声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

語れない体験

2015-08-06 07:47:56 | Diary
以前は、この日は広島に滞在していた事が多かったように思います。

…特に母が他界する3年前までは。

朝8時15分になると、

広島周辺の市町村には大きな音でサイレンが鳴り響き

多くの人は一瞬、空を見上げ、そして俯き、
黙祷を捧げます。

実母と最後に、黙祷を捧げたのはもう随分前のような気がしています。


実妹の夫は、被爆者老人ホームで働いています。

慰問や平和学習での訪問者も多く
一般の老人ホームより注目度が高い施設ですが、
数年前までは、自殺者も多かったという話しを聞いた事がありました。

その理由について義弟に訊いてみると

おそらく、
家族親兄弟が死んだのに自分だけが生き残った、若いうちは体調が悪くても必死で働いた、生きる事そのものが目的だった。
晩年を生活そのものが補償されるホームで過ごしているうちに「生きる目的」を見出せなくなり、何もかもが虚しくなるのではないか…と。

70年前の悲惨な光景や、次々に亡くなっていく多くの人達を見てきた被爆者には、私たちには解らない喪失感があるのです。

どんなに国が被爆者への援助などを手厚くしても…それは消えないことなのでしょう。


昨夜、NHKのクローズアップ現代で
「語りたくても語れない被爆経験」をテーマに取り上げていましたが、

それを観ながら、ふと被爆者老人ホームの入居者の事を思い浮かべました。

そして、多くの被爆者は、語ろうとすれば周りから疎ましがられる…

確かに、それはあるかも知れない…

と思いました。


私が以前、関わっていた番組で「原爆の日」について取り上げた際、

上司から「広島や長崎だけが特別じゃないだろ、戦争で死んだ人はたくさんいる」

と言われたことがありますが、

放送に携わる者でさえ、その程度の認識です。

でも、はっきり言います。
それは誤った認識です。

真実を知ろうとしないどころか避けて通っている人は多いと思います。

ヒロシマ・ナガサキは特別です。

被爆者たちに語る機会を与えて欲しい…
今、心からそう思っています。


群馬県在住の被爆二世より





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