ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

109.再会

2019-05-30 23:42:52 | 時代 世の中 人生いろいろ
このブログの102回目に書いた「人生の先輩Mさん」に、およそ30年ぶりに再会した。この間、中部地方に住むMさんとは、毎年年賀状のやり取りは続けていた。一言書きには、お互いほぼ同じことを書き続けていた。「今年こそお会いしましょう。遊びに来てください。」

 来年古希を迎えるMさんは、若々しかった。週に4~5日はジム通いやテニスをされているせいか、体は引き締まっている。声の張りや艶が、脳裏に残っている当時の声と変わらない。かわいいお孫さんもいて、お子さんの休みの日には一緒に遊びに来るらしい。スマホで見せてもらった奥様も若くきれいな方だ。サラリーマンの定年退職後の幸せな暮らしのモデルのようだ。

 そんなMさんと昔よく行ったバーへ行った。Mさんは、四半世紀ぶりにマスターと再会できることを期待していた。マスターがいた。「おおっ、お久しぶり」と、お互い懐かしそうに声を上げ、カウンター越しに握手した。それから、Mさんが店に来たいきさつや今の暮らしぶりなどを話し、マスターもお店の近況を簡単に話した。丁度、カウンターの上に、お店の34周年を祝う花が置かれていた。マスターは、ずっと好きな音楽活動をしながら、お店は同じ場所で改築して広げて、今はライブハウスにもなっている。メジャーなミュージシャンが来るような名店にもなっている。お客さんや仲間からも慕われている。休みの日は、還暦過ぎて繰り上げてもらっている年金で、一人気ままに日本各地の名所やライブハウスを旅しているそうだ。

 お二人ともに半生に悔いはないものの、まだまだやりたいこともある様子。そんな二人を見ていて、人生いろいろ、いつも満足ではなくても納得の行く生き方をしたいと思った。

 「じゃあ、また来るわ」と店を出るMさんを、マスターはいつもの柔らかいまなざしで見送った。私には「また来てよ」とささやいた。








 

 

 
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108.仕事の煩悩

2019-05-19 16:25:39 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 煩悩とは、「心身にまといつき心をかきみだす、一切の妄念・欲望」という意味の仏教用語である。どんな仕事も、悩みや迷い、煩わしさはつきものだろう。何の煩悩も欲望もなく働き、生きている人などいない。

 私の場合、例えばキャリア支援の仕事をする際にも、悩みや欲はある。クライエントが思うように動かない時、腹立たしくなる。就職に結びつく結果が出ないことに、焦りを感じてしまう。支援が長期化してくると、出口のないトンネルの中にいる様な不安が増してくる。相性が悪い相手との関係維持が難しくなると、支援が嫌になる。もっと割のいい仕事をしたいと、他人と比べて羨んだり嘆いたり。等々。虚栄心、嫉妬心なども。

 今もこのような煩悩や欲はあるが、以前よりはコントロールできるようになって来た。以前も、仕事と割り切ることでコントロールしていたつもりだが、心の負担やストレスにもなっていた。それが今では、時と場合にもよるが、概ねその度合いが軽くなったと思える。

 それは何故かと考えてみると、現場での場数を踏む中で、自分の弱さや仕事としての限界を知ったことが大きいと思う。人は自分の思い通りにはならないし、その人の一生に責任は持てないのだから、今できることを誠実に基本に忠実にやるしかないと思うようになった。勿論、柔軟性が必要な時もあるが、臨機応変と場当たりは違う。無責任と思われるかもしれないが、変わるも変わらないも相手次第で、一時その手助けをしているだけ。そんな風に考えるようになって来た。人に対して謙虚になったのかもしれないし、それが相手を尊重するということかと考えるようになった。

 今の仕事の煩悩を洗い流すには、これからも時々自分を振り返りさらけ出してみることが大事だろう。そして、心身にまといついた物の掃除や片づけは、誰かに手伝ってもらう方が早いかもしれない。虚心の境地はまだまだ。

 

 

 
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107.仕事を辞めたくなったら

2019-05-12 13:42:32 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 新年度が始まって、約1か月が過ぎました。新たに社会人になった人、新たな役割や環境の中でスタートした人など、気持ちを新たにされた人も多いでしょう。まずまず順調な人やまだこれからとがんばっている人がいる一方で、さっそく壁にぶつかって戸惑っている人も少なくないのかもしれません。

 キャリアコンサルタントとして転職相談を受ける時、よく聴く話があります。「仕事の内容や労働条件が、思っていた内容と違っている。」「職場の人間関係や雰囲気が良くない。」「仕事が合わなくてやりがいがない。」など、転職したい理由です。それらは、多くの場合、仕事や職場に対する不満です。

 確かに、労働条件や職場環境などに大きな支障があって、転職を望むことがやむを得ない場合もあります。俗に言う「ブラック職場」かもしれません。しかし、そのような職場でも、がんばっている人はいないでしょうか。また、仕事のやりがいがないと言えるほど、仕事を覚えようとしたでしょうか。無理や我慢を強いるつもりはありませんが、不満の原因を他人や環境のせいにしているだけでは、別の所へ移っても同じことを繰り返すだけかもしれません。

 景気の回復に伴い求人情報も増えて、売り手市場となっている昨今ですから、適職を探したり、自分の可能性を広げたりするチャンスもあるでしょう。ただ、その前に、今の仕事に就くまでにかけた時間や動機を振り返り、今の仕事で出会った人や、得られた知識、経験の中にプラスの面はないか考えてみてはどうでしょうか。友人やご家族、できれば上司にも相談して、気持ちと頭の整理をしてからでも遅くないのではないでしょうか。これまでの事も、これからの事も、できるだけポジティブに考えられるようになって、今の仕事や周りへの影響にも配慮できるようになった時が、良いチャンスかもしれません。
 
・・・以上は、私が昨年4月にある雑誌に投稿したコラムです。10連休が終わり、5月も半ばになり、ふと思い出し投稿しました。(ブログ掲載につき運営企業様の了解を得ています。)
 <ワークネットコラム:おしごとコラム>
https://www.work-net.co.jp/column/corporate/
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106.笑門来福 千客万来

2019-05-01 17:19:03 | 人、本、旅 日記
 「笑門来福 千客万来」行きつけの居酒屋の座敷の戸にかけてある暖簾に染められた文字。何度も来慣れている店なのに、平成の終わりにカウンターで話しながら飲んでいると、初めて目に飛び込んできた。

 暖簾をながめながら、自分なりの意味を考えてみた。「笑う」ことは、人に対する気づかいと考えてみた。「笑う」ことは、まず気持ちに余裕がないとできないことだし、いわゆる「笑顔」に象徴される朗らかな表情や穏やかな態度は、相手の気持ちを和らげる気づかいと思う。こちらも和やかになる。また会いたい、話したいとお互いに思う。一緒に何かをしたいと思うことや、誰かを紹介したいと思うこともあるかもしれない。そんな人が少しづつでも増えて行くといい。消えてしまう「点」、切れてしまう「線」、欠けて行く「面」もあるかもしれないが、長い目で見て、点が線になり、線が面に広がって行くように努めていれば、自分にも相手にも福が来るのではないか。

 この居酒屋の店主夫婦は40代。おそらく小難しい理屈よりも思いを大事に商売を続けて来られたのだろう。綿密なプランニングとかデザインなど無くても、一日一日、一人一人のお客様を大事にしてきたのだろう。注文すると返事をして微笑む。提供が遅くなると謝る。客の酒や食材に関する質問にも笑顔で答える。帰り際、必ず客を見て礼を言う。気持ち良いからまた行く。人を連れて行っても顔が立つ。そんな繁盛店の常連として、礼節をもって長く付き合いたいと思うようになる。

 人を相手にする仕事をしている以上、人に対する自分なりの理念や芯となるものを大事に持ち続けたい。人は必ずしも損得だけを考えているわけでなく、居心地の良さや自分らしくいられる場を求めていると思う。そして、和やかに人が集まる所に情報も集まり、機会も生まれ、それぞれの福も来るのだろう。

 「笑」を忘れないこと。「和」には「礼」も大事。
 

 
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