白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

28年。

2007-01-13 | 日常、思うこと
朝から母の様子がどうもそわそわと落ち着かないので
思い巡らせてみたところ、今日が両親の結婚記念日で
あるということに思い至った。
父は泰然、それを覚えているか否かも定かでない様子で
鴎外を読んでいた。





午後、紅茶をいれ、親子3人で飲みつつ、
今は亡き祖父などの話をし、当然の成り行きとして
僕の結婚の話題となる。
資力、気分、現況、そのいずれから判断しても
現在においてはあり得ない話なのだが、
だんだんと、両親の口調に現実味が増しているのが
わかるだけに、対応に苦慮する。




三重の地酒、「宮の雪」大吟醸と、
ポルトガルのマデイラワインを購い、
夕食の席で祝杯とする。
女性に対して、いざという時に妙にストイックになる
癖は、どうやら父から受け継いでいるらしいことが
会話の中で判明する。
女性論で父と意気投合していると、母親に呆れられた。




分裂の建築家と躁鬱の音楽家がよくも結婚して、
28年間も連れ添えたものだと思う。
当然、危機的状況は幾多もあり、
子としては忍びがたい光景も何度も目にしてきたが、
現在は落ち着いて仲良くしているのを見ると、
諦めたのか、情が湧いたのか、はたまたそれとも、
などと思いつつも、微笑ましい。




両親の結婚記念日から計算すると、僕の誕生日は
どうも順序が逆なのだが、この際不問に付して、
おめでとう、と言っておいた。




併せて、謝意、無尽。

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