地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

パソコン海図

2009-10-14 09:26:05 | Weblog
パソコン海図

今朝の日経にパソコン海図の記事が載っていました。

海上保安庁は、航行中の船舶の安全のため、危険情報をパソコンで瞬時に伝えるためのシステムを開発するのだそうです。

確かに、
①、航行中の他の船舶の所在は、海図には載っていませんが、衝突する危険は非常に高いはずです。
昨年の、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船の衝突事故などがその例です。
2008年に、国内で812隻の衝突事故が起きているそうです。

また、
②、自分の船の位置確認が、経緯度情報だけでは、瞬時に、周囲の状況を把握できないはずです。
この不便を補うためにも、パソコン海図は有意義です。

さらに
③、深度が高く、航路標識のブイが設置できない場合の、仮想のブイ設置も考えられているようです。
あたかもそこにブイがあって、航路を指示しているかのような安全走行の指示です。

空にも、大気圏外にも必要でしょうね。すでに出来ているのかな?



海の基本図 海底地形図

2009-10-08 12:39:42 | Weblog
海の基本図 海底地形図

マリンブルーのきれいな地図です。陸の「地形図」すなわち基本図(1:25,000)に対する、海の「基本図」です。
ただし、同じ地形測量をし、同じような作業で地図を作ってるのに、なぜ別々の行政で作業しなければならないのか、民間人の私には理解できませんが・・・

海の「基本図」にも、ここに採り上げたいのは、領海区域を確定するための「沿岸海域」の基本図です。

さて、海の基本図は、基本図とうたわれているように、先ず、日本の領海(12海里=19.3Km)の境を確定するために必要です。
そして、自分の土地だけに、その海の底の詳細を知る必要もあります。

航海のためと言うよりも、もっと広く、土地利用や資源利用のためにも、自分の土地を詳細に把握する必要があります。そのための基本図です。

航海図は、これを元に編集される編集図です。
縮尺は1:50,000が普通ですが、一部1:10,000図もあります。
上の図は、七尾湾の海底地形図の一部で1:50,000の図です。(「海の図いろいろ」より)

海図は、海面がこれ以上、下がらない面(基本水準面)からの深さを表しています。船が座礁しないためです。
そこを0mにして等深線を表す必要があるから、陸図とは基準が違います。

国土地理院の地形図の等深線が東京湾平均海面からの深さで表示されているのとは大きく違います。
だから、別の役所で作らなければならないという理屈がよく解りません。

現に、国土地理院も水深50m以下の沿岸域の海底地形図を刊行していますが・・・?

どこの国でも同じようにやってるのでしょうか?







航海用海図(「海岸図」と「港泊図」)

2009-10-02 12:14:32 | Weblog
航海用海図(「海岸図」と「港泊図」)


航海用海図の中の縮尺1:300,000~1,000,000の地図を、「航海図」といっています。

航海図では一番縮尺の小さい、大観図です。
航海中に陸地が見えてきたとき、先ずこの地図から自分の船の位置を特定し、目的地(港)への航路を定めます。

港に近づくに従い、海岸図(縮尺1:50,000~300,000)、更には港泊図(縮尺1:3,000~50,000)を使います。(上の図)

それらには、航海安全に必要不可欠な、沿岸の地形や、水深、浅瀬、灯台、潮流などが図示されています。
確か、以前の海図には、船から見える陸地の景色がスケッチで描かれていたように記憶しています。いずれ近いうちにそうした海図を示します。

また、最近では、グローバル化社会に対応して、英語版の海図も発行されつつあります。少し遅いのではとさえ感じますが。

「航泊図」の記号には
・ 海上から良く見える目標物として
航行用の灯、高い煙突、鉄塔、原油貯蔵のタンク、顕著な建物、島、山の地形・・・
・ 海底地形としては
水深(0.1m単位)、底質(泥、砂・・・投錨のために必要)、沈船、海底電線や管、岩礁、投錨禁止区域(養魚場など)・・・
・ 定められた航路
港の法律による決まられた航路、船を誘導するための浮標,立標、潮流、渦巻きの良く発生するところ、検疫のための投錨地区、磁針方位コンパス(偏差西に6度50分)・・・

などなどが、こと細かに記されています。

IT時代ですから、電子海図を、しかも立体的に見ることが出来、実際の航海に使われているようですが、法律は海図(紙地図)を備えることを義務付けています。
それは、若し万一機器が故障した場合や、ごく最近の沈船などの海底情報がデータに反映されていなかった場合などに対応するためです。

また、そのために海図には必ず海図を補正するために、「水路図誌」が配布されるようになっています。

このことは、ナビゲーションに頼った車の運転も同様ですが・・・