京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

土から色を吹き上げて

2024年04月24日 | 日々の暮らしの中で

  つつじ燃ゆ土から色を吹き上げて       上野章子

父は、わたしの誕生記念に躑躅を植えてくれていた。
挿し木で丹精していたものを、何代目なのかはわからないが嫁いだのちにもらい受けた。
何の変哲もない、ありふれた花ではあっても、庭に咲くのを見れば父を思い出すことはある。

 椿、木蓮、彼岸桜、海棠、ドウダンツツジと庭木の蕾が大きくなって、開花を心待ちにして
 いること。 ツツジにサツキ、4、5、6月は楽しみです。
 朝には母さんとウグイスの美しい声を楽しんでいます
などとS57年4月4日付の手紙にしたためられている。

変わらず平穏な日々を送ってくれていることに安堵していたのを覚えている。
父は筆まめだったが、母からの手紙は少ない。あまり家を空けない母だったから、友人たちと日帰りで遊びに出かけることが増えた様子を喜ばせてもらっていた。
手紙類を少しずつ処分しているけれど、なかなか思い切れずに出してはしまいを繰り返す。

色ものが少ない庭にあって、ツツジのあざやかな色が目を射る。


  ひとり尼わら家すげなし白つつじ         芭蕉


今日はアニメ映画『歎異抄をひらく」の上映に誘われていたが、ずうっと前に観ていたこともあって、またの機会の同行を約して断ってしまった。
その会場の最寄り駅が、東西線の蹴上(けあげ)。
地下から地上に出るや前方蹴上浄水場の山の斜面一面に白や赤や紫紅色のツツジが咲き満ちる。
まなうらに思い浮かべながら、映画の感想を聞いてみたいなと思っているところ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コミュニケーションのタネを... | トップ | 天も花に酔ふべき »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
つつじは特別の花 (Rei)
2024-04-25 10:30:22
私の中にはつつじは強い木というイメージがあります。
Keiさんもお強い方なのでしょう。
今の季節、街中に見られる花ですね。
お父上が挿し木までして育てられた大切なつつじですね、
我が家は息子の一年生入学記念に桜を植えましたが
大きくなり過ぎてご近所に迷惑かけています。
明日庭師さんが枝切りに来ます。
「桜切るばか」ですが仕方ありません。
返信する
記念樹 Reiさん (kei)
2024-04-25 10:51:53
そうですね…
健康に産んでくれて有難く思っております。
街路でも今盛りともえています。
なんでもない花のようですが、それなりに思いを持つと特別にもなりますね。

我が家では子供たちの誕生記念にはイチイの木でした。
たぶん植木屋さんの意見だったのか、わたしがそこに関与していないのでわからないのですが、
本堂前に息子の木が整えられています。
春になると入学の喜びを思いだせますし、桜はいいですね。
こちらでは結構個人宅の庭先や玄関などに桜の大樹があって、楽しませてもらっていますよ。
花びらが道路を染めていますが、良いものです。
Reiさんはよくご近所の迷惑に…とおっしゃって枝を切られていますよね。
返信する

コメントを投稿

日々の暮らしの中で」カテゴリの最新記事