読書記録

とりあえず、読了本をあげていくつもりです。
…もしかしたら、映画とか、ゲームとかまで…たどりつくのかww

梨木香歩「エンジェルエンジェルエンジェル」

2007年01月30日 | 文学ww 邦人
エンジェル・エンジェル・エンジェル
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◆「エンジェル・エンジェル・エンジェル」

 寝たきりになった祖母が家にきて、祖母の介護を手伝うかわりに熱帯魚を飼う事を許してもらった私…。
 私の主観と、誰だかわからない古い時代の女の子の主観が交互に続く。
 現代の私は、熱帯魚を通じて祖母を心を通わせるが、それも現実なのかどうかあやふやなのだ。
 そして、水槽という世界の神になった私は…。

 介護の話かと思っていたら、しっかりファンタジーしてました。
 ただ、苦いけどね。
 世界ってなにだろう。世界を統べる神の存在は? 生と死と…。とりとめのないことこをぼうっと考えてしまう。
 別の世界にひっぱられる感じがすごくした。

 でも、すごく優しい話だ。

大崎善生「九月の四分の一」

2007年01月25日 | 文学ww 邦人
九月の四分の一
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◆「九月の四分の一」

 大崎善生の短編集。

 *報われざれるエリシオのために
 *ケンジントンに捧げる花束
 *悲しくて翼もなくて
 *九月の四分の一

 今回は石田衣良の解説はいってました。

 「ケンジントンに捧げる花束」がよかったな。
 でも、メインにはいるまでが長い。「パイロットフィッシュ」でも、メインにくるまでが長いと思った記憶が…。この山道をぐるぐる廻りながら上っていく形が、大崎善生のいいところをいえばいえなくもないが、もうちょっとピントを絞ってほしいかなと思わないでもない。テーマがもったないよww

 「悲しくて翼もなくて」
 ドラマ化か映画化すると面白いなと思ったんですけど。
 でも、結末が…。
 彼女のイメージは、YUIかな。YUIで映像化っていうのはどうでしょうねぇ。薄幸な感じ充分あるし。

 全体的に、大崎善生はヨーロッパを描くのが上手い。
 ヨーロッパの空気を感じる。ヨーロッパの空気があるけど、日本人なんだよね。そのらへんのバランスがよいのである。

DVD「プロミス~無極」

2007年01月22日 | DVD
PROMISE <無極> 特別版
PROMISE <無極> 特別版
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★★

 神によって、この世の全てを手にしても愛だけは手に入れられない女と、これ以降決して勝てないとされた男、そしてどうしても女を手に入れようとする男…。
 神の気まぐれに翻弄される男女の話って感じですか。

 でもねぇ、神さまがどーして彼女にこういうことしたのか、さっぱり理解できません。でもって、最後もねぇ。なんだかめでたしめでたしっぽく終わるんだけど、後味悪い。
 でもって真田広之が…。
 違和感ありありなんですけど。どーしてもうちょっと若い俳優を使わなかったのか。日本人使いたいなら、金城くんがいるじゃない。
 と、絶世の美女っつー設定が、笑っちゃうよって感じだったんですけど。
 美女っていうのは、顔のつくりだけじゃなくて、美人オーラーが必要なの。動作とか仕草とかも。でも、どっかの蓮っ葉な女にしか見えなかったよ。
 うー、結局キャストのミスか。

DVD「機動戦士ZガンダムⅡ~恋人たち」

2007年01月21日 | DVD
機動戦士ZガンダムII -恋人たち-
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★★★★

 新訳Zガンダムの2作目。

 サブタイトルが「恋人たち」でちゃんとそういう風にピントを絞ってきてるあたりが、富田監督のやり手な部分か。
 でも絞りすぎて、カミーユがただの女好きっぽいよ。

 と、サラの声が、なんだかなと思ってたら女優さんでした。
 うーーー。事務所から圧力かなんかあるんでしょうか? 普通に声優さん使ってくださいよ。サラがしゃべるたびに、かくってなります。

 前作ではしっかりエースパイロットだったシャアだが、ここらからヘタレまっしぐらなのである。
 つか、あのメガバズーカーが当らないのは、いかがなものか。
 いくらシロッコのプレッシャーがあったからっても、あそこまではずさなくても。
 と、新しく入れたシーンのカミーユの顔が、すごい違うんですけどww 一瞬別人に見えた。いや、フォウなんて服が映らなかったら別人だと思ってたよ。3作目大丈夫なのか。

皆川ゆか「評伝シャア・アズナブル」

2007年01月21日 | 学術
評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻
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評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 下巻
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◆「評伝シャア・アズナブル《赤い彗星》の軌跡」

 シャア・アズナブルの言葉から彼の人生を論じた、真面目な評論。
 ゆえに、学術にカテゴリーしましたww

 ともあれ、すでに語りつくされた感もあるシャアなのだが、それをあえて語ることの難しさ。でもって、冷静さを保ったままでいるあたりも、感心いたしました。
 
 フィクションの人間を、まるで実在の人のように語ることを、ヘンだと見る人も多いのだろう。けれど、愛はフィクションだろが、実在だろうが、そういうことは不問なのだ。
 だいたい、坂本竜馬を云々と語る人だって、それは伝わっている坂本竜馬のことだけで、それが100%真実だとは誰にもわかるものではない。
 坂本竜馬を例に出したのは、偏愛している人が多いからだ。そしてそういう人と、シャアを偏愛する者は、根本的になんら変わるものはない。

 話がそれた。
 
 それにしても、やはりここでもクワトロ・バジーナ時代は不評なのである。
 一番人間味があると私は思うんだがな。人間くさい、ヘタレなシャアが好きなんだが、そういうのはマニアックなのかww
 ともあれ、シャア好きは買うべし、読むべし。
 これを読まずして、シャアを語るべからずww
 

ローレンス・ブロック「死への祈り」

2007年01月21日 | ミステリー(翻訳)
死への祈り
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◆「死への祈り」

 マッドスカダーシリーズ。
 弁護士夫婦が惨殺された。後日その犯人は、死体となって発見されるが、事件に不信なものを感じた夫婦の姪が、スカダーに解決を依頼する。

 今までスカダーシリーズって、スカダーの主観だけで描かれていた、はずだ。
 けれど、これは犯人の主観が交互にはいってくる。
 解説では、シリーズの終わりを示しているのではないかと、書いてあった。それはなんともいえないが、終わりまで読んでいくとこの形にした意味がわかる。わかるが、やっぱりシリーズの終焉が近いのかとも思う。
 でもって、こんな風に思うのは、ブロックが相変わらず上手いからだ。
 
 主人公の主観と、犯人の主観が交錯するなんて、今じゃステレオともいえるような手法だ。普通のことをしていても、普通に終わらない。だって、ブロックだから。
 やられました。

池端亮「BLOOD+03」

2007年01月17日 | ホラー(邦人)
BLOOD+〈03〉ボーイ・ミーツ・ガール
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◆「BLOOD+〈03〉ボーイ・ミーツ・ガール」

 アニメ「BLOOD+」のノベライズ。
 イギリス編のあたまあたりまで。

 相変わらずノベライズなのに、アニメよりはしょっているのである。
 うーーーん。
 やっぱノベライズはもっと緻密であってほしいんですが。でもって、すっかりアニメ終わってしまってるのに、まだこの辺りっていうのはどうなんでしょ。
 つか、漫画の方が、ノベライズはこうあって欲しいな、って方向になってるのはいかがなものか。
 …あああ、漫画買えって戦略なのかぁ(苦笑)

 ま、なんでもいいんだよ、ハジさえいれば。
 ハジが一杯でてくれれば、でもってヘタレだとなおよろしい<をい

ジェフリー・ディーヴァー【コフィン・ダンサー】

2007年01月12日 | ミステリー(翻訳)
コフィン・ダンサー〈上〉     コフィン・ダンサー〈下〉

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◆「コフィン・ダンサー」

 リンカーン・ライムシリーズの2作目。
 殺し屋「コフィンダンサー」との戦い。

 表紙がねぇ、なんでこれだけこういうのなんだろう。
 かーなーりー、表紙で損してると思います。

 ともあれ、息詰まる推理合戦って感じで、一気読みしました。いやあ、すごかった。
 「ボーンコレクター」の時は、あんまり気づかなかったんだけど、時々エロティックなシーンがはいりますなぁ。これって、黄門様における由美かおるの入浴シーン? やっぱりベストセラーになるには、こういうサービスも必要ってことなんでしょうかねぇ。

 欲をいえば、もっとコフィンダンサーのバックボーンに明確さがあったらいいけど、でもそれを出したらネタばれだし、作品の緊張感が失われるか。
 そう、ディーヴァーのすごいところは、緊張感のコントロールなのだ。
 上手く緊張させられ、ほぐされ、また緊張させられて、完全にディーヴァーにやられていると感じる。
 そしてそれが快感だから、始末におえないww

村上春樹【「ひとつ、村上さんでやってみるか」…】

2007年01月09日 | エッセイ
「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?
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◆「「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?」

 相変わらずながーーーーいタイトルの村上春樹にメールで質問、の本です。

 そして相変わらずPCの起動時に読んでる私。
 不思議とやる気がでるからね。ありがたいっす。

 それにしても、自我を守るというのは難しいもんです。
 そのために生じる責任を、ちゃんと負わなきゃいけないものね。生きているということは、何事対しても責任と代償が必要なのだ。
 と、そういう基本的なことを、かみ締めてしまうのが、このシリーズの不思議なところ。

 猫のマーロウさんが好きです。
 と、安西水丸氏の4コママンガが、そうとうきてますww

ジェフリー・ディーヴァー【ボーン・コレクター】

2007年01月09日 | ミステリー(翻訳)
ボーン・コレクター〈上〉     ボーン・コレクター〈下〉

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◆「ボーン・コレクター」

 映画化されてるので、ストーリーなんかわかちゃってますよね。

 全身麻痺の元科学捜査官リンカーン・ライムシリーズの1作目。
 映画のイメージとは、ライムはちょっと違うかな。映画は、デンゼル・ワシントンが主役で当然黒人なんだけど、原作は白人。でもって、そういうのってなんかちょっと違う。
 つか、これで違和感を覚えるとは思ってなかった。
 恐るべし、アメリカの差別社会。うん、差別社会という根底があるから、ライムの感性が映画と原作では違ってくる。ってことは、映画の脚本がとてもよくできているってことか?
 と、今調べたら、アメリアも原作はアメリア・サックスという名前なのに、映画はアメリア・ドナヒーになってる。アンジェリーナ・ジョリーがアイルランド系には見えないからか?
 あと、看護師も男性から女性に変わってるし…。
 変えた意図が知りたいなぁ。

 ともあれ、映画とストーリーはほとんど一緒だけど、細々と違うために、印象が違う。ゆえに、とっても楽しめます。
 
 でも、ライムとアメリアが接近するのは、急すぎると感じるんだがww

森博嗣【四季 冬】

2007年01月06日 | ミステリー(邦人)
四季 冬
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◆「四季 冬」

 四季シリーズの完結編。

 「有限と微小のパン」の最後も、なんだかな、って思ってたけど、やっぱりこっちもなんだかな。
 …詩、ですか。

 ま、こんな風に書くと、てめえがアホだからわからんのだろう、と断定されるのがオチだが、天才の思考だから凡人にはわからん、という表現は「逃げ」だと私は思うんだがな。
 もっとも、このなんだかわからない感じが人気の所以なんだろう。
 でも、天才=非人間的、みたいになってるのだけは、いやだな。

森博嗣【四季 秋】

2007年01月04日 | ミステリー(邦人)
四季 秋
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◆「四季 秋」

 真賀田四季の話。「すべてがFになる」の直後あたりから。

 春、夏と、四季の主観できたのが、ここで萌絵の主観になる。
 うーーーー。
 ま、起承転結でいうと、転だから、主観が変わるというのは「手」ではあると思うんだが、やっぱり四季のシリーズだから、四季の主観を通して欲しかった。
 
 でもって、S&Mシリーズだけでなく、Vシリーズとも繋がっていることが、はっきりするんだが…。
 斉藤美奈子が「文壇アイドル論」で村上春樹を「RPG」と言っていたが、この一連のシリーズも似たようなものかもしれない。
 つまり、伏線をあーだこーだと考えて、つなげていく(攻略していく)、それが楽しみなのかもしれない。
 
 …私は、いいやww

高橋克彦【ドールズ 闇から覗く顔】

2007年01月03日 | ミステリー(邦人)
ドールズ 闇から覗く顔
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◆「ドールズ 闇から覗く顔」

 7歳の少女にとりついてしまった江戸時代の絵師。
 彼が解き明かす、謎の数々。

 折り紙や、影絵など、江戸時代の絵師という設定なので、美術工芸関係の話が主になってます。
 これが面白い。
 江戸時代の文化は、とてもレベルが高く豊かだったのだなぁと感じます。
 事件そのものは、事件が起きて、まきこまれて、最後に少女の中の絵師が現れて(多重人格っぽい感じになっている)さくっと解いてしまうので、ねちっこい推理が好きな人には物足りないかも。
 でも、現代に、その上少女の体に、生まれ変わってしまった絵師の心情や、少女の家族の戸惑いなど、色々読ませる部分が多彩なのだ。

 1作目「ドールズ」で、これは序章なんだと思ったが、その通りだった。
 「ドールズ」を買う時は、2作目、3作目も一緒に買いましょう。

森博嗣【四季 夏】

2007年01月02日 | ミステリー(邦人)
四季 夏
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◆「四季 夏」

 真賀田四季、13歳。「すべてがFになる」の根源となる事件がおこる。

 相変わらずの四季の天才っぷりに、振り回される読者なのである。
 うーーーん、いくら天才でも、こう非人間的に成長するもんなんだろうか。読んでて、とにかく悲しいのは、彼女が人間的な情愛に触れられないこと。天才っぷりで周りを拒絶してる部分があるとはいえ、「子供を守るのが大人の仕事」(from「鋼の錬金術師」)とひっぱたくような人はいなかったのか。
 ま、いたら、こういう話に展開しないんだけどさ。

 なんつーか、このシリーズ、裏テーマは「人間にとって必要なことは」ってことじゃないかと、ちょっと思えてきた。

樋口有介【初恋よ、さよならのキスをしよう】

2006年12月30日 | ミステリー(邦人)
初恋よ、さよならのキスをしよう
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◆「初恋よ、さよならのキスをしよう」

 柚木草平シリーズ2作目。
 スキー場で偶然、高校の同級生と再会した柚木。その後、彼女は殺され、彼女の姪から事件の捜査を以来される。

 飄々としてとぼけてる感じの柚木だが、結構ハードボイルドな生い立ちなのだ。それを語りながら、美しかった同級生への憧憬を語るあたりは、職人技ですな。
 そして人の心の闇というか、深淵というか、ウィスキーのような後味の苦さがある。が、それは不愉快ではない。
 苦さがあるから、甘いものが愛おしいのだし、闇を拒絶するだけでは光を得ることはできない。
 ハードボイルドなのだ。
 でも、とぼけてる。
 このバンランスの妙。

 4作目もあるそうなので、さくっと出してください。創元推理文庫様m(__)m