狙って乗った相鉄の急行。なんて事無い姿であるが、8両編成の急行である。てっきり10000系で来るものかと思ったら、この画像の形式の車だった。あらびっくり…である。
発車時のモーター音に味わい深さを何故か感じてしまった。
発車時のモーター音に味わい深さを何故か感じてしまった。
『夜明け前に』
――あの白く、青が薄くなっている所へ。
急いで。ともかく急いで。
その先にあるものは追いかけても、追いかけても、追いつけないものがある。
夜明け前に行く場所。
夜明け前にたどりつきたい場所。
白く薄く青くなったあの場所へ行けたなら、そこにあるものを手にしたい――
これは、フェリックスが、丘の上にある古びた城にあった詞である。
その丘は、「見通しの丘」あるいは「見渡しの丘」と呼ばれ、遠くが見通せる所であった。
(ここから見る、夜明けは綺麗なんだろうか?)
彼が見つけた言葉は、古びた城の4階の1室にあったが、西向きの部屋でどう考えても夜明けなんて見える訳はなかった。だが、「見渡しの丘」と名がつくくらいである。この城の東側にある部屋かどこかに行けば、きっと見る事が出来る。
(夜明け前にたどりつきたい場所。白く薄く青くなったあの場所って、‘‘今日,,ってこと?)
こう言う詞の「夜明け」は、「未来」というものを連想する様に出来ているのが一般的で、「今日」という現実的なものを望む場合はそうはない。だが、フェリックスは、「明日」よりも「今日」というものをこの詞の中で感じられた。
(「未来」なんて、未だ来ない物。そんなもの信じられる筈もない)
それは、フェリックスの胸の中に、確たる「明日」というを「こうしたい」という意志がないから、と言う事になる。だが決して現状に全て満足しているという訳でもない。
だがしかし、その「不満」と感じているものを変えたいにしても、そのやり方が解らないのと同時に、そこまで強く「変えよう」とする意志がある訳でもなく、ただ気持ちが揺れれているだけである。その揺れによって、「変えない」、「変えたい」という気持ちが湧いたり枯れたりしているままに、結局は「変えない」ままに時間だけが過ぎていくものである。気持ちだけあっても、「動かし動く事」が何もよりも大切であるが、それは、「欲望のままに忠実に動くだけ」であって、どこか、動物的で醜いものさえある様にフェリックスは思えた。そうまでして「未来」を自分は望むのだろうか?と立ち止まってしまう―――考えても仕方ない、想っただけでは何も変わりはしない。その事を、フェリックス自身が一番良く知っていた。
(でも、ここの‘‘夜明け前,,はちょっと気になるかな?)
つまらない、ありふれた日常にちょっとだけ色をつけてみる。それで何かが変わる訳でもないが、こんなちょっとした何気ない「計画」が、硬くなった心を柔らかくする事につながり、案外、それが気持ちよかったりもするフェリックスであった。
(そろそろか)
あの詞の「夜明け」を見に行く日がやって来た。
今の季節は夏。
1年でもっとも生命活動が盛んになり、夜が終わる時間もそれなりに早い。
(あの城へ行ってみよう)
フェリックスは、さっと着替えるとこっそりと家を出た。
(こんな感じか)
家々の明かりは落とされたままで、道を照らす街灯が唯一の道しるべという感じであり、音の無い空間に1人で居る様な錯覚に彼は襲われた。
(空気は、少し冷たい…か?)
無意識に深呼吸してみるが、夏特有の暑い空気中にほんの少し、冷たいものを感じた。
(よし、行こう)
まるで何かを掴んだかの様な気持ちにフェリックスはなり、城へと向かった。
(明けの明星かな、あれ?)
丘へと続く道の途中、ふと視界が空に行くと、強く光る星が1つあった。
(本当にあるんだ)
話の中でしか聞いた事ないものを実際に自分の目で見るという事は何よりも刺激的な事である。だが、なかなかにそんな「刺激」というものを感じるのは難しい。ましてや、年齢を経る毎に、数の大小は問わず、物事に触れていき、体験して行く中で、いつしか「心」は、「まぁこんなもんか」という程度にしか感じなくなっていくものである。
30分位して、フェリックスは城がある丘につくと振り返る事無く一気に城まで続く道を駆け上がった。あの詞の「急いで。ともかく急いで」の如く。
(やっぱ、怖いな)
24時間出入りは自由ではあるが、やはり「誰も居ない静けさ」にそれを感じてしまうのは仕方ないか、と、フェリックスは溜息をつく。だが、怖さと同時に、その静けさと暗さの中に、「神秘的なもの」がある様に彼は思った。それは、「何か恐ろしいことが起こるのではないか?」と「何か物語みたいな面白い事が起こるのではないか?」という「不安と期待」が入り混じったような心地と言えた。
(えっと、階段はと?)
持って来たライトで城内をフェリックスは照らした。
(あそこか)
上の階へと続く階段を見つけた。すると、
「ようこそ、元、私の城へ」
優しい口調の男の声が背後でした。
「わっ!」
フェリックスが振り向くと、スケルトンが1体そこに立っていた。
「そんなに驚かなくても。ここに俺みたいなのが1つ2つ居たってどうって事無いだろ?」
息を呑んでいるフェリックスにスケルトンは呆れた様に言った。
「そっ、そうかも知れないけど、やっぱり行き成り居られると怖いよ」
「えーっ、そのなの?じゃあ、もう1っぺん最初っからやってみる?」
スケルトンはそう言うと、行き成りフェリックスは城の門に立っていた。
(なっ、アホな)
と想い、中に入り城内の入口へ行くと、
「待ってたよぉーっ」
先ほどのスケルトンが手を振って居た。
「何だよ、今度は驚かないの?折角、1番最初に時間を戻したって言うのに」
スケルトンはがっかりした声で言った。
「1回見ちゃえばどうって事ないよ」
今度はフェリックスが呆れた。
「そうなの?贅沢な事言うんだね。まぁでもいいや、でも、ホント良く来てくれた。まさか俺の遺した言葉を気にして、こんな時間に人間がやってくるなんて思いもし無かったんだ」
表情は何1つ変わらないが、声の調子はどこか嬉しそうなスケルトンだった。
「そうそう自己紹介が遅れたね。私は、この城、ヒルサイトキャッスルの主になれなかったカルメーロ。どうぞよろしく」
カルメーロはかしこまってフェリックスに挨拶した。
「なれなかった?」
「うん。ろくでなしの息子だったからね。オヤジの手先に殺されたアホな王子だったんだ」
あははは、とカルメーロは表情を変えず笑った。
「生前、剣術も学問もカラッキシな独り息子の駄目王子だったんだ俺。だから、結局、オヤジの手下に暗殺されて、新たな子供を設けてその子に王位を継がしたって言うオチさ」
「暗殺?穏やかじゃないね」
いくら何でも殺すことは無いじゃないか、と思うフェリックスに、仕方ないさ、とカルメーロは言う。
「今だってそうじゃない。まぁ、殺されはしないけど、追放なんてありふれた話だろ?」
「うん、そうかも」
それだけ平和になったというか、まともになったというか、生き抜く事が一先ずは出来る様になったと言えるのが今である。
「国家繁栄の名の基に行われる略奪に虐殺に利権と私利私欲を巡る争い。歴史なんて人間の‘‘支配欲,,の足跡。ある時は‘‘発展・進化,,という良い側面が、ある時は‘‘衰退・滅亡,,という悪い面がそこから出て来る。つまり、言いも悪いも隣り合わせ。光があるから陰がある。悪があるから善が望まれる。過去も今もそして未来もずっと人はそんな表裏一体の足跡をつけていって、‘‘発展・進化・衰退・滅亡,,を繰り返す、言葉にするとまったくつまらないものなっちゃうね」
「なるほど」
フェリックスは、カルメーロの言葉に共感できる何かを掴んだ気がした。
「そんな話は良いとしよう。折角、こうして来てくれたんだ。この丘の1番美しい時を見よう。私について来なさい」
カルメーロはフェリックスに手を差し伸べ、それにフェリックスが触れた瞬間に、夜明けが見えるベランダに場所が移動した。
「ここは、俺の部屋のベランダ。‘‘昇陽を眺むるは運気の上昇を意味。朝日を浴びる事は、幸運を授かるに等し,,それが代代この城にある言葉でそれが基で王子の部屋は東向きになっているんだ」
「へぇー」
フェリックスは、カルメーロの言葉を聞きながら地平線を見たが、まだ陽は昇っては居なかった。
「ところで、何であの詞は自分の部屋ではなく、日が沈む側の部屋に書いたの?」
思っていた疑問をフェリックスはカルメーロにぶつけた。
「あの部屋はもともと書庫部屋でね。丁度、俺が殺されるって話を聞いたのもあそこだったんだ」
「ええっ?」
何事も無かったかの様な調子で言うカルメーロの言葉は驚きの1言につきた。
「その日はねぇ、どうも学問も何もかもしたくない日で、もやついたいやな日だったんだ。もう面倒だ、ここで寝ちまえ…って昼寝してたらさ、そんな話を聞いたって訳」
「嫌な場面に遭遇したんだね」
「うん。でも、それ聞いた時は、ホッとしたのと絶望が一気に来た感じだった」
「ホッとした?」
嘘だろ?とフェリックスは思いどう考えても絶望色のが濃いだろう、と思えた。
「君の思う通り、嘘もある。絶望のが色が濃かったのも事実。それからだったかな、眠れない夜がやってきて、この部屋で夜明けを見る事になったのは。ほら、明けて来たよ」
カルメーロは、地平線を指差す。そこは黒が藍色になり白くなりそこへ橙色が混じっていた。
「絶望と希望の狭間って夜明けかもなぁ…なんてその時は思った。けど、その時の俺は、その明るくなった方が希望とするなら、希望へ向かえば命が断たれて跡形もなくなって楽になる。闇と言う絶望に居ればとりあえず生きる事は出来ても、殺されるという明日に怯える苦がある。絶望と希望の狭間は、どちらも一緒にあって安心出来る場所って言う感じがして。そこがその時、自分が行きたい‘‘未来,,だったと思う」
「よく解らないよ」
フェリックスは首を横に振った。
「うん。だからこそ、未だ来ない、‘‘解らない,,場所なんだろうと思う。色が白い所もあるから、キャンバスになぞられば、どんな色もつけられてどんなものだって描ける。そんな場所だったりする。それが、正しい解釈なんだろうなって思うけど、人によりけりかな。でも、解らないからこそ、希望に転ぶが絶望に転ぶが解らない、どちらに転ぶが可能性を試す、そんな場所に似ているって思えたのは、きっと自分に絶望しか遺されてなかったからだったと思うんだ。あの詞を書いたは、そんな気持ちからだったんだ。誰かに解って欲しい誰にも解らない気持ち。自分の部屋に書かなかったのは、俺が殺されたあと抹消されると解っていたから。まさか、数百年の時を越えて、遺し書いた言葉に反応してくれる人が居るなんて思わなかった」
地平線の向こうから、薄橙色で白く光り輝く太陽が昇り、広い黒い空の範囲が藍色へと変わっていった。
「夜明けは何度でも来る。だから未来も何度でも…って思うけれど、思うほどにその‘‘可能性を試せるチャンスの回数は少ない,,。本当だったら、何度でも、未来はやってきて変えられる筈なのに。そこから先の事は、未だもってして解らないんだ」
「可能性を試せるチャンスが未来か」
確かにカルメーロの言うことは正しいとフェリックスは思えた。
「夜明け前に、伝えたかった事が届いて良かった。あの詞を書いたのも夜明け時だったんだ。殺される数時間前。でも、もう殺された事なんて何も気にしてはいないんだ。ただ、気持ちを誰かに伝えたいって思いだけがずっとあったんだ」
カルメーロは、そっとフェリックスに手を差し出した。
「ありがとう。私はやっと、あの狭間に行くことが出来そうだ。夜明け前という未来と今が重なった永遠に」
その硬い手を握ると、パッとカルメーロは消えた。
(さようなら……いや、おやすみなさい?いってらっしゃいって言うべきなのかな?)
この昇陽の時に、「さようなら」も「おやすみなさい」も似合わない、そんな気がした。
そして明日も夜明けはやって来る。
未来はやってこなくても、今日という日を運んでくる。
カルメーロのあの姿は、未来ではなく「今日」だったとフェリックスは過ぎ去りし遠い日のあの記憶をそう感じている。
――あの白く、青が薄くなっている所へ。
急いで。ともかく急いで。
その先にあるものは追いかけても、追いかけても、追いつけないものがある。
夜明け前に行く場所。
夜明け前にたどりつきたい場所。
白く薄く青くなったあの場所へ行けたなら、そこにあるものを手にしたい――
これは、フェリックスが、丘の上にある古びた城にあった詞である。
その丘は、「見通しの丘」あるいは「見渡しの丘」と呼ばれ、遠くが見通せる所であった。
(ここから見る、夜明けは綺麗なんだろうか?)
彼が見つけた言葉は、古びた城の4階の1室にあったが、西向きの部屋でどう考えても夜明けなんて見える訳はなかった。だが、「見渡しの丘」と名がつくくらいである。この城の東側にある部屋かどこかに行けば、きっと見る事が出来る。
(夜明け前にたどりつきたい場所。白く薄く青くなったあの場所って、‘‘今日,,ってこと?)
こう言う詞の「夜明け」は、「未来」というものを連想する様に出来ているのが一般的で、「今日」という現実的なものを望む場合はそうはない。だが、フェリックスは、「明日」よりも「今日」というものをこの詞の中で感じられた。
(「未来」なんて、未だ来ない物。そんなもの信じられる筈もない)
それは、フェリックスの胸の中に、確たる「明日」というを「こうしたい」という意志がないから、と言う事になる。だが決して現状に全て満足しているという訳でもない。
だがしかし、その「不満」と感じているものを変えたいにしても、そのやり方が解らないのと同時に、そこまで強く「変えよう」とする意志がある訳でもなく、ただ気持ちが揺れれているだけである。その揺れによって、「変えない」、「変えたい」という気持ちが湧いたり枯れたりしているままに、結局は「変えない」ままに時間だけが過ぎていくものである。気持ちだけあっても、「動かし動く事」が何もよりも大切であるが、それは、「欲望のままに忠実に動くだけ」であって、どこか、動物的で醜いものさえある様にフェリックスは思えた。そうまでして「未来」を自分は望むのだろうか?と立ち止まってしまう―――考えても仕方ない、想っただけでは何も変わりはしない。その事を、フェリックス自身が一番良く知っていた。
(でも、ここの‘‘夜明け前,,はちょっと気になるかな?)
つまらない、ありふれた日常にちょっとだけ色をつけてみる。それで何かが変わる訳でもないが、こんなちょっとした何気ない「計画」が、硬くなった心を柔らかくする事につながり、案外、それが気持ちよかったりもするフェリックスであった。
(そろそろか)
あの詞の「夜明け」を見に行く日がやって来た。
今の季節は夏。
1年でもっとも生命活動が盛んになり、夜が終わる時間もそれなりに早い。
(あの城へ行ってみよう)
フェリックスは、さっと着替えるとこっそりと家を出た。
(こんな感じか)
家々の明かりは落とされたままで、道を照らす街灯が唯一の道しるべという感じであり、音の無い空間に1人で居る様な錯覚に彼は襲われた。
(空気は、少し冷たい…か?)
無意識に深呼吸してみるが、夏特有の暑い空気中にほんの少し、冷たいものを感じた。
(よし、行こう)
まるで何かを掴んだかの様な気持ちにフェリックスはなり、城へと向かった。
(明けの明星かな、あれ?)
丘へと続く道の途中、ふと視界が空に行くと、強く光る星が1つあった。
(本当にあるんだ)
話の中でしか聞いた事ないものを実際に自分の目で見るという事は何よりも刺激的な事である。だが、なかなかにそんな「刺激」というものを感じるのは難しい。ましてや、年齢を経る毎に、数の大小は問わず、物事に触れていき、体験して行く中で、いつしか「心」は、「まぁこんなもんか」という程度にしか感じなくなっていくものである。
30分位して、フェリックスは城がある丘につくと振り返る事無く一気に城まで続く道を駆け上がった。あの詞の「急いで。ともかく急いで」の如く。
(やっぱ、怖いな)
24時間出入りは自由ではあるが、やはり「誰も居ない静けさ」にそれを感じてしまうのは仕方ないか、と、フェリックスは溜息をつく。だが、怖さと同時に、その静けさと暗さの中に、「神秘的なもの」がある様に彼は思った。それは、「何か恐ろしいことが起こるのではないか?」と「何か物語みたいな面白い事が起こるのではないか?」という「不安と期待」が入り混じったような心地と言えた。
(えっと、階段はと?)
持って来たライトで城内をフェリックスは照らした。
(あそこか)
上の階へと続く階段を見つけた。すると、
「ようこそ、元、私の城へ」
優しい口調の男の声が背後でした。
「わっ!」
フェリックスが振り向くと、スケルトンが1体そこに立っていた。
「そんなに驚かなくても。ここに俺みたいなのが1つ2つ居たってどうって事無いだろ?」
息を呑んでいるフェリックスにスケルトンは呆れた様に言った。
「そっ、そうかも知れないけど、やっぱり行き成り居られると怖いよ」
「えーっ、そのなの?じゃあ、もう1っぺん最初っからやってみる?」
スケルトンはそう言うと、行き成りフェリックスは城の門に立っていた。
(なっ、アホな)
と想い、中に入り城内の入口へ行くと、
「待ってたよぉーっ」
先ほどのスケルトンが手を振って居た。
「何だよ、今度は驚かないの?折角、1番最初に時間を戻したって言うのに」
スケルトンはがっかりした声で言った。
「1回見ちゃえばどうって事ないよ」
今度はフェリックスが呆れた。
「そうなの?贅沢な事言うんだね。まぁでもいいや、でも、ホント良く来てくれた。まさか俺の遺した言葉を気にして、こんな時間に人間がやってくるなんて思いもし無かったんだ」
表情は何1つ変わらないが、声の調子はどこか嬉しそうなスケルトンだった。
「そうそう自己紹介が遅れたね。私は、この城、ヒルサイトキャッスルの主になれなかったカルメーロ。どうぞよろしく」
カルメーロはかしこまってフェリックスに挨拶した。
「なれなかった?」
「うん。ろくでなしの息子だったからね。オヤジの手先に殺されたアホな王子だったんだ」
あははは、とカルメーロは表情を変えず笑った。
「生前、剣術も学問もカラッキシな独り息子の駄目王子だったんだ俺。だから、結局、オヤジの手下に暗殺されて、新たな子供を設けてその子に王位を継がしたって言うオチさ」
「暗殺?穏やかじゃないね」
いくら何でも殺すことは無いじゃないか、と思うフェリックスに、仕方ないさ、とカルメーロは言う。
「今だってそうじゃない。まぁ、殺されはしないけど、追放なんてありふれた話だろ?」
「うん、そうかも」
それだけ平和になったというか、まともになったというか、生き抜く事が一先ずは出来る様になったと言えるのが今である。
「国家繁栄の名の基に行われる略奪に虐殺に利権と私利私欲を巡る争い。歴史なんて人間の‘‘支配欲,,の足跡。ある時は‘‘発展・進化,,という良い側面が、ある時は‘‘衰退・滅亡,,という悪い面がそこから出て来る。つまり、言いも悪いも隣り合わせ。光があるから陰がある。悪があるから善が望まれる。過去も今もそして未来もずっと人はそんな表裏一体の足跡をつけていって、‘‘発展・進化・衰退・滅亡,,を繰り返す、言葉にするとまったくつまらないものなっちゃうね」
「なるほど」
フェリックスは、カルメーロの言葉に共感できる何かを掴んだ気がした。
「そんな話は良いとしよう。折角、こうして来てくれたんだ。この丘の1番美しい時を見よう。私について来なさい」
カルメーロはフェリックスに手を差し伸べ、それにフェリックスが触れた瞬間に、夜明けが見えるベランダに場所が移動した。
「ここは、俺の部屋のベランダ。‘‘昇陽を眺むるは運気の上昇を意味。朝日を浴びる事は、幸運を授かるに等し,,それが代代この城にある言葉でそれが基で王子の部屋は東向きになっているんだ」
「へぇー」
フェリックスは、カルメーロの言葉を聞きながら地平線を見たが、まだ陽は昇っては居なかった。
「ところで、何であの詞は自分の部屋ではなく、日が沈む側の部屋に書いたの?」
思っていた疑問をフェリックスはカルメーロにぶつけた。
「あの部屋はもともと書庫部屋でね。丁度、俺が殺されるって話を聞いたのもあそこだったんだ」
「ええっ?」
何事も無かったかの様な調子で言うカルメーロの言葉は驚きの1言につきた。
「その日はねぇ、どうも学問も何もかもしたくない日で、もやついたいやな日だったんだ。もう面倒だ、ここで寝ちまえ…って昼寝してたらさ、そんな話を聞いたって訳」
「嫌な場面に遭遇したんだね」
「うん。でも、それ聞いた時は、ホッとしたのと絶望が一気に来た感じだった」
「ホッとした?」
嘘だろ?とフェリックスは思いどう考えても絶望色のが濃いだろう、と思えた。
「君の思う通り、嘘もある。絶望のが色が濃かったのも事実。それからだったかな、眠れない夜がやってきて、この部屋で夜明けを見る事になったのは。ほら、明けて来たよ」
カルメーロは、地平線を指差す。そこは黒が藍色になり白くなりそこへ橙色が混じっていた。
「絶望と希望の狭間って夜明けかもなぁ…なんてその時は思った。けど、その時の俺は、その明るくなった方が希望とするなら、希望へ向かえば命が断たれて跡形もなくなって楽になる。闇と言う絶望に居ればとりあえず生きる事は出来ても、殺されるという明日に怯える苦がある。絶望と希望の狭間は、どちらも一緒にあって安心出来る場所って言う感じがして。そこがその時、自分が行きたい‘‘未来,,だったと思う」
「よく解らないよ」
フェリックスは首を横に振った。
「うん。だからこそ、未だ来ない、‘‘解らない,,場所なんだろうと思う。色が白い所もあるから、キャンバスになぞられば、どんな色もつけられてどんなものだって描ける。そんな場所だったりする。それが、正しい解釈なんだろうなって思うけど、人によりけりかな。でも、解らないからこそ、希望に転ぶが絶望に転ぶが解らない、どちらに転ぶが可能性を試す、そんな場所に似ているって思えたのは、きっと自分に絶望しか遺されてなかったからだったと思うんだ。あの詞を書いたは、そんな気持ちからだったんだ。誰かに解って欲しい誰にも解らない気持ち。自分の部屋に書かなかったのは、俺が殺されたあと抹消されると解っていたから。まさか、数百年の時を越えて、遺し書いた言葉に反応してくれる人が居るなんて思わなかった」
地平線の向こうから、薄橙色で白く光り輝く太陽が昇り、広い黒い空の範囲が藍色へと変わっていった。
「夜明けは何度でも来る。だから未来も何度でも…って思うけれど、思うほどにその‘‘可能性を試せるチャンスの回数は少ない,,。本当だったら、何度でも、未来はやってきて変えられる筈なのに。そこから先の事は、未だもってして解らないんだ」
「可能性を試せるチャンスが未来か」
確かにカルメーロの言うことは正しいとフェリックスは思えた。
「夜明け前に、伝えたかった事が届いて良かった。あの詞を書いたのも夜明け時だったんだ。殺される数時間前。でも、もう殺された事なんて何も気にしてはいないんだ。ただ、気持ちを誰かに伝えたいって思いだけがずっとあったんだ」
カルメーロは、そっとフェリックスに手を差し出した。
「ありがとう。私はやっと、あの狭間に行くことが出来そうだ。夜明け前という未来と今が重なった永遠に」
その硬い手を握ると、パッとカルメーロは消えた。
(さようなら……いや、おやすみなさい?いってらっしゃいって言うべきなのかな?)
この昇陽の時に、「さようなら」も「おやすみなさい」も似合わない、そんな気がした。
そして明日も夜明けはやって来る。
未来はやってこなくても、今日という日を運んでくる。
カルメーロのあの姿は、未来ではなく「今日」だったとフェリックスは過ぎ去りし遠い日のあの記憶をそう感じている。
急行特急TH「と私は何を考えて、そんなタイトルつけたんでしょうねぇ」
ポポロンハエンジェルリング「ですからぁ~、作者はあなたなんですから、ひとりでボケツッコミしないで下さい」
急行特急TH「をっ珍しい、インチキDJが出ないなんて、有り得ねぇ~と読者諸氏は想った事でしょう」
涼風鈴子「心配しなくても出て来たりしてねぇ」
急行特急TH「んんっ?何か雑音が」
涼風「やかましいやっ!(空シュークリームを急行特急THの頭に叩きつけて破裂させる)何が雑音だよ、30~40年前のギャグつかうんじゃないわよーっ!(ハリセンを急行特急THの顔面に食らわす)」
ポ「そこのインチキDJ、ただでさえ、あちゅい、のに、暴れないでくれる?そんなヘタレソツネイラ1匹ごときにあちゅくならないよーに」
涼風「をや、今日は辛口なんだね、天使の輪っかちゃ~ん。悪魔に化けたんかいねぇ?」
ポ「へっへっへっへー、ばれちやしょーがねーな」
急行特急TH「はじまったよ、はじまったよ、イ為“Morning on”劇場が。遂に、“Morning on”までイ為かよ、ありえねーな」
涼風「その有り得ない話を思いついたのは、どこの誰だっけね゛ぇっ゛!(急行特急THを羽交い締めにする)」
急行特急TH「ギブアップ!ギブアップ!ギブアップはアイエヌジー、フィニッシュもアイエヌジー」
涼風「(急行特急THを羽交い締めにしたまま)ちょっと、ヤキ入れてやんな」
ポ「んめえ゛ぇえぇ゛えぇ~」
涼風「ちょっと、そこのお盆休み中のスタジオXYZ、インチキアシスタントにヤキ入れてやんな」
--しかし何も起こらなかった--
ポ「チンーATS」
涼風「やってらんねーな」
急行特急TH「をいそこのインチキDJ、いつまで羽交い締めにすんだよ、苦しーじゃねーか」
涼風「ヘタレソツネイラは黙ってろんだよっ!(肘鉄を急行特急THに食らわす)」
ポ「ヂリン、C-ATS、NC!、NC!、NC!」
涼風「やがやしいやっ!何時から金矢ヲタになったんだよっ!(殴)」
急行特急TH「以上、『Mind Feeling0815-2 夏だ!3時だ!記事更新だ!』でした。またお会いしましょう」
涼風「今夜のダラダラ深夜夜話でかい?」
ポポロンハエンジェルリング「ですからぁ~、作者はあなたなんですから、ひとりでボケツッコミしないで下さい」
急行特急TH「をっ珍しい、インチキDJが出ないなんて、有り得ねぇ~と読者諸氏は想った事でしょう」
涼風鈴子「心配しなくても出て来たりしてねぇ」
急行特急TH「んんっ?何か雑音が」
涼風「やかましいやっ!(空シュークリームを急行特急THの頭に叩きつけて破裂させる)何が雑音だよ、30~40年前のギャグつかうんじゃないわよーっ!(ハリセンを急行特急THの顔面に食らわす)」
ポ「そこのインチキDJ、ただでさえ、あちゅい、のに、暴れないでくれる?そんなヘタレソツネイラ1匹ごときにあちゅくならないよーに」
涼風「をや、今日は辛口なんだね、天使の輪っかちゃ~ん。悪魔に化けたんかいねぇ?」
ポ「へっへっへっへー、ばれちやしょーがねーな」
急行特急TH「はじまったよ、はじまったよ、イ為“Morning on”劇場が。遂に、“Morning on”までイ為かよ、ありえねーな」
涼風「その有り得ない話を思いついたのは、どこの誰だっけね゛ぇっ゛!(急行特急THを羽交い締めにする)」
急行特急TH「ギブアップ!ギブアップ!ギブアップはアイエヌジー、フィニッシュもアイエヌジー」
涼風「(急行特急THを羽交い締めにしたまま)ちょっと、ヤキ入れてやんな」
ポ「んめえ゛ぇえぇ゛えぇ~」
涼風「ちょっと、そこのお盆休み中のスタジオXYZ、インチキアシスタントにヤキ入れてやんな」
--しかし何も起こらなかった--
ポ「チンーATS」
涼風「やってらんねーな」
急行特急TH「をいそこのインチキDJ、いつまで羽交い締めにすんだよ、苦しーじゃねーか」
涼風「ヘタレソツネイラは黙ってろんだよっ!(肘鉄を急行特急THに食らわす)」
ポ「ヂリン、C-ATS、NC!、NC!、NC!」
涼風「やがやしいやっ!何時から金矢ヲタになったんだよっ!(殴)」
急行特急TH「以上、『Mind Feeling0815-2 夏だ!3時だ!記事更新だ!』でした。またお会いしましょう」
涼風「今夜のダラダラ深夜夜話でかい?」
平成22年2010年8月の、ど真ん中。天候はまぁまぁ、気温は高い、セミの鳴き声は力強い、で、「盛夏の候」。
なんて事無い8月15日日曜日。しかし何か、夏ももう終りなんだなぁ…といういつものヘタレた哀しみの気分になっても居る。
(涼風鈴子「あ゛んだらしくていんじゃないの?」)
とは申せ、夏の中盤戦盛り上がって参りましょうっ!という声もありそうで、あまり悲観的な話をしても難ありであるが、これから先の下り坂の季節を思えば、この時よ永遠であれ…そう想いたい。
なんて事無い8月15日日曜日。しかし何か、夏ももう終りなんだなぁ…といういつものヘタレた哀しみの気分になっても居る。
(涼風鈴子「あ゛んだらしくていんじゃないの?」)
とは申せ、夏の中盤戦盛り上がって参りましょうっ!という声もありそうで、あまり悲観的な話をしても難ありであるが、これから先の下り坂の季節を思えば、この時よ永遠であれ…そう想いたい。
After the train talk at KURA with Mr.NAGAWA 2000、I bought THE BLUE COLA at conbiniance store.
A tast is not good but the liquid colar is a beautiful.This blue color looks like “Blue Hawaii”.
By the way the August 2010 just past the half so I feel a little lonely now.
I am in the late night place where near the staintion now but this place is very cloudy and it looks like time is stopping.
Nagawa2000様Mind Feeling0813-2 “The 13th Friday ”13日の金曜日にコメント有難うございます。
笑えるコメント有難うございます。
209系やE231-500の6ドア車からのリサイクル品で仮面が造ってあったりして…と思いますがレールはどうしましょうかねぇ…。
P.S.
昨日8月14日はトレイントーク@上野「蔵」を開催下さいまして有難うございます。
笑えるコメント有難うございます。
209系やE231-500の6ドア車からのリサイクル品で仮面が造ってあったりして…と思いますがレールはどうしましょうかねぇ…。
P.S.
昨日8月14日はトレイントーク@上野「蔵」を開催下さいまして有難うございます。