ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

68.人生の先輩Kさん

2017-02-05 22:20:55 | シニア 人生100年
 Kさんは御歳70を超えている。かつての政府系企業に定年までお勤めになり役職も経験された後、民間企業や公的機関等から声がかかり、嘱託社員などとして数年毎に再就職されて仕事を続けている。今も、私がキャリア支援の仕事をしている所の担当者から懇願されて、シニア層の再就職支援や再就職先開拓の役割を担っている。

 Kさんは、とにかくよく動く。小柄で細身の体ながら元気だ。電話の声は大きくよく話す。フロアや廊下を小走りで動く。資料作りは手書きだが、鉛筆で書く文字がきれいで丁寧だ。赤鉛筆も使う。表の罫線も定規を当てて作られる。PC操作は苦手のようだが、文書に乱れはない。勿論、仕事に対する責任感は強く、任された仕事はやり切ろうとする。残業も厭わない。

 そんなKさんだが、決して偉そうに振る舞ったり、上から目線で物を言うことはない。ご自身の経験や信念からの意見を言うことはあるが、押しつけがましくない。若手の意見や担当者の指示も聞くし即応する。かと言って、全く隙がないわけでなく、今やろうとしたことを度忘れしたり、つい話が長くなったり、書類をめくるときに指をなめる癖がなおらなかったりする点はご愛嬌だ。だから、一緒に仕事がやりやすい。できる限り協力したくなる。

 Kさんが忘年会のときに言った。「私、70も過ぎたんで仕事はもういいと思ってたんじゃけど、○○さんにどうしてもと頼まれましたから、私でよければもう少しだけご奉公させてもらおうかと思ってやっとりますのよ。やるからには、きっちりやらんといけませんけん、いろいろ教えてくださいや。」日本酒で乾杯の時、担当者に対するお猪口を持つ手をちょっと下げた。

 Kさんは実に半世紀以上、周囲からも必要とされて勤勉に働き続けている。そんなに働いて大丈夫かと少し心配になることもある。人生の先輩を見習い、年長者を敬う気持ちを大切にしたい。
 

 

 
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