白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

回顧録

2008-12-30 | 日常、思うこと
年の瀬、仕事納めの夕刻に、交渉先からの連絡があり、
仕事始めの1月5日に資料一式の一切を一言一句全て
修正してから持って来い、という、横暴極まりない、
嫌がらせとしか思えぬ指示を受けた。
担当者は、1月5日までは休暇だから問い合わせには
一切応じない、
いつになれば俺の納得できる資料を作ってくるのか、と
高圧的かつ鼻に掛けた半笑いの話しぶりである。





事前折衝は既にかれこれ半年にもなるにも係わらず、
事あるごとに指示が目まぐるしく入れ替わるなど、
完全にこちらの立場を見下し舐め腐った対応である。
最初からこちらの申請を認める気がないのだから、
屁理屈と、瑣末な事象の陰湿な指摘しかして来ない。
ある時など、たったひと文字の「てにおは」の使用が
自分の気に入らないという理由で、修正した上で再度
提出しに来い、ということさえあった。





公務員というやつは、自らの責任を回避して自分を守り
「何もしないために」専心腐心する人種であるらしく、
目上には媚び諂い、目下には自分自身が法律であるとの
言説もしくは旗印を振りかざして、
傍若無人横柄横暴独断専横に振る舞うものであるらしい。
無論、こちらは交渉先の承認を受ける立場であるから
休日返上で対応しなければならないわけで、
その間も、件の公務員はのうのうとハワイかグアムの浜辺で
ビキニの金髪美人の尻を見てビールを飲んでいるのである。





ようやく資料が出来上がったのは今朝のこと、
大急ぎで製本作業を行って、ようやく今日の午後からは
正月の休暇に入れることになったものの、
そのおかげで、9日間の休暇の予定が5日間となり、
ホテルでの静養の予定も取り消さざるを得なくなった。
来年の仕事始めは、朝から、東京である。
これで、再び、件の公務員から何らかの物言いがあれば
とりあえずは、その舐め腐った態度に我慢ならない旨を、
丁重かつ穏便に、お伝えせねばなるまい。





とりあえず、この正月は、ウィスキーや紅茶を喫しつつ、
ドゥルーズを再読に付して過ごすことにする。





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今年は、家族・親族関係の不和が深刻となったばかりか、
祖母に耄碌が兆し、母のX線写真には影が映った。
仕事上・職場でもトラブルが重なって関係に亀裂が入り
諍いとなることも一度や二度ではなく、
プライベートにおいても思いに上せたくもないことがらが
いくつも重なったせいで、総論としては散々な年だったと
言わざるを得ない。
僕も心療内科での治療は終了させたものの、心身の調子は
いまひとつ優れないままであり、
咳喘息、眩暈、神経過敏、不安感、片頭痛、腰痛、高血圧、
心拍昂進、脱毛、不眠、過緊張など、ストレスに起因する
諸症状も、一進一退の状態にある。





そうしたなかでも、いくつかの喜ばしいこともあって、
来年以降は、そうしたものごとに可能性を見ていたい、
と、祈っている。
祈り、と書いたのは、思い、というものを抱いても
成就した試しはなく、
願い、も、成就するどころか、
虚無へと帰結し続けてきたためでもある。
祈りは、我が身のものごとではなく、何事かにゆだねる、
と、いうことであって、
虚無のなかにあってなお一条の光、灯でありうるからだ。





一年の節目をつけるにも、疲労によって、論を継ぐのが
たいへんに億劫であるために、
様式を借りて、以下、わが身を思い返し、
今年という年を、書きつけておくこととする。





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今年、もっとも頻繁に(煩雑ではない)赴いた場所は何処か、
と、問われれば、
職場であった、
と、答える。



今年、もっとも一緒に居合わせた人は誰か、
と、問われれば、
職場の人間であった、
と、答える。



今年、もっとも収穫であったと思うのは何か、
と、問われれば、
或る邂逅であった、
と、答える。



今年、もっとも視聴した番組は何か、
と、問われれば、
ほとんど視聴せぬため挙げられないが、強いて言えば、
皆藤愛子の天気予報である、
と、答える。



今年、もっとも聴いた音楽は何か、
と、問われれば、
中原中也の詩による、友川かずきの「サーカス」 である、
と、答える。



今年、購ったもののうち、もっとも高額なものは何か、
と、問われれば、
IWCの1940年製の腕時計である、
と、答える。





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今年、もっとも悪事であったことは何か、
と、問われれば、
思い出したくもない、
と、答える。



今年、もっとも頑張ったことは何か、
と、問われれば、
仕事、
と、答える。



今年、もっともうれしさを覚えたことは何か、
と、問われれば、
こちらに向けられた暖かで穏やかな、やさしい笑み、
と、答える。



今年、もっとも悲しみを覚えたことは何か、
と、問われれば、
思い出したくもない、
と、答える。



今年、もっとも怒りを覚えたことは何か、
と、問われれば、
不条理と無関心をもって遇せられたこと、
と、答える。



今年、もっとも恥ずかしさを覚えたことは何か、
と、問われれば、
自分が今どう思われているかに気付かなかったこと、
と、答える。





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今年、もっとも私的に熱をあげた嗜みは何か、
と、問われれば、
醉心を飲むこと、
と、答える。



今年、もっとも印象に残っている思い出は何か、
と、問われれば、
芸術家は、自分がどうやって作品を生み出しているのか
実はよく分かっていない、という僕のかねてからの確信と
全く同じ言葉を初めて、違うひとから聞くことができた、
銀座で信号を待つ夕刻の刹那、
と、答える。



今年、という一年を、漢字一文字で表すと、何か、
と、問われれば、
霞、
と、答える。



今年、大晦日、どのように過ごすのか、
と、問われれば、
掃除して、ピアノを弾く、
と、答える。



今年、とは、どんな年であったのか、
と、問われれば、
はやく、過ぎ去って欲しい、
と、答える。





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最後に、来年の抱負は、どのようなものであるか、
と、問われれば、
安寧であるとともに、この現況を打ち破るべく、
動きたいと、祈っている、
と、答える。





妹が帰省してくる。
とりあえずは、掃除にかかろう。
両親への、結婚30年記念の贈り物は、旅行券にした。
どこかの温泉で、ゆっくりしてきてもらいたいと思う。







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