

“男社会の”仏教教団の中で、40年以上も前から管長としてトップに就任し、古刹と周囲の山を守ってこられた鞍馬寺貫主(す)の信楽香仁さん。大正13年生まれですので、92歳でいらっしゃる。今日は鞍馬寺で「すべての生命かがやく羅網の世界」というテーマで貫主さんのお話をうかがう機会に恵まれました。
お話は、立たれたままで30分ほどでしたでしょうか。お参りのどなたかがいたわるような言葉をかけますと、「皆さんのように座ってるほうが大変だと思いますよ。平気です」とお答えで、座には笑いが。

水色の幕が張られているのは、20日に行われる「竹伐り会式」のための舞台作りです。
この本殿金堂に参拝。あげてくださった般若心経の始まりと終わりに、それぞれ柏手が2拍ずつ打たれたことでびっくり。
鞍馬寺は平安時代に延暦寺の末寺になっているのですが、鞍馬は古神道、山岳信仰、天台、真言、浄土と、様々な教えが詰まった場所だそうで、その特徴を生かそうと、1949年に天台宗の所属を離れ「鞍馬仏教」という新しい宗派を立てたとのことです。般若心経に柏手は、〈鞍馬らしさ〉の表れの一つなのでしょうか。「月のように美しく、太陽のように暖かく、大地のように力強く」。心の磨きが足りません…。
いただいた散華に記された言葉。
「花束をもって 多くの華鬘(けまん)を作るがごとく 人として生まれなば 多くの善きことをなすべし」
「『われに影響することなからん』とて 善を軽んずるな 水の点滴はよく水瓶をも満たすなり 少しずつ積みても賢者善に満つ」
「この世において 怨は怨によりて静まることなし 怨を捨ててこそ静まるなれ これ不変の真理なり」
「物事は意(こころ)よりおこり 意を主とし 意よりなる 清らかなる意をもって語り行う時は 楽しみ これに随う 影のものにそいて離れざるがご とし」
「深く静かで穏やかなる湖水のごとく 賢者は真理を聞きて静かなり」
今年はとりわけ緑が豊かに茂っているのだそうです。何度も深呼吸しながら、命のみなもととなる「元気」をお山にいただいてきました。集合場所がケーブルカー乗り場だったこともあって、楽して登らせてもらいました。とはいえ、山上に横づけではありません。息が切れるほどの階段のきつさでした。帰りは九十九折りを知り合った方とおしゃべりしながら…。