ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

59.老舗バーのバーテンダー

2016-10-12 00:28:47 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 大阪キタで創業40年以上の小さな老舗のバーがある。私はその店を約20年ほど前に知り、週末に時々寄っていた。大体一人で行き、バーボンやスコッチウィスキーを1、2杯飲んで帰っていた。あまりお酒は強くはなかったが、仕事の疲れやストレスを少しでも癒したくて、カウンターで一息ついていた。

 当時のマスターは、この業界では有名人で、大阪人ということもあってか、少し太った体にいつも赤いベストを着て、大きな声と笑い声で客と歓談していた。特に洋酒に対するうんちくと愛着は他の追随を許さないほどで、よくお酒の種類や中味や歴史も語っていたが、それが私には決して押し付けや自慢話には聞こえず、こんなに好きなことを仕事にして生きて行けたらと、うらやましくも感じた記憶がある。その後、転勤したこともあって、足が遠のいていた。

 その店に機会あって、十数年ぶりに行ってみた。狭い階段を上がって行く時、少し緊張した。店の扉を開けた時、当時まだマスターの手伝いだった息子さんが、「あれっ、お久しぶりです!」と目を細めて声をかけてくれた。連れと一緒にカウンターに座ると、「元気にしてましたか?」と白いおしぼりを広げて差し出してくれた。「この笑顔、対応、光景、昔と変わらない。」と安堵感に包まれた。少し近況など話した後、どんなお酒が飲みたいか丁寧に注文を聞いてくれた。その間、先ほどまでカウンター越しに会話をしていた別のお客さんも、しばし一人で酒を味わっていた。この一人ひとりのお客との距離感を大切にしながら、丁寧な仕事をする姿勢も変わっていなかった。

 先代のマスターは、今は療養中とのこと。息子さんが二代目として立派にお店を引き継いでいる。それぞれの客にとって変わらないお店であり続けるために、息子さんも変わり続けて(成長し続けて)来られたのだろうと思うと、お酒の味も自らの身も心地よく引き締まる思いがした。
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58.キャリアコンサルタント試験の合格者とこれから

2016-10-02 17:03:39 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 先日、前々回のキャリアコンサルタント養成講座の受講生から試験合格の知らせがあった。60代、50代、40代、それぞれ違ったフィールドでキャリア支援関連の仕事をしていたが、本年4月にキャリアコンサルタントが国家資格化されたのを機に、試験の受験要件の一つである「キャリアコンサルタント養成講座」全14日間の講座を受講し修了した。これで、前々回の講座受講者6名のうち、家業の都合で受験を延期せざるを得なかった方1名を除き、5名全員が資格を得て「キャリアコンサルタント」を名乗ることができるようになる。

 試験は、学科試験と実技(論述・面接)試験の二本立てになっているが、今回合格した3名は、1回目で学科試験には合格したものの実技がわずかに合格ラインに達しなかった。中でも面接対策に苦労した。キャリアコンサルタント試験における面接は、「傾聴」をベースにした来談者中心カウンセリングにリード(展開)を織り込んで行くことがポイントになる。しゃべりすぎても、逆に聴いてばかりでも合格は難しい。そういう面では、実際の現場とは少し違う試験合格のテクニックの様なものはあるかもしれない。

 しかし、私は、試験合格は必要だけど、それはキャリアコンサルティングという相談援助の仕事を行うための手段であり、仕事の目的はクライエントに合った十分な支援を行うことだと考えると、クライエントを尊重するという心構え(マインド)を身につけることの方を技法より大切にしてきた。

 合格した5名の方々は、仕事のフィールドも資格の活かし方も違ってはいるが、皆何らかの形でキャリアの転機に立つ人の支援や人財の育成に携わる。合格までに苦労したからこそ身についたこともあるだろう。これからも可能な限りクライエントを尊重しながら、競争と協働の中から現場感覚のある実践的なキャリアコンサルティングのネットワークが広がればと思う。

 

 
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