天使の図書館ブログ

 オリジナル小説サイト「天使の図書館」の付属ブログです。

いつも二人で。-4-

2012-08-01 | エースをねらえ!

(※漫画「エースをねらえ!」の二次小説です。内容にネタバレ☆等を含みますので、一応ご注意くださいm(_ _)m)


 さて、今回は「ひろみ、宗方コーチとデートするの巻」です♪(笑)

 女性に対しては硬派と思われる宗方コーチですけど、たぶん心理分析的には、お母さんの愛情を受けるべき時に受けられなかったトラウマが、攻撃的で冷たい性格を形作った……みたいなところがあるのかもしれません(^^;)

 でも、宗方コーチって表面的にはわかりにくいながらも、本当はすごく優しい人ですよね

 自分の抜擢で、ひろみが部内でいぢめ☆にあっているというか、そういう雰囲気があることも、彼は当然わかっていて。。。

 お蝶夫人とダブルスを組ませたことの裏には、そのいぢめ☆も解消できて一石二鳥だという、コーチの実にわかりにくい思惑が隠れていたのかな~なんて(少なくとも、わたしはそう思って読んだ^^;)

 旧こみくす2巻の、


 >>「まー、ハリキッてること」

   「まだやめる気にならないんだわ」

   お蝶夫人:「お静かに!」

   「はっ、はい。すみません」

   お蝶夫人:「(ダブルスを組んだ以上、パートナーは大切にしなければならない。
   それを計算してこんなペアを組ませるとは……コーチもなさることにソツがない)」


 っていうお蝶夫人の言葉は、たぶんそういう意味なんだろうな~と。

 つまり、お蝶夫人とダブルスを組む=お蝶夫人のダブルスの相手を悪く言うことは、お蝶夫人自身のことをも悪く言うことに繋がる、というかww

 そういう意味合いにおいて、部内のひろみに対するいぢめ☆的雰囲気がなくなればいいって、宗方コーチははかったんだと思います(^^;)

 とはいえ、テニスに関して宗方コーチは盲目の鬼なので、練習中に上級生の球がひろみに集中しても、「もっとやれ!」みたいにしか思ってないのがアレですけど(笑)

 そんなわけで(どんなわけだか☆)、今回は再び、「こんな宗方コーチはイヤだ!」Part.2ということで、よろしくお願いします(何を?


  「こんな宗方コーチはイヤだ!」~その2~(アニメ、新・旧エース第2話より)

 ↓新・エースをねらえ!第2話(選手と迷惑と藤堂さん)


 ↓旧・エースをねらえ!第2話(選手はおまえだ!)



 あのですね、この新エースの第2話に、宗方コーチが選手の特徴とかを書いてるらしいが出てきます。

 んで、コーチはひろみのこともこれから書こうとしていたらしく。。。

 でもこのに、次のよーなことが書いてあったらイヤだな~って、速攻思いました(笑)


 選手名:岡ひろみ

 年齢:15歳(1年生)

 特徴:とにかく可愛い。一目で惚れた。何より、俺の母さんに面差しが似ている。テニスの初心者らしいから、これから手とり足とり腰とり、俺が直に色々と教えてやることにしよう。
    おそらく、B80、W57、H78といったところか……俺はこの種の勘を外したことがない。
    嗚呼、母さん。ようやく俺にも春がやってきたみたいだ。
    とはいえ、他の生徒たちに不審に思われぬよう、暫くの間は冷たく突き放してコーチしなくては。
    それこそ、心を鬼にして……。


 ――ここで、レギュラーを外された音羽たんがやって来る。


 音羽たん:「宗方コーチ、はっきり言ってください。どうして新入部員の岡さんが選ばれて、わたしが選ばれなかったのですか!?
        わたしのほうが技も実力も上です!」

 宗方コーチ:「そうかもしれんな」

 音羽たん:「だったら、どうしてあたしが選手に選ばれなかったのですか!?」

 宗方コーチ:「わからんのか」

 音羽たん:「えっ!?」

 宗方コーチ:「どうしてだか、自分でわからんのか」

 音羽たん:「わかりませんっ!!」

 宗方コーチ:「自分で考えろ。それでもわからなければ、聞きにこい」


 ……なんかもう、「そりゃねーだろ」っていう話ですよね(^^;)

 まあ、真面目な話に戻るとすれば、音羽たんのテニスはたぶん、宗方コーチの目に「小器用テニス」として映ったのかもしれないなって思います

 最初に練習風景なんかを見た時点で、選手としての伸びに明らかに限界があったのかな、と。。。

 宗方コーチは、>>「お蘭より、お蝶より、他の誰よりおまえを選んだのだ。離さない!」って言ってるわけですけど……やっぱり「性格」っていうのも大きいですよね(^^;)

 お蝶夫人は素晴らしい女性ですけど、気位が高いし、音羽たんももし、宗方コーチの目に止まるような才能があったとしても――彼の強引なやり方には絶対ついていかなかったでしょうし(そしてこれは、常識で考えたとすればある意味当前なことでもある・笑)

 でもひろみは、宗方コーチの過酷な特訓に耐えるだけの<器>が心身ともに備わっていた、というか。

 うん、このふたりの出会いは本当に、<運命>だったんだな~と思います

 ではでは、次回はひろみの語りで最終回です♪(^^)

 それではまた~!!



     いつも二人で。-4-


       Side:仁

 映画館の前で煙草を吸いながら待っていると、見慣れない女が自分のほうへ一直線に進んでくることに、俺は気がついた。

 いや、その女が途中かくっとコケた時点で、それが岡であることに俺は気づくべきだったのだろうが……髪型がいつもと少し違ったせいだろうか。何故かその女が相当近づいてきてから、間違いなくそれが岡であることに俺は気づいたのだ。

「それで、おまえは一体何が見たいんだ?」

「コーチは恋愛映画なんてお好きじゃないでしょうから……というと、アクション映画?ヒューマン・ドラマの感動系っていうのもあるけど……お涙ちょうだいものって、コーチはお好きですか?」

 この時俺は思わず、ふっと笑ってしまった。

 もちろん、俺が何故笑ったのか、岡にはわからなかったに違いないが。

「まあ、たまの休みだ。こんな日にまで俺にあれこれ指図されることはない。岡、おまえの好きなものを選んで見ればいい。つまらなかったら、俺は横で寝ているから」

「そんなの駄目です、コーチっ!!今日は弟子が師をもてなす、一年に一度あるかどうかの大感謝デーなんですからっ!!」

「ああ、じゃあホラー映画にしよう」

「えっ!?ホ、ホラー映画!?」

 俺はとっとと一人決めして、『ゾンビと死霊、その終わりなき戦い』というチケットを二枚買って、映画館の中へ入っていった。


『ぞぞぞ、ゾンビ~ッ!!』

『ぎゃあああああーーーッ!!』

『フヒヒヒヒ。これでこの女は永久に俺のもの……』


 映画の途中で寝ないためには、これが一番だろうと思ったのだが、隣の岡を見ているほうが面白……いや、隣の岡には気の毒なことをしたと思う。

 せっかく特大サイズのポップコーンを買ったというのに、そこに手を突っこむでもなく、どこかこわごわとした目で、じっと画面に見入っている……もともと生真面目な性格をしているから、せっかく俺に金を払わせたのに、目を背けるのは申し訳ないとでも思っているのだろう。

 それでも、なす術もなく次々とゾンビと死霊の餌食となっていく人間たちを正視してられなくなったのか、一度、まるで助けでも求めるように、俺のほうを見た。

 試合中に時々、岡が俺にしてみせる眼差しだった。それでつい、手を握ってやったりしてしまったが、果たしてそれで良かったのかどうか……。

「コーチの無神経さは信じがたいですっ!あんなおっそろしい映画を見ながら、退屈だっていう理由で、途中から寝てしまうだなんてっ!!」

「まあ、べつにいいだろう。あんなものは所詮、ただの作り物なんだから、今夜おまえの枕元にゾンビか死霊が立つということもあるまい」

「やっ、やめてくださいっ!!あたし、今から夜中にトイレ行くのが怖くて仕方ないんですからっ!!」

 本気で顔を青ざめさせてさせている岡のことが、俺はおかしくて仕方なかった。

 いつだったか、幽霊がでるという噂の合宿所のトイレで、後輩に悪ふざけされた時にも、半分泣きそうな顔をしていたと聞いたが、本当にその手のものが苦手らしい。

「それよりも、早くそのポップコーンを食え。というか、おまえの話ではこれからどこかへ食事に行くんだったな。その前にこんなにポップコーンを食って、まだ何かものが腹に入るのか?」

「その点はご心配なく、コーチ!フレンチと中華とイタリアンのコース、軽く三人前はいけると思いますから!!」

 俺はここでも思わず、くすりと笑った。

 藤堂の前でもいつも、こうなのだろうか?いや、あいつの前ではもう少し、恋する乙女として食欲を控えめにしているに違いない……だが、随分大人びた格好をしてきた割に、やはり中身のほうはあまり変わってないらしい。

「ほら、ポップコーンのかすが口の端についてるぞ」

「えっ!?ほんとですか!?」

 ごしごしと慌てて口許をこすると、あっという間に赤い口紅が落ちていく。

 この時俺は、若干藤堂に同情したくなったが……これが岡のいいところであり、可愛いところでもあるのだろう。

「それで、何が食いたいって?」

「コーチは何が食べたいですか!?」

 待っていましたとばかり、そう岡に問いかけられ、俺は一瞬黙りこんだ。

「そうだな。俺の食の嗜好につきあったとしたら、立ち食い蕎麦でも食べて今日は解散といったところだ。だが、クリスマス・イヴだというのに、それではあんまりだからな……まあ、無難にホテルへディナーでもしにいくか」

「わーい!!」

(まったく、こいつは……)

 藤堂の前ではおそらく、もう少し恥らったところでも見せるに違いないが、夜景の見渡せるホテルの一席で、岡の食欲はこの日も全開だった。

「バイキング形式だからって、よくそんなに腹にものが入るな」

「だって、コーチ!!どんなに食べても支払う料金は一緒なんですよ。だったら、元をとるためにもたくさん食べておかないと!!」

(やはりこいつは、色気より食い気か)

 そう思いながらも俺は、そんな岡のことを観察しながら、やはりこの娘も二十歳をすぎて大人になったのだなと、時々ちらと思わぬでもなかった。

 最初に待ち合わせ場所で岡に会った時――俺は思わず笑ってしまったが、それは岡がマスカラなんぞをつけているので、岡を「目ダヌキ」と呼んだ昔のことを思いだしてしまったからだった。

(あれから早いもので、もう五年にもなるか)

 俺が寿司を十巻ほど食べ、茶をすすっていると、岡はその間に俺の食べる三倍以上のものを次々と平らげていった。スパゲッティにグラタン、ラーメンにケーキに……いや、まあべつにいい。スポーツ選手といったものは、普段並でない練習量をこなしている分、このくらい食欲があったほうが、むしろスタミナがついていいだろうと俺は思っているから。

「コーチって少食なんですね!もし、食べたいものがあったら、なんなりと言ってください。トレイにのせて一緒に持ってきますからっ!」

「……おまえ、まだ食べるつもりなのか?」

 岡は、俺に答えるかわりに、再び魅力あふれるバイキングの世界へ旅立っていった。

(そうか。あいつと食事する時にはおそらく、バイキングにするのが一番金のかからん方法なんだろうな)

 ふとそんなことを思い、普段岡は藤堂と食事をどうしているのだろうと、少し疑問に思わぬでもない。

 まあ、この時の俺はあらたまった場所で岡とふたりきりで食事をすることなど――プライヴェートでは今後もあまりないだろうという、そういう認識ではいたのだが。



「はあ~っ!すみません、コーチ。ちょっとそこで休ませてくださいっ」

 ホテルのレストランを出、そろそろ帰るかという時、岡が俺の服の袖をつかんでそう言った。

(やれやれ。いくら食べても値段は同じだのと言って、やたら食い意地を張るからだ)

「まったく、仕様のない奴だな。ほら、そこのロビーにある椅子のところまで、歩いていけるか?」

「ん~、く、苦し……コーチ、なんだかわたし、気分が悪……っ!!」

「おいっ!こんなところで吐くんじゃないっ!!岡、おいっ!!」

「……………っ!!」

 岡は、吐くことはしなかったが、顔色が青ざめており、吐いたほうがおそらく楽になるのではないかと俺は思った。

 だが、かといって、女子トイレまで一緒についていってやるということまでは出来ないし……。

「岡、しっかりしろっ!!今、部屋をとってやったから、吐くのはそこのトイレに辿り着いてからにしろ。わかったな!?」

 岡は口許を手で押さえたまま、何度も繰り返し無言で頷いている。

 手のかかる弟子を持つと師匠は苦労すると言うが、まったくそのとおりだとこの時俺は思った。



 鍵に刻まれている2107号室という号数と、部屋のドアの数字を見比べ、俺はその部屋の鍵を開けて中に入っていった。

「ごめんなさい、コーチ。あたし、やっぱりちょっと食べすぎちゃったみたいで……」

 岡はベッドの上に横になると、なんとそのままそこでぐっすり寝入っていた。

 確かに人間、食べたあとは眠くなるというが……この時の岡は、その極端な見本と言ってよかったに違いない。

「やれやれ。困った娘だ」

 この時もまた、俺は藤堂に対して同情を禁じえなかった。たらふく物を食べたあと、牛のようにごろりとベッドで横になる恋人――これでは、色気も何もあったものではないだろう。

(もちろん、あいつの前ではたぶん、もう少し気を遣ってはいるだろうがな。これはあくまで、俺が相手だからであって……)
 
「ん……コーチ。好きです……」

 岡はバイキングで酒類は一切口にしていなかったはずだが、まるで酔った人間のようににんまり笑いながら、そんな寝言を言っていた。

(やれやれ)

「おまえ、もし今俺に襲われても、文句は言えんぞ?」

 くーすー、と安らかな寝息を立て続ける岡に向かって俺はそう言い、自分はとりあえず、ソファの上で横になることにした。

 明日の朝、岡がどんな顔をして俺に対し、平謝りに謝るのか――その顔を見るのが楽しみだと思いながら……。



 >>続く。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿