「シブミ」
画像がなかったので、単行本を出してますが文庫ででてます。
覆面作家トレヴェニアンが、2005年の12月に亡くなったことを、近々公開になる映画「ミュンヘン」とのかねあいで、どーんと再販されてます。
なぜにミュンヘンなのか、前置きを書くと長くなるのではしょりますが、幼年期を日本ですごした暗殺者ニコライ・ヘルを主人公にしたサスペンス。導入とかでハリウッド的な派手なアクションを期待すると肩すかしをくらいます。中盤は青春小説ですな。
にしても、トレヴェニアンはすごい。
ヘルは、すでに引退した暗殺者として登場するのだけど、もうその設定からしてシブイ。日本で育ち、囲碁を通して、シブミの境地にいくことを目標としているヘル。その洞察は日本人以上に日本人です。
日本を舞台にした海外小説はいくつかあるけど、どれも???な部分がある。が、これは違和感が全くなかったです。
最初はちょっとなんだか読みにくい。
「ワイオミングの惨劇」も最初がちょっとしんどかったので、多分トレヴェニアンはそういうタイプの作家なんだろう。
でも、あとはぐいぐいとひっぱっていってくれます。
最後の最後まで、息が抜けない。
ああ、いいもの読んだぜ。