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お気に入りのものあれこれ

チェ 28歳の革命、39歳別れの手紙

2010-09-22 11:33:01 | TV/映画/舞台
チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]
ベニチオ・デル・トロ,デミアン・ビチル,カタリーナ・サンディノ・モレノ,ジュリア・オーモンド
NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)


すぐにDVDになったりテレビで放送されたり、オンデマンドで楽しめたりするので、映画館にいくということが本当に少なくなってしまってしまいました。昔は一人でもみたいやつはでかけていたのに、今や、人にさそわれないとまずいかないですねえ。う~む...

そのかわり、ちょっと/とっても古い映画をBSやケーブルで見る機会は大幅に多くなりました。なにせ家で仕事をしていますから、逃避やらなにやらで、けっこうエアチェックしちゃうわけです。

このブログには、これまで、劇場で見た映画の感想をたまに書くぐらいだったのですが、考えてみれば、このブログはなんでも雑記帳に近いです。テレビで見た古いやつの感想も書いちゃうことにします。

前書きはこのぐらいにして、今日の本題。

ず~っと前に、ゲバラがまだ医学生のときのエピソードをえがいたモーターサイクル・ダイアリーズhttp://blog.goo.ne.jp/lycat509/e/e66d68f9c8353746ecb737b6ceb81a6a を見ました。おもしろい映画でした。とはいえ、革命家としての理想を燃え立たせるきっかけになるエピソードだったとはいえ、いかにもゲバラらしい時期を描いたものではありませんでした。

いかにもゲバラ、という時期を描いたのがこの2本。

28歳の革命は、1964年のニューヨークで開催された国連会議のエピソードとキューバ革命成就のありさまを行き来して描かれたもの、39歳別れの手紙は、ボリビアでのゲバラの最後の日々を描いたものです。

二作とも、ドキュメンタリー風というか、非ハリウッド的というか、淡々と話は進みます。モノクロの1964年とカラーの過去(キューバ革命の時)を行き来して描かれる1部は、革命を成功させ、世界中の注目を集めるいわば絶頂期をえがいたもの。とはいえ、それでも武力革命の話ですから、犠牲者はそれなりにでます。でも盛り上げることは一切しないです。熱い理想と公正さで人を動かしていくゲバラは確かにかっこいいんですが、これを見ろ、といわんばかりの演出はありません。なんというか、制作陣が実際の革命の場にいて、時間を共有していくのを描いているようなのです。ソダバーグが「チェと友に革命を体験する」という言葉のとおり、ゲバラの行動、考え方を追体験した作品なのでしょう。

たとえば、2作目のはじめのほうで南米地図がでてきて、ボリビアの地図が示されるんですが、色が広がっていくのをみると、なぜゲバラがボリビアを選んだのか納得しちゃうんです。南米大陸と距離のある島国キューバとちがい、南米大陸の中心的な位置にあるボリビアなら革命を南米全体に広めることができる、と判断していたんだ、と。それで、密入獄するゲバラや仲間の活動にすんなり同化。このあたり、うまいなあ、と思いました。

では、キューバとボリビアを分けたのはなんだったのか?

たぶん、国民の姿勢なんでしょう。28歳の革命では、ゲリラは国民から熱い支援を受けていました。国民のバックアップのもと、革命は成功し、最後にいたるまで、ゲバラは理想を追う純真な革命家でいることができたのです。ラストで、盗んだ自動車にのっていた味方にしかりつけるエピソードなど、地味ながら効果的かもしれません。

しかし、ボリビアはキューバと同じく貧困にあえいではいても、なにやら冷ややか。ボリビア共産党からの援助はそうそうになくなり、軍部の賛同もなく、ゲリラ軍の起立も緩みがち。これでは、チェや仲間がいくら理想に燃えようとも、孤立は避けられません。政府軍との死闘もむなしくとらえられ、処刑されてしまいます。この挫折が地道に描かれたのが第二作。

実際には、ボリビアでは農民はともかく、鉱山でゲリラと呼応する動きはあったようですし、今のボリビアでは「イゲラの聖エルネスト」と呼ばれて聖人扱いらしいんですが、二作をみたかぎりでは、キューバとボリビアのちがいはカストロの存在だったのかなあ、などと思ってしまいました。キューバではアルゼンチン出身であっても、カストロのバックアップもあり、100%受け入れられたゲバラも、(映画を見る限りでは)ボリビアでは本当の意味で受け入れられていないかのようです。キューバでのゲバラの戦いは、国民自身の戦いになったのに対し、ボリビアでは、よそ者が勝手にやっていることと思われていたような...

いろいろ考えさせられる映画ではありました。いかにも南米らしいジャングル、市街もでてきます。1,2作を一気に見ちゃうのがおすすめです。フィクションというより、よくできたノンフィクション作品を見たような気分を味わえました。しかし、予備知識もなにもなく、劇的な革命の話やら英雄への感情移入を期待すると、まちがいなく拍子抜けの気分を味わうでしょう。

イカロスが墜落する場面を遠巻きに描いた絵があって、その絵についてW.H.オーディンが書いた詩を読んだことがあるんですけど、それを思い出してしまいました。劇的なことが起こっているのだけど、それをあえてクローズアップして見せようとしないで日常の中にまぎれさせてしまう技法で作られているというか。ハリウッド的というより そういう技法を受け入れるか受け入れないかでこの映画の評価が大きくちがう気がします。

そういや、サクセス・ストーリーで派手なはずのエレン・ブロコビッチを見たときも、淡々と話が進むのにおどろいたんでしたっけ。オーシャンズ11あたりも、豪華出演陣と派手な話のわりには、ハリウッド映画をみた、ってかんじはしなかったし。あまり盛り上げず、地味に話が展開するのが、ソダバーグの作風なんですかね?

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2 コメント

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RE:はじめまして! (lyca)
2010-09-29 12:32:23
はじめまして。今度はドキュメンタリーなんですね。ゲバラ・ファンはいまなお多いんだというのをあらためてかんじます。

情報ありがとうございました。
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はじめまして! (Venceremos)
2010-09-26 21:41:30
ソダバーグのこの映画が今のところゲバラの最新の映画っすね。僕も観ましたが、とても忠実に(忠実すぎる)くらいに再現されている点がよかったと思います
ゲバラの最新作の映画がもうすぐ公開されるらしいことを今日知りましたが、ブログで書いてみたので興味があれば遊びに来てください
題名はChe, Un Hombre Nuevoでトレイラーも公開されてますよ~監督はアルゼンチンの有名な方です。
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