地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

数値空中写真

2008-05-06 12:18:13 | Weblog
国土地理院の「空中写真」は、平成19年度撮影分より、「数値空中写真」として、新たに刊行されました。

一般にいう空中写真・航空写真には
国土地理院の他に、林野庁や、地方自治体、民間企業などが撮影したものもあります。
ここでは、国土地理院発行の航空写真の購入方法を紹介します。

林野庁の撮影した航空写真は、林野庁のホームページをご覧ください。
また、地方自治体や主な民間企業が撮影した航空写真は㈶日本地図センターでも販売しております。次のホーム頁で案内しています。
http://www.jmc.or.jp/photo/minkan.html


国土地理院の「数値空中写真」には次のような種別があります。
①、大 き さ:
一倍出力印画(従来の密着印画)から二倍出力印画(従来の二倍引伸印画~・・・部分出力印画(大きさはいろいろ)など多種です。
印画紙一枚の大きさは23*23cmが一般ですが、最大は92*92cmです。四倍引伸印画の場合です。
10倍引き延ばしまで可能だそうですから、その場合には部分印画になり複数枚になります。

②、縮 尺:
一般には1:10,000から:40,000が売られています。
引き伸ばせば、縮尺は大きくなりす。
また、被写体の高低差で部分的に縮尺は変わります。
厳密にはいえないわけです。

③、モノクロ、カラーの別 : 
カラーもモノクロも同じ価格です。情報を売る感覚ですね。
一枚約3、000円から13,000円程度です。

④、地域の選定:
地形図に必要地域を示すのが一般的です。

正確には、「標定図」の番号で指定するのがいいのですが・・・
「標定図」には飛行機がどこのコースを飛んで、どこでシャッターを切ったか、そして、その写真のコース番号と写真番号は何番か、1枚の写真に写っている範囲はだいたいどれくらいか、などを地図上に表示したものです。
上記の「空中写真索引表」の原本です。

なお、受注生産方式ですから、地形図のように書店等で直ぐ購入することはできません。
申し込んでから出来上がるまでに10日程度はかかります。

近い内、登山の際に購入して立体視してみましょう。ウキウキ!







空中写真の実体視

2008-05-05 10:32:10 | Weblog
空中写真(または航空写真)をもっとも効果的に見る方法に実体視があります。

これは、60%ずつ重複した2枚の空中写真を、約5.5~6cm離して置き、約20~30cm位の高さから、左の写真を左目で、右の写真を右目で凝視していると、左右両像が重なってきて一つの立体像を現します。
高さは実際の約2倍に誇張して現れます。

実体鏡を使えば、もっと簡単に、しかも高低差はもっと大きく表れるそうです。

山に登る前に、この状景を予備知識として持っていると、随分助かるし、より楽しく安全な登山ができるでしょう。
今回掲載した写真も、実体視できます。
写真が小さいためもあり、実際の写真のようには明確には見れませんが・・・

器具を使わないで実体視することに慣れてくると、登山には便利ですね。
航空写真が入手しやすいといいのですが。

余談ですが、私はある出版社から、登山地図の企画相談を受けたことがありました。その際、この航空写真の実体視を進めたのですが、担当者は実体視ができず、私の言ってる意味が解らなかったようです。
今でも残念です。多分、多くの登山者が喜ばれたことでしょうに・・・



極地の氷の動向

2008-05-04 09:30:59 | Weblog
極地の氷の動向

5/4(日)の日経新聞に「極地の氷、融解早まる?」として、次のような記事が載っていました。

地球温暖化の影響で北極や南極、グリーンランドの氷が予想を上回るスピードで解けているそうです。極地の氷は地球を冷やすクーラーの役割を果たしています。氷がなくなれば地球環境は劇変する恐れがあるそうです。

グリーンランド(日本の約4.5倍の広さ)の陸地に、標高約2,000m級の氷の塊(氷床)が載っています。その氷が予想以上の速さで減っているそうです。
これは人工衛星による地球重力の測定で解るそうです。
高いところの氷が水面に降りてくれば、それだけポテンシャル・エナージーが減るわけですから。

国連の予測では、世界の平均海面は2100年には約6cm上がるそうです。若し、グリーンランドの氷が全部解けたら水面は約7m上昇するとか・・・

北極海も予想を上回る速さで氷解しているそうです。
2050年頃の夏には、氷はなくなり全域で海が見えるようになると予測されています。
ベーリング海からノルウエーまで砕氷船でなくても航海できる「半解凍状態」になるそうです。
この、予測を上回る変化には海流も関係しているそうです。
すなわち、氷が減った結果、北極海では上から見て時計回りの海流の流れが強まり、太平洋からベーリング海峡を通って温かい水が入り込み、大西洋に海氷が押し出されて、変化を速めているそうです。
また、これまであった氷が少なくなることで、氷で反射していた太陽光が、直接海水をあっためるため、これら一連の変化を速めているそうです。

一方、南極の氷ですが、ウイルキンズ棚氷が崩壊しつつあるとか・・・ただし、海が暖まったまったために大気中の水蒸気が増え、南極の内陸部では降雪が増えているとも・・・

今年から、日本も加わってグリーンランドの氷床掘削を始めるそうです。
過去の気候変動を調べることで将来予測につなげたい意向です。

いずれにしても、地球が小さく感じられるようになりましたね。
子供の頃は全く心配していなかった問題
石油資源の枯渇、
解氷による水位の上昇、
大気汚染
海外旅行や移住の増大、
国境を越えたテロ活動の増加
人工衛星の打ち上げ、・・・等々まさにグローバル化ですね。
ボツボツ別世界へ逃げたほうがいいのかな?


鎌倉市生活環境図

2008-05-03 17:05:23 | Weblog
鎌倉市生活環境図集の中の一こま

8年前まで、約20年間、住んでいた鎌倉の生活環境マップを取り上げてみました。
とは言っても、この地図には私の住んでいた大船地区は掲載されていませんが・・・
でも、当地のマラソンクラブに属していて、この地区をくまなく走り回っていたので、懐かしい地区です。
「鎌倉らしさと市民の好きな場所」を把握するために作成されたそうです。

主な内容としては
①、■印の「やぐら」です。八幡宮の裏山だけでなく、いたるところに散在しています。
これは、「窟・岩倉」とかかれたようです。中世の上流階級の横穴式の墳墓だそうです。
いまだに、当時のお骨が散見されるとか・・・

②、井戸の記号が散見されます。
市内をぐるりと山に囲まれて、水の便の悪い鎌倉では、井戸は貴重な存在だったようです。
その、鎌倉の井戸の中で,最も美味しく、また伝説が伝わる井戸を記載しています。
「鎌倉十井」といわれていますが・・・現在のめる井戸はないそうです。

③、切通し、隋道が記載されています。
鎌倉は三方を山に囲まれ、一方は海に面し、人力だけに頼った昔は天然の要塞だったようです。
「鎌倉の七口」といわれ、七つの切り通し以外には鎌倉へ入れなかったようです。
摂政九条兼実の日記「玉葉」には「鎌倉城」と書かれています。鎌倉が要害の地であることをを端的に表しています。

④、谷戸(やと):
谷あいの狭い土地にも家が立ち並んでいます。「谷戸」のついた地名が多く残っています。
鎌倉幕府のころから、山に囲まれた狭い土地に武士を中心に多くに人口が住んでいて、墓地にも事欠いて「やぐら」を利用したぐらいですから、谷あいの狭い土地にも人が住んでいたようです。

⑤、市民の好きな場所:
以上のような資料を背景に、市民の好きな場所(地区)を集計した結果を青色で表記しています。
人気投票による観光地図です。大変ユニークな、信憑性の高い地図だと思います。

こうした観光地図に、+休憩所や食事どころ、宿泊所が加わった地図があちこちで作られるといいですね。
官ではそこまで作れないでしょうから、民で作るべきですが・・・



住居表示図

2008-05-02 11:26:33 | Weblog
住居表示図
昭和32年地図屋に就職した私は、昭和37年5月に実施された「住居表示に関する法律」のため、随分多くの「住居表示図」を作る羽目になりました。
道路が赤線、河川が青線、適用された街区が黄色の地図です。
町名毎に作られたため、全国では膨大の種類になったはずです。
それも、ほぼ完了したようですが・・・

以前の住所は町名や番地が入り組んでいて、しかも、土地台帳と同じですから3桁、4桁の数字が多く、かつ土地の分筆ごとに枝番が増えて複雑そのものでした。その場所を尋ねるのに非常に苦労したものです。

それが、「○○町△丁目1番2号」のように簡素化されたのです。
しかし、それでもなお、道路を隔てて、奇数の番地は東側、偶数の番地は西側などというところもあります。連続していないのです。尋ねていて腹の立つ思いをしたことがありました。神田司町がそうです。困ったもんです。

さて、住居表示には、街区方式と道路方式がありますが、わが国では、殆ど街区方式です。
道路方式は、欧米でよく見られる方式です。

街区方式での番号のつけ方ですが(上の地図参照)
・街区符号(○○町△丁目1番など)
街区方式は原則として道路に囲まれた区画が一つの街区となり、一つの町名は複数(まれに一つ)の街区で構成されています。
各市区町村で決めた基準となるもの(例えば東京では皇居)に一番近い街区から1、2、3…と順番に番号を振っていきます。
街区符号に、数字以外の文字を用いたもの(A、B,C・・・番、「イ」「ロ」「ハ」・・・、)もあります。こんなところで特徴を出さなくってもとは思いますが・・・

・住居番号(・・・2号・・・)
各街区で、基準に一番近い角を起点にし、そこから街区の外周に沿って時計回りに距離を測って10m (~15m) ごとに区切り、順番に1、2、3…と基礎番号をつけます。それが住居番号です。
この原則を頭に入れて、所在を尋ねていくと便利ですよ。
距離で区切るため、住宅が一つの街区に整然と建てられていても、入口の玄関がそれぞれの住宅によって離れている場合は、必ずしも住居番号が連番になるとは限らないし、また、隣同士でも同じ番号になることもあります。

さらに、勘違いしやすいのが、土地建物の登記上の場所表示です。
新住居表示になったのだから、登記簿表示も変わるかというと、土地の境界線はそう簡単ではありません。このほうは従来どおりの表示です。
すなわち、
・地番は土地の場所、権利の範囲を表すための登記上の番号
・住居表示は建物の場所を表す番号
住居表示の実施された地域でも、地番が消滅することはありません。
ま、仕方ないか・・・

都市計画道路(幡ヶ谷地区)

2008-05-01 11:15:38 | Weblog
都市計画図の中に「都市計画道路」の部分があります。
今日はそこに注目してみました。

都市計画道路は、都市計画法による「都市計画決定」道路で、
次の4種類があります。

1. 自動車専用道路
都市高速道路、都市間高速道路(渋滞緩和などのため高速道路間を繋ぐ道路)、その他の自動車専用道路。
2. 幹線街路 (主に国道、主要地方道)
都市の主要な骨格道路。周辺地区間の交通を、骨格道路に連結するもの。
3. 区画街路
住宅地の利用に供される生活道路。
4. 特殊街路
主に自動車以外の交通(歩行者、自転車、新交通システム等)のための道路。

そして、工事内容には、既存の道路を拡幅する場合と、新たに築造する場合とがあり、作業の段階には、次の3つの部分があります。

1) 「計画決定段階」・・・地図にはごく細い2条線で表現されています。殆どが既存の道路の拡幅計画です。
事業決定になると道路周辺部は立ち退きになりますので、建て直しの場合の規制が設けられています。
この地区で「6号通り商店街」などが該当するようです。

2) 「事業決定段階」 ・・・地図の破線部分です。この地図では現在盛んに工事されている「山手通り」(環状6号)があります。

3) 「完了段階」・・・この地図の太い2条道路です。
私がこの土地に引越してきて8年になりますが、その間に完成した道路に「井の頭通り」(放射23号・幅員25m)と「中野通り」(補助26号・幅員20m)があります。
随分長く、だらだらした工事に思えました。特に立退き交渉に手間取るようですね。
道路が完成しても、防火対策上、その周辺の建築にも規制が設けられる場合があるようです。
例えば、「路線式」指定がある場合、道路の端から20m以内の建築規制です。

さて、計画決定部分に指定されると、次のような建築規制を設けられます。
1) 2階建まで (3階建以上は建てられません)
2) 地階はダメ (地下車庫もできません)
3) 木造か鉄骨造など (鉄筋コンクリート造などはできません)

さらに、事業決定になると、土地収用や立ち退き交渉、実際の道路築造工事にかかる段階ですので、新たに建物を建築することは原則として、できなくなります。

計画決定段階では、まだ通常の木造2階建住宅は建築可能ですので、都市計画道路上に建てられた建売住宅が販売される場合もありますが、周辺の相場より安くなるのが普通です。

新橋駅から霞ヶ関ビルの間の道路のように、戦後すぐに計画決定された都市計画道路 (通称:マッカーサー道路) が、いまだに事業決定されず、高いビルを建てることもできないままになっています。
官庁街に繋がる幹線道路でもあり、のっぽビルが立ち並んでおかしくない地区ですが・・・。難しい問題です。

街並みを見たときに、道路沿いに低い建物が並び、少し奥まった位置から高いビルになっていたり、直線状に2階建ての建物ばかり建ち並んでいる場合には、ここに道路が計画されているんだな、と判断することもできます。
散歩の時のつれずれに・・・