Suzanne Farrell: Elusive MuseWinstar Home Entertainmentこのアイテムの詳細を見る |
レア物の映像でないかというのを見てしまいました。ベジャール・バレエ・ローザンヌの前身20世紀バレエ団によるもので、おそらく1960年代の画像。振り付けはもちろんベジャールで、ロミオがジョルジュ・ドン、ジュリエットがスザンヌ・ファレルというもの。
ジョルジュ・ドンは70年代以降の画像でしか見たことなくて、ジョルジュ・ドンのロミオっていったい、とはじめ思っていたのが、なかなかはまっていました。とにかく若い!なんとも魅力的なダンサーだったのだなあとつくづく思いました。そして、スザンヌ・ファレルがなんとも美しい。今回見るのが初めてだったのですが、バランシンのミューズだった人ですね。細くて長い手足、美貌の持ち主で、アラベスクなどのシルエットが本当にきれいです。技術もものすごく高いし。写真にあげたバランシンでじっくりみたい気がします。
振り付けはベジャールらしいといいますか、強力な主役陣に群舞で見せるというかんじ。ロミオとジュリエットのお話を追うのでなくて、それをモチーフにしてベジャールの世界観を見せているといいますか...まずはモンタギューとキャプレットのように争いあうダンサーのグループたちからはじまり、ディレクター(ベジャールご本人のようです。今よりずっと若いので別人のような気がしないでもないけど)の登場で仮面をつけたロミオとジュリエットのお芝居がはじまり、それから本格的にダンスによるロミオとジュリエットが描かれます。が、マブ女王が中心となる長いダンスがあったりして、けっこうわき道にそれるといいますか(笑)パ・ド・ドゥもあるものの、群舞のほうが印象に残るかな。
ラストも変わっていました。長いジュリエットの葬儀が終わった後、ロミオがやってきます。そして毒を飲んだ直後にジュリエットが目覚め、まだ生きているロミオと歓喜の踊りを踊るものの、ロミオはいきなり倒れて死に、絶望したジュリエットが短剣で自殺し、ロミオに覆いかぶさるようにして死にます。その後、なぜかまたリハーサルのところにもどるんですね。ダンサーたちは相変わらず争っている。そこに続々と届く死の知らせ。争いのため、何十人、何百人、はてには何百万人が死んでいくという知らせにロミオとジュリエットをのぞく全員がパニックを起こし、立ち去ってしまいます。そこへ、ジュリエットの母(乳母かもしれない)がやってきて「かわいいジュリエット、目覚めなさい」という言葉に死んだ二人は蘇ります。そして続々と二人と同じ白い衣装に身をつつんだ何組ものカップルが、二人を中心に踊る、というエンディング。争いよりも愛、黒よりも白、老いよりも若さの勝利で終わる、といったかんじです。
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