読書記録

とりあえず、読了本をあげていくつもりです。
…もしかしたら、映画とか、ゲームとかまで…たどりつくのかww

樋口有介【初恋よ、さよならのキスをしよう】

2006年12月30日 | ミステリー(邦人)
初恋よ、さよならのキスをしよう
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◆「初恋よ、さよならのキスをしよう」

 柚木草平シリーズ2作目。
 スキー場で偶然、高校の同級生と再会した柚木。その後、彼女は殺され、彼女の姪から事件の捜査を以来される。

 飄々としてとぼけてる感じの柚木だが、結構ハードボイルドな生い立ちなのだ。それを語りながら、美しかった同級生への憧憬を語るあたりは、職人技ですな。
 そして人の心の闇というか、深淵というか、ウィスキーのような後味の苦さがある。が、それは不愉快ではない。
 苦さがあるから、甘いものが愛おしいのだし、闇を拒絶するだけでは光を得ることはできない。
 ハードボイルドなのだ。
 でも、とぼけてる。
 このバンランスの妙。

 4作目もあるそうなので、さくっと出してください。創元推理文庫様m(__)m

樋口有介【彼女はたぶん魔法を使う】

2006年12月26日 | ミステリー(邦人)
彼女はたぶん魔法を使う
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◆「彼女はたぶん魔法を使う」

 柚木草平シリーズの1作目

 ひき逃げ事件を探っているうちに、また事件に巻き込まれる。

 ちなみに2作目は「初恋よ、さよならのキスをしよう」です。でもって、このシリーズ最初別の出版社から出てて、そこで絶版になった模様。
 絶対、タイトルで損してると思います。
 だから3作目の「探偵は今夜も憂鬱」から買ったんじゃん。

 なんだかな、のタイトルはおいといて…。

 やっぱりハードボイルドなんだけど、とぼけてます。
 女に弱い、ところが所以なのか。娘にまで弱いからな。そういうところが微笑ましい。
 でもって、この出てくる女皆なんだか怪しい(ww)んだが、そういうところの描き方がまた上手い。
 雰囲気は、昔の映画なんだろうなぁ。
 映像化すると、案外受ける気がするんだけど…地味すぎるかな。

恩田陸【クレオパトラの夢】

2006年12月25日 | SF
クレオパトラの夢
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◆「クレオパトラの夢」

 「MAZE」の神原恵弥シリーズ2作目。

 舞台は函館で(H市になってますが、ばればれですww)恵弥の双子の妹を、不倫相手から離すためにやってきて、そこで殺人事件がおこる。

 相変わらずかっこいい恵弥なのだ。女言葉だけどww
 「MAZE」に比べると事件がはっきりしている、というか、明確なんだが、恵弥の存在そのものは希薄な感じがする。
 きっと、彼は「MAZE」のような異国の異様な状況にある時が、一番彼らしくて、日本で家族のそばにいる時は、それようのカバーをかぶっているのだろう。
 ってことで、これの裏テーマは、一般的な社会にうっすらと浮いてる恵弥の姿、なんではなかろうかww

 と、恩田陸作品を読むとよくNHKでやってた「少年ドラマシリーズ」を思い出すのだが、今回もずーーっとオーバーラップしていた。
 「タイムトラベラー」のなんともやるせない、切ない話の断片が、頭の中をぐるぐるしていた。

森博嗣【四季 春】

2006年12月25日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:四季 春
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◆「四季 春」

 「すべてがFになる」の真賀田四季の物語。
 
 ま、四季は天才なので、6歳とは思えない思考です。
 でもって、そういうのをへんにリアルティをもって描けるのが、森博嗣の力量なのか。
 でも、いくら天才でも6歳児は6歳児なりの偏狭さとか、依存心とかもってると思うんだがなぁ。

梨木香歩【春になったら苺を摘みに】

2006年12月24日 | エッセイ
春になったら苺を摘みに
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◆「春になったら苺を摘みに」

 イギリスにホームステイしていた時の女主人、ウェスト夫人のことを中心にしたエッセイ集。

 「理解はできないが、受け入れる」この寛容さが、全てを貫いている。
 これって、なかなかできることじゃない。
 ウェスト夫人は、しなやかに強い。できれば、こういう年齢の重ね方をしたものだと、自我の乏しい私は思う。
 そして、夫人を描いている梨木香歩の視線も、やさしく、つねに公平である。
 批判はしない。不愉快になることもあるけれど、それは不愉快になったということだけであって、その人のそれ以外を損なうものではない。という視点って、なかなか通せるものじゃないと思う。
 ウェスト夫人の影響の結果なのだろうか。

 いいエッセイだった。

樋口有介【探偵は今夜も憂鬱】

2006年12月23日 | ミステリー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:探偵は今夜も憂鬱
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◆「探偵は今夜も憂鬱」

 元刑事のフリーライター、柚木草平のもとにやってくる憂鬱にさせる事件たち。

 面白かった。
 なんといっても柚木のキャラがいい。
 ハードボイルドな感じなのだけど、どっかとぼけた雰囲気があって、なんとなく口元がゆるむ。
 柚木が美女に振り回せるのが、なんともヘタレでよろしい。
 オヤジでヘタレ…。ツボだったww

 推理そのものも、凝ってはいないが、しっかり骨格があって骨太という感触だ。
 はまりました。

大崎善生【パイロットフィッシュ】

2006年12月19日 | 文学ww 邦人
パイロットフィッシュ
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◆「パイロットフィッシュ」

 吉川英治文学賞新人賞受賞作。

 主人公のもとに19年前に別れた恋人から電話がかかる。それをきっかけに、彼は自分の人生というより、自分の周りの人たちのことを、振り返りはじめる。

 「アジアンタムブルー」の前日譚。
 らしいのだが、すごい混乱しちまったよ。
 「アジアンタム・ブルー」と同じ主人公に思えない。思えないのに、同じような仕事してるし、熱帯魚もアジアンタムもでてくるし…。
 多分、「パイロットフィッシュ」を書いたときには、続編を書くつもりはなかったんだろう。なので色々いれてしまった。いれるためには、当然脚色をする。でも続編ではその脚色がうまく効かない、と、ま、なんとなくこうなった理由はわかる。

 絶対「パイロットフィッシュ」から読みましょう。
 順番間違えると、3割は損しますww

 で、中味。
 大崎善生のほかの作品に比べて、作りすぎてるかな、と思うところがないわけでない。でも、そういうのを独自の透明感で不問にしてしまっている。
 透明であるのに、雑多なパワーがある。
 主人公がエロ本の編集者という設定だからだろうか「マノン・レスコー」
に代表される<純粋な売春婦>っぽいものを感じる。
 そう、相反するものも突き詰めていけば、無色透明になる。

 そういや、大崎善生の文庫には解説がない。
 孤高にやっていくつもりのようだ。(解説は、どうも頼んだら頼まれるようになって、だんだん面倒になってくるらしい)
 村上春樹も解説をつけないので有名だが、そりゃもう風当たりがきつかったらしい。
 がんばれ!!


平田俊子【ピアノ・サンド】

2006年12月16日 | 文学ww 邦人
オンライン書店ビーケーワン:ピアノ・サンド
【amazon】    【BK1】 

◆「ピアノ・サンド」

 離婚後、一人暮らししてる主人公が、100年前のピアノを預かって欲しいと頼まれる…。
 「ブラック・ジャム」同時収録。

 野間文芸新人賞受賞作家だそうだ。

 なんつーか、読後感が悪いです。
 別にエグイとか、登場人物に嫌悪感がわくとか、そういうのじゃないのに、なんともいやあな気持ちになってしまった。
 帯の「この小説は見知らぬ町の見知らぬ場所への入り口である」というのは、確かにそうなんだろう。
 
 ともあれ、このいやああ気持ちは何なのか、考えてみる。
 うーーーん。
 ようするに、主人公がさっぱりわけわからないからなんだろう。「ピアノ・サンド」は不倫もしていて、肝心のピアノにどうこうということもたいしてなく、物語は唐突に終わる。
 「ブラック・ジャム」は、腕のやけどのあとのために、ネガティブになっている主人公。
 ま、単にこれだけの問題ではないんだろうけど。でもね。
 ネガティブで、クールを通り越して酷薄な主人公っていうの、私は苦手です。

大崎善生【アジアンタムブルー】

2006年12月15日 | 文学ww 邦人
オンライン書店ビーケーワン:アジアンタムブルー
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◆「アジアンタムブルー」

 恋人を失った主人公が、過去を回想しつつ、すこしづつ癒されていく話。

 阿部寛と松下奈緒で映画化されてます(2006年11月18日公開)

 だもんで、本の表紙が映画バージョンになっていて、阿部寛の顔や松下奈緒の顔があるので……イメージ違うんですけどね。映画は映画でいいんだけど、こうやってイメージを無理矢理刷り込むのはどうかと思います。映画のイメージそのままに読みたい人はいいんだろうけど、違和感を覚えるものには拷問のようだ。
 ま、こういうのいれると売り上げが違うから、やってるんだろうけどさ。

 で、中味。

 大崎善生は「ドナウよ、静かに流れよ」がよかったので、「孤独か、それに等しいもの」読んで、はまりました。
 ちょっと、村上春樹を思わせる文体で、淡々としてて、押し付けがましくないところが好ましい。
 でもって、アジアンタムブルーでも泣かせていただきました。
 人を失うということは、一つの空白を抱えることなんだと思う。大崎善生は、その空白をきちんと、エッジがわかるように描くことが出来る作家なのだと思います。
 脇役も効いてます。
 
 映画、やっぱり見たいなぁ。

高橋克彦【ドールズ】

2006年12月15日 | ホラー(邦人)
オンライン書店ビーケーワン:ドールズ
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◆「ドールズ」

 7歳の女の子がひき逃げされた。それをきっかけのように、彼女の体は妙な兆候を見せ始める。
 彼女の叔父が、その謎を探りはじめる。

 すでにこのシリーズ、3作目まででています。
 で、2作目の紹介とかで、ネタばれしています。まぁ、本の紹介となればいたしかたないんだけど。なので、この1作目は2作目以降の前置き、だと思って読んだほうが無難かと思います。
 ええ、私はこれは序章だと思って読んでましたww

 生まれ変わりをあつかったものなのだけど、7歳の子供なので、どうも深みにかけます。この手を扱ったのであれば、庄司陽子の「風を見る人 」のほうが数段すごい。(「風を見る人」は傑作です。生まれ変わりや、愛や死を、すごく考えさせられます)
 なので、やっぱりこれは序章なのです。

 にしても、子供の父親がいけすかんヤツで…。
 まぁこのあたりも、次作での伏線になっているんじゃないかと、期待してるのですが。
 どうなんでしょう。


ジェフリー・ディーヴァー【エンプティー・チェア】

2006年12月13日 | ミステリー(翻訳)
オンライン書店ビーケーワン:エンプティー・チェア 上
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オンライン書店ビーケーワン:エンプティー・チェア 下
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◆「エンプティー・チェア」

 「ボーン・コレクター」のリンカーン・ライムシリーズ。
 脊椎手術のためにノースカロライナ州にやってきたライムとサックスは、男を殺害し、女性二人を拉致した少年の行方の捜索を依頼される。

 「エンプティー・チェア(空白の椅子)」というのは、心理医が使う手段の一つ。椅子を一つおいて、そこに自分の思う人がいると考えて、その人に向かって話すというやり方だそうだ。
 タイトルで損してないかな。

 そのほかは、満点。
 これでもか、これでもかと、やってくる様はまさにジェットコースター。短編集「クリスマス・プレゼント」がよかたので、読んでみたんだけど、これほどパワフルな作家だとは思ってませんでした。
 いやあ、やられましたww
 完敗です。

 ライムとサックスの関係が、けっこう切なかったよ。



DVD【ONE PIECE カラクリ城のメカ巨兵】

2006年12月13日 | DVD
ワンピース THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵
東映 (2006/07/21)売り上げランキング: 10159


★★★

 ワンピの映画。

 タイトルのわりに、メカはへなちょこです。
 前半の島の歌にまつわる冒険をメインにするか、カラクリ城のことをメインにするか、○○のことをメインにするか、とにかくどっか絞ればよかったのにな。

 ゲストキャラの声はSMAPの稲垣吾郎。
 これは意外とよかった。つか、あんまり声優らしくなく、オーバーアクションでないところがキャラとあっていた。
 が、しかーーーし。
 チョッパーが、大谷育江じゃなかったんだよね。
 別の声のチョッパーなんて、チョッパーじゃないよぉ(涙)

 なんだかんだと面白かったのに、いまいちのりきれなかったのは、このせいだと断言できます。
 だったら、チョッパーの台詞もっと少なくしてくれてたら、違和感薄かったのになぁ。

DVD【ONE PIECE オマツリ男爵と秘密の島】

2006年12月13日 | DVD
ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島
東映 (2005/07/21)売り上げランキング: 12908


★★★

 ワンピの映画。

 とある島で、競技に勝ったら豪華リゾートというので、のっかった麦わらたち。

 ストーリーは、定石通りの展開。
 でも、ちょこちょこと小技が効いていて、よかった。
 ルフィの仲間を思う気持ちに、胸が熱くなったよ。
 脇役もよかったし。

 ただ、絵がねえ、時々すごい汚いところがあったですよ。つか、作画が変わった??
 映画って絵がきたないと、かなりがっくしくるんですけど。うーー。

DVD【ONE PIECE 呪われた聖剣】

2006年12月11日 | DVD
ワンピース 呪われた聖剣
東映 (2004/07/21)売り上げランキング: 15081


★★★★

 ワンピースの映画。
 とある島には、聖剣の伝説があった…。

 ゾロが昔の仲間にあって、麦わらから離れます。これが他のメンバーだったら、そのうち帰ってくるさ、と楽観できるのだけど、ゾロなので心配したよww
 伝説の部分が、切り絵のような感じで面白かった。
 
 うん、今までのワンピの映画のなかで一番よかったんじゃないだろうか。
 
 でも、声優に久本雅美を使うのは、やめてくれww

DVD【何がジェーンに起こったか?】

2006年12月09日 | DVD
何がジェーンに起ったか?
ワーナー・ホーム・ビデオ (2000/04/21)売り上げランキング: 50133


★★★★

 人気子役だった妹、長じて女優として大成した姉。
 しかし姉は、人気絶頂期に妹による事故で下半身不随になってしまう。
 二人は、ひっそりと暮らしながら老いていった…。

 サスペンスというより、演技を堪能するものです。
 過去の栄光が忘れられず、酒におぼれ、どんどん精神錯乱におちいっていく妹を、ベティ・デイビスがこれでもかと演じてます。すごいです。

 現代でこのネタをやるとなると、もうひとひねりやりそうなのだけど、古きよき時代の映画は素直ですなぁ。
 いやあ、見てない名作はまだまだ多いです。