地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

住居表示図

2008-05-02 11:26:33 | Weblog
住居表示図
昭和32年地図屋に就職した私は、昭和37年5月に実施された「住居表示に関する法律」のため、随分多くの「住居表示図」を作る羽目になりました。
道路が赤線、河川が青線、適用された街区が黄色の地図です。
町名毎に作られたため、全国では膨大の種類になったはずです。
それも、ほぼ完了したようですが・・・

以前の住所は町名や番地が入り組んでいて、しかも、土地台帳と同じですから3桁、4桁の数字が多く、かつ土地の分筆ごとに枝番が増えて複雑そのものでした。その場所を尋ねるのに非常に苦労したものです。

それが、「○○町△丁目1番2号」のように簡素化されたのです。
しかし、それでもなお、道路を隔てて、奇数の番地は東側、偶数の番地は西側などというところもあります。連続していないのです。尋ねていて腹の立つ思いをしたことがありました。神田司町がそうです。困ったもんです。

さて、住居表示には、街区方式と道路方式がありますが、わが国では、殆ど街区方式です。
道路方式は、欧米でよく見られる方式です。

街区方式での番号のつけ方ですが(上の地図参照)
・街区符号(○○町△丁目1番など)
街区方式は原則として道路に囲まれた区画が一つの街区となり、一つの町名は複数(まれに一つ)の街区で構成されています。
各市区町村で決めた基準となるもの(例えば東京では皇居)に一番近い街区から1、2、3…と順番に番号を振っていきます。
街区符号に、数字以外の文字を用いたもの(A、B,C・・・番、「イ」「ロ」「ハ」・・・、)もあります。こんなところで特徴を出さなくってもとは思いますが・・・

・住居番号(・・・2号・・・)
各街区で、基準に一番近い角を起点にし、そこから街区の外周に沿って時計回りに距離を測って10m (~15m) ごとに区切り、順番に1、2、3…と基礎番号をつけます。それが住居番号です。
この原則を頭に入れて、所在を尋ねていくと便利ですよ。
距離で区切るため、住宅が一つの街区に整然と建てられていても、入口の玄関がそれぞれの住宅によって離れている場合は、必ずしも住居番号が連番になるとは限らないし、また、隣同士でも同じ番号になることもあります。

さらに、勘違いしやすいのが、土地建物の登記上の場所表示です。
新住居表示になったのだから、登記簿表示も変わるかというと、土地の境界線はそう簡単ではありません。このほうは従来どおりの表示です。
すなわち、
・地番は土地の場所、権利の範囲を表すための登記上の番号
・住居表示は建物の場所を表す番号
住居表示の実施された地域でも、地番が消滅することはありません。
ま、仕方ないか・・・