喉の調子がおかしくて、うがいで治そうと思っていたところ軽い咳が出始めたので、思い切って市販の風邪薬を内服することにしました。
秋の古本まつりで購入した一冊に『遠い日の歌 谷内六郎』(谷内六郎文庫②)があります。
天野祐吉氏の解説によると、この②巻目に収められた59編の画文は谷内さんが1960年代前半に書かれたものだそうです。画家であり、ジャーナリストであり、詩人でもあった谷内さん。私の場合は、父が買っていた「週間新潮」の表紙絵で、その名を知ることになりました。
〈ガラスの夢〉に、「小さい時病身だったのでよく家に閉じこもっていて、窓ガラスの外の景色を見」ていたと記してあります。
木々のこずえが風にふるえ、一番星が揺れ動きながら輝く。その輝きはカシャカシャという音までするような感覚で、ずっと脳裏に残っている、と。ビー玉やラムネのびんの絵をよく描き、ビーズ玉、ステンドグラスの夢、金魚鉢の夢、ランプのホヤとガラスタイプ、…ガラスの幻想を追ったらキリがない、とあります。そこに描かれていたこの画。
〈ボクのビール工場見学記〉では、「一口に言うと、ビール工場はゴジラの吸入器という印象でした」とあって、この画が。
「幼い日、はいえんを病んだ冬の日に、― ブクブク泡をたてて、銅の釜もあって、パイプや燃料室がおそろしい重要な音をたてていました」。そして、
〈吸入列車〉 と題した詩。
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
吸入列車は
こずえをわたる
はいえんになると
いわれた夜
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
母がアルコール・ランプ
いれた吸入器
こずえにうるむ
星のまに
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
吸入列車は
走り去る
汽笛をのこして
星のまに。
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
すっかり忘れていた記憶が一つ甦りました。よく似た、同じような仕組みの吸入器を使ったことがありました。ランプに火をつけるとビーカーに入れた水が湧き、蒸気が喉を潤すのです。薬剤などは入っていません。大きく口を開けて、顎を乗せるように、と父は言いました。顎を乗せる部分があったように思います。口の中にたまった唾液を受けて、流れ落ちていくのです。絵と同じように、胸元にはタオルなど当てていました。子供の頃、風邪をひくと母ではなく父がこの吸入器を出してきてはセットしてくれていましたっけ…。
秋の古本まつりで購入した一冊に『遠い日の歌 谷内六郎』(谷内六郎文庫②)があります。
天野祐吉氏の解説によると、この②巻目に収められた59編の画文は谷内さんが1960年代前半に書かれたものだそうです。画家であり、ジャーナリストであり、詩人でもあった谷内さん。私の場合は、父が買っていた「週間新潮」の表紙絵で、その名を知ることになりました。
〈ガラスの夢〉に、「小さい時病身だったのでよく家に閉じこもっていて、窓ガラスの外の景色を見」ていたと記してあります。
木々のこずえが風にふるえ、一番星が揺れ動きながら輝く。その輝きはカシャカシャという音までするような感覚で、ずっと脳裏に残っている、と。ビー玉やラムネのびんの絵をよく描き、ビーズ玉、ステンドグラスの夢、金魚鉢の夢、ランプのホヤとガラスタイプ、…ガラスの幻想を追ったらキリがない、とあります。そこに描かれていたこの画。
〈ボクのビール工場見学記〉では、「一口に言うと、ビール工場はゴジラの吸入器という印象でした」とあって、この画が。
「幼い日、はいえんを病んだ冬の日に、― ブクブク泡をたてて、銅の釜もあって、パイプや燃料室がおそろしい重要な音をたてていました」。そして、
〈吸入列車〉 と題した詩。
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
吸入列車は
こずえをわたる
はいえんになると
いわれた夜
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
母がアルコール・ランプ
いれた吸入器
こずえにうるむ
星のまに
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
吸入列車は
走り去る
汽笛をのこして
星のまに。
ぴーよん ぷーとる
ぴーよろん ぴよー
すっかり忘れていた記憶が一つ甦りました。よく似た、同じような仕組みの吸入器を使ったことがありました。ランプに火をつけるとビーカーに入れた水が湧き、蒸気が喉を潤すのです。薬剤などは入っていません。大きく口を開けて、顎を乗せるように、と父は言いました。顎を乗せる部分があったように思います。口の中にたまった唾液を受けて、流れ落ちていくのです。絵と同じように、胸元にはタオルなど当てていました。子供の頃、風邪をひくと母ではなく父がこの吸入器を出してきてはセットしてくれていましたっけ…。
谷内六郎、私も大好きです。
一枚の絵の中に 私も入り込んでしまいます。
お父様が「週刊新潮」を読んでいらっしゃったのこと、多分 お父様は、私と同世代かもしれません。
横須賀美術館に、谷内六郎館が併設されていますので、以前、原画を観て参りました。
海の見える、すてきな美術館でした。
ご訪問いただけて大変うれしく思います。
思いがけず吸入器の絵を目にして、忘れていた記憶につながりました。
父は生きていれば90歳を超えております。
九段坂、渋谷、恵比寿、千葉の外房…、馴染みのある地名が続々と出てきまして、
絵とともにタイムスリップするように読んでおります。
谷内六郎館、機会があれば出かけてみたいです。
なつかしいですね〜週間新潮の表紙
よく覚えています。
この吸入器の絵は本当にかわいいですね。
昔、子どもの頃、この吸入器でさせられていました。
鮮明に思い出しました。
通勤の車内で読むためにでしょうね、決まって「週刊新潮」でした。
こうした吸入器を使われたのですね。
もう全く思い出すこともなかったのが、この1枚の絵からあの頃が甦りました。
蒸気は顔一面に~。
そうですか、ryoさんも。吸入器の思い出が楽しくなりました。