあれ、夫のゴーストが現れるのは、都合よすぎだし、そうやって助けるのは実際彼女のためになるの?と思わないでもないですが、ま、これは大人の童話だから。
 と、いいつつ、最後の別れのところで、号泣してしまったのでした。
 ははは。


加納朋子【レインレイン・ボウ】

2006年11月17日 | ミステリー(邦人)
レインレイン・ボウ

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◆「レインレイン・ボウ」

 高校のソフトボール部の仲間が、通夜の席で再会した。その7人の女性のそれぞれの視点で、生活とその中の謎を描く。

 短編の中に小さな謎を含みながら、全体として大きな謎を描きながら展開していく。ゆえに、全てがわかる最後の「青い空と小鳥」は圧巻である。
 短編集は、どこから読んでも普通いいけど、これだけは絶対順番に読みましょうww

 7人いると、おいおいって人もあるし、気の合いそうな人物もいる。と、こういうことを感じるほど入り込むことができて、面白かった。
 特にオバちゃんたちと戦う「雨上がりの藍の色」が痛快でよかった。
 ようするに何かを変えるには、愚痴を言っても無意味で、行動をおこすことしかない、とストレートに訴えてきてるところがよかった。
 中学生ぐらいに読ませると、いいんでないだろうか。

東野圭吾【手紙】

2006年11月12日 | ミステリー(邦人)
手紙
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◆「手紙」

 強盗殺人を犯し収監された兄と、弟をめぐる物語。

 もう号泣もんなのだ。
 罪は、刑務所にはいったからといって終わるわけじゃない。罪は、周りに波及して身内を苦しめる。
 あたりまえのことのようだけど、そこをここまできちっと描いた作品は今までなかったんじゃないだろうか。
 これこそ、学校指定図書かなんかにして、学生に読ませるべきだと思うww

望月諒子

2006年09月10日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:呪い人形

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◆「呪い人形」

 女性雑誌記者を主人公にした3作目。
 
 このシリーズ、ともすればだれが主人公?ってなりやすいのだが、今回のはそれがさらにパワーアップ。気が付くとずーーっと主人公でてなかったり…。
 かつて医療事故の責任を負わされて病院を追われた医師に、のろいで人を殺すという老婆に、野心的女性ライター、となかなか役者そろいで始めたものの、ちょっと消化不良の感じがいなめない。
 で、結末も……。
 うーん、これで納得しろというのはキツイな。まあ、へたに転がしても、それはそれでいきなりリアルティがなくなった、とかって言われそうなんだけどね。

 望月諒子、面白いです。
 でも、これよりは、前2作のほうが面白いよ。

望月諒子

2006年09月10日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:殺人者

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◆「殺人者」

 大阪のホテルで惨殺死体が発見された。主人公の雑誌記者はその事件を追う。

 最初からエグイです。
 前作「神の手」も具体的なシーンがあるわけじゃないのにえぐかったけど、これはもろエグイ。スプラッターが苦手な人は、やめといたほうがいいよ。
 話は、主観がころころ変わる。まさに神の視点で書いてる、つか、俯瞰してるわけで、この浮遊状態での視点で貫きとおしてるあたりは、上手い。
 うむ。彼女は視点の作家か。
 でも、犯人像がなんだかね。犯行してるときは別人格みたいになってるとしても、違和感ありすぎ。と、結末もなんだかね。
 
 でも、おもしろかった。前作よりよかったです。