今回も本文のほうが少し長いので、この前文のほうはなるべく短くしたいと思います(^^;)
いえ、前回とか、マカパインの話とかしだすと無駄(?)に長くなってダメだなって思ったりww(笑)
実は今回、↓の本文のほうに関しては、「ここは一応こーゆうイミで書いてみました☆」的な言い訳事項があったりするんですけど……バトル的な部分はあまり考察しないでテキトーに書いてるので、あんまし気にしないでくださいねっていうか
あとのことはまあ、ここに書くとなんかネタバレ☆っぽいので(^^;)、もしあとがき記事っぽいのを書くとしたら、そちらにまわそうかなって思ったり(あ、でも結局あとがきなんて書かないで終わるかもww)
ところで、マカパインの話とかしだすと、無駄に長くなってダメ……とか書いたばっかなんですけど、マカPはほんと、いじりがいのある面白いいー奴だと思います♪(^^)
わたし自身はカルシェラが一番好きなCPなんですけど、でもマカシェラもいいな~とは思っていたり(笑)
ギャグ☆でロリコン説をよく囁かれるマカPですが、原作忠実マカパインは、「オレの力はこの少女一人を助ける事すら……」とか言ってて、もうこのあたり、登場時の野心家としての面影すらないというか。。。
難民の人たちのことも出来るだけ助けようとしたり、D・Sのこと羨んだり……人としての弱さと優しさを持ったマカPは、登場時とのギャップ☆がまたすごくいいと思うあ、そーいえばマカPの右目って、>>何かヒミツがとかって、11巻に書いてあるけど、どうなってるんでしょうか(^^;)
実は義眼で、「今必殺のマカパイン・ビーム!!」が出るのか、それとも単に目玉の親父の居住区(?)なのか……「父さん、湯加減はどうだい?」とか言ってるマカPは超微妙ですね!(笑)
とりあえず書く気ないにしても、わたしがマカシェラ至上主義だったとしたら、マカパインの右側には火傷の跡があるとか呪われし者としての痣があるっていうことにするかも。。。
んで、本人は実は結構ナイーブ(笑)で、そのことをすごく気にしているという(でも誰かにそんなふうに言ったことは一度もない☆)。
でもシェラがそこのところにキスしてくれて、「私はそんなおまえが好きだ、マカパイン」って言ってくれるとか、そういうシチュを考えるかな。まあ、マカPのあのライバル心の強さは、コンプレックスの裏返しでもあるっていう設定ですね。
女性は大抵、自分の右側の傷(or痣)を見ると逃げていくってわかってるので、自分から女性に手出しすることはないとか、わたしがマカパインを主人公とか準主役にして何か書くとしたら、そういう設定にすると思います(^^;)
まあ、相手がシェラじゃなくて、さらに成長した謎のおにゃのこ☆でもいいんだけど(笑)「好きだよ、お兄ちゃん」……みたいなノリで(どんなノリww)
でもわたしがもしマカシェラを書くとしたら、カルシェラほど何故萌えないかというと……マカパインとシェラって、関係性があくまで対等だから、なんですよね(^^;)
つまり、シェラが女の顔になったり男の顔に戻ったりっていうのがないというか。。。
これで相手がカルっていうことになると、シェラはカルにだけ「女の顔」になるというか、女の顔を見せるっていう萌えがあるのですよ♪(^^)
「私はカル様でない者の為に死ぬのはイヤだ!」→「私はカル様以外の男に抱かれるのは絶対にイヤだ!」って字を読み間違えてるあたり……ビョーキですね、いやほんと(笑)
ではでは、今回もまた本文長いので、このへんで。。。
それではまた~!!
迷宮のカル=ス。-4-
次に目が覚めた時、シェラは手首を後ろの壁に鉄の鎖で拘束されていた。いや、それだけならばまだいいにしても……いつの間にか、前の服とは別のものに着替えさせられているというのは大問題だった。
(まさか、あの男が着替えさせたのか!?だとしたら、見られたということになる……!!)
もちろん、自分が女であるということは、向こうも先刻承知なことではあるだろう。だが、シェラが言っているのはそういうことではなく――意識のない間に着替えさせられたということは、主君カル=ス以外触らせたことのない体に、他の男が触れたということを意味していた。
そのことを思うと、シェラは猛烈に腹が立って仕方がない。
「おや、どうやらお姫さまが、ようやく目を覚ましたようだな」
そう言って男は、半円形の魔方陣が描かれた外から、シェラのことを観察するように見返して来た。
シェラは今、ビスチェ風の革の胴着に、スリットの入ったミニスカートといった格好だったが――男は腕を組んだまま、どこか満足気に彼女の髪の先から足の爪先までを眺めている。
「まったく、何を好きこのんで男装までし、おまえはあの方に近づこうとしたのだろうな。せっかく生まれつき備わった、女としての美貌が卿にはあるというのに……」
「さ、さわるなっ!!というか、こっちへ来るなっ!!」
シェラが身じろぎすると、ジャラリと何度か鉄の鎖が鳴った。もし<魔爪>さえ使えれば、このような鋼鉄の金具など、一刀両断できるものを……だが、そういうわけにもいかず、シェラは口惜しげに下唇を噛みしめることしか出来ない。
「本当に、卿は女として美しい」
そう言って彼は、シェラの長い黒髪を撫で、それから胴着を締めている革紐にそって、シェラの体に対し、なぞるようにして触れた。
「さわるなと言ってるだろうがっ!!」
顔を真っ赤にし、シェラが噛みつくように怒鳴ると、男は一歩だけ身を引いた。
「まあ、いくら男と偽ったところで、身近におまえのような美しい女がはべっていれば、あの方のお心が動いたのも無理はないかもしれぬ。だが、そのことこそが私には重大な裏切り行為だったのだ」
「どういう意味だ?」
シェラが訝しげに眉をひそめる。
「卿、そもそも何故貴公はこんなことを企てた?次期、カル様は必ずこの場所を探りあて、貴公の背反行為を問うであろう。あの方は我々十二魔戦将軍が束となって向かいあったとて、倒せるかどうかというほどのお方……そのことがわからぬ卿ではあるまい?」
「フッ。そんなことは、元より承知のこと」
そう言って彼――サイクス・フォン・スノーホワイトは、どこか苦しみを押し隠した顔の表情になる。
「私は……おまえたちのようにあの方の強いお力に心酔するあまり、魔戦将軍となったのではない。そもそもあの方――いや、氷のハイキング・カル=スは、我がスノーホワイト家の仇ともいうべき男であった」
「……………」
シェラは特に頷き返すこともなく、同じ魔戦将軍のサイクスが、独り言でも呟くように語る言葉を、ただ黙って聞いていた。シェラにしても、他の魔戦将軍たちが、どういった経緯によりカル様の配下となったのか、その理由をすべて知っているわけではない。
ザックは以前カル様に命を助けられたことがあり、またランは妹であるシーン・ハリ、それと孤児として一緒に育ったカイ・ハーンとは違い、雷帝アーシェス・ネイにではなくカル様に仕える道を選んだと聞く。それからイングヴェイは、ある国の騎士であったのだが、仕えていた国の王家に失望していた時に、カル様の気高い理想に触れ部下になったのだと、本人から教えてもらったことがある……だが、他の魔戦将軍については、おそらくカル様の指導者としてのカリスマ性に惹かれたのだろうという以上のことは、シェラもよく知らなかった。
もちろん、このサイクス・フォン・スノーホワイトという男のことについても。
「スノーホワイト家は、古くからジューダス王家と縁戚関係にある、公爵家のひとつだった。私の父はジューダス国の最後の王、グレン様に臣下として仕えていたが、ジューダス城が落城したあの日――国王をお助けするために、領地から兵を挙げて向かう途中、カル=ス配下のデミ・ヒューマンの大群と交戦し、命を落としたのだ。母はその時のショックから立ち直れず、徐々に衰弱するような形で間もなく亡くなった……もともと、病いがちな人だったからな。そして、私の妹のリハイラは、戦火の中行方知れずとなった。グレン様に是非にと乞われて結婚したまでは良かったが、妹と王との結婚生活というのは、不幸なものだったらしい。私は、そんな妹のことが不憫だった。だが、もし生きてさえいてくれたら、一国の王妃としてのくびきから解き放たれ、これから幸せになる道もあるだろうと、そう思っていたのだ。
だが、つい最近になってようやく、妹に最後まで仕えていた侍女が見つかってな、彼女が言うには……妹の最後というのは、悲惨なものだったらしい。およそ王妃とは思えぬ襤褸を纏い、デミ・ヒューマンどもの襲撃に絶えず怯えながら、そうして心も体も病み、寒さの中で凍えながら死んでいったそうだ。シェラ、おまえにはわかるまい。おまえは――いや、おまえとカル=スとは、我が妹の、小さな最後の聖域までも汚したのだ!<リハイラ王妃の館>と呼ばれるあの場所へは、私は何度か行ったことがある。グレン王が正妻を退け、愛人と昼日中から王宮で愛しあっているという噂は、貴族どころか城下町の住人さえ、知らぬ者がないほど有名な話だった。それほどの辱めを受けても妹は、最後まで実に健気なものだった。あの<王妃の館>と呼ばれる場所にリハイラは、自分だけの小さな王国を作り上げ、そんな贅沢が出来ることを「幸せだと思う」とさえ言った。私は、そんな妹が作った小さな聖域まで汚そうとした、あの方のことが許せない……!!」
「卿、貴公はもしかして……」
シェラは不思議と、サイクスのこの話を聞いても、<リハイラ王妃の館>で主君と愛しあったことを、恥じる気持ちにはなれなかった。おそらく問題はそういうことではないのだ。そして、サイクスにしてもそのことはよくわかっているはずだった。
「フッ。シェラ、おまえは私がいつかカル様に復讐しようとして、魔戦将軍の地位に就いたのだろうと思ったかもしれないな。だが、私がスノーホワイト家の嫡子であるということは、あの方も元よりご承知のこと……そしてカル様は以前、私にこう聞かれたことがある。『自分のことが憎くはないのか』と。だが、私はその瞬間にわかってしまった。いや、それ以前からあの方の人柄に触れていて――何か大きな深い悲しみのようなものが、この方の心の底には、湖のように形作られているのだと感じていた。それは、自分が起こした戦禍の中で苦しみ、逃げ惑わねばならない、よるべない者への悲しみでもあったろう。だが、今のこの腐った世界……血と鋼鉄と肉と骨の時代を終わらせ、真の理想郷を打ち立てるためには、それは払わねばならぬ犠牲であり、悲しみでもある。どのみち、放っておいたところでメタリオン大陸の四王国は、デミ・ヒューマンどもとの小競り合いを繰り返す以外、能などないのだからな。私はカル様に、『貴方のことを憎いと思ったことは、一度としてありません』と、そうお答えした。実際、それは真実でもあったからな。私にしたところで、あの方ほどの力があったとしたら、まったく同じことをしていただろう……そして、自分の父の仇がどうの、妹の無念がどうのなどという輩に対しては、「時代を怨め」とでも言って、一刀両断にし、黙らせたに違いない」
「サイクス……卿は、そこまでのことがわかっていながら、何故………」
シェラの問いかけに対し、サイクス・フォン・スノーホワイトは、その端整な顔に、自嘲の笑みを張りつかせていた。
「私は――あの方の孤独を愛していた。カル様は私と同じように、心の底に凍った湖を持っておられ、にも関わらず理想郷へ向かい邁進するお姿を見て、この方となら、自分の悲しみや孤独を共有できると感じた。言い換えるならそれは、自分は仮に不幸でも、誰かが幸せであるなら、そのために払った犠牲を喜ぶことの出来る孤独であり、悲しみでもある。だが、最近のあの方はすっかり変わられた……というのもシェラ、おまえのような下賤なジプシー女ひとりのために、理想郷への歩みが鈍くなったということだ!!」
「……………!!」
ズキッ!!と、シェラの胸の奥底で、心が割れるように、何かが痛んだ。今サイクスが言った言葉は、いつか誰かにそう指摘されるのではないかと、シェラ自身ずっと怖れ続けていたことだった。
大きな声では言えないが、氷のハイキングなど所詮、ただの成り上がりの王にすぎない……そう考えている民衆がいるということを、シェラはよく知っている。そうした場合に国を治める王がとる一番の良策は、四王家の王女のひとりでも娶って、自らの権威の正当性を立証しようとすることだ。
だが、シェラはわかっていた。吟遊詩人としての自分の民族に彼女は誇りを持っているけれど――どこかの国の王が、そうしたジプシーの娘を正妻にしたなどという話は、一度として聞いたことがない。国から国へと歌を歌いつぎ、旅を続ける中で、ある貴族に愛人として囲われることになった娘なら、何人もいたにしても……。
「卿……私は貴公のことを、仲間だと思っていた」
深い悲しみをこめて、シェラはそう言ったが、サイクスにはそうしたシェラの気持ちというのは、まるで通じていないようだった。
「私もシェラ、おまえのことを仲間だと思っていた。おまえは並の男などよりよほど頭が切れるし、豊富な知識の持ち合わせもある……だかやはり、所詮は女。その肉体を武器としてカル様に言い寄るなど、まったく見下げ果てた行為としか言いようがない」
「違う!!わたしはただ、あの方に……!!」
サイクスが今一度、シェラの髪の先から足の爪先までを眺めまわし、「あの方に、一体なんだ?」と言いかけた時、地鳴りに近い音が、神殿の廃墟内に響きはじめた。
「どうやら、カル様が最後のトラップをくぐり抜けられたようだな」
若干の焦りの色を滲ませて、サイクスはそう呟いた。地下迷宮(ダンジョン)内で迷う時間も考慮に入れるとしたら、彼の中ではこんなに早くカルがこの場へやって来るとは――思ってもみないことだったのだろう。
「なんにしてもシェラ、おまえはここで大人しく待っていろ」
自分のことを人質の盾として使うつもりはないらしいとわかり、シェラは一瞬ほっとした反面、今度はまったく別のことが心配になってきた。
「サイクス……卿、まさか、真正面からカル様とやりあうつもりか!?死ぬぞっ!!」
「そんなことは、シェラ、おまえを攫った瞬間から、元よりわかっていたことだ」
サイクスは長いプラチナ・ブロンドの髪をかき上げ、そしてどこか諦めに似た溜息を着いている。
「なんにしてももう、私は疲れた。以前は、スノーホワイト家を再興させることこそ我が務めと信じ、生きることも出来たがな……妹が間違いなく確かに死んだのだということがわかって以来――もはや生きる望みも尽きた。それに、あの方に殺されるのならば本望だ」
「卿……」
不意にシェラの脳裏に、自分が竪琴を爪弾き、サイクスとともにジューダス王家に伝わる武勲の歌を歌った時のことが思いだされた。彼は歌や楽の音が好きで、またイングヴェイと同じく、美しいものを愛する心を持つ男だった。また、博識な彼と、何かの議論を交わすイングヴェイやランの姿を見るのも、シェラは好きだった。
ただ、それでいてどこか、本心を明かさぬところのある男だと、いつも感じてはいたけれど……。
「来たか!!」
サイクスがそう叫ぶと同時、シェラの目の前に並ぶ、列柱の向こう側の空間が歪んだ。
最初それは、何か大きなものがぶつけられて、いびつな穴が開いたかに見えた。だが、二撃、三撃と同じ攻撃が続くにつれて、最初の穴と第二の穴、そして第三の穴とが繋がりあい――人がひとり通れるくらいの、不気味な暗闇の顎門(あぎと)が形成されてゆく。
「ようこそ、氷のハイキング、カル=ス!!」
両腕を組んだままの格好で、必死にサイクスが平静さを装おうとしていることが、シェラには見てとれた。彼はおそらく、主君カル=スと戦って死ぬつもりなのに違いない。
「やはり、おまえだったのか」
カルは普段、疲れている時にもあまりそれが顔の表情には出ない。だがこの時、はっきりとした疲労の色を彼が滲ませているのを見て――シェラは驚いていた。
(カル様、まさか……!!)
「おや、いつもの貴方らしくもない言い種ですね。私の知っている貴方は、鋭利な氷の刃のような方でしたよ。それに、お顔の色がどうも優れないように見受けられますが……こんな小娘ひとりのことがそんなにも大切で、すっかり落ち着きを失ってしまったということなのですかな、これは」
そのような男は、自分が仕えるに到底足りぬ男だ、とばかり、サイクスは祭壇の上から、下の列柱廊にいるカル=スのことを見下ろした。
「まさか、そんなことがオマエが私に背いた理由だというわけでもあるまい?サイクス、おまえがシェラのことを攫った動機は一体なんだ?リハイラ王妃のことか?」
リハイラ王妃の名がカルの口にのせられた途端、サイクスの中でずっと抑えつけていた何かが、鎖でも外されたかのように爆発した。
「我が妹の名を、貴様如きが軽々しく口にするな!!喰らえっ、我が奥義!!大次元斬ーーーッ!!!!」
カルは魔法防御シールドにより、サイクスの次元刀を回避しようとした。だが、その魔法防御の盾自体が、次元刀によって切り裂かれ、カルの右肩にまで達しようとする。
「!!」
「カルさまーーーっ!!!」
と、シェラが悲痛な声で叫ぶのと、カルが氷の小剣【アイス・ファルシオン】をシャッ!と差しだすのとが同時だった。
サイクスの次元刀を持ってしても、氷のファルシオンまでは斬り裂けない。そこでギィン、と空間が破裂するような音ともに、青白いプラズマ光が砕け散った。
「流石はカル=ス!!だが、貴方は所詮、魔法使いでしかない!!もし魔法がまったく使えない空間でなら、剣と剣の勝負では、分があるのは私のほうだ!!!」
そう言ってサイクスは、ある魔法の呪文を唱えはじめる。
「<ジ・エリオ・フィル・アレ!!我は求める、太古より継がれし神秘なる象徴を以って為されん!!>【滅極渦雷球】(デフ・レイ・バー)!!!」
「むっ!?古代語魔術(ハイ・エイシェント)か!?」
途端、神殿の禍々しい彫像の上部に、一個の大きな雷球が現れ出でる。この雷球は周囲の魔力をすべて吸収する、高次空間へ続く底なしの穴だった。シェラはこれがサイクスの切り札だったのだろうと思い、それならば何故彼があんなにも焦りの色を見せていたのかと、不思議でもあった。
「どうした、カル=ス!!我が次元刀に切り刻まれる恐怖で、口も聞けなくなったか!!」
カルはなおもアイス・ファルシオンにより、サイクスの攻撃を防ぎ続けたが、やがて徐々に劣勢へと追いこまれていった。剣の腕の勝負では、サイクスのほうが数段上なのは、シェラの目にも見ていて明らかだった。
「カル様、お逃げくださいっ!!わたしのことは構わず、どうか……っ!!!」
シェラとしては、そう言うのが精一杯だった。鉄の鎖に繋がれた身では、カルの体を庇うということさえ出来ない……そのことが彼女は口惜しくて、我知らず瞳に涙が滲んできたほどだった。
「……………!!」
そんな様子のシェラを見、カルは歯がゆい気持ちに苛まれた。本当は、一対一の戦いを通じ、サイクスの不満を聞くつもりでいたのだが、シェラの悲痛な叫びを聞いてしまったあとでは、この勝負をなるべく早く終わらせるべきなのだろうと、そう判断する。
「大殺界スラッシュ!!!」
歪空間の作りだす刃をいくつも受け、氷のファルシオンによっても防ぎきれなかった衝撃破により、カルは体の数箇所に傷を負った。そこから血が滲みはじめるが、カルはまるで痛みなど感じていないように、顔色ひとつ変えることはない。
「フッ、殺す前にひとつ貴様に聞いておこうか、カル=ス!!先ほど貴様は『やはりおまえだったのか』と言ったな。いつからだ!?シェラを攫ったのが私だと、一体いつ気づいた!?」
「孔雀の紋章だ」
と、カルはどこか抑揚のない声で答えた。
「あの孔雀が対になった紋章は、スノーホワイト公爵家のものだからな。あれを見た時に思った……オマエがとうとう私に復讐しようと決めたのだと」
「はははっ!!馬鹿めっ!!やはり、私のことは最初から腹の底から信用してはいなかったのだなっ!!それを聞いて安心した!!そろそろトドメを刺してやるから、死ねいっ!!!」
――次のサイクスの攻撃を、カルは完全に見切っていた。というより、サイクスは自分の優位を確信するあまり、足許が留守になっていたのだ。そこでカルは、サイクスの着地点を狙い、地面に突き立てたアイス・ファルシオンから、増幅された冷気を一直線にそちらへ送った。
途端、サイクスの足許から膝に至るまでが、瞬時にして凍りついていく。
「なにィっ!?バ、バカな……っ!!!」
サイクスの動きを封じたのち、カル=スは白いマントの下から、自分をここまで導くことになった<次元球>のひとつを【滅極渦雷球】に向けて投げつけた。すると、【滅極渦雷球】の放出する力と、<次元球>の発する歪空間の力とが相殺され、何かのバランスを崩したように【滅極渦雷球】の力が消えていく。
「な、何故ですか、カル様!!最初から、今と同じ方法を使ったとすれば、貴方のほうが遥かに優勢だったはずなのに……っ!!」
カルは<解凍>のための呪文を唱えると、サイクスのことを再び自由の身にしてやることにした。
サイクスの足を拘束していた氷が消えてゆき、ただの水へと変わっていく。
「それでは、部下のオマエに勝ったことにはならないと思ったからな。確かに最初から、私はおまえのことを一番疑っていたかもしれない。といっても、それはオマエが今も私を恨んでいて当然だからと考えたからではない……ただ、置き手紙にあったマカパインのあの字。あれは少しやりすぎだったと思うぞ、サイクス」
そう言ってカル=スは、微かに笑った。
「確かに筆跡自体はそっくりだったが、私はあれを見た瞬間に思った。誰かがマカパインに罪を着せようとしているのだと……ダンジョンの途中にも、特殊鋼を使ったトラップがあったしな。それに、気味の悪い虫の蠢く穴もあり、最後にはデーモンの登場と来ている。これはシェラを攫った犯人が誰かを私にわからなくするため、また私の心に部下に対する猜疑心を起こそうとするものだろうと踏んだ。そして、そこまでのことを考え、仕組み、実行に移すことの出来る切れ者ということになると、私にはサイクス、おまえの顔しか思い浮かばなかったという、それだけのことだ」
「そ、そうでしたか……」
まるで、元より死は覚悟の上、というように、サイクスはカルに首を差しだすようにして跪いた。
「リハイラ王妃のことだが」
と、跪くサイクスの頭上に、カルはさらに声を降らせる。
「本当に、残念なことをした。もしも彼女が侍女とともに、すぐ私の手の内へ下ってくれていたら……あの館は今も、王妃のものであり続けただろう。リハイラ王妃を見つけた者は、絶対に手を出すなという命令が軍には発せられていたはずだからな。何故なら、我々侵略軍が彼女を殺して利するところなど、何ひとつありはしないからだ。それが何故なのか、卿にもよくわかっていよう?」
わかりません、というように、サイクスは再び、自分の慕い、崇めるべき主君となったカル=スのことを、ただ黙って見上げるのみだった。
「彼女は……リハイラ王妃は、一般には薄幸の、美しい人だったと伝えられている。彼女がなかなか世継ぎを生まないので、グレン王に退けられたと民衆が知った時も、リハイラ王妃の人気は落ちなかった。彼女は王の寵愛が去ったことを悲しむかわりに――救貧院の人々を助け、また孤児院の子供を、まるで自分の子のように可愛がっていたそうだ。あの館にも時々、そうした子供を招いて遊ばせていたというし……私は思うのだが、サイクス。人の幸・不幸というのは、見た目ではわからぬものだ。確かに、王宮から離されたことは、リハイラ王妃にとって屈辱的なことではあっただろう。だが、それでより広い自由を得、彼女は別の、永遠に去っていかない愛情を手に入れたとも言えるのではないだろうか。もっともこんなことは、彼女を死に追いやった私が、口にしていいことではないが……」
「……………」
サイクスはじっと、跪いた姿勢のままでいた。何故といって彼は、妹の住む<リハイラ王妃の館>を何度か訪ねたことはあるが、妹がそうした活動をしていたとは、露ほども知らなかったからである。
そして、不意に何かを悟った。『ねえ、兄さん。兄さんの目にはどう見えるかわからないけど、わたし今、とても幸せなのよ』……そう言って、どこか満ち足りたように妹が微笑んだのが何故だったのか、サイクスは初めてわかった気がした。
(リハイラ……!!)
サイクスは、ただひとりの妹を喪った悲しみが再び胸にこみ上げてくるのを感じ、神殿の床に涙を落とした。だが、それは今までとは違い、ただ妹の不遇を嘆くための憐憫の涙ではなく――何か深い喜びも入り混じった、新しい悲しみの涙だった。
カル=スは、鉄の手錠に拘束されているシェラのことを、何かの珍しい動物でも発見したように、髪の先から足の爪先までじっと見ていた。
「な、なんですか、カル様っ!?」
シェラの白い肌に、恥じらいの赤い色が差すと、「いや、なんでもない」とカルは言い、開錠の呪文を唱え、シェラの身を完全に自由にしてやった。
「そういえばシェラ」
カルは不意に何かを思いだしたように、拘束された手首をさする、シェラのことを振り返った。
「<姦通した王女の話>の続きだが……今ここで、先にオチだけでも話しておいてくれないか?じゃないと、続きが気になって仕方がないからな」
「それはダメです、カル様」
と、シェラは何故かきっぱりとした口調で言った。
「夜伽話といったものは、夜にするから夜伽話というんです。だから、そのお話はまた今夜……」
そこまで言いかけて、シェラは不意に口を噤んだ。まるで神に懺悔でもするように、サイクスが跪いている姿を見て――彼女もまた深く心が痛んだという、そのせいだった。
「あの、今夜はジューダス城のカル様の寝所へ、わたしがお伺いしたいと思います。それで、よろしいですか?」
「ああ、構わない」
と、カルが応じる。
「ついでに、あの『やんごとなき姫君の祈祷書』とかいうのも、一緒に持ってくるといい。おまえが本当にあんなことをしたいと言うのならな」
「……カ、カル様っ!!」
どうしてそれを、と思うのと同時に、攫われた時の自分の状況を思いだし、シェラは赤面した。自分がどこへ攫われたかを探る過程で、カルが<あれ>を手にし、ぱらぱらと読んでいてもまったく不思議ではない。
「カル様、出口へ御案内致します」
いつの間にか、サイクスがすぐ側近くまで来ていた。彼の顔は再び、魔戦将軍としての誇りに輝いているかのようだった。そこでシェラもほっとして、彼が次元を歪めて作った<次元間通路>へと足を踏み入れることにする。
「ところでサイクス、ここは一体どこなのだ?」
暗い通路を、遠くに見える縦に細い出口へ向かって行きながら、カルは隣を歩くサイクスにそう聞いた。
「あの神殿は、サラマンドラ教団という邪教集団が昔、使っていた神殿なのです。ここまで言えば、カル様にもおわかりでしょう?」
「そうか。では卿が治める封土の地方領地だったということか。ということは、あの地下迷宮もまた、その邪教集団が作ったということか?」
「そうです。彼らはサラマンドラという火の神を熱心に信奉するあまり、やがて悪魔に心を奪われるようになっていったのですよ。本殿があるのは地下で、そこでは最初の頃、精霊魔術が行われていたらしいのですが――やがて、精霊だけでなく、悪魔を召喚する儀式も頻繁に行われるようになり、信徒たちは悪魔に体を乗っとられたり、狂死したりするようになったのだとか。今ではすっかり廃墟と化し、ゴブリンやオークどものちょうどいい住処となっているといった具合です」
「なるほどな……」
それから、ジューダス城の中庭へ三人が到着してからも、サイクスとカル=スとは、シェラがよくわからない(というか、ついていけない)魔法論理について、討論を続けていたが――底冷えするような、暗い次元間通路を抜けて朝陽を浴びた時、シェラはそんなふたりの姿を、眩しい光の中に喜ばしい思いで見上げるという、ただそれだけだった。
>>続く……。。。
いえ、前回とか、マカパインの話とかしだすと無駄(?)に長くなってダメだなって思ったりww(笑)
実は今回、↓の本文のほうに関しては、「ここは一応こーゆうイミで書いてみました☆」的な言い訳事項があったりするんですけど……バトル的な部分はあまり考察しないでテキトーに書いてるので、あんまし気にしないでくださいねっていうか
あとのことはまあ、ここに書くとなんかネタバレ☆っぽいので(^^;)、もしあとがき記事っぽいのを書くとしたら、そちらにまわそうかなって思ったり(あ、でも結局あとがきなんて書かないで終わるかもww)
ところで、マカパインの話とかしだすと、無駄に長くなってダメ……とか書いたばっかなんですけど、マカPはほんと、いじりがいのある面白いいー奴だと思います♪(^^)
わたし自身はカルシェラが一番好きなCPなんですけど、でもマカシェラもいいな~とは思っていたり(笑)
ギャグ☆でロリコン説をよく囁かれるマカPですが、原作忠実マカパインは、「オレの力はこの少女一人を助ける事すら……」とか言ってて、もうこのあたり、登場時の野心家としての面影すらないというか。。。
難民の人たちのことも出来るだけ助けようとしたり、D・Sのこと羨んだり……人としての弱さと優しさを持ったマカPは、登場時とのギャップ☆がまたすごくいいと思うあ、そーいえばマカPの右目って、>>何かヒミツがとかって、11巻に書いてあるけど、どうなってるんでしょうか(^^;)
実は義眼で、「今必殺のマカパイン・ビーム!!」が出るのか、それとも単に目玉の親父の居住区(?)なのか……「父さん、湯加減はどうだい?」とか言ってるマカPは超微妙ですね!(笑)
とりあえず書く気ないにしても、わたしがマカシェラ至上主義だったとしたら、マカパインの右側には火傷の跡があるとか呪われし者としての痣があるっていうことにするかも。。。
んで、本人は実は結構ナイーブ(笑)で、そのことをすごく気にしているという(でも誰かにそんなふうに言ったことは一度もない☆)。
でもシェラがそこのところにキスしてくれて、「私はそんなおまえが好きだ、マカパイン」って言ってくれるとか、そういうシチュを考えるかな。まあ、マカPのあのライバル心の強さは、コンプレックスの裏返しでもあるっていう設定ですね。
女性は大抵、自分の右側の傷(or痣)を見ると逃げていくってわかってるので、自分から女性に手出しすることはないとか、わたしがマカパインを主人公とか準主役にして何か書くとしたら、そういう設定にすると思います(^^;)
まあ、相手がシェラじゃなくて、さらに成長した謎のおにゃのこ☆でもいいんだけど(笑)「好きだよ、お兄ちゃん」……みたいなノリで(どんなノリww)
でもわたしがもしマカシェラを書くとしたら、カルシェラほど何故萌えないかというと……マカパインとシェラって、関係性があくまで対等だから、なんですよね(^^;)
つまり、シェラが女の顔になったり男の顔に戻ったりっていうのがないというか。。。
これで相手がカルっていうことになると、シェラはカルにだけ「女の顔」になるというか、女の顔を見せるっていう萌えがあるのですよ♪(^^)
「私はカル様でない者の為に死ぬのはイヤだ!」→「私はカル様以外の男に抱かれるのは絶対にイヤだ!」って字を読み間違えてるあたり……ビョーキですね、いやほんと(笑)
ではでは、今回もまた本文長いので、このへんで。。。
それではまた~!!
迷宮のカル=ス。-4-
次に目が覚めた時、シェラは手首を後ろの壁に鉄の鎖で拘束されていた。いや、それだけならばまだいいにしても……いつの間にか、前の服とは別のものに着替えさせられているというのは大問題だった。
(まさか、あの男が着替えさせたのか!?だとしたら、見られたということになる……!!)
もちろん、自分が女であるということは、向こうも先刻承知なことではあるだろう。だが、シェラが言っているのはそういうことではなく――意識のない間に着替えさせられたということは、主君カル=ス以外触らせたことのない体に、他の男が触れたということを意味していた。
そのことを思うと、シェラは猛烈に腹が立って仕方がない。
「おや、どうやらお姫さまが、ようやく目を覚ましたようだな」
そう言って男は、半円形の魔方陣が描かれた外から、シェラのことを観察するように見返して来た。
シェラは今、ビスチェ風の革の胴着に、スリットの入ったミニスカートといった格好だったが――男は腕を組んだまま、どこか満足気に彼女の髪の先から足の爪先までを眺めている。
「まったく、何を好きこのんで男装までし、おまえはあの方に近づこうとしたのだろうな。せっかく生まれつき備わった、女としての美貌が卿にはあるというのに……」
「さ、さわるなっ!!というか、こっちへ来るなっ!!」
シェラが身じろぎすると、ジャラリと何度か鉄の鎖が鳴った。もし<魔爪>さえ使えれば、このような鋼鉄の金具など、一刀両断できるものを……だが、そういうわけにもいかず、シェラは口惜しげに下唇を噛みしめることしか出来ない。
「本当に、卿は女として美しい」
そう言って彼は、シェラの長い黒髪を撫で、それから胴着を締めている革紐にそって、シェラの体に対し、なぞるようにして触れた。
「さわるなと言ってるだろうがっ!!」
顔を真っ赤にし、シェラが噛みつくように怒鳴ると、男は一歩だけ身を引いた。
「まあ、いくら男と偽ったところで、身近におまえのような美しい女がはべっていれば、あの方のお心が動いたのも無理はないかもしれぬ。だが、そのことこそが私には重大な裏切り行為だったのだ」
「どういう意味だ?」
シェラが訝しげに眉をひそめる。
「卿、そもそも何故貴公はこんなことを企てた?次期、カル様は必ずこの場所を探りあて、貴公の背反行為を問うであろう。あの方は我々十二魔戦将軍が束となって向かいあったとて、倒せるかどうかというほどのお方……そのことがわからぬ卿ではあるまい?」
「フッ。そんなことは、元より承知のこと」
そう言って彼――サイクス・フォン・スノーホワイトは、どこか苦しみを押し隠した顔の表情になる。
「私は……おまえたちのようにあの方の強いお力に心酔するあまり、魔戦将軍となったのではない。そもそもあの方――いや、氷のハイキング・カル=スは、我がスノーホワイト家の仇ともいうべき男であった」
「……………」
シェラは特に頷き返すこともなく、同じ魔戦将軍のサイクスが、独り言でも呟くように語る言葉を、ただ黙って聞いていた。シェラにしても、他の魔戦将軍たちが、どういった経緯によりカル様の配下となったのか、その理由をすべて知っているわけではない。
ザックは以前カル様に命を助けられたことがあり、またランは妹であるシーン・ハリ、それと孤児として一緒に育ったカイ・ハーンとは違い、雷帝アーシェス・ネイにではなくカル様に仕える道を選んだと聞く。それからイングヴェイは、ある国の騎士であったのだが、仕えていた国の王家に失望していた時に、カル様の気高い理想に触れ部下になったのだと、本人から教えてもらったことがある……だが、他の魔戦将軍については、おそらくカル様の指導者としてのカリスマ性に惹かれたのだろうという以上のことは、シェラもよく知らなかった。
もちろん、このサイクス・フォン・スノーホワイトという男のことについても。
「スノーホワイト家は、古くからジューダス王家と縁戚関係にある、公爵家のひとつだった。私の父はジューダス国の最後の王、グレン様に臣下として仕えていたが、ジューダス城が落城したあの日――国王をお助けするために、領地から兵を挙げて向かう途中、カル=ス配下のデミ・ヒューマンの大群と交戦し、命を落としたのだ。母はその時のショックから立ち直れず、徐々に衰弱するような形で間もなく亡くなった……もともと、病いがちな人だったからな。そして、私の妹のリハイラは、戦火の中行方知れずとなった。グレン様に是非にと乞われて結婚したまでは良かったが、妹と王との結婚生活というのは、不幸なものだったらしい。私は、そんな妹のことが不憫だった。だが、もし生きてさえいてくれたら、一国の王妃としてのくびきから解き放たれ、これから幸せになる道もあるだろうと、そう思っていたのだ。
だが、つい最近になってようやく、妹に最後まで仕えていた侍女が見つかってな、彼女が言うには……妹の最後というのは、悲惨なものだったらしい。およそ王妃とは思えぬ襤褸を纏い、デミ・ヒューマンどもの襲撃に絶えず怯えながら、そうして心も体も病み、寒さの中で凍えながら死んでいったそうだ。シェラ、おまえにはわかるまい。おまえは――いや、おまえとカル=スとは、我が妹の、小さな最後の聖域までも汚したのだ!<リハイラ王妃の館>と呼ばれるあの場所へは、私は何度か行ったことがある。グレン王が正妻を退け、愛人と昼日中から王宮で愛しあっているという噂は、貴族どころか城下町の住人さえ、知らぬ者がないほど有名な話だった。それほどの辱めを受けても妹は、最後まで実に健気なものだった。あの<王妃の館>と呼ばれる場所にリハイラは、自分だけの小さな王国を作り上げ、そんな贅沢が出来ることを「幸せだと思う」とさえ言った。私は、そんな妹が作った小さな聖域まで汚そうとした、あの方のことが許せない……!!」
「卿、貴公はもしかして……」
シェラは不思議と、サイクスのこの話を聞いても、<リハイラ王妃の館>で主君と愛しあったことを、恥じる気持ちにはなれなかった。おそらく問題はそういうことではないのだ。そして、サイクスにしてもそのことはよくわかっているはずだった。
「フッ。シェラ、おまえは私がいつかカル様に復讐しようとして、魔戦将軍の地位に就いたのだろうと思ったかもしれないな。だが、私がスノーホワイト家の嫡子であるということは、あの方も元よりご承知のこと……そしてカル様は以前、私にこう聞かれたことがある。『自分のことが憎くはないのか』と。だが、私はその瞬間にわかってしまった。いや、それ以前からあの方の人柄に触れていて――何か大きな深い悲しみのようなものが、この方の心の底には、湖のように形作られているのだと感じていた。それは、自分が起こした戦禍の中で苦しみ、逃げ惑わねばならない、よるべない者への悲しみでもあったろう。だが、今のこの腐った世界……血と鋼鉄と肉と骨の時代を終わらせ、真の理想郷を打ち立てるためには、それは払わねばならぬ犠牲であり、悲しみでもある。どのみち、放っておいたところでメタリオン大陸の四王国は、デミ・ヒューマンどもとの小競り合いを繰り返す以外、能などないのだからな。私はカル様に、『貴方のことを憎いと思ったことは、一度としてありません』と、そうお答えした。実際、それは真実でもあったからな。私にしたところで、あの方ほどの力があったとしたら、まったく同じことをしていただろう……そして、自分の父の仇がどうの、妹の無念がどうのなどという輩に対しては、「時代を怨め」とでも言って、一刀両断にし、黙らせたに違いない」
「サイクス……卿は、そこまでのことがわかっていながら、何故………」
シェラの問いかけに対し、サイクス・フォン・スノーホワイトは、その端整な顔に、自嘲の笑みを張りつかせていた。
「私は――あの方の孤独を愛していた。カル様は私と同じように、心の底に凍った湖を持っておられ、にも関わらず理想郷へ向かい邁進するお姿を見て、この方となら、自分の悲しみや孤独を共有できると感じた。言い換えるならそれは、自分は仮に不幸でも、誰かが幸せであるなら、そのために払った犠牲を喜ぶことの出来る孤独であり、悲しみでもある。だが、最近のあの方はすっかり変わられた……というのもシェラ、おまえのような下賤なジプシー女ひとりのために、理想郷への歩みが鈍くなったということだ!!」
「……………!!」
ズキッ!!と、シェラの胸の奥底で、心が割れるように、何かが痛んだ。今サイクスが言った言葉は、いつか誰かにそう指摘されるのではないかと、シェラ自身ずっと怖れ続けていたことだった。
大きな声では言えないが、氷のハイキングなど所詮、ただの成り上がりの王にすぎない……そう考えている民衆がいるということを、シェラはよく知っている。そうした場合に国を治める王がとる一番の良策は、四王家の王女のひとりでも娶って、自らの権威の正当性を立証しようとすることだ。
だが、シェラはわかっていた。吟遊詩人としての自分の民族に彼女は誇りを持っているけれど――どこかの国の王が、そうしたジプシーの娘を正妻にしたなどという話は、一度として聞いたことがない。国から国へと歌を歌いつぎ、旅を続ける中で、ある貴族に愛人として囲われることになった娘なら、何人もいたにしても……。
「卿……私は貴公のことを、仲間だと思っていた」
深い悲しみをこめて、シェラはそう言ったが、サイクスにはそうしたシェラの気持ちというのは、まるで通じていないようだった。
「私もシェラ、おまえのことを仲間だと思っていた。おまえは並の男などよりよほど頭が切れるし、豊富な知識の持ち合わせもある……だかやはり、所詮は女。その肉体を武器としてカル様に言い寄るなど、まったく見下げ果てた行為としか言いようがない」
「違う!!わたしはただ、あの方に……!!」
サイクスが今一度、シェラの髪の先から足の爪先までを眺めまわし、「あの方に、一体なんだ?」と言いかけた時、地鳴りに近い音が、神殿の廃墟内に響きはじめた。
「どうやら、カル様が最後のトラップをくぐり抜けられたようだな」
若干の焦りの色を滲ませて、サイクスはそう呟いた。地下迷宮(ダンジョン)内で迷う時間も考慮に入れるとしたら、彼の中ではこんなに早くカルがこの場へやって来るとは――思ってもみないことだったのだろう。
「なんにしてもシェラ、おまえはここで大人しく待っていろ」
自分のことを人質の盾として使うつもりはないらしいとわかり、シェラは一瞬ほっとした反面、今度はまったく別のことが心配になってきた。
「サイクス……卿、まさか、真正面からカル様とやりあうつもりか!?死ぬぞっ!!」
「そんなことは、シェラ、おまえを攫った瞬間から、元よりわかっていたことだ」
サイクスは長いプラチナ・ブロンドの髪をかき上げ、そしてどこか諦めに似た溜息を着いている。
「なんにしてももう、私は疲れた。以前は、スノーホワイト家を再興させることこそ我が務めと信じ、生きることも出来たがな……妹が間違いなく確かに死んだのだということがわかって以来――もはや生きる望みも尽きた。それに、あの方に殺されるのならば本望だ」
「卿……」
不意にシェラの脳裏に、自分が竪琴を爪弾き、サイクスとともにジューダス王家に伝わる武勲の歌を歌った時のことが思いだされた。彼は歌や楽の音が好きで、またイングヴェイと同じく、美しいものを愛する心を持つ男だった。また、博識な彼と、何かの議論を交わすイングヴェイやランの姿を見るのも、シェラは好きだった。
ただ、それでいてどこか、本心を明かさぬところのある男だと、いつも感じてはいたけれど……。
「来たか!!」
サイクスがそう叫ぶと同時、シェラの目の前に並ぶ、列柱の向こう側の空間が歪んだ。
最初それは、何か大きなものがぶつけられて、いびつな穴が開いたかに見えた。だが、二撃、三撃と同じ攻撃が続くにつれて、最初の穴と第二の穴、そして第三の穴とが繋がりあい――人がひとり通れるくらいの、不気味な暗闇の顎門(あぎと)が形成されてゆく。
「ようこそ、氷のハイキング、カル=ス!!」
両腕を組んだままの格好で、必死にサイクスが平静さを装おうとしていることが、シェラには見てとれた。彼はおそらく、主君カル=スと戦って死ぬつもりなのに違いない。
「やはり、おまえだったのか」
カルは普段、疲れている時にもあまりそれが顔の表情には出ない。だがこの時、はっきりとした疲労の色を彼が滲ませているのを見て――シェラは驚いていた。
(カル様、まさか……!!)
「おや、いつもの貴方らしくもない言い種ですね。私の知っている貴方は、鋭利な氷の刃のような方でしたよ。それに、お顔の色がどうも優れないように見受けられますが……こんな小娘ひとりのことがそんなにも大切で、すっかり落ち着きを失ってしまったということなのですかな、これは」
そのような男は、自分が仕えるに到底足りぬ男だ、とばかり、サイクスは祭壇の上から、下の列柱廊にいるカル=スのことを見下ろした。
「まさか、そんなことがオマエが私に背いた理由だというわけでもあるまい?サイクス、おまえがシェラのことを攫った動機は一体なんだ?リハイラ王妃のことか?」
リハイラ王妃の名がカルの口にのせられた途端、サイクスの中でずっと抑えつけていた何かが、鎖でも外されたかのように爆発した。
「我が妹の名を、貴様如きが軽々しく口にするな!!喰らえっ、我が奥義!!大次元斬ーーーッ!!!!」
カルは魔法防御シールドにより、サイクスの次元刀を回避しようとした。だが、その魔法防御の盾自体が、次元刀によって切り裂かれ、カルの右肩にまで達しようとする。
「!!」
「カルさまーーーっ!!!」
と、シェラが悲痛な声で叫ぶのと、カルが氷の小剣【アイス・ファルシオン】をシャッ!と差しだすのとが同時だった。
サイクスの次元刀を持ってしても、氷のファルシオンまでは斬り裂けない。そこでギィン、と空間が破裂するような音ともに、青白いプラズマ光が砕け散った。
「流石はカル=ス!!だが、貴方は所詮、魔法使いでしかない!!もし魔法がまったく使えない空間でなら、剣と剣の勝負では、分があるのは私のほうだ!!!」
そう言ってサイクスは、ある魔法の呪文を唱えはじめる。
「<ジ・エリオ・フィル・アレ!!我は求める、太古より継がれし神秘なる象徴を以って為されん!!>【滅極渦雷球】(デフ・レイ・バー)!!!」
「むっ!?古代語魔術(ハイ・エイシェント)か!?」
途端、神殿の禍々しい彫像の上部に、一個の大きな雷球が現れ出でる。この雷球は周囲の魔力をすべて吸収する、高次空間へ続く底なしの穴だった。シェラはこれがサイクスの切り札だったのだろうと思い、それならば何故彼があんなにも焦りの色を見せていたのかと、不思議でもあった。
「どうした、カル=ス!!我が次元刀に切り刻まれる恐怖で、口も聞けなくなったか!!」
カルはなおもアイス・ファルシオンにより、サイクスの攻撃を防ぎ続けたが、やがて徐々に劣勢へと追いこまれていった。剣の腕の勝負では、サイクスのほうが数段上なのは、シェラの目にも見ていて明らかだった。
「カル様、お逃げくださいっ!!わたしのことは構わず、どうか……っ!!!」
シェラとしては、そう言うのが精一杯だった。鉄の鎖に繋がれた身では、カルの体を庇うということさえ出来ない……そのことが彼女は口惜しくて、我知らず瞳に涙が滲んできたほどだった。
「……………!!」
そんな様子のシェラを見、カルは歯がゆい気持ちに苛まれた。本当は、一対一の戦いを通じ、サイクスの不満を聞くつもりでいたのだが、シェラの悲痛な叫びを聞いてしまったあとでは、この勝負をなるべく早く終わらせるべきなのだろうと、そう判断する。
「大殺界スラッシュ!!!」
歪空間の作りだす刃をいくつも受け、氷のファルシオンによっても防ぎきれなかった衝撃破により、カルは体の数箇所に傷を負った。そこから血が滲みはじめるが、カルはまるで痛みなど感じていないように、顔色ひとつ変えることはない。
「フッ、殺す前にひとつ貴様に聞いておこうか、カル=ス!!先ほど貴様は『やはりおまえだったのか』と言ったな。いつからだ!?シェラを攫ったのが私だと、一体いつ気づいた!?」
「孔雀の紋章だ」
と、カルはどこか抑揚のない声で答えた。
「あの孔雀が対になった紋章は、スノーホワイト公爵家のものだからな。あれを見た時に思った……オマエがとうとう私に復讐しようと決めたのだと」
「はははっ!!馬鹿めっ!!やはり、私のことは最初から腹の底から信用してはいなかったのだなっ!!それを聞いて安心した!!そろそろトドメを刺してやるから、死ねいっ!!!」
――次のサイクスの攻撃を、カルは完全に見切っていた。というより、サイクスは自分の優位を確信するあまり、足許が留守になっていたのだ。そこでカルは、サイクスの着地点を狙い、地面に突き立てたアイス・ファルシオンから、増幅された冷気を一直線にそちらへ送った。
途端、サイクスの足許から膝に至るまでが、瞬時にして凍りついていく。
「なにィっ!?バ、バカな……っ!!!」
サイクスの動きを封じたのち、カル=スは白いマントの下から、自分をここまで導くことになった<次元球>のひとつを【滅極渦雷球】に向けて投げつけた。すると、【滅極渦雷球】の放出する力と、<次元球>の発する歪空間の力とが相殺され、何かのバランスを崩したように【滅極渦雷球】の力が消えていく。
「な、何故ですか、カル様!!最初から、今と同じ方法を使ったとすれば、貴方のほうが遥かに優勢だったはずなのに……っ!!」
カルは<解凍>のための呪文を唱えると、サイクスのことを再び自由の身にしてやることにした。
サイクスの足を拘束していた氷が消えてゆき、ただの水へと変わっていく。
「それでは、部下のオマエに勝ったことにはならないと思ったからな。確かに最初から、私はおまえのことを一番疑っていたかもしれない。といっても、それはオマエが今も私を恨んでいて当然だからと考えたからではない……ただ、置き手紙にあったマカパインのあの字。あれは少しやりすぎだったと思うぞ、サイクス」
そう言ってカル=スは、微かに笑った。
「確かに筆跡自体はそっくりだったが、私はあれを見た瞬間に思った。誰かがマカパインに罪を着せようとしているのだと……ダンジョンの途中にも、特殊鋼を使ったトラップがあったしな。それに、気味の悪い虫の蠢く穴もあり、最後にはデーモンの登場と来ている。これはシェラを攫った犯人が誰かを私にわからなくするため、また私の心に部下に対する猜疑心を起こそうとするものだろうと踏んだ。そして、そこまでのことを考え、仕組み、実行に移すことの出来る切れ者ということになると、私にはサイクス、おまえの顔しか思い浮かばなかったという、それだけのことだ」
「そ、そうでしたか……」
まるで、元より死は覚悟の上、というように、サイクスはカルに首を差しだすようにして跪いた。
「リハイラ王妃のことだが」
と、跪くサイクスの頭上に、カルはさらに声を降らせる。
「本当に、残念なことをした。もしも彼女が侍女とともに、すぐ私の手の内へ下ってくれていたら……あの館は今も、王妃のものであり続けただろう。リハイラ王妃を見つけた者は、絶対に手を出すなという命令が軍には発せられていたはずだからな。何故なら、我々侵略軍が彼女を殺して利するところなど、何ひとつありはしないからだ。それが何故なのか、卿にもよくわかっていよう?」
わかりません、というように、サイクスは再び、自分の慕い、崇めるべき主君となったカル=スのことを、ただ黙って見上げるのみだった。
「彼女は……リハイラ王妃は、一般には薄幸の、美しい人だったと伝えられている。彼女がなかなか世継ぎを生まないので、グレン王に退けられたと民衆が知った時も、リハイラ王妃の人気は落ちなかった。彼女は王の寵愛が去ったことを悲しむかわりに――救貧院の人々を助け、また孤児院の子供を、まるで自分の子のように可愛がっていたそうだ。あの館にも時々、そうした子供を招いて遊ばせていたというし……私は思うのだが、サイクス。人の幸・不幸というのは、見た目ではわからぬものだ。確かに、王宮から離されたことは、リハイラ王妃にとって屈辱的なことではあっただろう。だが、それでより広い自由を得、彼女は別の、永遠に去っていかない愛情を手に入れたとも言えるのではないだろうか。もっともこんなことは、彼女を死に追いやった私が、口にしていいことではないが……」
「……………」
サイクスはじっと、跪いた姿勢のままでいた。何故といって彼は、妹の住む<リハイラ王妃の館>を何度か訪ねたことはあるが、妹がそうした活動をしていたとは、露ほども知らなかったからである。
そして、不意に何かを悟った。『ねえ、兄さん。兄さんの目にはどう見えるかわからないけど、わたし今、とても幸せなのよ』……そう言って、どこか満ち足りたように妹が微笑んだのが何故だったのか、サイクスは初めてわかった気がした。
(リハイラ……!!)
サイクスは、ただひとりの妹を喪った悲しみが再び胸にこみ上げてくるのを感じ、神殿の床に涙を落とした。だが、それは今までとは違い、ただ妹の不遇を嘆くための憐憫の涙ではなく――何か深い喜びも入り混じった、新しい悲しみの涙だった。
カル=スは、鉄の手錠に拘束されているシェラのことを、何かの珍しい動物でも発見したように、髪の先から足の爪先までじっと見ていた。
「な、なんですか、カル様っ!?」
シェラの白い肌に、恥じらいの赤い色が差すと、「いや、なんでもない」とカルは言い、開錠の呪文を唱え、シェラの身を完全に自由にしてやった。
「そういえばシェラ」
カルは不意に何かを思いだしたように、拘束された手首をさする、シェラのことを振り返った。
「<姦通した王女の話>の続きだが……今ここで、先にオチだけでも話しておいてくれないか?じゃないと、続きが気になって仕方がないからな」
「それはダメです、カル様」
と、シェラは何故かきっぱりとした口調で言った。
「夜伽話といったものは、夜にするから夜伽話というんです。だから、そのお話はまた今夜……」
そこまで言いかけて、シェラは不意に口を噤んだ。まるで神に懺悔でもするように、サイクスが跪いている姿を見て――彼女もまた深く心が痛んだという、そのせいだった。
「あの、今夜はジューダス城のカル様の寝所へ、わたしがお伺いしたいと思います。それで、よろしいですか?」
「ああ、構わない」
と、カルが応じる。
「ついでに、あの『やんごとなき姫君の祈祷書』とかいうのも、一緒に持ってくるといい。おまえが本当にあんなことをしたいと言うのならな」
「……カ、カル様っ!!」
どうしてそれを、と思うのと同時に、攫われた時の自分の状況を思いだし、シェラは赤面した。自分がどこへ攫われたかを探る過程で、カルが<あれ>を手にし、ぱらぱらと読んでいてもまったく不思議ではない。
「カル様、出口へ御案内致します」
いつの間にか、サイクスがすぐ側近くまで来ていた。彼の顔は再び、魔戦将軍としての誇りに輝いているかのようだった。そこでシェラもほっとして、彼が次元を歪めて作った<次元間通路>へと足を踏み入れることにする。
「ところでサイクス、ここは一体どこなのだ?」
暗い通路を、遠くに見える縦に細い出口へ向かって行きながら、カルは隣を歩くサイクスにそう聞いた。
「あの神殿は、サラマンドラ教団という邪教集団が昔、使っていた神殿なのです。ここまで言えば、カル様にもおわかりでしょう?」
「そうか。では卿が治める封土の地方領地だったということか。ということは、あの地下迷宮もまた、その邪教集団が作ったということか?」
「そうです。彼らはサラマンドラという火の神を熱心に信奉するあまり、やがて悪魔に心を奪われるようになっていったのですよ。本殿があるのは地下で、そこでは最初の頃、精霊魔術が行われていたらしいのですが――やがて、精霊だけでなく、悪魔を召喚する儀式も頻繁に行われるようになり、信徒たちは悪魔に体を乗っとられたり、狂死したりするようになったのだとか。今ではすっかり廃墟と化し、ゴブリンやオークどものちょうどいい住処となっているといった具合です」
「なるほどな……」
それから、ジューダス城の中庭へ三人が到着してからも、サイクスとカル=スとは、シェラがよくわからない(というか、ついていけない)魔法論理について、討論を続けていたが――底冷えするような、暗い次元間通路を抜けて朝陽を浴びた時、シェラはそんなふたりの姿を、眩しい光の中に喜ばしい思いで見上げるという、ただそれだけだった。
>>続く……。。。
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