幻想伝説エッセイ

早く船を完成させて、大海原に飛び出したいのよ。

アガック!目を覚まして!

2006-09-18 07:40:37 | エッセイ
遅れ馳せながら「この世の彼方の海」について。
個人的にはエルリックのエピソードの中でも非常に好きな作品で、中でも「未来への旅」は大好きだったりします。
宿命の海を航海する船や盲目の船長といった謎めいたキャラや、次元の狭間に存在する海などといった設定、エルリックと船長のこの世の真理について語り合いや、コルム、ホークムーン、エレコーゼというひとつの存在の別の顕現が一堂に会する等。
他のチャンピオンが登場するのはウルトラマンエースにゾフィーやセブンがゲスト出演するようなおもしろさがありますね(笑)。

設定としては古来の剣と魔法の世界というよりは量子論的なSFの世界と言っていいかもしれません。
この辺りがムアコックと他のファンタジー作家の違いでもありますが、日本人にはこちらの方が合っているような気がします。

サクシフ・ダンというキャラはもうひとりのエルリック、別の角度から描いたエルリックという気がしますね。
同じように苦悩に苛まれたキャラをエルリックの目から描くというのは、すでにこのころはムアコックの心境は確実に変化していて、今現在苦悩に満ちているのではなく、過去の自分を観察しているのかなという気がしましたが、少し深読みしすぎですか?

ルリン・クレン・アでのアリオッホとのやりとりも読んでいておもしろいですね。
ルリン・クレン・アはメルニボネの先祖という設定になっていますが、「薔薇の復讐」ではその設定は違うとエルリックの父であるサドリックが明言していますね。
エルリックは時系列順に書かれた作品ではないので、はっきり言って矛盾だらけなのですが、この変更はエレコーゼの「剣の中の竜」が書かれたことによる変更でしょうね。
ネタバレになりますので詳しいことは書きませんが。

〈永遠の戦士〉シリーズについて色々書こうと思えばかなり書けるんですが(哲学的テーマなど)、面倒なのでやめておきます。