京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

『長いお別れ』

2019年06月04日 | 映画・観劇

随分シンプルに原作は映画化されたと感じた。

『長いお別れ』(中島京子)を取り出して開いてみると、ティッシュペーパーにはさまれたままのモミジの葉っぱが3枚出てきた。読んでいたのは17年の10月頃だった。帯には「認知症の父と家族の温かくて切ない十年の日々」とある。
「少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかっていくから、認知症のことを英語でロンググッドバイ(『長いお別れ』)と呼ぶんだよ」

     
「遠からず訪れる永遠の別れのその先にも、自分は何度も母の言葉を思い出すだろう。いつも、何度出会いなおしても、母が好いてくれたという確かさに、自分はきっと勇気づけられるだろう」

「母」を「父」に置き換えてもいい。一つの命とこのように関わり合う生があって、(母の)いのちは輝きを放つ。
そして、再度「人間は思い出の器」という言葉を思い出している。
この言葉を引いて、福島泰樹氏は「だから大切に葬ってあげなければいけないんです」と言われていた。

老々介護の母は娘たちに愚痴って愚痴って、怒って、揺れて。介護の壮絶さ…。でも、介護される側の生だって壮絶だ…。全ての人生は、壮絶であると…。あれこれ原作を振り返ってみた。



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2 コメント

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長いお別れ (ryo)
2019-06-05 08:17:52
ロンググッドバイですね!
介護する方も
される方もこれは辛いですが
私はロンググッドバイはなるべく
避けたいと思いますね〜。
そうなったらどうしましょう。
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どうしましょう…、ryoさん (kei)
2019-06-05 10:58:11
全ておまかせ。憂えても仕方ないことは思い煩わない、
ときっぱり思い切れるものでしょうか…。
心身今は元気です。その裏で不安は宿ってます。どうしよう、と思います。
ただ、どうしたって自分の力が及ばない領域はあるもので、
結局は喜びごとや楽しみを見つけながら生きていくんでしょうか。
裏も表もただ一筋とはなかなかで、揺れてしまいますね。
生ききるって大変なことですね。
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