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手抜きはいけませんね

2008-01-25 06:06:41 | 翻訳
先日、会社の仕事で失敗をやらかしました。

あまり自信がない文章を調べる手間を省いて直訳で逃げようとしたんです。そして、案の定、ひっかかってしまいました

ニュース記事の翻訳でして、アメリカでiPodを扱っているAT&Tが、今度、iPodを企業につとめるビジネスマン向けに調整して売り出し、企業向け料金プランを提供する予定、という内容のものでした。該当の文章は次のとおり。企業がiPhoneを使う条件などが書かれた後で、次のような文章がきました。

No word on whether people wearing suits will be allowed to pay cash for the device; that practice is now banned to forestall resale of the device for personal profit.

ミソはpeople wearing suitsの部分です。文字通りの意味は「スーツを着た人」

読んだ瞬間に、あ~、これは企業ユーザーへの将来の販売方法と、ホワイトカラーの振りをして買おうとする個人への販売防止の話をしているんだな、と思いました。

もう少しくどく言うと、

クレジットカードでの買い物が当たり前のアメリカでは、現金で携帯電話を買うことは個人には認められません。ところが、スーツを着たホワイトカラー(あるいはそれらしき人)が買いに来ると、現金購入も認める慣習が過去にはありました。今でこそ、ホワイトカラーの振りをした人に格安で携帯を販売したり、個人向けプランよりも得なビジネスプランを提供するはめにならないよう、その慣習は禁じられています。しかし、iPodをビジネス向けとして売るため、販売促進のために過去の慣習を蘇らせるという手はあります。それを望む企業もあるかもしれません。しかし、その話には触れられなかった、という流れらしいと考えたわけです。 

が、これは憶測ですので、原文と離れた訳をするためには次のことを確認する必要がありました。

1. 本当にアメリカでは個人は現金で携帯電話を購入できないのか
2. 個人の現金購入が認められないのはなぜか/企業に現金購入が許されるとしたらそれはなぜか
3. 企業ユーザーかどうかを確認するための手続きはしていないのか

1だけでもわかったら、思い切った訳もできるでしょう。

しかし...その日は大忙しで、時間がなかったのです。残業はしない主義だから、何が何でもさっさと終わらせたかった。それで、お願い、わかってね、推測してね、と、直訳ですませてしまったのです。

それがいけませんでした。

配信先から、しっかり質問が来てしまいました。スーツを着た人ってなんだ!?、この部分はリサイクルを禁じるという意味なのか?というのが質問内容。

リサイクルの話と誤解されたのは私のせいじゃないぞ、っていえなくはないと思ったんですけど、スーツうんぬんのあたりは、手抜きがたたったと感じました。はい。

結局、このあたりの事情に詳しそうな人に聞きにいき、それでもわからなかったのでホームページでアメリカの携帯電話の購入方法について調べまわりました。

推測はあたってました。個人ユーザーに対しては、カードでの購入をもとめる商慣習がアメリカではあるようです。不払いのトラブルをふせぐため、クレジット履歴の信用調査をするのが目的です。裏を返せば、それだけ不払いが多いということでしょう。サブプライム問題が発生したのもさもあらん。企業ユーザーの場合はクレジットカードを必ずしも求められるわけではないようです。ただし支払能力の証拠とするためか、タックス番号を教えることに一応はなっているようです。が、このあたりはかつては管理が甘かったんでしょう。

ここまでしらべてから、しつこい説明文を書いて展開するはめになったのでした。これならはじめから、ちゃんと調べて文章を作ったほうが時間がかからなかったかも

ほんと、手抜きはいけません。反省しなきゃ。







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