京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

すべてこれわが師

2024年06月09日 | 日々の暮らしの中で
梅雨入りを前に、大門をくぐった左手にあるタイサンボクが枝葉を整えられてまことにスッキリサッパリと変貌しました。


この高さ。視力もこの世の明るさも回復したとはいえ、見あげた先に白い花弁をみるのがせいぜいのところ。それでなくても〈泰山木樹頭の花を日に捧ぐ〉の感で、甘い匂いとされる香りを風が運んでくれることもない。
阿弥陀さまへの供花です。

5日水曜日に眼科を受診。白内障手術の経過はおかげさまで問題なく順調で、次は3週間後にとなりました。
視力の検査を済ませたあとは廊下でぼーっと座り続け、いつになるのかもわからぬまま長時間の順番待ちでした。真向かいに座った方が文庫本を取り出した。目ぇがよくなって、それが『車輪の下』であることがわかった。
眼科の順番待ちに読書。べつにー、おかしなことではないけれど、なぜかちょっとしたおかしみを感じ、自分は手持無沙汰で困っていました。

昨日、寺子屋エッセイサロンで仲間が集ったとき話してみますと、高校生が話を引き取ってくれました。彼の言うように、私も感想文を書かされた記憶がある。周囲の重圧に負けた主人公ハンスの悲劇的な終末、といった程度の記憶だけれど、絶望の中から新たな人生を見いだせたなら、絶望にも意味がある ーそんな言葉に、とわ(『とわの庭』)の日々が重なった。

2001年9月から1年間、2004年9月から5年間、2回にわたって英国のオックスフォード大学マートン・コレッジで留学生活を送られた彬子女王の『赤と青のガウン オックスフォード留学記』を読んでいる。


コレッジでの、朝起きてからの平均的な一日の様子(「日常坐臥」)、人と人との結びつき(「合縁奇縁」)。中途半端だった英語力、苦労を重ね学問した日々(苦学力行)。どういうきっかけ、経過があって研究テーマを日本美術に鞍替えしたかなどもありのままに綴っておられる。皇族ならではのエピソードもうかがえる。

面白いですよ、とちょっとお披露目。書評で、大きな反響を呼んでいると知って手に取ってみた。

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