12月30日(木)モチ文化
正月と餅は切り離せない。日本人は正月でなくても餅をよく食べる。田舎では田植えなど大事な農作業の区切りや大事なお客様を迎えるときなど、折に触れて餅をつく。町でも大福餅ならいつでも売っている。このように日本人には馴染み深い食べ物であるが、日本以外で餅を食べる文化はあるのだろうか。
中国に「月餅」というお菓子がある。しかし餡を包んでいる皮の部分は小麦粉で作られていて、大福餅とは違う。それでは中国には餅はないのだろうか。何か手がかりはないかと書架を探したら「料理の起源」(中尾佐助著・NHKブックス)と言う本が目に付いた。拾い読みしたら「外国のモチ」という小見出しがあった。
昭和47年に初版が出たこの本は、長年世界の農耕文化を研究してきた著者が、それまで疎かにされてきた作物の加工・料理の過程に注目して農耕文化を見直した注目すべき著作だと思っている。
さて、問題の小見出しの冒頭部分には、こんなことが書いてある。「モチは日本人には親しいものだが、日本以外の国には現在の日本のモチと全く同一のものは見あたらない」。どうやら日本周辺諸国でもモチが食べられていると思っていたのは間違いだったようだ。
それではモチに近いものもないのだろうか。中尾氏の調査によると、ビルマ(現ミャンマー)のダマネという食べ物がモチに近いそうだ。糯米(モチ米)を甑(こしき)で蒸したものに植物油を加えて練り上げて作るもので、稲の収穫が終わったときに村人たちが互いに贈答しあう習慣があるそうだ。これをどのようにして食べるのかは書いてないので分からない。
タイ、ラオスの少数民族には糯米を臼で搗いて粉にし、その粉に熱湯を少しずつ加えてモチを作ることが行われている。こちらの方が日本のモチに近いような気もするけれども、生の糯米を粉にしてから加工する点でモチよりは団子に近いもののようである。
中尾氏の研究によれば、日本のモチは糯米で作ったシトギ(生米団子)から派生した独自の食文化らしいのである。
★閑話は明日から1月3日まで休刊します。
■齊藤 武の閑話365日
正月と餅は切り離せない。日本人は正月でなくても餅をよく食べる。田舎では田植えなど大事な農作業の区切りや大事なお客様を迎えるときなど、折に触れて餅をつく。町でも大福餅ならいつでも売っている。このように日本人には馴染み深い食べ物であるが、日本以外で餅を食べる文化はあるのだろうか。
中国に「月餅」というお菓子がある。しかし餡を包んでいる皮の部分は小麦粉で作られていて、大福餅とは違う。それでは中国には餅はないのだろうか。何か手がかりはないかと書架を探したら「料理の起源」(中尾佐助著・NHKブックス)と言う本が目に付いた。拾い読みしたら「外国のモチ」という小見出しがあった。
昭和47年に初版が出たこの本は、長年世界の農耕文化を研究してきた著者が、それまで疎かにされてきた作物の加工・料理の過程に注目して農耕文化を見直した注目すべき著作だと思っている。
さて、問題の小見出しの冒頭部分には、こんなことが書いてある。「モチは日本人には親しいものだが、日本以外の国には現在の日本のモチと全く同一のものは見あたらない」。どうやら日本周辺諸国でもモチが食べられていると思っていたのは間違いだったようだ。
それではモチに近いものもないのだろうか。中尾氏の調査によると、ビルマ(現ミャンマー)のダマネという食べ物がモチに近いそうだ。糯米(モチ米)を甑(こしき)で蒸したものに植物油を加えて練り上げて作るもので、稲の収穫が終わったときに村人たちが互いに贈答しあう習慣があるそうだ。これをどのようにして食べるのかは書いてないので分からない。
タイ、ラオスの少数民族には糯米を臼で搗いて粉にし、その粉に熱湯を少しずつ加えてモチを作ることが行われている。こちらの方が日本のモチに近いような気もするけれども、生の糯米を粉にしてから加工する点でモチよりは団子に近いもののようである。
中尾氏の研究によれば、日本のモチは糯米で作ったシトギ(生米団子)から派生した独自の食文化らしいのである。
★閑話は明日から1月3日まで休刊します。
■齊藤 武の閑話365日