久木綾子の89歳でのデビュー作『見残しの塔』に続いて読んだのが『禊の塔 羽黒山五重塔仄聞』だった。作品は「雪は『もつ、もつ』と降りはじめ、『もっつ、もっつ』と地に積もる」と書き出される。
塔の再建にかける宮大工や葺師たちの情熱。豪雨でも塔の土台が緩まないようにと、氷のように冷たい水に手足を突っ込んで、周囲に溝を巡らせた山伏たちの心意気。「ただ水を流すだけの通路ではない。塔を荘厳する彫り物だ」、と身命をなげうった浄海坊の言葉にしびれる思いがした。
作者が〈大地のエネルギーを吸って生えてきたようだ〉と感動する塔を見てみたい。〈地の霊、山の霊、大木の霊、もろもろの霊が淀んで渦を巻く〉、そんな場所に立ってみたいと思うのだ。
いつか、いつかと思い続け、初めて具体的に今年3月下旬を念頭に検討したが、結局は見合すことになった。それでも、気持ちが続けば7月下旬に他社のツアーを利用する手もある、と密かに道をつけておいた。

親鸞聖人は言われる。「明日ありと思ふ心のあだ桜夜半に嵐の吹かぬものかは」と。「明日ありと思ふ心のあだ桜」とは美しい喩えだ。桜だけではない。何にしてもチャンスは逃さないようになさいと教えてくれている。
あれこれの不安がないわけではないが、思い切ってみたいと心は動く。何か大きな計らいごとの手が差し伸べられているような…。よいように気持ちを丸めて、ツアー参加を決めて申し込んだ。出羽三山を巡り、「黒川能」能・狂言の鑑賞が付く。
一日中降り続いた雨。今日から梅雨入りだそうな。
塔の再建にかける宮大工や葺師たちの情熱。豪雨でも塔の土台が緩まないようにと、氷のように冷たい水に手足を突っ込んで、周囲に溝を巡らせた山伏たちの心意気。「ただ水を流すだけの通路ではない。塔を荘厳する彫り物だ」、と身命をなげうった浄海坊の言葉にしびれる思いがした。
作者が〈大地のエネルギーを吸って生えてきたようだ〉と感動する塔を見てみたい。〈地の霊、山の霊、大木の霊、もろもろの霊が淀んで渦を巻く〉、そんな場所に立ってみたいと思うのだ。
いつか、いつかと思い続け、初めて具体的に今年3月下旬を念頭に検討したが、結局は見合すことになった。それでも、気持ちが続けば7月下旬に他社のツアーを利用する手もある、と密かに道をつけておいた。

親鸞聖人は言われる。「明日ありと思ふ心のあだ桜夜半に嵐の吹かぬものかは」と。「明日ありと思ふ心のあだ桜」とは美しい喩えだ。桜だけではない。何にしてもチャンスは逃さないようになさいと教えてくれている。
あれこれの不安がないわけではないが、思い切ってみたいと心は動く。何か大きな計らいごとの手が差し伸べられているような…。よいように気持ちを丸めて、ツアー参加を決めて申し込んだ。出羽三山を巡り、「黒川能」能・狂言の鑑賞が付く。
一日中降り続いた雨。今日から梅雨入りだそうな。