舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

伝染るんです。

2009-02-17 23:18:51 | ダンス話&スタジオM
かようにブログなど書いてるようなカキモノ好きの人間の大多数は、読む量も明らかに平均より多い事がほとんどです。
こないだ、稀有な文才に恵まれた方が「小説など本を読んでれば書けるようになる」とおっしゃってましたっけ。
残念ながら私にはどれだけ本を読んでもまともな小説が書ける気配はないのですが、それでも、素敵な文章を読むとその影響をモロに受けます。
語彙や言い回しが気に入って敢えて取り入れる事も少なくはありませんが、特別その気はないのになんだか似た書き方になってしまうという事もあります。
そう、伝染るんですよ。

私はそもそも好きなものしか読みませんので、良いと思っている文章が伝染るぶんには、却って嬉しいものです。
しかし、これがまかり間違っても伝染しちゃ困るような駄文悪文汚文だったら?
もちろん伝染るのは死んでも嫌ですよね。

とはいえ有難い事に、文章であれば読まなければ済みますから、良くないと思った文章が伝染ることは現実にはほとんどありません。

でもこれがダンスの話になると、そうはいきません。
残念ながら、文章よりもダンスの方が、悪いものが伝染ってしまう危険性を多く孕んでいます。

もちろん、読みたくない本なら閉じれば済むように、観たくないダンスなら観ないようにすれば良いのです。
しかし、まさか悪いものとは思わずうっかり観てしまう事もありえます。
私だったら即座に目を閉じるなり、会場から立ち去るなりするけれど、意志の強さやその時の状況などの問題から、そういう訳に行かない人も多いでしょう。

それでも伝染は時と場合を選んではくれません(笑)。
観ているうちに「な、なんじゃこりゃ」と気づいたとしても、本人の思惑とは関係なしに、影響力の強いダンスは強い感染力を持つのです

そしてさらに残念な事に、良くないダンスほど往々にして強い感染力を持っています
この理由を説明しだすと長大な寄り道が必要になりますので次の機会に譲りますが、こつこつ積み上げて来た正しいダンスを、感染力の強いダンスがセイタカアワダチソウよろしく駆逐してしまうのです。

話が抽象的になりましたので、具体的な譬え話をしてみましょう。
今まで何年もかけてきっちり基礎を学んで来た人がいたとします。
その人は今まで折角正しく踊れるようになっていたのに、たった一度おかしなものを観てしまったがために、その次のレッスンからすっかりその影響を受け、ヘンテコな踊り方になってしまうことさえあります。
これが実在の人物のことであるとは言いませんが、それもありえるという事です。

昨日も書いたようにダンスには主観の相違がありますので、何が正しくて何が間違っているか断定する事はなかなか出来ません(確かに正誤は存在するけれど)。
しかし、あちこちの流派をつまみ食いしてできたのではなく正統な流れを汲んだ教室であれば、必ずそこの方向性が存在しますし、それこそがそこでの「正しい踊り方」であるといえます。

たとえばスタジオMはオアフ島のイリマフラスタジオにルーツがあります。
イリマフラスタジオは、ワイキキのショウビズの一翼を担い、メリーモナークのルールブックの礎となった時代から、一貫したスタイルを持っています。
そのスタイルは確かにこのスタジオMにも受け継がれているため、21世紀の現在でもスタジオMにおける「正しい踊り方」の根底には必ずこのスタイルがあるのです。
ですから、このスタイルを正しく伝えていく事が、正統なルーツを持つ我々の重要な責務と言えます。

この自らの責務を考えれば、生徒さんが伝染のおそれのあるダンスを観る事を禁じるべきなのかもしれませんし、生徒さん達自身の踊りのためには、その方が良いのでしょう。
しかし、当然ながら個人の自由を拘束する事は出来ません。ご本人が観たいと言えば、たとえそれが害を及ぼすであろうとわかったとしても、それを止める事はありません。

したがいまして我々としては、わがスタジオMの生徒さん達が一日も早く見る目を養い、何を観るべきで何を観るべきでないか判断出来るようになる事をお祈りしつつ、力を尽くしてそのためのサポートをしなければならないと、肝に銘じる今日この頃です。

ブログランキング参加してみました。クリックして頂けると幸甚の至りです。