ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

79.履歴書の空白期間

2017-06-25 23:29:17 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 セミナー終了後に、40代半ばと思われる男性が、途方にくれた表情で質問に来た。「実は長い間仕事をしていなかった。ハローワークで仕事を紹介してもらおうとしたら、『履歴書の空白期間の説明がつかないと紹介しても採用は難しい。』と言われた。やっと働く気になったのにどうしたらいいか・・・」

 話を聴いてみると、空白期間は10年余り。前職を退職後、求職活動をしたが思うように行かず、体調不良も重なって働く意欲をなくしてしまい、仕事も何もしていなかったとの事。それ以上は聴かなかった。

 このような質問や相談は時々ある。空白期間がもっと長い場合もあるし、短い場合もある。空白期間となった事情も様々。どうやって生活していたかも人それぞれだ。

 ハローワークの担当者は忙しいから、一人ひとりの事情をくみ取る余裕はないのかもしれないが、説明ができないことを説明しろと言われても相談者は取りつく島がない。かと言って、「つらいでしょうが、あきらめずにがんばってください。」などと励ましただけでは解決にはならない。では、どうしたらいいか。確かに、現実は厳しい。長期離職者の方を積極的に採用する企業など、皆無に等しいだろう。

 このような相談者には、「大切なのは、変えようのない過去のことより現在、そしてこれからのこと」とよく話す。採用担当者は過去の事情より「今は仕事ができるのか、これからはしっかりやって行けるのか。」という事の方が知りたいと思う。そこがわかって初めて“採用候補者”になるのではないか。

 質問に来た男性は、私に言える事を率直に答えると、少し表情が明るくなった。それから伝えた。「今のやる気を明るく力強く伝える練習をしてみましょう。焦らずに一歩づつ前へ。まずはアルバイトなどで“リハビリ”しながら次を目指しませんか。急がば回れかも知れません。大丈夫ですよ。」

 男性は一歩を踏み出せただろうか。
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78.変わらない姿勢

2017-06-11 22:38:32 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 「はーい」と店主の明るく甲高い声が響く。カウンターとテーブル席20席程度の串焼店。「すみません、注文いいですか」と客の声がかかるやいなや「はーい」。カウンターで目の前の店主に注文しても、大きな声で「はーい」。テーブル席では、店主が返事をするとアルバイト店員が小走りに飛んで来る。串焼店なので、焼き物には少し時間がかかるが、飲み物は早い。たいていの飲み物は1分以内に出てくる。

 短髪で浅黒、作務衣を着た50代と思われる店主は、バイト店員には厳しいようだ。見た目からしておそらく皆学生だろう。注文取りが遅かったり、盛り付けなどでもたついていると、小声で厳しい指示が飛ぶ。時には叱責の声も聞こえる。怒るのではなく、短く叱っている。そんな時でも、客から注文の声がかかると即「はーい」と声が響く。

 店主は二代目らしいが、おそらく30年以上は串焼きを仕事としている。「はーい」と返事をするようになったのはいつ頃からか知らないが、いつも変わらない快活な接客姿勢だ。特別なことをしている訳ではないが、仕事に対する真剣さが伝わってきて安心できる。元気をもらえる。店主が率先して大きな声で返事をするから、バイト店員の動きもてきぱきしている。しかも、バイトが長続きして手際も良くなってくる。店主から仕事の厳しさを学んでいるのかもしれない。
 
 飲食店の接客姿勢は店によって様々だが、変化や質の低下に客は敏感だ。観光スポットなどで一元客を相手にするなら、マニュアルどおりの対応でよいかもしれないが、マニュアル対応は必ずしも均一で上質な接客とは限らない。

 客足が一段落した頃、カウンターの中で店主とバイト店員が談笑していることがある。そんな時、店主の鋭い眼光がやさしい眼になっている。ガラッと戸が開き、「はーい、いらっしゃいませー」と声が響く。「入れますか?」と客の声。即、バイト店員が席を案内する。
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77.礼で始めて礼で終える

2017-06-08 06:22:50 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 この数年、転職や再就職を目指す方向けの公共セミナー講師の仕事をいただいている。就職活動の心構え、応募書類のポイント、面接対策などを話す。他の講師と分担して、毎月3~6回程度県内各所の会場で、用意されたテキストを使って定型的な内容で行う。1回2時間。単純計算すると、既に100回近く行ったことになる。

 このセミナーや他の研修でも続けている事が、講師と受講者が最初に起立して礼で始め、最後は起立して礼で終えることだ。学校の授業や武道の試合のイメージだ。姿勢を正して「よろしくお願いします」と先言後礼し、「ありがとうございました」と分離礼して締める。マナー研修ではないので、セミナー仕様書で「礼」を励行するよう指示されている訳ではない。参加者が多かろうと少なかろうと行っている。

 講師として、同様のセミナーを繰り返しやっていると、段々と慣れてきて改善点や気持ちの余裕が生まれるメリットもあるが、逆に気持ちのゆるみが生じることもある。時には、体調がすぐれずおざなりな進め方をしてしまったと反省することもある。しかし、多くの受講者にとっては始めて参加するセミナーのはずである。何かを得ようと期待して来る人もいる。
 
 最初の「礼」は、講師と受講者が双方気合を入れ、距離感を縮める意味もある。最後の礼は、時間を共有した互いを敬い労をねぎらう意味もある。また、受講者の表情や声で、講師としての役割や責任を果たせたのかどうか感じることもできる。

 今後も講師としてのキャリアを積み重ねて行く中で、一つ一つの仕事に誠実に向き合う姿勢を守るためにも、パートナーから教えられた「礼」は大切にして続けて行きたい。昨年も挨拶の大切さについて同様のブログを書いたが、今も地道に続けている。今日もこれから、一期一会かもしれないセミナーに、講師として出かけてくる。

 

 

 
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