
久しぶりに訪れてみた御苑。散策を楽しむ人で賑わっている。変わることなく平和だ。
何の目的もなく、春の日差しを浴びながら歩いた。見ごろの梅林にはふくよかな香が漂う。
日脚が伸びて、明るい光や温かな風を誰もが心待ちにしているはずの季節、春。
「これが私の故里だ さやかに風も吹いてゐる」中也が彼の故里山口市を歌ったという。
人間の数だけある「私のふるさと」だが、どうも言葉の響きも悲しげな春だ…。
気になるのはおまわりさんの姿だった。烏丸丸太町周辺、堺町御門を入るとすぐ脇に警察車両。御苑内の駐車場には、消防車や救急車を含めた物々しい数の関係車両が止まっていた。
ヘリコプターの音で思いだすことがある。
2003年10月、京都迎賓館に当時のブッシュ大統領(アメリカ)をお迎えするとき、3方向から飛んできたヘリコプターが御苑内に降りたそうだ。そして3方向に飛び去ったという。映画でしか知らない“おとり作戦”を、地でいくものだった、といった話を聞いたことがあった。
ロケット弾さえ跳ね返すという迎賓館の屋根。
ここで日中韓の外相会談が行なわれたのを知ったのは夕刊でだった。心強い災害支援を受けることもできるのだろう。
ところで、三者はどのようにしての京都入りだったのだろうか。
さやかに風も吹く、山口市で昨日一日を過ごしました。
お彼岸を迎えて、いよいよ心待ちの季節到来ですね。
物々しい警戒の中で行われた会談によって、隣国の確かな支援が被災者の手に早く届けられるといいですね。
梅の花の香りも。
猛暑、大雪、大地震、大津波、と、昨年からそのまま、歴史に残る『大』の字が付くものが続きました。
(1000年単位で繰り返されてきたものでしょうか)
それでもヒトはたくましいですね。生きることを諦めませんもの。
被災地にも当地にも温かい春の日差しが注がれる日を待ち望んでいます。
自然の恵みのありがたさをかみしめます。
大切なものを奪い取られた跡地に、孫の誕生記念のまだ細い梅の木が一本残っている様子を見ました。ちゃんと芽吹いていて…。
季節は巡ってくるのに、悲しいことです。
復興に向けて多くの人で歩き続ければ、きっとそこに道ができ希望が生まれる…、
魯迅の「故郷」を思い出します。
ですがやはりどこかいつもと違う、心から楽しめません。
助かった尊い命をぜひとも大切にして欲しいです。
これからもここで生きて行きたいと話していた高校生の思いがかなうように、支援し続けることが必要なのですね。