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空色騎士2 その9

2017-06-22 23:46:09 | 物語・小説

隠しダンジョンを見つけたリッター達は、一度、フランカの家に戻った。そして、今回の探求に必要なものを取り揃え、再びリッター達は、隠しダンジョンの入口にやって来た。
「少し修行と準備が足りないかも知れませんが、お願い致します」
エスパーダがカマラダに、カンヘルから貰った液体を、入口を封印している鳥獣ベルメリョンの像にかけるよう促した。
「さて、どうなる?」
カマラダは、鳥獣ベルメリョンの像に液体をかけると、目が赤く光り、リッターとフランカにその光をあて、消し去った。次の瞬間、鳥獣ベルメリョンの目は今度は、緑色に光り、エスパーダとカマラダを照らすと、2人を消し去った。
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空色騎士2 その8

2017-06-20 14:15:55 | 物語・小説

第2の街が近づくにつれ、晴れていた空が曇天に変わり、湿度が上がってきた。
「曇りか雨、霧しかないのが最近の第2の街なんだ」
カマラダが、移動中のアイラーバタの背の上で言った時、雨が降り始めた。


「ありがとう、アイラーバタ」
カマラダが、小さな透明な瓶を取り出すと、アイラーバタがその中に入った。
「便利だなあ」
透明な瓶に入ったアイラーバタを見て、リッターが言うと、アイラーバタは、瓶の中で鼻を上げた。
「さて、フランカに会いに行こう」
カマラダと共に、リッター達は、第2の街に入った。荒天続きでも、人々の営みはあった。
(店も結構やっているのか)
リッターは、街のそこ・ここを見ながら思った。クエストに必要なものが、揃わないくらいの街になっているのではないか?と少し心配していた。

「ここが、フランカの住んでる所よ」
カマラダに、連れてこられた場所は、3階建ての集合住宅であり、フランカはその住宅の3階に住んでいた。
「フランカ、居るー?」
カマラダは、フランカが住む部屋の扉を開けると、部屋の中央部に女性騎士が椅子に座っていた。
「どうしたの?カマラダ。新しいパーティでも作ったの?」
静かに笑ってリッター達を見た。
「探求やろう。この人達と」
カマラダは、リッター達を指した。
「孤島の大怪物さんとこの街の封印された怪物さんを叩くものに、是非ご協力いただければと」
エスパーダは、自己紹介がてらに、目的を話した。
「解りました。良いですよ」
フランカは、快く今回の探求に承諾した。
「それで、この街に封じられたと言う怪物さんはどこに?」
エスパーダがフランカに問う。
「それが、わかっていないんです」
フランカは、地図をテーブルに広げた。
「今、私達は、ここに居ます。カマラダが言う神像があると言う扉がある場所は、どこにも」
エスパーダは、地図を覗いた。
「なるほど。所で、この街に宿屋、情報屋、易屋はありますか?」
「宿は、ここにあります。情報屋はないんです。易は、宿屋内にあると言う話ですが、信憑性が低いんです」
フランカは、地図上で宿屋の位置を指差しながら言った。
「1度、易に行って占ってもらったんですが、地下1階地上3階建ての建物の最上階と言われ、調べてみたもののそれらしきものはありませんでした」
フランカは、溜め息をついた。
「最上階――屋上もあり得るんですかね?」
リッターが言うと、
「屋上。ありそうですね。地下へ通ずる階段とかが。それで、その目星を着けた建物はどのくらいあるので?」
エスパーダが、フランカに訊くと、今、自分達を入れた所を入れて5箇所あるとの事だった。
「では、ここの屋上からあたってみますか?」
エスパーダが提案する。
「ここの屋上――まっ平らじゃなかったっけ?」
カマラダが顎に指をのせて想いを巡らせつつ言った。


リッター達は、屋上へとやって来た。
「何もありませんね」
エスパーダがあたりを見渡した時、リッターの目に、一ヶ所だけ床の色が違う所が見えたので、行ってみた。そこは、電気系統の点検孔の様だったが取っ手がついていた。リッターは、取っ手を掴み蓋を開けてみた。すると、壁に取っ手があり、下へ降りられる様になっていて、単なる点検孔では無さそうだった。
「何かありましたか?」
エスパーダが、やって来た。
「ほほう。ダンジョンの香りがしますねえ。ちょっといってみますか」
とエスパーダが言い、一行は中に入った。
「灯りを点けましょう」
フランカが松明のようなものに灯りをつけた。すると、そこには石像と扉があった。
「灯台もと暗し、良い勘してますね、リッターさん」
エスパーダを始め、皆、うん、うん――と頷いていた。
(レベル1の探求でも、嬉しいな、こう言うの)
リッターは、心の中で、ガッツポーズをした。
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空色騎士2 その7

2017-06-17 01:02:40 | 物語・小説

「それで、どうしてここに?」
アミスターがリッター達に問いかけて来た。
「何か旅のヒントになるような事がここあると、占い師に言われまして」
エスパーダが応えた。
「ヒント。やっぱり第2の街のアレかな」
アミスターがそう言うと、不意に小屋の扉が開き、忍風の格好の女性が現れた。
「あれ、お客さん来てるの?すごーい。カンヘル達が初っぱなから見えるって人達……かな?」
女性がそう言って、リッターの前にやって来た。
「紹介する。妹のカマラダだ」
アミスターがカマラダを指して言った。
「凄い綺麗な騎士さんね。頼り無さそうな」
カマラダは、リッターを上から下まで見てそう言った。
「頼り無いようでも、力強い騎士なんですよ。リッターさんは」
エスパーダが言う。
「へー、リッターって言うんだ。で、あなたは?」
カマラダがエスパーダの側に来て訊いた。
「エスパーダと言います」
お見知り置きを――と付け加え応えた。
「それで、第2の街のアレとは?」
リッターがアミスターに訊いた。
「今、第2の街は悪天候続きで衰退しつつあるんだよ」
カマラダが言う。
「第2の街の天候の守護像が、何者かによって奪われ、第2の街から少し行った所にある孤島の灯台にあるらしい。だが妖龍ネブリナドレイクがそいつを護っているそうだ」
カンヘルが今度は言った。
「その妖龍の所為で、海は濃い霧で覆われて手出しが、普通の人間達には出しにくい。だが、それは、こいつで解決する」
カンヘルは、小さな液体の小瓶を懐から出した。
「その第2の街は、もともと怪物がひしめいた街だった。それを200年前に、怪物どもの元締めを眠らせ第2の街の地下に閉じ込めたんだが、どうもその眠りが覚めつつあるようだ。第2の街の地下の扉を塞いでいる石像をこいつで溶かすと、鳥獣ベルメリョンになる。孤島へはそいつで行けば良いんだが、怪物の元締めが覚醒し、地下に同時に眠らせた怪物も覚醒するんだ」
カンヘルは、小瓶をエスパーダに渡した。
「第2の街に、私の事が見える女騎士が居て親しい。だから、エスパーダ、力に成ってくれないか?私はリッター共に、孤島に行く」
カマラダがリッターの右肩に手をのせた。
「妖龍ネブリナドレイク、そいつも俺らと同じくして見える人にしか見えない。リッターなら、きっと見える上に、鳥獣ベルメリョンにも乗れる筈だ」
カンヘルがリッターを指差してそう言った。
「僕とカンヘルは、この森の守護者だから動けない。だからリッター達の力で、第2の街の再生をするのが良いんだ」
アミスターは、スマナイと言う気持ちを滲ませて言った。
「第2の街へは、アイラーバタにお願いするから、楽に行けるよ」
「アイラーバタって、あの乗獣の?そんなものまで居るとは凄いな」
かつて訓練時代の図書で見かけたのを、リッターは思い出した。
「じゃあ、第2の街救出探求にGO!」
弾んだ声で、カマラダが言った。
「アイラーバタも、外で待ってるみたいだぜ」
カンヘルが窓の向こうを指差すと、白い大きな像が、鼻を上げて挨拶した。
リッター達は、アミスターの小屋を出て、アイラーバタに乗り込んだ。
「探求の成功を祈ってるよ」
アミスターは、そう言って、リッター達を見送ったのだった。


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空色騎士2 その6

2017-06-14 23:09:04 | 物語・小説

翌日の事。
「さあ、森の忘れ形見に会いにいきますか」
エスパーダに引っ張られる様に、リッターは、横道探求に出た。
「闇雲に行っても移動術は有効だそうですので、良いですよね」
エスパーダは、地図にはない道無き道を、あちらこちらを見ながら歩いていた。
――森の忘れ形見、アミスターに既に会っているとは言えないよな――
宿でエスパーダと入れ違うようにやって来たアミスターそして道端であった赤い鳥。そしてカンヘル。何れもエスパーダは見えなかった。となれば、行く意味はあるのだろうか?とリッターが思った時、怪物レベル4が襲ってきた。
「イデッ!いきなり来るなよな」
人型怪物レベル4は、リッターの左腕めがけて殴り付けてきた。
「おりゃッ!」
リッターは、人型怪物レベル4の右腕を斬り飛ばした。
「ナイスアタックです」
エスパーダは、火炎術レベル2を放ち、人型怪物レベル4を倒した。
――今のホントにレベル2の威力なのか?――
リッターは、目を大きく見開いて、消え去った人型怪物レベル4が居た場所を見ていた。
「いやー、驚きましたね」
とエスパーダが言ったその背後に、またも人型怪物レベル4が現れ、エスパーダに殴りかかった。エスパーダは、軽く降っとんで地面に落ちた。
「ダイジョブですかっ?」
リッターは、そう叫ぶと足元の石を人型怪物レベル4に向かって投げると、運良く顔面に当たったので、リッターは、人型怪物レベル4の首筋を切り裂き、倒した。
「強烈な1撃でした」
エスパーダは、ゆっくりと立ち上がりながら回復術レベル2を自分自身にかけた。
「何事もなくて良かった」
リッターは、剣を鞘におさめてそう言った時だった。不意に頭上から何かが降ってきて、左肩に落ちた。
「赤い鳥!?」
リッターが驚きの声を上げた。
「赤い鳥?そんなものは居ませんよ。大丈夫ですか、昨日から」
エスパーダは、怪訝な顔をしていた。
「どーも様子がおかしいですね」
「いや、実は昨日から――」
とリッターが切り出そうとした時だった。
「おっ、空色騎士リッターじゃねえか」
リッターの背後で、昨日会ったカンヘルの声がした。
「そいつが不意に飛んでいったから、何事かと思ったぜ」
カンヘルは、リッターの右斜め前にやって来て、リッターの左肩を指差した。
「アミスターに会いに来たのか?」
カンヘルの問いにリッターは、頷いた。
「そうか。案内してやろう。ついてきな」
カンヘルは、そう言うと歩き始めた。
「一体、どうしたんです?リッターさん?」
「森の忘れ形見の場所へ行きながら話します。こっちです」
リッターは、エスパーダを引き連れカンヘルを追いかけ、道すがらで事情を話し、森の忘れ形見こと、アミスターのすみかにたどり着いた。そこは、色彩豊かな花におおわれ、3本の大樹に囲まれた所に、木造の小屋があった。
「ここだ。おいアミスター、客人だ」
カンヘルは、小屋の扉を開けると、室内中央にあるテーブルの椅子に腰かけている、コールドラッドのアミスターが居た。
「ああ、昨日の」
アミスターがそう言うと、赤い鳥がリッターの左肩からアミスターの左肩へ飛んで移った。
「ここに、森の忘れ形見が居るんですか?」
エスパーダが室内を見渡しながらリッターに訊いた。
「おっと、見えるようにしないとか」
カンヘルは、右手の指を打ちならした。
「ん?ああ、あなたが森の忘れ形見さんですか」
ようやくエスパーダに、アミスターの姿が見えるようになったようだ。
「アミスターです。よろしく」
アミスターは、右手を上げた。
「そして、本物のカンヘルがここにいると」
カンヘルも右手を上げた。
「凄いですね。レベル1のクエストのレアキャラさん達にお目にかかれて光栄です。私は、エスパーダです」
エスパーダは、その場で一礼した。
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空色騎士2 その5

2017-06-13 00:07:00 | 物語・小説

そして、宿場村3滞在初日の夜の事、リッターとエスパーダは、村の酒場に居た。
「賑わってますね」
エスパーダは、酒場の中を見通しながら、そう言った。
飲食物の臭いと人々の営みがそこにあり、リッターは、こんな村にもこんな表情があるのかと少し回りに圧倒されていた時だった。
(ん?)
酒場の奥の席で、金色の立派な長髪の龍人が、嬉し楽しそうな表情を浮かべ、1杯やっている姿が、リッターの目にうつった。
錯覚かと眼を疑ったが、龍人もリッターに気付いたのか、
「おう」とでも言うように、手を振った。
「どうしたんです?」
エスパーダがリッターに問う。
「いや、変わった客人が居るなと」
リッターは、一瞬、龍人の方を指差したが、エスパーダには見えないようだった。
「何かさっきから、キツネにつままれたような感じですねえ」
エスパーダは、酒場内を見渡していると、
「御二人さん、見ない顔だね。旅人?」
綺麗な容姿の女性が、リッター達に声をかけてきた。
「はい。ところで、どなたかこの村周辺に関することの情報通の方、いらっしゃいませんかね?」
エスパーダが女性に問うと、
「情報ねえ。うーん。まあ、マスターに訊いてごらんなさいよ」
と女性は良い、カウンター席にリッター達を案内した。
「マスター、この人達が、訊きたい事があるって」
女性がマスターに声をかけた。
「何だい、訊きたいことってのは?」
とマスターがリッター達に問いかけた。
「ええ。この街の東の森にまつわる、何か、こう、言い伝えみたいなのは、ありませんか?」
エスパーダが訊くと、マスターは、顎に手をあてた。
「言い伝えねえ。うーん。ああ、森の忘れ形見って言うのがあるぜ」
「森の忘れ形見ですか。それはどう言ったもので?」
エスパーダが身を乗り出すかの様にして食いつくと、
「まあ、その前に注文してくれよ。こっちも商売だからよ」
マスターが言うと、さっきの女性がメニューを持って来た。すると、
「ああ、そこの水色の鎧着た人、あっちのお客さんが呼んでたわよ」
「えっ、私を?」
リッターは、女性が指差した方向を見ると、さっきの龍人が手を振って微笑んでいた。
「リッターさんは、そっちで情報収集を。私はマスターから聞き出しますので」
エスパーダは、何かしらの酒を注文した様だった。
リッターは、龍人の所へ行った。
「よっ。空色騎士リッターさん。まま、一杯行こうか」
龍人は、テーブルの上の酒瓶を手にすると、グラスに入れリッターに差し出した。
「あっ、俺の名前は、カンヘルって言うんだ。よろしくな」
カンヘルは、リッターに手を差し出したので、リッターは、恐る恐るその手を握り返した。
「まあ、そう警戒するなよ。何もしやしないぜ。それにしても、俺に気付くとは、ちょっと居ない空色騎士様だ。いや、愉快愉快」
「神獣で名高いカンヘルが、何でこんな所に?まさか、森の忘れ形見の正体ですか?」
リッターが問う。
「それは、あいつだ。昼間会ったろ、アミスターの事さ。コールドラッドの」
「コールドラッド。やはり妖精だったか」
リッターは頷いた。
「あいつを見れば、これまでの空色騎士連中は、後を追いかけて来たが、あいつも意地悪で、姿を消しちまうんだ」
「へえー」
会えれば、ラッキーレアキャラ。でも、効果無しって奴で、探求には影響しないパターンかとリッターは思った。
「しかしまあ、珍しいくらい貧弱な空色騎士さんだわな。だがな、アミスターの心、お前には閉じていない。だからきっと会えるぜ。安心しな」
リッターは、カンヘルが入れたグラスを飲んだ次の瞬間には、マスターの居て、隣にエスパーダが居るカウンター席に居た。
「――って所よ」
どうやらマスターが、森の忘れ形見について、語っていた所の様だった。
「それで、目撃談は?」
エスパーダが、グラスをあけ、さらに一杯頼んだ。
「それなりにはあるぜ。小さな建屋があるって話は本当で、俺も見たことはあるんだが、姿までは。だが、完全なる廃屋でもない感じだったから、まあ、まんざらでもなさそうさ」
「なるほど。興味深いですね。是非、行ってみましょう」
エスパーダの好奇心は、止まらない様だった。
(そう言えば、カンヘルは?)
リッターが酒場を見渡したが、姿はなかった。
(さっきのは、気のせいだったのか?)
妙な所に来てしまったな――とリッターは思った。
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空色騎士2 その4

2017-06-12 18:46:56 | 物語・小説

「おや。易商さんは、不在のようですね」
エスパーダの手にした地図の場所に易商用の掘っ立て小屋はあったものの、誰も居なかった。
「ああ、すみません。ここの易商の方は?」
エスパーダは、近くを通りかかった人に訊ねた。
「ここに、易商なる人は、居ませんよ」
通行人は、あっさりそう答えた。
「そこに、箱あるでしょ。必要費用を入れると、蓋があいて、中に入った紙切れがとれます。易商というより、御神籤ですよ。それでも、第2の街から第1の街から、たまにこの箱に紙切れを入れていくから不思議なもんですね」
通行人は、笑いながら姿を消した。
「御神籤。面白そうですね」
エスパーダは、易商の掘っ立て小屋内の箱を見つけると、必要な銭を払った。
「さあ、リッターさん、1枚取ってください。さっきの方の言う通り、紙はたっぷり入っています」
「私が取るんですか?」
リッターは、気が進まなかったが、どうしても、とエスパーダに迫れ、1枚紙切れを取った。
「さっそく、中を――」
エスパーダは、幼子のようにワクワクした目で、リッターをせっついた。
「はいはい、今、開けますよ」
リッターは、折り畳まれた紙切れを広げた。
「''この街より、東へ行った所に暗示あり。その暗示に従い西へ行く事が我が導きである,,」
リッターは、うそくさ、と肩を落とした。
「この村の東ですか…なにもないと思いましたが」
エスパーダは、地図を広げた。
「森林地帯が広がりその先は、第1の街近郊。森林。何かありそうですね」
エスパーダは、好奇心に溢れた表情をリッターに見せた。
「本気で、こんなのを信じるんですか?正気の沙汰とは――」
リッターは、顔をひきつらせた。
「この街には、情報屋がない代わりに酒場があるようです。夜に行って聞いてみましょ」
エスパーダは、本気の様だった。リッターは、もうどうにでもなれ――と言う気持ちで、エスパーダに付き合う事にした時だった。
「ん?何だ?」
リッターは、足に、何かが触れたのを感じた。
「鳥?」
真っ赤な色をした小さな鳥がリッターの右足を嘴でつつくと、一気に飛び上がり右肩に止まった。
「どうしたんです?リッターさん?」
エスパーダが、不思議そうに問うて来た。
「いや、肩に鳥が」
リッターは、右肩に乗った小さな鳥を指差した。
「何いってんです?何もありませんよ?きっと疲れていらっしゃるんです。夜まで宿でお休みになってて下さい。私は、村を散策して来ますので」
とエスパーダに言われ、リッターは宿に戻った。だが、小鳥は飛び去らず、ずっとリッターの肩に乗ったままだった。
「どっから来たんだコレ」
流石に部屋には、つれていけないので、宿で預かってもらおうとした。
「お客さん、ご冗談を。鳥なんてお持ちじゃないでしょ」
と宿の管理人にも言われた。
「どう――なってんだ?」
赤い鳥は、何も言わずただリッターの肩に止まっていた。
リッターが部屋につき、寛ごうとした時だった。不意に鳥が飛び、部屋の扉を嘴でつついた。
「外に出たいのか?」
リッターがドアに近づいた時だった。
(誰か居る)
リッターは、身を構えた。すると、鳥は再び、リッターの肩に乗っかってきた。
(敵か?こんな街に?)
リッターは、そっとドアを開けると、緑髪で青い眼をした少年が居た。
「帰るよ」
少年が手を差し出すと、鳥は少年の手に止まった。
「ありがとうございます」
少年はそれだけ言うと、出ていった。
(あれ、人じゃないよな、きっと)
妖精だな、とリッターは思った時、赤い羽がハラリと床に落ちた。
「美しい羽だな」
リッターが羽を眺めていると、エスパーダが帰ってきた。
「どうしたんです?」
「いや、何でもないですよ」
リッターは、右手で赤い羽を弄んだが、エスパーダは、気付かなかった。
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空色騎士2 その3

2017-06-12 16:40:51 | 物語・小説

リッター戦闘能力の低さと遅い成長の為、旅程は思うようには行かないで居た。
第1の街を出てから7日過ぎても、第2の街にはたどり着けず、ようやく中間点の宿場村3に辿り着いた。その頃には、資金はあっても、物資不足が起こっていた。

「おお、宿場村3につきましたか。良い感じの村ですね」
エスパーダは、村の入り口にある看板を見上げつつ、美しい花が咲き誇る明るい雰囲気が気に入ったようだった。
一方のリッターは、精神的な疲労にやられつつあった。ここまで、野宿が当たり前のようにあり、怪物への警戒を常にしなければならず、安心感が持てなかった上に、エスパーダに申し訳が立たないのが辛かった。


「ほほう、この村には、易商があるんですねえ」
宿屋に到着すると、エスパーダは、村の案内図を見ていた。
「村の易商、面白そうですね」
リッターの方を向いて、エスパーダは言った。
「あの、まさか、その易商に行こうと言うのではないですよね?この旅程、大幅に遅れていますのに――」
リッターは、エスパーダに問うた。
「はい。やってみましょうよ。このクエスト、予定の通り情報通りににやっても、''骨折り損,,なんです。資金はあります。怪物さん達も多数。制限時間はありません。横の道にそれても、誰も文句は言いません。行ってみましょ、行ってみましょ」
エスパーダは、リッターの背中を押し、宿に外出届けを出したので、リッターは訊ねた。
「エスパーダさん、本気ですか?」
自分のせいでヤケになってしまったのではないか?とリッターは思い、歩みを止めてしまった。
「こういう村の易商は、本当に興味深いんですよ。いや、1度聞いてみたいって思ってたんですが、攻略が先、クエストクリアして即物的なモノばかり求める――ばかりでは、探求の意味がないですし、まともなクエストのように、恐ろしく強い怪物さんも居ない、恐ろしい罠も用意されていないで有名なこの空色騎士探求。導き導かれてなんぼです。旅程の遅れなんて気にしないで下さい。明日、明後日に第2の街につかないと、他の挑戦者達に先越されて、お仕舞いではないんです。競争相手はいませんから、大丈夫ですよ」
さっ、行きますよ――とエスパーダは、嬉しそうだった。
(どうなってんだ、こりゃあ)
妙な人だな、とリッターはエスパーダの背中に向かって呟いた。
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空色騎士2 その2

2017-06-12 15:55:01 | 物語・小説

「さっ、怪物レベル5さんのご登場ですね。行きますよ、リッターさん」
エスパーダが、炎術レベル2を放ち、怪物レベル5が少し怯んだ隙に、リッターは剣を抜き、怪物レベル5の左腕に斬りかかった。すると、ものの見事に、リッターは、怪物レベル5に弾きとばされ、地面に体を叩きつけられた。
(やっぱつえーな)
何とかリッターは、立ち上がると、体勢を直し、再び怪物レベル5に斬りかかろうとした時、エスパーダは、催眠術をかけた。
「さあ、怪物さんの心の臓を貫いちゃってください」
エスパーダの言葉に、リッターは頷くと、怪物レベル5の急所を一気に貫き、撃破した。
「ナイスファイト!」
エスパーダは、右手の親指を立てた。
(あの怪物って、催眠術効いたっけ?)
訓練時代にリッターが見た、怪物資料の情報では、今、倒した怪物レベル5に、催眠術は効きにくいので、ひたすら攻撃系術法と打撃で立ち向かうべし――とあった筈だった。
(一体、どれだけの術力を持ってるんだエスパーダさん)
リッターは、息を切らしながら、そう思った。
「体の方は、大丈夫ですか?」
エスパーダは、回復術をリッターにかけた。
「痛快なる1撃、見事でしたね。その剣、見た目以上に、威力がありますね」
エスパーダは、リッターの剣を指差した。
「あの怪物さん、心の臓を易々と貫けるクラスじゃないんですけどねえ」
不思議な事もあるもんですねー、とエスパーダは呟く。
「そうでしたっけ?」
記憶違いをしていたか?とリッターは思った。
「物事に、良い意味での例外や意外はあるもんです。この調子で、先々参りましょ。おや、怪物レベル3のCタイプさん達が4匹現れましたよ」
左右から4匹がふってわいてきた。
「よく出るなあ、おい」
リッターは、剣を抜いた。幸い怪物の大きさが小さかったのと形状が良かったので、剣を横一文字にスライドさせながらリッターは、怪物4体を斬りさくとエスパーダは電撃術レベル2を怪物4体に向かって放ち、一掃した。
「良い闘い方しますね」
エスパーダは、またもリッターに右手の親指を立てた。
「それは――どうも」
リッターは、一先ず頭を上げた。だが、今の怪物4体にリッターはそこまで深く斬り込めず、中途半端な横一文字斬りだったのだ。エスパーダの電撃術に救われたのは言うまでもなかった。しかもレベル2と言う威力が中の下と言うクラスの術で、あっさりとあのクラスの軽い手負いをおった程度の怪物を撃破しまったエスパーダは、ただ者ではないとリッターは思った。
これまでのパーティだったなら、きっと、

――お前の所為で、面倒になる――

と言って、嫌なため息をつかれて終わっていたなと、リッターは思う。あんな風な、褒めの一言は、絶対に出てこないのに、エスパーダは、何も気にせずに、ただ目の前の道を行き、方位磁針と地図を時折睨みつつ、
「この別れ道は、右のようですね」
と方向を指差し、リッターを引っ張っていき、道すがらやってくる怪物をあっさりと貧弱なリッターの剣術をもろともせずに、突き進んだのだった。しかも、嫌な顔をひとつも見せることなく、リッターの攻撃支援を続けたのだった。
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空色騎士2 その1

2017-06-12 12:06:53 | 物語・小説

「さて、空色騎士リッター。そなたの次の行き先だが……西とあるな。西にある、第2の街へ行くと、次なる旅の暗示があろう」


と言う第1の街での易商の言葉に従い、リッターとエスパーダは、第2の街を目指す事にした。

「第1の街がここです。第2の街は、ここになります。これは、結構かかりそうですね。小さな宿場村は、幾つかあるようですが、心してかからないとですね」
エスパーダは、第1の街を旅立つ事を決めた日、宿でリッターに地図を見せた。
「最低7日はかかりそうですね」
エスパーダは、地図を折り畳んだ。
「と言っても、レベル1の探求です。難しい旅にはならないでしょう」
御安心を――と笑みを浮かべてリッターに言った。
「今日は、旅支度です。洗礼旅で消耗したものの他、必要なものを取り揃えに行きますか」
エスパーダに引っ張られるように、リッターは、第1の街中へ出て、旅に必要なものを取り揃えると、一気に所持金が無くなった。
「使いすぎじゃないですか?」
リッターは、少なくなった手持ちの資金をみて、不安にかられた。
「最低7日の道のりです。怪物さん達は、ゴロゴロいます。怪物さんのレベルは3から6と言う所ですから、大丈夫です」
エスパーダの言葉に、リッターはすくんでしまった。
「3から6?」
リッターの力では、対応しきれないクラスの怪物であった。幾ら、空色騎士の称号を獲る旅をしたとはいえ、そこまで強くなったと言う自覚はなかった。それに、そこまで怪物のレベルが高いと、2人で対応するのも無理がありそうだった。
「大丈夫ですよ。甘甘ですから」
エスパーダが浮かべたその笑みに、覚悟しておけよ、と言う言葉が隠れていたのをリッターは感じ、これで、自分の本性がバレ、エスパーダに呆れられる、と思え、気が重くなった。


翌日、2人は第1の街を出た。天候は良好で、旅立ち日和であった。
「今日は、この1A村へたどり着くのが目標です。よろしくお願いしますよ」
エスパーダは、リッターの背中を叩いた。
「俺の力で対応出来るかなー」
リッターは、顔をひきつらせた。
「期待してます」
エスパーダは、何の不安もないと言う表情だった。
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空色騎士 その1

2017-05-07 01:12:00 | 物語・小説


「お前、使えないから俺らのパーティから外すわ。居ると厄介なだけだからな」


リッターは、これで4度目の戦力外通告を所属していたクエスト集団から受け、ひとりになった。
お宝入手、魔王討伐、謎解き名誉取得、世界開拓探求――とリッターはやってみたが、パーティ内での戦力には成れず、また、パーティでの対人トラブルもあった。

リッターは、騎士と言う職を選び、この世界での訓練を始めたが、そこでも鳴かず飛ばずで、落第。そこで、魔術使いへの道へ職を変えて、訓練を受けたものの、最低ランクでの修了であったのとそれすらも資質に欠けると言う事を言われたのだった。

剣の道も術の道も人並みの能力に至らずも、この世のしきたりで、何らかの組織またはパーティに所属して、この世界での活きなければならないのは、リッターにとってはきつかった。その上、4度もの転属が、さらなる苦難をリッターに与えたのだった。

(さて、これからどうしようか)
4度目の初心者の館への出戻り。
初心者の館で、この世界で活きる為の探求事(クエスト)を探し、何らかの組織またはパーティに所属すると言う、就職活動を行うと言う基礎・原点に立ち返るのだった。
リッターは、それに、もう飽き飽きしていた。この自分の能力のなさと背負った離脱のハンデが重くのしかかり、この世界から離脱したい――人生を辞めたいとさえ思っていた。
(色々あっても、みんな、やり手か癖のついていない本当の初心者対象のものでしかないな)
4度目の就職活動初日で、早くもリッターは心が折れた。
(またやめるんじゃないか、使えないんじゃないか、は、求める者同士同じか)
リッターは、深いため息をつき、街の憩いの場で足を止めた。
(空は今日もきれいで蒼いで、無垢だよなー)
羨ましい、とリッターは見上げた快晴の空をみて、そう呟いた。
(何でもいいから、1個でも満足にいける探求事あって欲しいな)
世の中、そう都合良くはいかないが、他の誰かには都合良く物事は進んでいるように、リッターは感じていた。

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