地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

都市圏活断層図(2)

2008-05-17 12:07:21 | Weblog
都市圏活断層図
活断層とは、最近数10万年間に、おおむね千年から数万年の間隔で繰り返し動いてきた跡が地形に現れ、今後も活動を繰り返すと考えられる断層です。
この世界は、「古きを尋ねて、新しきを知る」のが、早道のようですが・・・それにしても、気の長い話ですね。

上の図は、徳島県脇町の吉野川沿いの活断層図(サンプル)です。

吉野川沿いに河岸段丘が走っています。これらは、海または河川の作用で形成された平坦地で、数十万年前から数千年前に陸化した台地面です。
それらを、古い順に上位、中位、下位にランク付けしています。
また、河岸段丘のほかに、沖積低地・地すべり地形などの第四紀後期(数十万年から現在)に形成された主な地形も合わせて表示しています。

これらの情報は、活断層周辺の地盤状況の把握や、活断層の活動によって地すべりが再活動する可能性のある地域の推定など、防災に役立つそうです。


さて、脇町の地図には、山地と段丘の境に「井口断層」が走っています。


①、赤実線は「活断層」で、「最近数十万年間に、概ね千年から数万年の周期で繰返し動いてきた跡が地形に現れ、今後も活動を繰り返すと考えられる断層。明瞭な地形的証拠から位置が特定できるもの」だそうです。
明らかに危険な位置です。でも、「概ね千年から数万年の周期」ですから、人間の寿命からは、家を建てるかどうか判断しにくいですね。過去の歴史が重要な要素になりますか・・・

②、赤の破線の部分は「活断層(位置やや不明確)」で、「・・・その位置が明確に特定できないもの」だそうです。

③、このほかに、赤の点線で示した断層があります。「活断層(伏在部)」です。それは「活断層のうち、最近の活動時以後の地層で覆われ、変位を示す地形が直接現れていない部分」です。

1995年の「阪神・淡路大震災」や、このたびの中国の「四川大地震」の例から推して、活断層の周辺はやはり気持ちよくないですよね。

阪神・淡路大震災を契機に、国土地理院では、人口が集中し、大地震の際に大きな被害が予想される都市域とその周辺について、活断層の位置を詳細に表示した1:25,000「都市圏活断層図」を平成7年より作成しています。
現在、その面数は全国で133面あります。1:25,000図に換算すると500面あまりで、全体の約一割強です。

ただし、人心を不安に陥れないためか、または不動産評価を大きく左右することを恐れたためか、東京近辺の「東京西北部」、「東京西南部」の地図には、段丘面と沖積地のみが載ってて、活断層は表記されていません。一寸、買ってみて裏切られた感じ・・・

さて、
活断層は断層運動の変位様式によって4つの基本タイプに整理されています。
すなわち、正断層、逆断層、右横ずれ断層、左横ずれ断層です。
また、変位が軟らかい地層内で拡散した場合には、地表に段差ではなく、たわみとして現れる場合があり、これを撓曲(とうきょく)と呼んでいます。

活断層はその活動の累積により特徴的な断層変位地形を形成します。
断層変位地形を探すためには空中写真の立体視が有効だそうです。

その空中写真も、都市開発が進んでいない古いものがいいそうです。人工の工作物(建物など)が多いと地形が読み取りにくいからです。

古い航空写真が重宝されるなんて、いい話ですね。古い人間は・・・?