地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

プトレマイオスの世界地図 「風神」

2009-04-27 16:13:49 | Weblog
上の図は、1406年に、プトレマイオス(2世紀頃のギリシャの地理学者)の地理書を基に世界地図が描かれたもの(手描き)ですが、当時はまだ、世界は円盤状で、宇宙に浮かんでいるという感覚で、上の図のように「風神」なるものが12の方向から口を尖らせて吹きながら浮かせていたのだろうという感覚です。
当時はそう描かざるを得なかったのでしょう。

また、中世では、地球を中心に天体が回っている天動説を主張していました。
現在、「太陽が昇る」、「沈む」という表現は、その名残といわれています。

現在でも、この宇宙の果ては?と疑問を広げれば、頭が混乱してきますが、当時はこの地球が不可解な存在だったのでしょう。当然です。


ポルトラノ型海図

2009-04-07 11:27:48 | Weblog
ポルトラノ型海図(地中海の海図)

上の海図は現存するポルトラノ型海図の最古のもので1300年ごろのものといわれています。(「図説・地図事典」より掲載。着色は私)

羅針盤の発明が、航海図を画期的に変え、実用的なものにしました。

そもそも、ポルトラノとは地図製作者の名前ではなく、イタリヤ語の「PORTOLANI」(沿岸航海図?)から来ているようです。

中世期の地図が宗教教義に従った[TO図]のような抽象的なものであったのに対して、地中海を中心に栄えた交易から、航海用の実用的なスケッチ地図が重宝されるようになって来ました。

そこへ、11,2世紀頃、中国から磁石による方位測定法がわたってきて、航海術が著しく発達し、先のスケッチ地図とあいまって、ポルトラノ型海図が出来てきたようです。まさに大航海時代の始まりです。

この磁石も、最初は水がめの水の上に、磁石の針を浮かせ、北を向く性質を利用して方向を知ったそうですが、何しろ、揺れる船の上でのこと、うまくゆかず、改良されて、宙吊り式の羅針盤になったそうです。

また、当時は東西南北の方位でははなく、風向きで航海の方向を表していたようで、4*3=24方向の風向きで現されていました。方位もそれに倣って、24の風向きを装飾的に表し、一名“風のバラ”とも呼ばれていました。

ポルトラノ海図は、交易の広まりとともに描かれる範囲もひろがり、14世紀には、アフリカ大陸はもちろん、スカンジナビア半島、カナリア諸島、インドまで含まれるようになってきました。

のちに述べる、メルカトル図法による海図が出現する17世紀まで、ポルトラノ型海図は広く重宝されました。