ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

57.素直にうれしい

2016-09-25 11:32:35 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 Aさん「この人たちは違う!どこにいるんだろうと思ってネットで調べたんです。(キャリアコンサルタントの)資格にも興味があったので話を聞きに(養成講座の運営校・当方に)行ったら、ちょうど先生がいらっしゃって、すぐに講座を受けようと決めたんですよ。」

 Bさん「会社で(キャリアコンサルタントの)資格を取らなきゃいけなくなって、知り合いから勧められた所の養成講座にしようかと思ったんだけど、あそこの人達はどうも上から目線で自分には合わないと思っていた時に、近いし安いからと思って(当方に)申込んだんですよ。そしたら、先生が講師で、ラッキーでした。」

 Aさんは、製造関連のパート勤務だったが、身内の事情で一旦仕事を辞めた後、人と関わる仕事がしたいと再就職先を探している時、私とパートナーが二人態勢で講師をしている再就職支援セミナーに参加して、私たちのことを知った。一方的にテキストを読むだけでなく、一人一人にできる限り向き合って、限られた時間で懸命に相手に合わせたアドバイスをしていたことに感動したようだ。

 Bさんは、公的機関に勤めているが、かつて受講した職業訓練の講師を私が担当した時のことを覚えてくれていた。「カウンセリングとか『傾聴』しろとか自己理解とか、他の所の講座で話を聞いたときは自分の中に踏み込んでこられるみたいで嫌だったんですけど、先生達の話はすっと入ってきました。わかりやすかったです。」

 講師の仕事をしていて、受講した人の生の声を聞くことは少ない。このように一受講生だった人とのつながりができて、本音を直に聞けることはありがたい。「先生」などと言われて自惚れてはいけないが、他との比較でほめてもらえるとリアリティーがあるし、素直にうれしい。今後も、パートナー共々相手を尊重する姿勢を忘れずに、人の転機にキャリアの方向性を見つける援助をして行きたい。
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56.人を見る目

2016-09-24 00:12:26 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 キャリアコンサルタントとして、職業訓練の講師を担当している。訓練の中でも、雇用保険を受給しながら受講して早期再就職を目的とするコースを主に担当している。訓練内容は、OAスキル、事務系、特定業界や資格を目指すものがある。私の担当は、専門知識や技能の講義ではなく、就職支援、キャリア支援、コミュニケーション等に関するものである。

 受講生は、老若男女、キャリアも様々だが、最近、受講生を見ているとその人が大体どんな働き方をしてきたか想像できるようになった。そのイメージは多くの場合、実際と大きく違わないと思えるようになってきた。

 例えば、就職支援等の講義の日に限ってよく休む受講生がいる。確かに、急な所用や体調不良などの理由で一定日数欠席することは認められるが、それを逆手にとって自分が興味がない、不要と思う講義を欠席していると思われることがある。そんなことが何度も続くと、偶然とは考えにくい。職業訓練を受講する立場でありながら、自分に都合の良い勝手な判断をすると思われても仕方ない。再就職をなめているのかプライドがあるのか知らないが、採用担当者目線で見ても使いにくいタイプなのだ。仕事は楽なことだけをさせてもらうわけではない。それなりの年齢でキャリアもある受講生にもそういうタイプがたまにいる。

 一方で、訓練を自分の転機ととらえて、素直に、不器用でも懸命に、新しいことでも何でも吸収して将来に生かそうとする受講生も多い。企業が欲しい人材は、圧倒的に後者だ。そのことに気づかないから、前者はこれまでと同じように再就職が難航し転職を繰り返す。家族の支援などの逃げ場があるせいか、定着しない。受講の動機は何であれ、せっかくの機会を自らのキャリアに少しでも生かせば良いのにと思う。講師もプロ意識を持って、受講生の何か役に立とうと懸命にやっている。講師は人を見るのも仕事だ。

 
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55.五十五歳からのシニアワーク

2016-09-20 20:06:53 | シニア 人生100年
 厚生労働省労働局主催事業の中に「シニアワークプログラム地域事業」というものがある。これは、ハローワークに登録している55歳以上の求職者を対象とした再就職支援事業で、各種技能講習と就職支援セミナーおよび面接会がセットされた6~8日程度のプログラムとなっている。技能講習には、清掃、ビル管理、介護職員初任者研修、介護送迎運転手、フォークリフト運転、調理補助などの座学と実技講習がある。

 私は、このプログラムの就職支援セミナーを担当しているが、先日、清掃の実地講習の様子を見た。50代後半から60代と思われる男性7人と女性1人が、床清掃のモップのかけ方、雑巾の搾り方、机の拭き方などを指導されながら、慣れない手つきで真顔で実習していた。指導員の方も、時折厳しく、丁寧に、やってみせたり、させてみたり、声をかけたりしながら教えていた。

 休憩時間に受講者の男性二人が、手洗いで話していた。「やっぱり、元気なうちは働かないといかんな。毎日家にいても何もすることないしなぁ。」「雇ってくれる所あるんやったら、何でもやってみないかんな。」

 多くのシニア層にとって、特に地方の中小・零細企業等の出身者にとって、再就職は容易なことではない。受講者のこれまでのキャリアはわからないが、技能講習を受講するからには未経験の職種にチャレンジするのだろう。受講者全員の再就職が保障されているわけではないが、キャリアチェンジにチャレンジすることは早期に再就職を決める上で大切なことである。たまたまハローワークで勧められたからという軽い気持ちで参加した受講者もいるだろうが、それでも何がきっかけになるかわからない。
 
 求職者も企業も、お互いを必要としたりされたりする気持ちが、働き続ける(続けてもらう)ためには大切なことだろう。シニアにとって、自分らしく働ける居場所が見つかれば・・・と願う。
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54.嘱託Kさん70歳 

2016-09-17 14:47:50 | シニア 人生100年
 私がお世話になっている会社のある事業推進スタッフに、70歳のKさんが入ってきた。大手企業に定年まで勤めた後、公的機関で期間満了になるまで働いて、縁あって当方の嘱託として働くことになった。小柄で細身、白髪、額には深い皺があり、眼鏡の奥の目は窪んでいる。声はややかすれ気味で、あまりしゃべらない。

 Kさんの役割は、シニア層向けの講習会の準備、運営、フォロー等の補助。時々様子を見ていると、担当スタッフの指示通りに黙々と作業をこなしている。昼休み以外は休む様子もなく淡々と作業をしたり、電話でやり取りしているが、定時が来たらすっと帰る。そして、また翌日やって来て仕事をこなす。パソコン入力は遅いが、手際は悪くなさそうだ。見かけによらず押しが強いところは、年の功かもしれない。

 そんなKさんの歓迎会があった。仕事ではやや存在感の薄いKさんだが、お酒は強かった。あまり食べずに淡々と飲むのだが、きれいな飲み方だ。歓迎会ということもあり、普段より饒舌に昭和の話や現役時代の話、昔上司からよく聞かされた懐かしい冗談などもリピートしていたが、あくが抜けた話し方なので嫌みがない。むしろ、我々のような一回り二回り以上年下世代と、コミュニケーションを取ろうと努めている姿が微笑ましくもあり、時折皆の笑いを誘っていた。

 宴もたけなわの頃、酔っぱらった担当スタッフが言った。「Kさん、明日朝7時の電車すよ。駅の改札で待ち合わせすよ。大丈夫っすか?」Kさんは矍鑠として言った。「私はね、毎日10時には寝て、朝5時に起きるんです。会社に勤めだしてから、一度も約束の時間に遅れたことはありませんからね。大丈夫です。」

 中締めの挨拶でKさんは、「この歳になって歓迎していただき、ありがとうございます。これからよろしくお願いします。」と丁寧に頭を下げた。

 

 

 

 
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53.仕事のネットワーク

2016-09-11 23:51:04 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 ファイナンシャル・プランナー(FP)やキャリアコンサルタント(CC)の仕事でも、仕事を進めて行くためのネットワークは重要だ。ネットワークといっても様々な形態やレベルがあるが、私の仕事に必要なのは、単に情報収集や一時的な事業のためだけでなく、連携や協働というレベルのネットワークだ。例えば、FPとしては、相続問題なら弁護士、司法書士などの専門家、CCならハローワーク等の就職支援機関は勿論、臨床心理士などメンタルヘルスの専門家との連携が必要になる場合もある。また、様々な分野の専門家だけでなく、公的機関や同業者(FP、CC)の中でも得意分野や経験豊富な分野を持つ者と連携や協働を図る場合がある。

 連携や協働は、相手が仕事や顧客を持っていれば、こちらの都合に合わせて動けないことがあるのも当然だ。逆に、こちらが連携や協働を持ちかけられても、相手の要望に応じられないこともある。連携や協働は、常時必要なものとは限らないだけに、必要な時に活用、推進できるようにしておくには、日頃からのコミュニケーションや信頼関係を維持する努力が不可欠と思う。また、連携や協働のためのネットワークは、それ自体が目的ではなく、それらを手段として顧客の問題解決やサービスの質の向上に貢献することが目的だ。そう考えると、顧客や仕事に対する基本的な理念の共有も大切になってくる。

 異業種交流会等で集めた名刺の数はネットワークの質と関係ない。ネットワークの相手の役割や価値観は多様であっても、共有する理念がない連携や協働は長続きしない。一緒に仕事がしたいとアプローチしておきながら、約束事を自分の都合でキャンセルしたり、こちらと他者を天秤にかけるような自己中心的な相手は信用しない。

 ネットワークの構築や維持には、仕事の質だけでなく、理念の共有や信頼関係の維持ができる相手かどうか見極める目や胆力も大切と感じている。
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52.店長さんの息子は不惑で就活中

2016-09-05 23:24:58 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 平日午前の喫茶店。モーニングの客が一段落した頃、店長はサイフォンでコーヒーを淹れながら、カウンターの婦人に話し始めた。婦人は、久しぶりに訪れたなじみの客らしい。

「うちの子、今、仕事探してるのよ。失業保険もらいながらハローワーク行って。」
「あら、どうしたの?いい所にお勤めだったんじゃ?」
「そうなのよ。最初の頃は、営業の成績も良くて給料もボーナスも良かったらしいんだけど、会社の景気が悪くなってきたらボーナスも減ってきたんだって。そんなんだから、がんばっても給料も上がらなくなってきて、それを上司に言ったら、何かの研修ばかり受けさせられるようになったらしいの。プライドの高い子だから、それが我慢できなくなってパッとやめたみたいなのよ。」
「そう、それは心配ねえ。止めなかったの。」
「私に言ってきた時は、『どうしようか』って相談じゃなくて『やめるから!』ってそれだけ。言い出したら聞かない子だから好きにしなさいって言ったんだけど・・・」
「そうなの・・・」
「四十過ぎて世間の厳しさを知ったんじゃないかしら。四十過ぎたらもうホントに仕事無いらしいわね。介護のアルバイトなら求人があるからって、とりあえずやってみるみたいだけど、どうするのかしらね・・・」
「介護も大変よねえ・・・。私もあと10年もして80も過ぎたら一人じゃ何もできないから誰かに面倒見てもらわないと・・・これから介護してくれる人が増えていかないとねえ。」
「・・・」

仕事柄、新聞読むふりをしながら聞き耳を立ててしまった。いくつになっても親は子を心配するものだが、息子が自分の道を見つけることを信じるしかない。息子は、余計なプライドは捨てて、この際キャリアチェンジするくらいの覚悟で新天地を探すこと。介護でも何でも、縁あって近づいた仕事を適職にする努力も大切。四十代、まだまだ人生これから。
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51.キャリアコンサルタントとしての私のキャリア

2016-09-04 10:39:28 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 人のキャリアを支援するキャリアコンサルタントにもキャリアはある。キャリアコンサルタントは、キャリアが豊富でキャリア形成が順調な人々かというと、必ずしもそうではない。私自身も、人生まだ道半ばだし、それほど人生経験豊富とも思っていない。仕事柄、「先生」などと呼ばれることも多いが、内心忸怩たる思いがすることもある。だからといって、卑屈になってはいないし、むしろ経験値では他のキャリアコンサルタントにも引けを取らないという自負もある。

 現在、キャリアコンサルタントとしての仕事は大きく分けて二つある。一つはセミナー・研修講師の仕事。もう一つは個別相談だ。どちらもいろいろな内容の依頼を受けるが、大事にしているのは比較的に報酬が低くても継続する仕事だ。セミナーならば同じ内容で毎月開催されるもの。研修ならば連続して一つのテーマに取り組むもの。個別面談は、同じ支援対象者と数回から十数回あるいはそれ以上向き合うもの。これらの仕事は、手間もかかるし苦労もあるが、逃げずに向き合い取り組むことで、試行錯誤しながらも着実に地力がついてきて、自らの成長につながっていると実感している。

 昔、キャリアコンサルタント資格を取ったばかりの頃、単発の報酬の低い仕事ばかりやっていると資格者全体の価値が下がるかのようなアドバイスをしたベテランがいた。いろんな考え方はあるだろうが、独りよがりで世間知らずなアドバイスだと思った。資格自体の認知度がまだ低く資格者の実務レベルも高まっていない中で、報酬の良いきれいな仕事ばかりやろうとしても、地方では続くはずがないと思ったのだ。私は、腰を低く頭を低くして、泥臭く相手の役に立つことを地道に続けて行くことが大切だと考えた。

 この約6年、そうやってキャリアを作ってきた。これからも、人の教えや助けを借り、道幅を広げ基礎を固めながらも、初心は守って行きたい。
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