白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

My Destiny

2007-06-24 | こころについて、思うこと
疲労は思いのほか身体の奥底から発していたようで、
もしリッツ・カールトンで眠っていなかったとしたら、
発作をおこしていたかもしれない。
それほど、心身が鉛のようだった。
今日はゆっくり眠ろう。でも、眠れないかもしれない。




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6月22日14時57分発博多行き新幹線に乗車、
15時49分雨天の新大阪着、タクシーに乗り込み
リッツ・カールトンへ向かう。
リッツ・カールトンのメインエントランスへ入る瞬刻に
車窓から右側を眺め見ると、
スノークリスタルビルの手前側に高速高架に覆われた
窪地の底を水流がせせらぐ公園が見えた。
屋外劇場の階段座席のような同心円状の窪地の底へと
降りていく段毎に、ホームレスが死んだように眠っていた。




リッツ・カールトンのメインエントランスの専属ドアマンに
荷物を預け、名前を告げてチェックインカウンターへ向かう。
橙色のシャンデリアは、それ自身の豪華さを誇らぬように、
緑と茶を基調とした重厚な絨毯へ、ピアニシモの光を届ける。
37階、最上階の部屋へアップグレードを行ってくれたことに
謝意を述べ、メインロビーへと歩みを進めると、
ウォルナット材を多用した内装、チッペンデール様式の家具類、
壁に飾られた風景の油絵、これらが慎ましく、しかしあるべき
場所に、調和をもって配されていた。




ロビーのソファに座ると、それは子宮のような包まれ方である。
中央に飾られた花々はまさに繚乱の一語に尽きるのだが、
白亜の大理石の暖炉との色調の対比が、抑制された光によって
鎮められていた。
空間が絵画化されているのである。
全館の空調に花のアロマが焚き込められているのだろうか、
薔薇のような仄かな甘い香りが漂っている。
案内の女性が現れ、誘われてエレベーターに乗り込んだ。




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案内の女性は肩肘の張らない、しかし品位を失わない言葉を
使いながら、話し掛けてくる。
こうした短い時間の中で、僕の素性や基本的な嗜好を推し量り
サービスの一案とするのだろう。
部屋に入り、一瞬「少し暑いな」と感じた僕を全く見ずに、
「少しお暑いようでらっしゃいますね、温度をお下げいたします」
と彼女が話したのには驚いた。
温度を下げてもらい、ウェルカムドリンクにミネラルウォーターを
頼み、窓辺に向かった。
大阪の北東方向、宝塚から高槻あたりまでが一望のもとに見渡せる。
伊丹にランディングする飛行機のようすも眺め見える。




ドリンクをセットしつつ、「何かお役に立てることはございませんか」と
彼女が話すので、ズボンプレスとアイロンを頼んだところ、
すぐに使えるようにと、コンセントを差し込んでくれる。
スチーム用の容器には、水がきちんと満水ラインまで入れられていた。
37インチプラズマハイビジョンの電源を入れ、
備え付けのDVDプレイヤーでキース・ジャレット・トリオのCDをかけ、
ハイネケンを飲みながら暮れ行く街を眺めた。




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18時、ベッドメイキングに訪れた2人の黒人の男性スタッフは
流暢な日本語で僕に挨拶をしたあと、
扉の前で靴を脱いでから部屋に入ってきた。
「他人の家に土足で入るのは失礼に当たる」という考えから、
客の部屋に入る際はそのようにしているのだそうだ。
ベッドメイキングを終え、アメニティ類を整え、
テーブルの上のハイネケンの片付けをし、一旦退室したあと、
彼らは「よろしければお使いください」と、氷を置いていった。
僕がハイネケンを空けていたことから判断したのだろうか。
それはまさに僕が氷を頼もうとしていたときの出来事だった。
リッツ・カールトンの、リッツ・カールトンたる所以は、
こうしたところにあるのだろう。
畏まらず、肩肘を張らず、それでいて失礼の無いように、
客の求めるものを、求められる前に察して実現するというのは、
本当に難しいことだからである。




19時、フィットネスセンターでマッサージを受ける。
施術は僕とほぼ同じくらいの年齢の可愛らしい女性であった。
台の上に俯けになると、部屋は橙と桃のあいまの色を保って
やわらかくやさしく照度が落とされ、
顔に当たる部分がくりぬかれた施術台の下側からは、
杉の香りのアロマが立ち昇る。
やさしい抑揚と涼しい声色で力の加減や位置を聞かれながら
施術を受けているうちに、あまりの心地よさに眠った。
「ありがとう、やって欲しいところ何も言わなくても
 全部やってくれたね」というと、
女性はにこやかに笑って、更に施術を続けた。




しかし、問題はここからであった。
両足の内側をゆっくり、しかししっかりと押し進めてきて
ちょうど股関節のところに達したところで、
彼女は「股関節の血流がよくないですね」と言うと、
股関節の付近に施術を集中し始めたのである。




最初は足を屈伸させたり伸ばしたりを繰り返しているのだが、
足の裏が彼女の胸に意図的かと思うくらいによく当たる。
それが10数回あって、やがて両足をV字に伸ばされた。
彼女はその間に割り入って座り、両足の内側を念入りに何度も
往復して押し進める。
そうするうち、彼女は最下腹部の両脇を1分以上押し続けた。
僕は男である。ほんとうに大変な思いをした。




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20時30分、阪急宝塚線急行にて石橋へ向かう。
坂下交差点のローソンですっぴんめがねのパトリシアと会い、
就職活動がんばってな、とだけ伝えて別れる。
留年坂を登ろうとして、練習を終えて帰宅しようとする
アヤコに出くわし、しばらくの会話の後別れる。
明道館にて、K本嬢、U田君、JESUS君に出くわし、
しばらく音遊びを試みる。
最近髪を切ってますます長澤まさみに似てきたM安と
待ち合わせて、即興。
心身の鉛のような重さと暑さ、周囲の音のせいもあり、
不出来極まりなく、申し訳なかった。
沁み込む音、と、彼女が言ってくれたのが、救い。




坂を降り、M安とF田家、トトロハウスをアポなし訪問し、
「セクジャマ」と称して寝込みを襲おうとするも、
不在のため、失敗。
向こうが下着ならこっちも下着、という覚悟だったのだが
残念であった。
保呂酔2号店に働いているT村を訪ね、そのままM安と
軽く飲み、タクシーでリッツ・カールトンへ戻る。
運転手は若造がリッツ・カールトンに泊まっていることに
甚だ不快な様相であった。




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6月23日午前9時起床。
180cmの僕が大の字になってもまだ余る巨大なベッドは
沈み込みもなく、やわらかな枕といい、肌触りの暖かで滑らかな
シーツといい、思わず永眠したくなるほどの心地よさであった。
窓をあけ、シャワーを浴びた後にお湯を張り、入浴剤を入れ、
足を十分に伸ばせる大理石の浴槽でうとうととする。
ジャミロクワイを流しながら、シャツやスーツにアイロンをかけ、
身支度を整え、ホテルを出て北浜へ。





12時50分、京阪北浜駅の改札口へ到着。
程なく守口でのリハーサルを終えたよりりりりと落ち合い、
近くのイタリア料理店で乾杯の後、昼食。
そのまま北浜レトロで紅茶とケーキを楽しみ、
一旦梅田へ戻り、阪神百貨店でレミーマルタンと柚子酒を
購った後、一緒にリッツ・カールトンへ戻る。
部屋に到着していきなり新聞を読み始めたのでどうしようかと
思ったのだが、程なく歓談。
矢野顕子、ラドカ・トネフ、エグベルト・ジスモンチといった
音源をかけながら、高層の雲をつかんでみた。




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紅茶、煎茶、ペリエ、音楽、キャンディでおもてなしの後、
17時30分、よりりりりと別れ、軽音時代の同級生である
F原君の結婚パーティへ向かう。
まるで往年のリズム部屋のような面子の揃うテーブルに着座。
軽音のメンバーだけで20名以上。
隔世の感は微塵も無く、飲み、騒ぎ、野次る。




新郎新婦の2人は中学高校で同級生であり、新妻の香さんは
中高6年間F原君のことが好きだったのだそうだ。
そして、別々の大学に進み、社会人となって再会して、
結婚したのだという。
香さんにとって、初恋の人と結婚出来るということの
幸せを思うと、F原君が妬ましくさえある。
F原君がオリジナルソングを披露し、
香さんが手紙を読むあたりで泣きそうになったのだが
どうにかこらえた。




パーティの後、お初天神のニューミュンヘンで3次会、
さらに、新阪急ホテルアネックスの中の焼酎バーへと
向かったのだが、強烈な疲労感のため、申し訳なくも
中座し、握手して別れる。
午前1時、ホテルに帰着。
1時間ほど、夜景をぼんやりと眺めた後、就寝。




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6月24日、午前7時半起床、二度寝ののち
身支度を整え、10時30分、チェックアウト。
総滞在費65,700円。
素晴らしいホテルだった。
また泊まりに来ます、と言って、ホテルを後にした。




午前11時、難波到着、Yと待ち合わせたあと、
なかなかやってこないはっしーを思いながら、
2人でぼんやりする。
ユニコーンの「すばらしい日々」の音世界そのままの
難波駅前の雨空の時間。
しばらくして、難波での待ち合わせであるのも関わらず
何故か新大阪行きの地下鉄に乗ってしまったはっしーが
息せき切ってやって来た。




なんばパークス内のイタリアンカジュアルレストランで
パスタのランチとする。
さまざま話しているとき、不意に発作の予兆に襲われたが
何とか事なきを得た。
Yとはっしーに見送られ、近鉄特急に乗り、帰着。
僕を迎えにきた父の車はパンクしていて、
雨天の国道一号線はスリリングな帰途となった。




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F原君、香さん、末永くお幸せに。




さて、僕は、どうしようか。

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4 コメント

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Unknown (MM(という名のF原君と香さんの腐れ縁仲間))
2007-06-26 00:28:37
土曜日はどうもでした。
あんまりお話できなかったけれど。
また東京にも遊びに来てくださいな!
F原君の新居に押しかけましょう!!
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Unknown (lanonymat)
2007-06-26 06:33:51
幹事お疲れさまでしたね。
僕たちの座っている一角だけ甲子園のようで
なんだか申し訳ない。
8月のあの例の時期には東京に行くと思うので
そのときにでも是非。
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Unknown (ぱとりしあ)
2007-07-09 20:09:42
一応化粧してましたけどねぇ、ふんふん
バーバモジャ大事にしまーす
返信する
Unknown (lanonymat)
2007-07-09 22:59:04
あ、そうなん?
お前肌めっちゃきれいやから絶対すっぴんやと思ってた。
でも完全な干物系引きこもりファッションやったぞ(笑)
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